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「お待たせしました恒例の相棒元旦スペシャル。……でも別に年末が舞台ってわけじゃなさそうだな」
「まあそれはいいけど。高村朋治という人が転落死したんだけど、その手には四ケタの数字がいくつも書かれてある紙が。もみ合いで落ちたみたいだけど、物取りかな?」
「ん……? なんか変ですね。なんか泊ってた旅館の女将さんによると、最初に通された桐の間が嫌だって、梅の間に変えたそうですよ。蔦とか藤とか橘とか、いったいなんのことでしょう?」
「通話記録にプリンセスガーデンというところへ電話したとあったが、別にどの部屋とも繋いでいないな。ん、誰だあの女」
「なんだ、神戸の知り合いか? 細野結衣子とか言うらしいが……は、高橋? 名前違うじゃないか。偽名で泊ったのか?」
「……待てよ、通話記録にあったの、こんな人が泊ってるという確認の電話じゃないのか? 偽名使ってたなら繋いだ記録がないのは当然だ。ちょっと話聞いてみるか」
「あれ? 部屋開けっぱなしだし誰もいないよ? どうなってるの?」
「あ、やばい逃げられました! わざと扉を開けておいて部屋に入れさせて、時間を稼いで逃げたんです。なんでそんな凝った真似を……いずれにしろ、何かしら裏があるのは間違いないですね」
「……え!? あの女が神戸の元カノ!? 京都の旧家出身で、父親は生化学の教授らしいが……大学時代別れてそれきりだったそうだ。携帯も実家の番号も知らないらしい。それでも元カノかよ」
「被害者の奥さんが上京してきたぞ。京都の呉服屋を経営しているそうだが、どうして東京に来ていたかは知らないそうだ。元々フラフラしてた人だったと。なにか歴史関連の集まりに入っていたそうだが……なんで千利休なんだ?」
「ほら、あの旅館の間には家紋が名前にあったじゃん。利休にちなんだ家紋ていくつもあるのよ。蔦とか藤もな。でも桐の間にあった家紋は太閤桐、利休に切腹を命じた秀吉のだよ。そしてあの神、1から始まる四ケタの数字つーと思いだすのは年号だろ? しかも1500年代は安土桃山時代、しかも最後がおあつらえ向きに1591、利休が切腹した年だよ」
「じゃ、高村さんは利休のファンだったてこと? でも、ただの年号書いてある紙をどうして犯人は奪おうとしたんだろう。……あ、刑事部長だ。なんでも、特命係の部屋二週間改修工事するからその間休暇だって」
「実質懲戒ですねえ。しかし、この二人を自由にしてどうするんですか。……紅葉狩りにでも行きますか」
「なんかたまきさんにひっかけられる形で京都で二人は捜査開始。例の元カノの父親は細野多久郎って言って優秀な生化学者で、生化学研究所ってところの所長も務めてたんだが、どうしてだが数年後研究所も大学も辞めて引っ込んだらしい。その研究所は生体組織工学研究センターと名前を変えた。その女もそこにいるのかな」
「ん、なんだ? 細野さんのこと聞くと門前払い食らったぞ。組織工学の研究所というからにはそれなりに機密もあるんだろうが、ずいぶんガードが固いな」
「仕方ない、こっちから探るか。細野教授は大学を辞めた後趣味の歴史研究に没頭していたみたいだけど、特に利休が好きで、それが興じて七哲庵というファンクラブまで作った。そこに高村も入っていたんだ。何か七哲庵にあるのかね」
「……そういえばさ、なんで細野さんと神戸さんは別れちゃったんだろうね。ほら、男女が付き合うのに理由はいらないけど、別れるのには必ず理由があるんでしょ?」
「あらあら、だったら杉下さんとたまきさんはどうして別れたんですかねえ?」
「七哲庵の連中、あの年号見せたらあからさまに動揺しやがった。何か裏があるのは間違いないな。しかし、だからと言って細野さんが嫌疑から外れたわけじゃない。裏があるのは一緒みたいだからな……」
「亡くなった細野教授は、歴史、特に利休について調べていた。特に調べていた五つの謎。本能寺の変による織田信長の死。どうして明智光秀は主君信長を殺したのか。そして光秀は信長の首を発見できず、しかもその後何故か安土城に戻ってしまい、どうしてだか手をこまねいて何もせず、秀吉にあっさり討たれてしまう。俗に言う『三日天下』だな。……あれ、利休がどちらの謎にも出てこないぞ」
「本能寺の変で信長が死んでから、秀吉が重用するようになったのが千利休だ。側近として政治や軍事、外交にも影響力を持っていた。どうしてそこまで重用したのか。そして最後の謎、重用していたにもかかわらず最後秀吉は切腹を命じた上に、首は晒しものにされた。なんでそんなに憎むようになったのか。どれも諸説あるが、決定的なものはない」
「ちょっ、ちょっとちょっと、その年号が書いてあったってことは、四百年前の謎が今回の事件の動機って訳ないよね?」
「それはわからんが、七哲庵に細野さんの同僚いたぞ。ちょっと話聞いてみるか」
「前川さんの話だと、細野さんは研究所でもエリート中のエリートだそうですよ。暗証番号も普通の倍の八ケタ。前川さんでもどんなことしてるかわかんないそうで。暗証番号はひょっとして、年号二つ……ってわけじゃなさそうです。でも、七哲庵の裏については何もご存じなさそう」
「……ん!? あいつ、ホテルで細野さんを逃がした男じゃないか! あ、逃げた!」
「やっぱ微妙な立場にいるんだな。直接話聞くしかなさそうだ。なんでも、ある人と会ってたらしいが、その人が誰とは言えないと。高村はあのホテルに泊ってることを知って連絡しようとしたが偽名なためダメだった。何者が守っているのか――でも、多分高村さんは殺しておるまい。でも七哲庵に関して何か隠してもいるな。ん、ひったくり犯が捕まった? でも殺人は否定しているそうだ」
「……ん、え!? 七哲庵の牧瀬妙子が殺害された!? しかも被疑者は細野さん!?」
現実VS虚構(ニッポンVSゴジラ) 2016.08.31
レビュー企画 相棒Legend12 2015.09.20
レビュー企画 相棒Legend11 2015.07.28
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