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「……帰ったぞ」
「あ、お帰りヘレナ」
「あらあら、結局三泊しちゃいましたね」
「それがものすごく引き止められてな……今日帰れたのだって無理言ってやっとだからな」
「ずーっと帰ってなかったんだからしょうがないだろ。今度からはたまに帰るようにせんと」
「で、ちゃんと話せたのかよ」
「再会の時は泣かれたがな……色々話したよ。国を出てからのこと、LEに来てからのこと、姉上の統治における苦労話や国の現状……無論昔話もな」
「まあよかったですね。ところでお土産とかなんですか?」
「え? あ、えっと……」
「ちょっと、里帰りとはえ旅行してきたんだからお土産くらいあって然るべきでしょ。静馬じゃなんだから」
「おい待て、俺を礼に出すな」
「いや、つい……、あ、そうだ。姉上からこれを渡されていたんだった」
「? 何これ」
「カンスという、熱湯の中でしか生息できない温泉魚という名産の魚で作った干物だ。もう一つこれは、シルヴィアの温泉から作った温泉の素。最近観光地として売り出しているらしい」
「温泉? お前のとこ温泉なんかあんのか?」
「あそこは日本みたいな火山帯だからな……そういや温泉がポンポンあるんだっけ」
「わお、ちょっと行ってみたいですね。秘伝の湯とか堪能してみたいです」
「姉上なら大歓迎するだろうさ……時に、静馬」
「うん?」
「お前、招待状が姉上から届いたと言ったな? あれ嘘だろ?」
「は? なんのこった、確かに招待状が来たんだそ。お姉さんもそう言ってたろ」
「ああ言ったさ。「招待状は私が出したのよ~、って貴方のとこの社長さんが言ってくれって頼んできたわよ。あら? いけな~い」とな」
「正直にも程がある姉ちゃんだな! 台無しじゃんこれ!」
「お前という奴は……色々考えてくれたのはわかるがな、こんなはめるような真似しおって、許せん」
「い、いやでも、いいじゃん仲直りできたんだから!」
「じゃかましい! だったら「ヘレナの子供の頃の話とか恥ずかしい秘密とか聞かせて下さいね。勿論あいつには内緒で。ってあら?」はどういうことだ!!」
「ひぎゃああ! よりによって一番バラしちゃいけないことを!」
「なんだ、静馬ヘレナのお姉さんに音売ってヘレナの昔話聞きたかったんだね」
「小説のネタにでもする気だったんだろ。やれやれ」
「女性の秘密を探ろうとするなんて低俗ですこと。罰が当っても仕方ないです」
「来い静馬! 里帰りの礼をしてやろう!」
「いやあああああああああ! やめてええええええええ!!」
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