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今日で7月も終わりか・・・。やけに早いな。この調子じゃ、もうすぐ来年じゃないか・・・。 さて、今日も今日とて原稿書き、ではあるのですが、あんまり長時間ワープロの前に座っていてもアレなので、食後の小一時間とか、そういう細切れの時間にルシア・ベルリンの短編集『すべての月、すべての年』を読んでおります。これこれ! ↓すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集 [ ルシア・ベルリン ] 相変わらず、表紙に記されたルシア・ベルリンご本人の写真を見ると、べっぴんさんですなあ。女優さんじゃん、これ。 で、この『すべての月、すべての年』は、話題となった前作『掃除婦のための手引き書』と同じ短編集に収められた短篇を集めたもので、要するにこの二つの翻訳をくっつけると原書になるというシロモノ。その意味で、『掃除婦のための手引き書』とまったくレベルの変わらない短篇集ということができる。 で、『掃除婦のための手引き書』も前に読んで、それなりに面白かったのだけれど、今回の『すべての月、すべての年』もそれなりに面白いです。 ですが・・・。 うーん、どうなんだろう。この作家の作品は、私にとって本当に面白いのだろうか? 傑作と言い切るほど、私は買っているだろうか? そういう疑問が出るくらいだから、実はそれほど買ってないんだろうね。自分としては。 読書好きの人で、ルシア・ベルリンが好きという人は沢山居ると思うのだけど、そういう人たちが持ち上げれば持ち上げるほど、それほどのもんか? という気がしてくるのは、私の天邪鬼のなせるわざか。 そうかも知れないけど、何だろう、彼女の作品には何かが足りない気がする。 何だろう。ユーモアかな。切実さかな。いずれにせよ、なんか、中途半端な感じがする。普通、というか。突き抜けたものがない、というか。 アメリカのモーテルの部屋にかかっている絵みたい。一見、きれいで、パッと見、センスがいいように見えるんだけど、よくよく考え、よくよく見たら、やっぱり安物だった、というような。そういう安モーテルに、本物のエドワード・ホッパーは掛かってないわけだよね。せいぜい、ジョージア・オキーフの印刷版がいいところで。 たまたま思いついただけだけど、ジョージア・オキーフの印刷版ってのは、良い譬えかもね。オキーフもニュー・メキシコだし。 例えば、ルシア・ベルリンって研究対象になるのかな、と言ったらどうだろう。「なる」って自信をもって答えられるプロのアメ文研究者ってどのくらいいるだろう? ま、そんな感じで、面白いのか、それほどでもないのか、と思いながら、それなりに面白く読んでいるのでした。
July 31, 2022
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「ガイア理論」を提唱したことで知られるイギリスのジェームズ・ラヴロック博士が亡くなりました。103歳の誕生日に亡くなられたとのこと。 ラヴロック博士と言えば「ガイア理論」ですが、地球をギリシャ神話の女神の女神に譬えて「ガイア」と呼ぶことを博士に提案したのは、『蠅の王』で知られるノーベル賞作家ウィリアム・ゴールディングです。ゴールディングとラヴロックは、イギリスのコーンウォール地方に住むお隣さん同士で、ラヴロックが新たな地球のネーミングを考えていた時に、ゴールディングに相談したら、「ガイア(ギー)がいいんじゃね」って言ったので、そうなったのよ。 で、そのガイア理論もよく誤解されるんだけど、ラヴロックは「地球って、ひょっとして生きた生命体なのではないか?」と考えていたわけではありません。 彼は元々「ガス・クロマトグラフィー」の発明者で、大気分析のプロ。で、地球の大気の構成を調べて見ると、もう太古の昔から窒素と酸素の比率とかが全然変わってないことが分かる。それから海の塩分濃度も3%で全然変わってない。 普通ね、そういうことはあり得ないわけ。部屋の温度だって、空調がなかったら暑くなったり寒くなったりするでしょ? だから地球環境も、誰かがコントロールしているはずなのよ。 じゃあ、誰がコントロールしているのかといったら、地球上の生命体全部(特に微生物)が、協調してそれをコントロールしているとしか言えない。 だから、ラヴロックは地球自体が生命体だと考えたのではなく、地球の上に住むあらゆるものが協調して環境を一定に保っていると考えたわけ。 でも、それだったら、当たり前じゃん、と思う? でもね、違うの。ラヴロック以前は、地球環境というのがまずあって、その環境に生物が適合したんだと考えられていたのね。地球は環境を提供しただけと。 でも、ラヴロックはそう考えなかった。生きとし生けるものが全員で協調して、今の地球環境を作り上げ、それを維持しているんだと考えた。そこが違う。 実際、地球環境ってのは脆いもので、例えば今、大気における酸素の量って20%でしょ。この量がちょっとでも上がって、26%くらいになったとする。そうしたら、落雷一発で地球のあちこちで火事が起こり、そのまま地球全部が火の玉になる。そういうレベルの話だからね。 だから、大気中の酸素の量20%が維持されていると言うのは、ある意味、奇跡的な話なわけ。そういう繊細なものとして地球を見たら、やっぱり女神様の名前でも冠してあげたくなるじゃない。 そういうこと。 この青い星の上で、生き物全部が協力し合ってなんとかこの星を運営しているという、とっても切ないイメージを我々に与えてくれたという点で、やっぱり我々はラヴロック博士にいくばくかの恩義があると、私は思うわけですよ。 ということで、ジェームズ・ラヴロック博士のご冥福をお祈りいたします。合掌。
July 30, 2022
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YouTube のおススメ動画に上がって来ていたものの中に、昔の大相撲を録画したものがあったので、つい観ていたら、これがまあ、面白いのなんのって。 録画されていたのは昭和56年の取り組みだったのですが、昭和56年の初場所というと、横綱は輪島、北の湖、二代目若乃花の三人。大関としてはまだ貴ノ花がいたり、増位山がいたりする。そして千代の富士はまだ関脇で、ちょうど番付を勢いよく駆け上がっていた頃。麒麟児も元気、琴風も元気、北天佑が前頭で、荒っぽい相撲を取っていたりする。 で、そういう懐かしい面々の取り組みを観ていると、これがまた面白いわけ。何と言っても、攻防があるんだよね・・・。若い人は「え、攻防だったら、今の大相撲だってあるでしょ」と思うかも知れないけど、うーん、ちょっと違うんだなあ。例えば、四つ相撲でも巻き替えの応酬があったり、上手投げと下手投げの応酬があったりするのよ。それから、外掛けとか内掛けとか、足技もある。今、内掛けで勝つ力士なんていないもんね。 で、そういう取り組み自体の面白さもあるんだけど、同時に解説がまたいい。神風さんなのよ。懐かしいわ~、神風さんの解説。あの声を聞いているだけで嬉しい。 ほんと、この頃の大相撲って面白かったなあ、っていう感慨を一層新たにしましたね。これこれ! ↓昭和56年大相撲 まあ、好角家にしか通じない話かも知れないけど、御同輩は是非ご覧になって、ご一緒に古き良き時代にタイムスリップいたしましょう!
