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July 2, 2010
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「ありがとよ。分かりやすくて助かったぜ」

 サムは道具箱に向かった。案の定、ロイドは手足を縛られ口には粘着テープが巻かれた状態で発見されたが、命に別状はなかった。
 ふと思い出したようにケータイを取り出すと、時折情報を送ったりしている警官のパトリックにメールを入れた。

「ロイド、悪いがもうすぐ警官のパトリックがやってくる、それまで待ってくれないか?刑事事件になれば、この会社の幹部連中もキールたちを放ってはおけないだろ?」

 ロイドはちょっと肩を落として、頷いた。サムはそのままそっと道具入れの扉を閉めた。

まもなく、パトリックはめでたくロイドを救出することに成功した。サラはロイドを連れてそのまま会議室に飛び込み、事件の詳細を説明することにした。


「サム、ありがとう! 貴方のお陰でやっとキールたちの悪巧みが明るみに出たわ」

 サラは嬉しさのあまり上ずった声で受話器に叫んでいた。しかしサムはもう車の中にいた。

「そりゃあよかった。とりあえず、役に立てて嬉しいよ。」
「今日はこれから祝賀会をするの。是非サムにも来ていただきたいわ」
「悪いね。こっちはもう次の約束が入っちゃってるんだ。また今度ね」

 サムは軽い口調でそういうと、電話を切ってハンドルを握った。すぐにでもアイスマン家のある街にかけつけたかった。

グレンからの連絡は、途絶えたままだったのだ。



焦るサムの元に電話がなった。サムは大急ぎでケータイを取り出したが、かけた相手はグレンではなかった。

「サム、大変だ!」
「なんだ、エリックか。どうした?」

「リサが…? 分かった。心当たりを探すよ」

 サムはそのまま電話を切って、車を走らせた。ふっと助手席の上着の下にグレンがいるような気がした。

「おい、どこにいるんだよ。早く連絡をしてくれよ」

 サムの独り言に、グレンが答える事はなかったが、サムには何かが聞こえた気がした。
-急がば回れだよ。-



 サムはアイスマン家を通り過ぎて、以前訪れた事のあるコーヒー専門店にやってきた。
 サムが席に着く前に、喫茶コーナーには初老の男性がのんびりとコーヒーを楽しんでいた。店主も知り合いらしく、親しげに談笑しているところだった。

「それにしても驚いたね。隣は何か急用が出来たんだと思っていたんだが、戻ってきたと思ったら見知らぬ連中だったしね。おまけにどうもこの町にはそぐわん連中だったんだよ」
「しかしお手柄でしたねぇ。まさか屋敷ごと乗っ取ろうなんてこと考えていたなんて信じられませんなぁ」
「まったくだ。隣人とは親しくしておくもんだね。私も、もし隣との交流がなかったなら、不信感も抱いていなかったかもしれん。」

 初老の男性はしみじみと語っていた。店主は何度も頷きながら、サムに注文をとりにやってきた。

「何かあったんですか?」
「いやぁね。こちらのご主人のお隣が、悪い奴らに屋敷ごと乗っ取られそうになったらしいんですよ。ところが、こちらのご主人、一昨日は一緒にパーティーをするはずだったらしくてね。帰ってこない隣人を心配しているところに、見知らぬ連中が何食わぬ顔で住み始めたもんだから、すぐさま機転を利かせて警察に連絡されたんです。
お陰で犯人はすぐに検挙できたし、街の治安も守られた。たいしたもんですよ。」
「それはすばらしい。よく気がつかれましたねぇ」

 サムは話に乗りながらも気が気ではなかった。屋敷ごと乗っ取るだなんて、アイスマン家にも充分に起こり得る話だったのだ。
 サムに褒めらてすっかり気をよくした初老の男性は、高級なコーヒー豆をたっぷり買い込んで帰って行った。サムはその後姿を見送りながら、店主に尋ねた。

「この前こちらに来ていたアンという子はまだがんばっているんですか?」
「ああ、アイスマン家に働きに来ている子ですか? それがねぇ、ちょっと元気がないようなんです。お嬢さんの世話係という話だったらしいが、お嬢さんがまだ家には帰っていないらしい。まったくどうなっているんでしょうねぇ。あ、それに、買いに来る豆もすっかり変ってしまったんですよ。何があったんでしょう。さっきの話じゃないが、乗っ取られそうになってるなんてことじゃないといいんですけどね。アイスマン氏はあまりご近所と交流されていない様子でしたから」

 店主は哀れむように首を振って厨房に戻りかけて振り向いた。

「ところで、この前連れてきていた猫君はどうしたんです?」
「それが、いつの間にかいなくなってしまったんです」

 サムは苦し紛れにそうつぶやいた。それが店主には痛々しい姿に見えたらしい。厨房に行って、なにやらごそごそと探していたかと思うと、サムにそっと握りこぶしを差し出した。

「これを。これは幸運のコーヒー豆なんです。なかなか手に入らないが、ちょっと前に2つも袋に入っていたんでね。大事に取っておいたんですよ。どうしても叶えたい願いがあるとき、これを握り締めて強く願うと叶うんだそうですよ」

 サムは店主から小さな豆を受け取って驚いた。真っ白な豆だったのだ。そして、店主に礼を言うと、今度こそアイスマン家に向かって車を走らせた。


 アイスマン家のすぐ横まで来ると、サムは路肩に車を止め、ケータイで先ほどのパトリックを呼び出した。

「まだ、はっきりとしたことは分からないんだが、もしかしたらアイスマン家に事件が起こっているかもしれないんだ。アイスマン氏は先日からどうやら行方不明らしい。しかしそれを執事たちが隠している素振りなんだ。これから内偵調査に入るが、なにか見つかり次第連絡する。援護を頼みたい。」

パトリックから快諾されたサムは、先ほどのコーヒー店の店主にもらった豆を握り締めた。そして再びハンドルをにぎろうとすると、門のすぐそばに座り込んでいる少女を見つけた。

「リサ!どうしたんだい?」

 サムはすぐさま車を止め、逃げ出そうとするリサを捕まえた。





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最終更新日  July 2, 2010 04:01:22 PM
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