全5件 (5件中 1-5件目)
1
以前、「取得時効」について記事を書きました。他人の物(主に土地など)であっても、一定期間、所有する意思を持って、平穏かつ公然と占有し続けることで、その物の所有権を取得できる制度でしたよね。今回は、逆に権利が無くなる「消滅時効」について簡単にお話したいと思います。 消滅時効とは、債権などの権利を持つ人が、一定期間その権利を行使しない場合に、その権利を消滅させてしまう制度です。これは、「権利の上に眠る者は保護しない」という考え方に基づいています。対象となるのは、貸したお金を返してもらう権利(債権)などです。なお、土地や建物などの所有権は、放置していても消滅時効にかかることはありません。時効が完成するまでの期間は、原則として以下のいずれか早い方が適用されます。 ・権利を行使できることを知った時から5年 ・権利を行使できる時から10年が、人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権の場合は、この期間が20年となります。例えば、交通事故などでの人的傷害の場合、損害および加害者を知った時から5年、または不法行為(事故)の時から20年の時効期間となります。被害者保護の観点から時効期間が長く設定されているんですね~。 さて、今回は「消滅時効」についてお話しました。長期間にわたって「権利を行使しない」人の権利は、社会の安定のために消滅させることになっているんですね~。ちなみに、「権利を行使しない」とは、単に請求しないだけでなく、法的に意味のある手続きを取らない状態を指します。つまり、口頭や普通郵便での請求ではダメで、「裁判上の請求」や「内容証明郵便での催告」などが必要となります。
2025.10.13
コメント(0)
前回、民法改正による時効制度について記事を書きました。今回は、その際に出てきた「時効の更新」と「時効の完成猶予」について簡単にお話したいと思います。 2020年4月1日に施行された改正民法により、従来の「時効の中断」「時効の停止」という用語は、それぞれ「時効の更新」「時効の完成猶予」へと改められました。「時効の完成猶予」とは、時効の進行を一時的にストップさせる制度です。時効期間が満了しそうになっても、特定の事由が発生した場合、その事由が終了するまで(または一定期間)、時効が完成しなくなります。例えば、内容証明郵便などで支払いを請求(催告)すると、その時から6ヶ月間、時効の完成が猶予されます。ただし、催告を繰り返しても猶予期間は延長されません。「時効の更新」とは、それまで進行していた時効期間がリセットされ、新たにゼロからカウントが始まる制度です。例えば、債務者が借金の存在を認める(例:一部を返済する、支払猶予を願い出る)と、その時点で時効は更新されます。 さて、今回は「時効の完成猶予」と「時効の更新」についてお話しました。「完成猶予」は一時停止、「更新」はリセットという明確な違いがあるんですね。ちなみに、口頭での約束も法的に有効となります。なので、「支払います」と口頭で言ったら、「時効の更新」が認められる為、そこから時効がスタートする事になります。
2025.10.12
コメント(0)
皆さん「時効」ってご存知でしょうか?「それはもう時効だよ~」とか言ったりしますよね?今回は、2020年民法改正で変わった「時効」について簡単にお話したいと思います。 2020年4月1日に施行された改正民法により、時効に関するルールがいくつか変更されました。まず、消滅時効期間の統一です。飲食店のツケや工事の請負代金など、職業別に細かく定められていた短期の消滅時効が廃止されました。新しいルールでは、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」に統一されました。次に、用語の変更です。これまで使われていた「時効の中断」「時効の停止」という言葉が、より適切な「時効の更新」「時効の完成猶予」に改められました。そして最後に、生命・身体の侵害による損害賠償請求権です。人の生命または身体が害された場合の損害賠償を請求する権利については、被害者保護の観点から時効期間が長く設定されました。 さて、今回は2020年民法改正による「時効」についてお話しました。消滅時効は、「知った時から5年」「権利行使できる時から10年」なんですね。ちなみに、人の生命または身体が害された時の損害賠償請求権の時効期間は、「不法行為の時から20年」と長く設定されています。
2025.10.11
コメント(0)
相続税を計算する場合、相続財産を算出しますよね。その際、葬式費用を差引けるってご存知でしょうか?今回は、相続財産から控除できる葬式費用について簡単にお話したいと思います。 相続財産を計算する上で、遺族が負担した葬式費用は遺産総額から差し引くことが認められています。ただし、税法で控除の対象となる「葬式費用」は具体的に定められているため注意が必要です。対象となるのは、主に以下の費用です。 ・遺体の捜索や、病院から自宅などへの搬送費用 ・葬儀、火葬、埋葬、納骨といった儀式そのものにかかった費用 (仮葬と本葬の2回行っても認められます) ・お通夜など、葬儀の前後に発生する通常避けられない費用 ・常識の範囲内のお布施など、葬儀に関連する謝礼これらの定められた費用を正確に把握し、適切に計算に含めることが大切です。 さて今回は、相続財産から差引ける葬式費用についてお話しました。(基礎控除を超えた)相続財産が少なくなると相続税が少なくなるのでお得ですよね。ちなみに、香典返しや、墓地・墓石の購入費用、初七日や四十九日といった法事に関する費用は、葬式費用とは見なされず、相続財産から差し引くことはできません。ごっちゃにならない様に気を付けましょう。
2025.10.05
コメント(0)
皆さん、相続税の基礎控除の計算どうやるかご存知でしょうか?今回は、相続税の基礎控除について簡単にお話したいと思います。 相続税には「基礎控除」という非課税枠が設けられており、遺産の総額がこの金額以下であれば、相続税の申告や納税は一切不要です。基礎控除額は、「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」の計算式で算出します。この計算式にある「法定相続人」とは、民法で定められた相続人のことです。亡くなった方の配偶者は常に法定相続人となり、その他に子供、親、兄弟姉妹の順で相続権が移ります。例えば、夫が亡くなり、妻と子供2人が相続人となる場合の法定相続人は、妻と子供2人の合計3人です。3,000万円 +(600万円 × 3人) = 4,800万円となります。この4,800万円が、基礎控除額となります。したがって、亡くなった夫の遺産総額(預貯金、不動産、有価証券などを合計した金額)が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。もし遺産総額が4,800万円を超える場合は、超えた部分が課税対象となり、相続税の申告が必要になります。 さて、今回は相続税の基礎控除についてお話しました。法定相続人の数によって基礎控除額が変わるので、まずは法定相続人を確定させる必要があるんですね。ちなみに、被相続人からの贈与は過去7年分、相続財産としてカウントされます。よって、「わーい、控除額ギリギリセーフ!」と思っていても、贈与があるケースでは相続税が発生する可能性があるんですね~。申告しない場合、延滞税や加算税で多額の税負担となる可能性があり、最悪財産を差し押さえられる事にもなりかねません。超注意です。
2025.10.04
コメント(0)
全5件 (5件中 1-5件目)
1