July 29, 2022
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女優の島田陽子さんが亡くなりましたなあ。 私とは十歳違いのお姉さんですが、私よりも私の姉がファンだったかな。私の姉からすれば、ちょっと年上のお姉さんくらいの感じだったのではないかと。 私なんかが子供の頃、既によほどの大人だった女優さんたち、例えば森光子さんとか京塚昌子さんとか山岡久乃さんとかが亡くなったというのだったら、まだ、そうかな、そうだろうな、と思うけれど、子どもの頃に「ちょっと上のお姉さん」くらいの女優さんが亡くなるとなると、やっぱりちょっとねえ。えー、っと思いますよね。 つまり、次は我々の世代かな、というね。そういう感じがしてくる。明日は我が身というか。 そういうこともあってか、最近、子どもの頃に見たテレビドラマとか、そういうのをもう一度じっくり見たいという願望が私の中に生まれておりましてね。 例えば『ララミー牧場』とか『拳銃無宿』とか、そういうの。『わんぱくフリッパー』とか『コンバット!』とか。あるいは『ヒチコック劇場』とか『スパイ大作戦』とか。 よく新聞の広告とかであるじゃん、「豪華DVDボックスセット」みたいな奴。ああいうの、買っちゃおうかなっていう。 結局、あれなんだろうね、自分もあとどのくらい生きられるか、いずれにしてもそんなに長くはないなと思うと、自分が生きてきた時代ってのは楽しかったんだ、いい時代だったんだ、というのを確認したい気持ちが出てくるっていうか。 いや、別に悲観的になっているわけではないんだけど、なんとなくね。そんな気分。 ま、私は、魂不滅論者だからね。死んでも生まれ変わるだけだから、来世を楽しみにしているので、明日は我が身でも別にいいんだけど。 でも、生きているうちは百パーセント楽しみたい方なので、頑張って仕事して自己実現します。島田陽子さんに合掌。
July 28, 2022
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『エクストリーム・ジョブ』を観て以来、韓国映画って面白いなと思うようになった私ですが、今日は『モガディッシュ』という映画を観てきました。 以下、ネタバレ注意ですが、この映画は1990年のアフリカ・ソマリアでの話で、当地には北朝鮮と韓国、それぞれ大使館があった。当時韓国は国連への参加を望んでおり、国連での一大勢力であるアフリカを味方につけたいと外交努力をしていたと。一方、事情は北朝鮮も同じで、しかし両国はライバル関係にありますから、韓国の外交努力に対して北朝鮮が邪魔をするというようなことが頻繁に行われていた。 そんな時、ソマリア内戦が勃発。反乱軍の勢いはすさまじく、どこの国の大使館もいつ襲われるか分からない状態。しかも、韓国政府はこの事態を把握していないようで救援機も来そうにない。そうこうしている内に、大使館を反乱軍に取られた北朝鮮大使館の一行が、韓国大使館に逃げてくるという事態に。人道的配慮で大使館内にかくまいはしたものの、そのこと自体、韓国政府に知られたらまずい。 かくして、動乱のソマリアで呉越同舟状態になってしまった韓国と北朝鮮の大使館スタッフ、いがみあってばかりですが、互いに協力しないととても脱出はおぼつかない。さてさて、両者はこの危機的状況をどう逃れるのか・・・ ・・・っていうお話し。 多分、実話に基づいた話なのでしょうが、反乱軍のハイテンションな暴動の映像が実にリアルで、マジやばい状況に観客も思わず手に汗握るというか。なかなか迫力のある映画でした。特に韓国大使の俳優が、予想外の状況をぼやきながらも、(北朝鮮の連中も含め)全員の脱出のために奮闘する様を巧みに演じていて素晴らしかった。 ということで、観て損のない映画でしたね。面白かったっす。これこれ! ↓『モガディッシュ』
July 27, 2022
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うちの科(と言っても、今は存在しない)では、卒業生に向けて毎年「会報」を出すのですが、今日はその会報の作成をしておりました。 昔は、同僚に手伝ってもらったり、大学院生に手伝ってもらったりしたものですが、今や同僚も一人も残っておらず、科に所属する院生もいなくなってしまったので、すべての作業を一人でやらなくてはならない。 まず卒業生の何人かに原稿を依頼し、原稿が届いたらそれを編集し、印刷し、丁合し、畳んで封筒に入れ、封筒に封をして、宛名シールを貼り、差出人シールを貼り、料金別納のハンコを押し・・・ってな作業を延々と一人で、しかも全部自腹でやるという。まあ、好きじゃなきゃできないよね。 でもね、卒業生たちから来るお便りを見ると、やっぱ、懐かしいのよ。一番最初の学生なんて、卒業して30年経っているわけだから。彼らだって50代半ばだ。そういう教え子たちの顔を思い出すと、彼ら/彼女らがこの会報を楽しみにしていてくれるんだよな、という気がして。 まあ、大変だけど、後数年、私がまだ現役の内は、会報も続けないとね。
July 26, 2022
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うるさい。蝉。 うちのマンション、朝方、蝉がうるさくて! 蝉ってこんなうるさかったっけ? シャワシャワシャワシャワ鳴きやがって。あんまりうるさいもんだから、起きちゃうんだよね・・・。 私だって日本人だから蝉には慣れているけれど、名古屋の蝉は超うるさい。 で、つい調べてしまったのだけど、うるさい蝉の正体は「クマゼミ」だと判明。クマゼミって、朝6時から鳴き出すそうですが、道理で朝からうるさいわけだ・・・。 私の子供の頃、東京にクマゼミなんかいなかったですよ。朝6時から蝉の声で起こされるなんてことなかったもん。東京の蝉はアブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ(カナカナ)くらいで、クマゼミなんて聞いたことなかったもんね。 蝉なんて、日本のどこでも同じだろうと思っていたけど、違うんだね。 どうせ鳴くなら、ミンミンゼミに鳴いてもらいたい。あれは、いかにも「夏」という感じがするからいい。あと、夕方に聞くヒグラシもいい。 アブラゼミは情緒がないけど、昼間だからまだ許そう。しかし、朝6時から鳴くクマゼミは許せん。クマゼミのおかげで寝不足じゃ~!
