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「やっぱ七哲庵の人茶器のこと知ってたんだね。で、高村さんがそれを見つけたのでそれを追いかけた。東京でひったくりを装って奪うだけのつもりだったのに誤って殺しちゃって、それで奪った茶器を牧瀬さんに売ろうとした。よほどお金に困ってたんだろうね。でも茶器の奪い合いが始まって、殺しちゃった」
「で、罪を被せる気でメールを送って線香のトリックを使ったんだろうが、それがまずかったな。七哲庵の柴木さん? 元芸姑の方なら線香知ってて当然だし、金属で引っ掻いた跡が線香入れから見つかった。傷の形状が一致すれば犯人確実、例の盗んだ茶器が見つかればダメ押しだな」
「でも、高村さんが見つけた茶器は幻の茶器じゃなかったみたいですね。とんだ早とちりだったようです。じゃあ、本物は?」
「そういやあの年譜、おかしなとこあったな。境に流される利休が、古田織部に娘を頼むって。娘ってひょっとして、例の茶器じゃないのか?」
「え? そんなことがわざわざ書いてあるとは……じゃあ、細野教授はとっくに見つけていたのか!?」
「あれ、この金庫鍵なくて開かないんじゃ……あ、あった! これ本物かなあ……専門家に鑑定してもらわないと。とりあえず、事件解決でいいんだよね」
「いや、高村殺しは完全否認してる。牧瀬に渡した茶器も違ったし。騙すために偽物の茶器寄越したんだあの女。ん、米沢さんだ。なに? 年譜が間違ってる?」
「え、どこですか? ――はい? 例の娘の下り? え、だってそこないと暗号が成立しない……」
「まさか、何か裏があるというのか?」
「お、iPS細胞発表されたのか……前川さん、話あるんだけど。遺稿の謎を見つけたのはあんただってな?」
「え? じゃあ間違った記述を書き加えたのは前川さんてこと? でもなんでそんなことを」
「あの金庫開けさせるためだよ。言ったろ? 細野さんとこのパスワードは八ケタの番号だって。金庫のダイヤルと一緒にしてたんだよ。細野さんとこに侵入して、インサイダー情報を奪うためだ」
「だけど、高村さんが幻の茶器らしきものを見つけてしまったのがまずかった。遺稿を調べられたら嘘であることが露呈してしまう。だから旅館のことを聞いておき、先回りしていたんですね。で、奪おうとしたら殺しちゃった。でもまあ、結果的に金庫を開けて研究室に入られたんだから結果オーライですけど」
「なんというか……身勝手な奴だなあ。細野さんを貰えると思ってたんだと。でも全く相手にされず、しかも教授が辞めたせいで閑職に回されたから、せめていい思いがしたかったらしい。“ちょっといい思い”のわりにはずいぶん重い罪背負ったな」
「で、幻の茶器は鑑定へ。歴史的大発見かもしれんが、元が仮説に仮設を重ねた過激な説だから立証はずいぶん時間かかるだろうな。その前に、官房長に聞いておきたいことがある。どうして細野さんを厚労省がマークしていた?」
「不穏な動きがあったんだって。前川さんが色々やってたので、警察に取りついたわけか……え? 生体組織研究センターの前身でも情報漏えいがあった?」
「細野さんが大学四年の頃、研究所で開発中の技術が外部に漏えいしたんだ。助手がやったんだけど、周りが金を出して不正をもみ消そうとしたんだな。なんせ厚生省が巨費を投じて作った研究所だ。醜聞を恐れたのも納得がいく。所長は受け入れちゃったんだ。多分、同じ研究者としての道を歩もうとしている娘の未来のために。細野さんもそれを告発することはできず、そんな負い目があるから神戸とも別れたんだな」
「あの金庫は、そういった悲しい思いが封じてあったんですね……開かれねばよったのに。いえ、これで神戸の長年の謎も解けたからよしとしますか」
「そういえば、ここ数年は元旦間近に大変な事件が起こってばかりだったな」
「ま、今年はゆっくりとし新年が明けそうじゃないか。杉下がその件を話すかはわからんがな……」
現実VS虚構(ニッポンVSゴジラ) 2016.08.31
レビュー企画 相棒Legend12 2015.09.20
レビュー企画 相棒Legend11 2015.07.28
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