ラザロの病気のことをイエスが最初に聞いた時、イエスはいった。この病は死には至らず、と(11.4)。それにもかかわらず、ラザロは死んだ。しかし、われらの友、ラザロは眠っているのだ、とイエスはいった。「聖なる眠りを眠れり」というカリマコスのエピグラムを思い出す。イエスが、ラザロ、出で来たれ、と叫ぶと、ラザロは復活した。病気も、死そのものも死に至るものではなかった。しかし、とキルケゴールはいった。絶望だけは死に至る、と。絶望は人間が真の自己になることを拒み、神の前に出ることを拒む。絶望は死に至る病(Krankenheit zum Tode)である。