July 25, 2022
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三十代くらいまでは熱狂的な相撲ファンであった私も、朝青龍以来、大相撲がモンゴル大相撲になったのを機にすっぱりとファンをやめ、以前はあれほど楽しみにしていたテレビ観戦もまったく興味を失ってしまった。 という事で、今や誰が大関なのか、大関は何人居るのかすら知らない有様ですが、先程たまたまテレビをつけたところ、名古屋場所の表彰式をやっていて、逸ノ城が優勝したことを知りました。 で、二度目の優勝かと思ったら、初優勝なんですってね。それはビックリ。 逸ノ城が登場したばかりの頃、確か今から7、8年ほど前のことだったと思いますが、幕内に入ってきた途端に優勝争いに絡んだことがあって、またその相撲の取り口があまりにも堂に入った横綱相撲だったので、あー、すごいのが入って来た、またしばらくはモンゴル時代が続くのかと、絶望したことがありました。 で、その時、優勝したのかと思っていたのですが、どうもそうじゃなかったみたいですな。準優勝くらいだったのかな? そう考えると、新入幕の頃からあれほどの相撲をとった人にしては、随分遅い初優勝だったことになる。どんな分野にも早咲きと遅咲きがあるけれど、逸ノ城は超早咲きの気配を示しながら、実は遅咲きでしたね。 でも、遅咲きだろうと何だろうと、優勝するのはすごい。逸ノ城のために、おめでとうと言っておきましょう。 さて、今日のワタクシは原稿書き。今日は案外捗って、なかなかいい調子。 で、たまたま「ニューソート」という思想について執筆していたので、ふと、ウィキペディアではどんな記述がなされているのかしら?と思って調べてみたところ、驚いたことに、ウィキペディアの「ニューソート」の項目には、私自身の論文が引用されていたのでした。へーえ、そうなんだ。 もうあれだね、今、自己啓発本関連のウィキペディアの項目は、私の研究抜きには成立しないって感じだね。 その意味では、私も逸ノ城同様、遅咲きながら、なかなかいい線行っているんじゃないの? なんて言って見たりして。 とにかく、自分の研究がウィキペディアに引用されて悪い気はしない。今日はもう少し頑張って、本を書き進めちゃおうかな。
July 24, 2022
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中野信子さんの『脳はどこまでコントロールできるか』という本を読んでみました。 何で読んだかと申しますと、ちょっと今やっている研究と被るところがあったから。この本の中で「エミール・クーエの法則」について中野さんが云々している箇所がある、という話を聞いたもので、どういう風に言及しているのか、知りたかったんです。と言うのも、私も自分の本の中でエミール・クーエについて言及するのでね。 で、私よりも詳しく触れておられたらどうしようと危惧したのですけど、実際に読んでみたら、それほど詳しく触れているわけでもなく、エミール・クーエがどういう人であるかといったことにも全然言及がなかったので、これは心配ないなと思った次第。 ついでに、同じく中野さんが書かれた『「脳科学」からみた祈り』という本も読んでみたのですが、これまた、「祈り」というのは、自己啓発思想の中でも重要な一側面なので、それについて脳科学者の立場からどのように言及されているのか、知りたかったから。 でも、まあ、これについても、私を脅かすようなことは少しも書いてなかったので、ほっと一安心。 で、私にとって無害な本であったこの二書、内容的には面白いもので、生きている人間の様々な反応の多くは、脳科学的に説明できるもので、それは逆に言えば、脳科学的知見を使えば、望ましい反応を伸ばし、望ましくない反応を抑えることが出来るということでもある、ってなことが書いてある。ある意味、脳科学的見地からの自己啓発本ですな。例えば、利他的な行動がどうしてハッピーな感覚をもたらすのか、なんていうことも脳科学的に解明されちゃう。 自己啓発本だから、売れるのよね。実際、両書とも増刷を繰り返しているようだし。これこれ! ↓【中古】 脳はどこまでコントロールできるか? ベスト新書447/中野信子(著者) 【中古】afb脳科学からみた「祈り」 [ 中野信子 ] だけど。 なんつーのかな。読んでいて、面白くはあるのだけど、ちょっとこう、馬鹿にされているような気がするのよ。 結局、この種の本っていうのは、「頭いい人が頭良くない人に教えてあげるというスタンス」の本になるから、どうしてもそうなる傾向にあるんだけど、中野さん的にそういう風に見えないように工夫しようとしている意図が丸見えなので、「私はちゃんと素人にも分かるように書いてますよー」っていう感じが読者に伝わってしまって、まるで幼稚園児扱いされているような印象につながってしまうというか。 ま、頭がいいということと、いい文章を書けるということは、別物だっていうことですな。
July 23, 2022
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なんか知らないけど、夏バテでございます。若い頃は夏バテなんてしたことなくて、言葉の意味が分からなかったのですが、この二、三年、ちょうど今頃の時期にバテるようになり、こういうことか、と。 というわけで、なんか原稿と格闘する気にならず、今日は一日、本を読んでばかりいました。 で、昨日読み始めた永田和宏さんの『あの胸が岬のように遠かった』を読み切ってしまった。 私は同じ著者の『歌に私は泣くだらう』(講談社エッセイ賞受賞)は読んでないのですが、今回読んだ本も、永田さんの奥様だった歌人の河野裕子さんをめぐる思い出の記ですね。 で、河野裕子さんには、実は永田さんの他にもう一人好きな人がいて、この『胸岬』は、そうした泥沼の三角関係を描いた本だ、という話を聞いていたので、そうなのかと思って読み始めたんですけど、全然違った。 だって、「もう一人好きな人がいた」っていうのは、河野さんと永田さんが本格的に付き合うようになる直前の話じゃん。河野さんが、学生時代に、たまたま同時期に二人、気になる男性がいて、どっちと付き合うか決めかねた時期がちょっとある、って言うだけの話。そういうの、三角関係っていうの? 軽く二股かけただけだよ。そんなこと、よくある話で。結局、河野さんは永田さんを選んだわけだから、永田さんからすれば、「勝った~」っていう話なわけで、それはさあ、単なるおのろけ話でしょ。 ま、実際、この本はおのろけ話のオンパレードよ。だけど、そのおのろけ話が面白くないかっていうと、すごく面白い。お互い好きなんだから、好き好き~でそれでいいじゃんと思うのだけど、やっぱり恋愛の当事者ってのは、そういうものではなくて、くっついたり、離れたり、離れられなくなったり、ちょっと嫌になったり、そういうのを何年か繰り返すっていう。その辺の恋人同士の心の綾は、とってもよく描かれていて、何だか昭和のメロドラマみたい。ワンクール48回の長丁場の恋愛テレビドラマみたい。さっさとくっつけよ、っていう。 なにせ河野さんも永田さんも歌人だから、そういうお互いの心模様を歌にしちゃったりして、とっても文学的なのよ! だって、「あの胸が岬のように遠かった」ですもの! というわけで、とっても良質な恋愛ドラマで、もう、御馳走様でしたっていうね。 それにしても、本書の中でお二人の濡れ場が二回ほど描かれるんだけど、どちらも屋外なの。特に二回目の、初めてお二人が肉体的に結ばれるシーンが、森の中、落ち葉の上でっていう。 いくら昭和でも、マジ?って思う。昭和の恋人たちって、そういう感じだっけ? お外で?? そういうのも含め、逆に新鮮な恋愛小説みたいでした。これこれ! ↓あの胸が岬のように遠かった 河野裕子との青春 [ 永田 和宏 ]
