雪が止み、日が照り出すと、木に積もっていた雪が一斉に溶け出し、雨のように頭から降り注いだ。もうすぐに開花するかと思っていた梅が、この寒さに震え上がっているように見えた。もちろんそれ以上に僕が震えていたのだが。 夜中に目が覚めてしまったが、吉田秀和の『永遠の故郷 夜』に引いてあるドイツ語とフランス語の詩を読んでいたら、またいつのまにか寝てしまったようだ。 ヘッセの「眠りにつくに当たって」という詩。 Und die Seele unbewacht, Will in freien Fluegen schweben, Un im Zauberkreis der Nacht Tief und tausendfach zu leben 最後の一連。吉田は次の訳している。 「そうして、魂は誰にも見張られることなく