森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.05.26
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藤井英雄先生のお話です。

子どもが親の言うことを聞かずに騒いでいるため、とてもイライラするという状況を考えてみましょう。
ここで出てくる感情は「怒り」「イライラ」ですが、それは二次感情です。

子どもが言うことを聞かない→自分が馬鹿にされている(悲しみ)→自分は親失格なのではないか(悲しみ)→今後も馬鹿にされ続けるかもしれない(恐れ)→そんな自分は姑、夫、近所の人からも馬鹿にされ、非難されるかもしれない(恐れ)
二次感情は横道にそれてどんどん膨れ上がっていきます。

怒りは、感情の中でも少し特殊なもので、怒りが単独で発生することはあまりありません。つまり、怒りの前に何か別のネガティブな感情が立ち上がっていることが多いのです。
それは、たいていは「悲しみ」か「恐れ」ですが、この場合は子どもがいうことを聞かないことによって、自己肯定感が深く傷ついて、悲しみや恐れの感情が発生し、その結果怒りに転化していると考えられます。

このとき、「悲しみ」か「恐れ」という一次感情に気付くことができれば、その後の展開は全く違ったものになります。

「そうか。自分は、子供に尊重されていないことがショックだったんだなあ・・・」さらに、「そもそもそれは、自分が子供の頃から親に尊重されずに育てられてきたからだ・・・」といった気づきがあるかもしれません。


「子どもに尊重されていないと考えるとショックだが、子どもには子どもの事情があって今は遊びたいだけで、私のことが嫌いだとか馬鹿にしているということではないのかもなあ。姑や夫の目を気にして平常心を失っていたけれど、そんなに気にすることもないのかもしれない。もし非難されたとしても、受け止めることができそうだ」
(「平常心」と「不動心」の鍛え方 藤井英雄 同文館出版 参照)

これは森田理論でいうと、まさに「純な心」の説明です。
「純な心」は難しい言葉ですが、最初に湧き起こった感情、素直な感情、初一念という言葉に置き換えておきましょう。
森田理論学習を続けている方は、「純な心」の体得は森田理論の核心部分だということはよく理解されていると思います。
問題は、生活の場面で、「かくあるべし」を含む観念の世界に振り回されてしまことです。つまりなかなか「純な心」になり切れないということだと思います。

藤井英雄先生は、その疑問に見事に答えて下さっています。
マインドフルネスを活用することです。
マインドフルネスという言葉に嫌悪感を持っている方もおられますが、マインドフルネスは、ネガティブな感情や事実を軽視した観念的な思考に対して待ったをかけるものです。
極めて森田理論に親和性があるものです。

マインドフルネスは、間を置き、一歩引いて、第三者的立場から、客観的に見つめるというのが一番の要点です。

大いに気づいて、カタルシスを得ることが最終目標となります。
その結果、二次感情が暴走することを阻止することができるようになるのです。
マインドフルネスの手法は、森田理論を学習して、観念中心の「かくあるべし」から「事実本位」の生活態度を身に着けたいと思っている人にはとても魅力的です。
マインドフルネス認知行動療法というものがありますが、マインドフルネス森田療法というものがあってもいいのではないでしょうか。
私は、今まで観念中心から事実本位の態度を身につける方法を試行錯誤してきましたが、その中でもマインドフルネス森田療法はその最右翼と考えています。





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Last updated  2022.05.26 06:38:54
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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