July 22, 2022
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今日は久しぶりに大教室での対面授業、相手は大学1年生140人、というのをやってきました。 これ、オムニバス授業なので、15回の授業、一回ずつ違う先生が担当する、という趣向。私はその14番手で登壇した次第。 で、授業の内容は「アメリカの学校制度」というものだったのですが、これだけの大人数授業が、コロナ以降、久しぶりだったもので、ちょっと気合が入りましたね。 で、一通り講義した後、簡単な試験をして終わったのですが、受講生は結構熱の入った答案を書いてくれて。しかも、何人もの学生が、答案を提出しがてら、「今日の授業は本当に面白かったです!」などと可愛いことを言ってくれたりして。 まあ、そうだろうねえ。学会発表もそうだけど、授業を演じさせたら、私の右に出るものはそうはいないでしょうし。 というわけで、授業で腕が鳴ったのは久しぶり。なかなかいい気分でした。コロナ罹患者が増えていたので、直前までオンデマンドに切り替えようか悩んだのですけど、やっぱり対面でやって良かった! さて、そんな気分のいい午後、ちょいと必要があって、永田和宏さんの『あの胸が岬のように遠かった』という本をパラパラ読んでいたのですが、さすが評判の本だけだって、なかなか面白い。まだ冒頭のところで、肝心の河野裕子さんと出会ってもいない頃の話なのですが、それでも読ませる。 ということで、今週末の仕事以外(実は仕事のうちなのだけど)の読書の楽しみが増えました。ひょっとしたら、後日、感想を書くかも、です。これこれ! ↓あの胸が岬のように遠かった 河野裕子との青春 [ 永田 和宏 ]
July 21, 2022
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将棋に特に詳しいわけでもないのですが、藤井聡太竜王の動向っていうのは何故か気になって、タイトル戦が行われる度に、つい YouTube で解説動画を見てしまうという。 で、そういうのを見ていると、いかに藤井さんっていうのが凄いかというのがよく分かる。分からないなりに分かる。 解説しているプロの棋士たちが想像もつかなかったような手をバンバン出すのよ、藤井さんって。何百年という将棋の歴史で、誰もやったことのない手、むしろ悪手と思われていたような手を新構想の中で使って、それで勝つ。一体、どれだけの研究し、その中でどれだけの独創を発揮しているのか。これが二十歳になったばかりの青年とはとても思えない。 そういう「神の手」「鬼の手」みたいなのを、一年に何回か出すだけでもすごいのに、藤井さんの場合はほぼ毎試合(将棋の対戦のことを「試合」って言うかどうか知らないけど)出すからね。 もっとも、そんな藤井さんですら、たまには負ける、というところがまた、将棋の奥深さでもあるのだろうけれども。 私も、アメリカ文学の研究者として、他の研究者が思いもつかなかったような研究をすることを心掛けているつもりではありますが、その意味でも藤井さんは私にとってヒーローですなあ・・・。 明日は、今日から始まった豊島さんとの対戦に結論が出ます。今のところ、わずかながら藤井竜王優位(豊島さん相手、しかも後手番で優位と言うのはスゴイ)のようですので、明日、また私にとってはいい知らせが入って来るのではないかと期待しましょうかね。
July 20, 2022
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このところコロナ第7波到来が言われていますけど、大学に居てもそれを実感します。だって、「学生の〇〇が陽性になりました」だの「濃厚接触者になりました」といった連絡がひっきりなしに入って来るようになりましたのでね。 タイミングとしては最悪。だって、これからうちの大学では期末試験だよ! 試験やって、終わって、ホッとしたところで、五月雨式に「コロナで休みました。代替措置お願いします」と泣き付いて来る学生が押し寄せるに決まってるじゃん。そんなのどうすんのよ。もう既にそういうのが何件か来ているし。 でまた、対面で試験やると、狭い教室に詰め込まれた学生と一定時間、一緒に過ごすわけでしょ。それもまた怖い! 机間巡視とか、したくなーい! まいるなあ。いつまで続くのかね、この状況?
July 19, 2022
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なんだか毎日追悼しているようですが、今日は二代目横綱若乃花逝去の報が入ってきました。享年69。 若乃花は、相撲界で言う「花のニッパチ」世代。つまり北の湖と同世代ということになります。この年に生まれた力士は、角界で活躍した人が多かった。 往年の相撲ファンたる私の印象からすると、若乃花の全盛期というのは、案外、大関時代以前、すなわちまだ彼が「若三杉」を名乗っていた頃のことだったのではないかと。 若三杉だった頃の若乃花は、何か本当にフレッシュな感じがして、いい力士でした。体型もそっぷ型とあんこ型のちょうど中間のバランスのとれた体型で、背も高かった。しかも身体が柔らかく、後の時代の力士でいうと、ちょうど旭富士のような感じと言いましょうか。 で、相撲の型としては左四つ。この時代の横綱は輪島にしても北の湖にしてもみんな左四つですから、横綱・大関の対戦となると、立ち合いいきなり四つに組んでの力相撲になることが多かった。まさに相撲の醍醐味。 左四つですから、決め技としては右上手投げということになりますが、若三杉の場合は特に上手投げが強いという感じでもなく、なんとなくわちゃわちゃやっている内に勝つ、という印象が強かった。負けない相撲と言いますかね。 そういうこともあって、若三杉時代までは「若くて、成長株のいい力士だなあ」と思っていたものの、横綱になって若乃花を名乗るようになってからは、今一つ、パッとしないというところはありました。病気持ちで、案外早く引退してしまったということもあって、横綱としては平凡な成績しか残せなかったのではなかったかと。 引退前後には女性問題あり、またその後、脳内出血でクルマ椅子生活を強いられたり、弟子が不祥事を起こしたり、貴乃花問題をめぐって一門を破門されたりと、散々なものに。あまり幸せな親方生活は送れなかった。そしてこの度、69歳の若さで亡くなったとなると、本当に気の毒な感じがします。 まあ、一般的に言って、力士時代も幸せ、引退後も幸せで長寿を全うしたっていう人は、角界には少ないかな・・・。短い現役時代、無理をして太るなど、身体に悪いことをするからかしら。 ま、そんな気の毒な若乃花ですけれども、浮世の軛を離れた今、あの世でもう一度、若三杉時代のような、屈託のない笑顔に戻られたことを祈らざるを得ません。古い相撲ファンとして、二代目若乃花のご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。
July 18, 2022
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自動車評論家の三本和彦さんが亡くなられました。享年90。 三本さんと言えば、神奈川のtvkで長年放送していた『新車情報』。クルマ好きとして人後に落ちない私も、学生時代からずっと見ておりました。自動車の新型を紹介するテレビ番組と言えば、当時『新車情報』(後継番組『クルマで行こう!』)と『カーグラTV』の二種類しかなかったですしね。今も基本、そうだけど。 とはいえ、『カーグラTV』と『新車情報』では大分趣が異なる。『カーグラ』の方は御大・小林彰太郎氏の趣味で統一されていたので、番組の構成はいつもスタイリッシュ。扱うクルマも外国製の高級車とか趣味性の高いクルマ、そしてその紹介の仕方も科学的な計測法に基づいていて、0ー400メートル何秒とか、時速100キロ到達まで何秒とか、100キロからのフルブレーキングで何メートルで止まれるかとか、そういう感じだった。 ところが対する『新車情報』はどうかと言えば、「シートに座った時、頭の上にこぶしがいくつ入るか」とか、「地べたからシートまでの高さやトランクの広さを『不躾棒』で計るとどのくらいか」とか、そういう感じでしたからね。科学的な数値というよりは、人間の身体感覚を基準にクルマを「測定」していた。 また『カーグラ』は、クルマの性能計測をするのに「JARI」のテストコースとかに持ち込むのだけど、『新車情報』の場合は、「いつもの山坂道に持って参りました」だからね。「いつもの山坂道」って・・・。でも、普通の人間がクルマで走るのは、JARIのコースではなく、いつもの山坂道に決まっているんだから、その意味でも三本さんはあくまでも人間の、それも庶民の、感覚でクルマを計っていたと言えるでありましょう。 でまた『新車情報』の魅力は、新車を持ち込んだメーカーの担当者に対し、三本さんが「ここがダメだ」とか、「あそこがダメだ」とか、忖度なく「不躾」に注文を付けるところ。決して大メーカーへのお追従番組にはしないところが画期的だった。 庶民にとってクルマは高い買い物。そして当時の庶民にとってクルマは「夢」の買物。だから、絶対に「買って後悔した」ということにしてはいけない。そういう思いが、三本和彦氏の辛口で不躾な自動車評論の根底にはありました。 今、クルマのニューモデルの紹介は、テレビ番組よりもむしろ YouTube などの動画の方が盛んで、そういうところで「モータージャーナリスト」を自称する人たちが色々やってはおりますが、彼らがクルマを評する時、基準となるのは当該のモータージャーナリスト個人の評価軸だからね。職業柄、年がら年中、国内外の新車(高級車を含む)にチョイノリ試乗している、その経験を基に「これ、欲しい!」とか、そういう感じ。 ま、私もそういう動画を観ますし、それはそれで楽しいのだけれど、彼らが新車を紹介するのと、三本和彦が『新車情報』において新車を紹介するのでは、スタンスが全然違う。三本さんは「社会正義」のためにそれをやっていたけれど、今のモータージャーナリストにそういう感覚はないでしょう。時代が違うと言われれば、その通りなのだけれども。 だけど、私くらいの年代のクルマ好きからすると、やっぱり往年の三本和彦氏の自動車評論は信頼できるものでありました。 実際、私にしたって、三本さんのクルマ評が今でも頭に残っているもんね。例えば「いすゞのエンジンはぶん回しに強い」とか三本さんが言うのを聞いて私はジェミニを買い、「ホンダのびっくり箱」という名言を聞いて「5気筒エンジン縦置きのFF」というびっくり箱(意味不明とも言う)のビガーを買ったものでした。もちろん、買った理由はそれだけではないけどね。 あと、「クルマのボディーは泥だらけだっていいけど、四方の窓ガラスだけはいつもきれいにしておいた方がいい。運転では視界の確保が最重要だから。なに、クルマの中にボロ雑巾一枚入れておきゃいいんですよ」なんてことも、三本さん、よく言ってたなあ。 まあ、とにかく、往年のクルマ好きからすると、三本和彦氏の御面相、あの鬼瓦みたいなぶっとい眉毛の、いかにも「不躾」な、いかにも一家言ありげな、御面相が懐かしい。 自動車評論の在り方として一つの型を作り上げた、一本筋の通った自動車評論家、三本和彦氏のご冥福をお祈りいたします。合掌。三本和彦、ニッポンの自動車を叱る 大辛口ジャーナリストの自動車業界救済処方箋 [ 三本和彦 ]
July 17, 2022
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夏に、何か山に関係する本を一冊読む。これが私の読書習慣の一つなのですが、今年は何を読もうかと迷った挙句、数年前に買ったまま放置してあった加藤周一氏の『高原好日』を読むことにしました。これは、加藤周一氏が夏を軽井沢で過ごす間、その高原の避暑地で共に過ごした友人たちとの交流の一幕を綴ったエッセイで、私自身、軽井沢に土地鑑があることもあって、面白いかなと。 ちなみに、私は加藤周一という人がイマイチ分からなくてですね。名著と言われる自伝『羊の歌』も、何度かトライしたものの、いつも最初の方で挫折するという。ハンサムなお顔でこちらを睨みつける、そんないつも変わらぬ加藤周一の宣材写真に睨まれる度に、なんかこう、自分とは関わりのない人だな、という印象を受け、その印象を乗り越えたことがないっていうね。 で、その『高原好日』なんですが、一編は3~4頁程度の短い文章から成っていて、加藤さんが軽井沢で出会った文化人たちとの交流が寸評的に描かれていて、面白いか面白くないかでいうと、面白いようなところもあり、そうでもないところもあるという。 いや、面白いのよ。沢山の個性的な人達のことを書いていて、その人達は個性的なんだから、面白くないわけがない。なんだけど、加藤周一の書きぶりが、今一つ面白くない。 せっかく面白い人達のことを書くのだから、その面白い人達を主にすればいいじゃない、と思うのだけど、加藤周一って、そういう書き方をしないのね。どっからどこまでも、「加藤周一が書く」というスタンスを変えない。常に加藤周一が主で、加藤周一のフィルターを通してしか、その人達を描かないわけ。だから出てくる人出てくる人、みーんな加藤周一みたいな感じで出てくる。ハンサムな顔してこちらを睨んでくる。 例えば、片山敏彦を語った章にしても、加藤周一が戦争協力した詩人として尾崎喜八をなじった時、長年の友人だった片山は尾崎を庇いつつ一言も反論しなかった、一方加藤周一が人道主義者のシュヴァイツァーをなじった時は、烈火のごとく怒った、と書いて、片山の優しい人となりを描くのよ。 加藤はそう書くことで片山を讃えたつもりなんだろうけど、ワタクシはそういう加藤の書き方が嫌。だって、加藤自身が尾崎をなじり、シュヴァイツァーをなじったことは正しい、という絶対不動の前提がまずあって、それにも拘らず片山が彼らを庇ったところに片山の優しさを見ているわけでしょ。え、加藤周一って何様なの?って思うじゃない。 こういうところよ。私が加藤の文章を「読めない」と思うのは。まあ、私は尾崎喜八が好きだし、シュヴァイツァーが好きだっていうところもあるけれど。 ほんと、何様なんだろうね、加藤周一。いつも偉そうな顔をして読者を睨みつけているけどさ。 というわけで、何か腹立つなあ、と思いながら、この本を読んでいるのでした。まだ途中だけどね。 それにしても、どうして加藤周一は、これほど多くの文化人と知り合いなんだろう? なんだかこの本を読んでいると、夏の軽井沢では、犬も歩けば棒に当たる式に著名文化人と出くわすようだけど、一体どうなっているの? 昔の文化人は全員顔見知りなの? 今でもそうなの? 私が誰一人文化人を知らないのは、私が文化人じゃないから? 文化人になると、文化人サークルに入れて貰えて、全員と知り合えるの? そういう意味でも、よく分からない本だわ~。これこれ! ↓【中古】高原好日 20世紀の思い出から /筑摩書房/加藤周一(文庫)
July 16, 2022
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ツイッター経由で発見したのですが、村井理子という人のネット上の連載「村井さんちの生活」というのはなかなか面白いですな。これこれ! ↓村井さんちの生活 これ、新潮社の「考える人」の連載なのかな? よくわからないけど、とにかく、要介護の義父・義母とのやり取りがユーモラスに(しかし、当事者としてはユーモラスどころではない大変さだけど)書かれていて、これ、同じような立場の人が読んだら、激しく同意することばっかりじゃない? うちの母もそういう部分があるのですが、ネガティブな要介護老人って、非常に面倒臭いんだよね! その辺の面倒臭さが、まあ、よく書けている。 村井理子という人のことは寡聞にして知らなかったけれど、翻訳者でもあり、エッセイストでもある、という感じの人らしい。今後、ちょっと注目しておかなければ。本を読んだら散歩に行こう [ 村井 理子 ]村井さんちの生活 [ 村井 理子 ]
July 15, 2022
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またまた嬉しくも悩ましいお話しが舞い込んで参りました。 某大手出版社から、本を出さないかとのお誘いで、非常にありがたい話なのですが、現在のところ既に3社ほどと話を勧めており、さすがに今の時点では無理かなと。 でも、無礙に断るには惜しい話ではある。院生の頃に、この出版社から自分が本が出せるとか想像したことすらなかったもんね・・・。 ううむ・・・。どうしたものか。
July 15, 2022
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うちの科では、毎年この時期、卒業生に向けて「ニューズレター」を発行・送付するならわしがありまして。私が赴任して以来のことですから、今年で「第29号」になるのかな? で、そのニューズレターには、卒業生に向けて大学の近況を知らせるという使命があるのですが、それと同時に、卒業生の近況を知らせてもらって、それをニューズレターに掲載するという使命もある。これによって同窓生同士のつながりを確認するわけね。 そういうことがあるものだから、ちょっと前に何人かの卒業生をランダムに選んでニューズレターに掲載するための原稿を慫慂しておいたのだけれど、そろそろ締め切りが近いということもあって、このところその返信が次々と舞い込み始めた次第。 ま、それはいいのですが、今日受け取った初期の卒業生(女子)からのメールがちょっと面白かった。 その卒業生は私の一番最初のゼミ生の一人なんですけど、メールの中でその卒業生は私に対して「殿下」って呼びかけているの、「先生」ではなくて。 殿下! ひゃー! 懐かしい! そうなのよ、私は赴任当時、ゼミ生たちから「殿下」って呼ばれていたのでした。 赴任前、「今度の新任の先生は、東京から来る若くてお金持ちのボンボンらしい」という噂が出ていたようで、それにプラスして私がプリンスの大ファンだったことから、赴任して早々「殿下」というあだ名がついたと、まあ、そういうわけ。 その殿下も今は寄る年波には勝てず、だいぶ劣化してしょぼくれておりますけれども、久しぶりに昔の教え子から「殿下」と呼びかけられて、なんだかくすぐったいような、懐かしいような。 でも、そう呼ばれると、心なしか若返るね! 殿下か・・・。 よーし、そう呼ばれた以上は、私も背筋を伸ばし、すこしはしゃっきりして、殿下時代の心持を取り戻そうかな! 若々しく!!
July 13, 2022
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アメリカ文化系の授業で今週・来週と学生に『アメリカン・ビューティー』を見せているのですが、久々に見たら、やっぱり面白かった。さすがアカデミー賞5部門受賞の傑作。 でも、久々に見返して思ったのだけど、案外地味な映画だなと。なんか、スケール的には映画というよりテレビドラマのような感じで。 この頃はケビン・スペイシーも絶好調だったねえ・・・。今はもう見る影もないけど。もったいないというのか、自業自得というのか。 ちなみに、何でこの映画を見せているかというと、この映画がヘミングウェイの「フランシス・マコーマーの短く幸福な生涯」の翻案だと思うから。 で、ヘミングウェイの作品を読ませた後で、この映画を見せているのだけど、やっぱり学生もそれが分かるようで、なるほど確かにこの短篇の映画化だと感想を述べておりました。最後まで見たら、もっとそう思うんじゃないかと思うのですが。 ま、学生の反応が良かったので、この映画見せた甲斐があったかな。これを機に、学生たちがアメリカ映画に興味を持ってくれるとさらにいいのですけどね。
July 12, 2022
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安倍さんが凶弾に倒れてから、何となく気になって、過去の国会答弁とかの動画をチラチラ見てみたのですが、見るとね、これがまあ、驚くことばかり。 驚くというのは、野党の党首クラスの対安倍質疑のレベルの低さね。もう、あまりにもレベルが低い。これが良識の府における質疑かっていう位、本当にレベルが低いのよ。レベルが低いのに、妙に感情的でね。 で、質問があまりにも勉強不足かつ低レベルなので、安倍さんは余裕で、半ば薄笑いで、全部完膚なきまでに論破しちゃうの。 実際には論破というほどのものでもない。だって、野党の党首が、週刊誌の記事か何かを根拠にして、「どうなんですかっ!」とか質問するんだけど、安倍さんに「根拠はその週刊誌の噂ですか? 自分で根拠を調べなかったんですか? そんな噂程度のことに答える義務を感じません」で終わっちゃうんだもん。 まあ、安倍さんと野党党首の論戦って、幼稚園の先生が幼稚園児をあしらうような感じよ。情けないわ~。中でもひどかったのは、社民党のY田さんとか、旧民進党のO田さんとか。もちろん、その他の人たちも同レベルですが。 で、あまりにもレベルが低いので、安倍さんにやすやすと、赤子の手をひねるようにやり込められちゃうし、客観的に言えば、そりゃそうなるだろうって感じなんだけど、それでも、あれ、やり込められた側からすると、「理不尽にやり込められた」って思うだろうなと。自分たちのレベルの低さは棚に上げて、「安倍、許すまじ」って思うだろうなと。 で、安倍さんの方はと言えば、野党があまりにもレベルが低くて、好きなようにあしらえるものだから、相当な自信を持っただろうなと。つまり、自分は好き勝手に何でもできる、なぜなら敵は馬鹿ばかりだからと。 つまり、安倍さんの方は「敵は馬鹿ばかりだから、自分はやりたい放題に何でもできる」とおごり、彼の反対者は「くっそ~、安倍の奴め~!」と憎しみを募らせる。これが、安倍長期政権の作り上げた状況だったのではないかと。 だからあの凶弾というのは、広い広い視野から見ると、実はこの状況を遠因にしたものだったんじゃないかなと。非常に理不尽かつ不幸なことではありますが。 その点で言えば、岸さんは大丈夫だな。何もしないので、恨みも買わない。「検討します」って言うだけだから。 でも、その場合、不幸なのは国民なんだけどね!
July 11, 2022
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観たい観たいと思っていた『トップガン マーヴェリック』をようやく観てきました。 ちゃんと前作を見て予習をしてから行ったのが功を奏して、そうでない場合よりもはるかに楽しめました。 ま、内容からすると、前作よりむしろいいんじゃない? もちろん、娯楽映画の域は出てないですよ。ご都合主義的な部分も多分にあるし。でも『トップガン』ってそういうものだから。 それに、声を失ったかつてのライヴァル、アイスマン(ヴァル・キルマー)と対話をするシーンとか、なかなか泣かせる部分もありましたしね。実際にヴァル・キルマーが咽頭がんで声を失っているということも併せて、ちょっと感動的でした。 それにしても、トム・クルーズは元気だ! わしとほぼ同い年とは思えん。この年でスタントなしでアレを撮るんだからな・・・。大したものですわ。 映画館を埋めた私とほぼ同世代の観客の群れと共に、何だか青春を取り戻したような気になった今日のワタクシなのでありました、とさ。
July 10, 2022
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昨日の今日で、まだ元首相銃撃・死去の衝撃と重い気分が残る中、今日は県内某所に講演に行ってきました。講演内容は「自著を語る」というもので、昨年秋に出した本について、その出版経緯やら、内容についての思いやらを二時間弱に亘ってしゃべってきた次第。 私の本というのは、まあ、恩師のエッセイを編纂したものなのですが、内容がマニアックなので、そんなに多くの人に読まれるものではなかろうと思っているものの、今日、私の講演を聞きに来てくださった方の中には、実際にそれを読んで感動した、と言って下さる方もいて、本を出した側としてはまったく嬉しい限り。 また、地元の大手FM局の偉い方が私の拙い講演を聞いていてくださって、しかも同じ大学の先輩であることも分かり、この方とお知り合いになれたことも大収穫。今度また面白い本を書いたら、是非、FMで取り上げてください!ってお願いしてきちゃった! ということで、結構、手応えのある講演となったのでした。 今年度は4月・6月・7月と、前半だけで3回の講演をこなしましたが、それも今日でおしまい。ロード終了。ほっとしました。 とはいえ、ホッとする間もなく、8月は今度は例の文芸時評を書く月なので、また地獄の文芸雑誌5冊を大急ぎで斜め読みしなければならない。8月は月の半分が忙殺のうちに過ぎゆく予定。これがまたキツイのよ。 ということで、これから8月まではしばらく、束の間の休息と洒落ることにしましょうかね・・・。
July 9, 2022
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今日は自宅研修中で、自宅に居たのですが、午前中、一仕事終わってふとネット・ニュースを見て仰天、慌ててテレビをつけて詳細を知った次第。その時はまだ容体は不明ということでしたが、心肺停止との報道もあり、これは駄目かなと。 モリカケ問題をはじめ、その政治手法に対して個人的にはあまり共感できない人でしたが、まさかこういう形で死なれるとは・・・。気の毒としか言いようがない。ご冥福をお祈りします。 それにしても、これから問われるのは元首相クラスの政治家の警備態勢の在り方でしょうなあ。 犯人は二発撃っていて、一発目は当たっていないのに、安倍さんビックリしたように棒立ちだったものなあ。普通は、一発目の後、すぐにSPが安倍さんを押し倒して上から庇うものでしょう。それを、二発目までも至近距離からのうのうと撃たせるなんて、何やってんだって話ですよね。 そもそも要人警護は「誰かが襲ってくる」ことを前提にやるべきなのに、明らかに「誰も襲ってこない」ことを想定して警護してたよね、今回。これではプロの仕事ではないと言われても仕方ないんじゃないの? 手製の銃で十分、要人を暗殺できると分かった今、日本においても一層、要人警護の在り方を検討しなおすべき時が来たと言えそうですな。
July 8, 2022
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今日は道場の日。今週は久々に畳のある武道場で稽古が出来たので、皆さん、気合の入った稽古をしていました。 で、親しい兄弟弟子のO先生とも久々に通し稽古が出来たのですが、その際、ちょっと面白い話を聞きまして。 O先生は某高校で英語の先生をしていらっしゃるのですが、その高校に新しく入った新任の英語の先生がたまたま私の勤務先の卒業生だったと。 で、O先生がその新任の先生に「釈迦楽先生って知ってる?」と尋ねたんですって。そしたら「知ってます、授業とりました」と。 そこでO先生、先生と私が一緒に本部道場で師範の資格を取った時の写真をその新任の先生に見せたところ、相当ビックリしていたそうで。 いやはや、世間は狭い。私の教えた学生がO先生の同僚となり、そのO先生と私は同じ道場に通う兄弟弟子なんですから。悪いことはできませんな。 ま、それだけのことなんですが、人と人のつながりって面白いなと思った次第。
July 8, 2022
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先日、ドイツ人の同僚を含め、コーヒー・ブレイクしていたんですけど、その時にビール談義になりまして。 で、ドイツ人のM教授曰く、日本の大手メーカーのビールは、旨くないこともないが、味がみんなおんなじでつまらんと。 え? えびすとかプレミアム・モルツもだめ? ダメだって。ドイツ人からすると。 で、彼は今、岩手のクラフト・ビール「ベアレン」をケース買いしているのだとか。これはドイツ人からしてもおいしいんですと。これこれ! ↓[送料無料] ベアレン醸造所 定番 3種8本 詰め合わせ ギフトBOX入り 【 ギフト 飲み比べ ビール クラフトビール 地ビール 詰め合わせ セット プレゼント 誕生日 家飲み お祝い お返し 内祝 寿 御祝 御礼 謝礼 こだわり 盛岡 人気 御中元】 ちなみに、私が決して嫌いではないバドワイザーとかハイネケン、コロナなどについての意見を聞いたところ、もうなんか、話にもならん、っていう感じだった。ドイツ人には軽すぎるのかな?? で、もう少し手に入りやすいビールで美味しいのない? と尋ねたところ、二つ紹介してくれました。 一つは「よなよなエール」、もう一つは「ハートランド」。これこれ! ↓よなよなエール 12本 クラフトビール ビール 詰め合わせ よなよなの里 ビール ご当地ビール ヤッホーブルーイング お酒 エールビール 送料無料 12缶【送料無料】【瓶ビール】キリン ハートランドビール 500ml 中瓶 瓶ビール 10本+ゴブレット2個付きセット【のし無料】 ふうむ、そうですか。 私としてはこの「ハートランド」というのは、瓶も緑色できれいだし、興味あるなあ! で、M教授に聞いたら、名古屋あたりでも酒屋さんによっては扱っているところもあるらしい。 よーし、今度、ハートランドを試してみよう! やっぱり、持つべきものはドイツ人の友達だね!
July 6, 2022
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今週末の土曜日、安城市というところで講演をすることになっているのですけど、その講演が終わった後、私のファンを10人ほど集め、茶話会をすることになりまして。 で、その時に何か話をしてくれと頼まれてしまったと。 え? 講演をした後に、また別な話をしろと? そのファンたちは、皆、英米文学とか翻訳とかに興味があるので、何か一つ、お願いします、ですと。 マジか・・・。 ううむ、仕方がない。半ば持ちネタとも言える、サリンジャーの翻訳話でもするか・・・。 サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』には、現在、野崎孝訳と村上春樹訳が同じ出版社から出ているわけですが、そのどちらがいいと思うか、それはどうしてそう思うのか、なんてことを話したら、受けるのではないかと。 まあ、もちろん、私は野崎孝の肩をもって、村上春樹の方を腐すのですけどね。 講演で疲れた後、もう一つ話をするのは疲れそうだけど、まあ、乗りかかった船だからね。何とか注文に応じますわ。
July 5, 2022
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『モガディッシュ』という映画、案外面白そうじゃない?これこれ! ↓モガディッシュ・トレイラー トレイラー見ると、なんか迫力ありそうだよね! このほか、『リコリス・ピザ』とか、面白そうな映画が上映中。 どれも観たいんだけど、とりあえず『トップガン マーヴェリック』を観ないと! あーん、時間が足りない!!
July 4, 2022
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ちょっと用があって、永田和弘さんの話題作『あの胸が岬のように遠かった』を読む必要があり、買おうかとも思ったのですが、もし図書館で借りられるならと、ちょっとカーリルで検索してみた。 カーリルというのは、日本全国の図書館のサイトね。 そしたら・・・ もうね、日本全国の図書館に所蔵されている『あの胸が岬のように遠かった』のほぼすべてが借り出されていたの。 例えば東京中の図書館の状況をご覧ください・・・これこれ! ↓東京中の図書館の『あの胸』の貸借状況 何コレ? はあ・・・。なるほど、話題の本になると、こういう状況になるのね・・・。私も自分の書いた本が、日本中の図書館ですべて借りられているような状況を、いつか味わってみたい。次に出す本のタイトルに『あの胸』っていう言葉を入れようかな。
July 3, 2022
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こう毎日暑いと、もう、嫌になりますなあ。せめて夕立でも降って、気温を下げてくれればいいのに、雨が降る気配もないもんね・・・。 で、これだけ暑いと体もバテる。いや、まだバテてないけど、バテそうな気がする。 そうなると、昭和の人間はニンニクに頼ろうとするのよね。 最近、「ニンニクの醤油漬け」というのを業スーで見つけまして、つい買っちゃった。 で、このところ、お守りのように食事の時に一粒二粒、まるで漬物ででもあるかのようにカリポリと食べているんですけど、これがね、かなり旨い。しかも、ニンニク特有の匂いというのはさほどなくて、食後、息が臭くなることもない。 まあ、気分の問題かもしれないけれども、この一粒二粒の醤油漬けニンニクが、夏バテを防いでくれるであろうと信じて、祈るような気持ちで食べているワタクシなのであります。 一方、仕事の方は、相変わらず本の原稿を書いているのだけれども、あまりはかばかしくはない。 というのも、3月から4月にかけて、調子よく書いたと思った章を読み直したところ、大いに気に入らなかったから。で、今はそこを書き直しているのだけど、この書き直し作業に結構時間が掛かっちゃって。3章分くらいを書き直しているのだけど、それをあちこち削ったり、組み合わせを変えたりして、2章分にする計画。 やっぱり、調子に乗って書いた部分というのは駄目ね。面白く書こうと思ったところが裏目に出て、全然面白くない。 喜劇の基本だけど、役者がふざけたらダメ。役者が面白いことをやるのではなく、役者は真面目にやるんだけど、それを見ている観客が面白いと思うようにさせないとダメ。 そんなの自分でもよく分かっているつもりだったんだけど、つい、面白く書こうと思っちゃったんだね。だから、今、反省して必死に書き直しているところ。 まあ、当分、原稿と取っ組み合いですな。ニンニク頼みの日々が続きそうです。
July 2, 2022
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まあ、毎日暑いですなあ。こんなに暑いと、仕事なんかしてられない・・・。 ってなわけで、何か気軽に読めるものはないかと積読棚を物色したら、松岡圭祐著『小説家になって億を稼ごう』という本が出てきた(どこかの時点で自分で買ったのでしょうけれども)ので、つい、ぱらぱらと読んでしまいました。 寡聞にして私は知りませんでしたが、この松岡圭祐という人は人気作家なんですってね。億越えの確定申告書のコピーが図に挙げられていましたから、実際に小説家になって億を稼いでいるらしい・・・。 さて、小説家になって億を稼ぐには、まず小説家になる必要があります。で、本書第一部は、いかにして小説家になるか、の指南部分なんですけど、それによるとね、まず主要な登場人物を7人、考えます。男女比は4対3。男4:女3でも、男3:女4でもいいですが、とにかく7人必要なんですと。で、その他にサブ的な役割の登場人物5人を考える。つまり、一つの小説に出てくる人物は12人ということですな。 で、主要登場人物7人の想定の仕方ですが、ネットで適当に俳優・女優の写真を持って来ればいいんですと。またそれら登場人物の名前は、それこそ電話帳あたりから適当に見繕う。そしてそれが出来たら、写真と名前をセットにした登場人物7人をプリントアウトし、部屋の壁に貼ると。 それから、小説の舞台にふさわしい場所の写真を、やはりネットから取ってきてプリントアウトし、それも合せて壁に貼る。 小説を書くのに必要な作業は、これで終了だそうです。あとは、日夜、登場人物たちや、彼ら/彼女らが暮らす土地の写真を眺めるだけ。 で、眺めている内に、勝手に頭の中に、彼ら/彼女らが動き出す。ああ、この人とこの人が付き合うんだな、とか、この人とこの人がもめるんだなとか、そういうドラマがひとりでに思い浮かんで来る。 このひとりでにドラマが浮かんで来る現象を、松岡さんは「想造」という造語で表現しております。「想造」すりゃいんだと。 で、想造が出来たら、それをプロットにまとめ、それに肉付けしていけば小説なんかすぐに書ける。後はそれをどうやって売り込むか。 というわけで本書第二部は、書き上げた小説の売り込み方とか、編集者との付き合い方、編集者と恋に落ちてしまったらどうするか、小説が文学賞を受賞した時どういうスピーチをすればいいか、税理士を雇うメリット、映画化やドラマ化への対応、等々、億越え作家の心得が色々書いてある。 そういう本。 自分の夢見る理想の生活を既に体現している芸能人とかの暮らしぶりとか別荘ライフとか、そういうのを芸能雑誌のグラビアから切り抜いて壁に貼り、日夜眺めていると、アーラ不思議、その夢の暮らしがいつの間にか手に入るようになります、っていうようなことが書いてある自己啓発本って沢山あるんだけど、その類かな? そうか、人気作家がこういうことを書いて新書にすると、1年間で6刷されるようなことになるんだ。 ということで、私の中の「理性君」は、「え、こういう本って出していいの? 法律に触れないの?」っていう感想を持ったのでありました。 一方、私の中の「夢見る夢子さん」は、早速、「想造」を試してみようと、俳優や女優の顔写真のコレクションを開始したのでした、とさ。これこれ! ↓小説家になって億を稼ごう (新潮新書) [ 松岡 圭祐 ]
July 1, 2022
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