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2023年05月15日
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カテゴリ: 読書
 駅周辺や商店街にあった雑誌販売を中心とした従来型の「街の書店」が急速に姿を消している。コンビニの雑誌取扱いが増えたことや、雑誌と書籍の売上比率が逆転したことが、経営に大きな打撃を与えたという。
 アマゾンが発展する前から図書館が発達している米国では、独立系と呼ばれる小規模書店の数が毎年増加してきた。それらの書店は書店員たちが独自の品ぞろえをし、カフェを備え、地域向けイベントに力を入れるなど、ネットでは味わえない人々とのつながり、体験を大切にしているとされる。
 日本でも下記の記事で、このような傾向が示されている。情報の取得についての紙媒体の比率が低下する中、「紙の本」「本屋」好きの人々による様々の試みが続けられることだろう。
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棚貸しビジネスで「本屋のアンテナショップ化」
「仕入れルートの多様化」で書店開業の障壁が低くなった
週刊女性PRIME  2023年4月1日 
 日本全国で書店の閉店が止まらない。出版科学研究所によると2000年と2022年の書店の店舗数を比較すると約半分に減っている。そんな中、小さいながらも品ぞろえを充実させ、独自の魅力を放つ「小さな書店」が増え始めている。本は利益率が低い商品。どう利益を生み出しているのだろうか? 「小さな書店」の利益構造を探った。
 書店閉店のニュースが絶えない。書店調査会社のアルメディアによると、 2000年には2万1495店あった書店が、2020年には約半数の1万1024店まで激減 している。
小さな書店”の開業数は近年増加中
 今年1月31日に『MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店』が12年の歴史に幕を下ろすなど、近年は都心の大型書店の閉店も目立つ。
 「たしかに全体の書店数自体は減少していますが、その一方で、いわゆる独立書店と呼ばれる、小規模ながらも独自の個性を発揮して店づくりを行う“小さな書店”の開業数は近年増加しつつあります。私が知る限りの開業数だけでも、 2015年には6店だったのが、2021年には79店の書店がオープン。2022年は50店 と、勢いが少し落ち着いてはいますが、全国で小さな書店が相次いで生まれているという実感があります」
 そう教えてくれたのは、本屋ライターの和氣正幸さん。各地の書店について取材執筆を続けながら、自身も『BOOKSHOP TRAVELLER』という書店を経営している。では、近年新しく生まれた小さな書店にはどういった特徴があるのだろうか。
新刊書店もあれば、古本を扱う書店、ジャンルやテーマを絞って取り扱う書店、イベントスペースを設けてサロン活動をする書店など、そのスタイルは実に多様。 独立書店の厳密な定義づけは難しいものの、従来の枠にとらわれず、新しい発想で自由に経営している書店と考えればわかりやすいかもしれませんね。既存の大型書店やチェーン書店とは異なる魅力と個性で、厳しい環境下でも本に携わっていきたいという“意志のある書店”ともいえると思います」(和氣さん、以下同)
 一般的に厳しいといわれる書店経営。理由のひとつとして、本や雑誌の利益率の低さが挙げられる。書店は取次と呼ばれる卸業者を介して出版社から商品を仕入れるのが基本的なルートだ。売り上げの約8割を出版社や取次会社に支払うため、書店の粗利益は2割から3割程度と小売業のなかでもとりわけ低い。
「いわゆる薄利多売を試みようとしても、現在では本や雑誌はそう多くの数が捌けるような商品ではありません。 小さな書店が少ない粗利から家賃や人件費を捻出したうえでしっかり黒字で収めるのは、実際のところ厳しいという構造的な難しさはあります ね」
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 本をただ売るだけでは、なかなか儲けが上がらないというジレンマを抱えている書店業界。大型書店も例外ではなく、店頭での書籍雑誌の売り上げ以外のところで収益源を持っている場合がほとんどだ。
 近年開業が相次いでいる“小さな書店”も同様で、本の売り上げにプラスして、例えばカフェを併設したり、本以外の雑貨を取り扱ったり、さまざまな試行錯誤によって経営を続けている。
サービスの増加で書店開業の障壁は低くなっている
 和氣さんの『BOOKSHOP TRAVELLER』も、「棚貸し」という珍しい形態の書店。作家やクリエイター、個人の無店舗本屋や出版社などに棚の一区画を貸し出し、店内では各出店者がセレクトした書籍を自由に手に取ることができる。いわば、棚単位で小さな本屋が集まった複合書店だ。
棚貸しというビジネスモデルは、店舗の棚を月額でレンタルすることで固定収入を得られるという仕組みで、2017年に開店した『みつばち古書部』(大阪市阿倍野区)がこのスタイルの源流 になると思います。私の店ではシェアしている棚以外のスペースでは、自分でセレクトして仕入れた新刊を売っているので、小売業としての面ももちろんありますが、たくさんの方と棚を通して緩くつながっていくコミュニティー運営の側面が強い、業態でもありますね」
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 小さな書店の開業が増えた背景には、仕入れルートの多様化という変化もある。そもそも 新規書店が大手取次に口座を開く場合、「信任金」という初期費用がかかる 場合がほとんどで、それが個人書店の開業の足かせとなることも多かった。

 しかし近年は、楽天ブックスネットワーク株式会社が提供する 書籍少額取引サービス『Foyer(ホワイエ)』 や、 書店と出版社の現場をつなぐ取引プラットフォーム『一冊!取引所』といったサービス も誕生し、書店開業の障壁はさらに低くなっている。『一冊!取引所』を運営する、株式会社一冊の渡辺佑一さんは次のように話す。
 「現在、日本には2900社ほどの出版社があるといわれていて、近年は“ひとり出版社”も生まれています。さらに数多く存在する書店と各出版社が取引を行う際の手間は双方にとって膨大なものとなっている状況があり、オンラインでさまざまなやりとりを簡単に完結できるサービスが必要だという思いから『一冊!取引所』を立ち上げました。同システムを使っていただくと、書店が仕入れたい本を、出版社によっては1冊単位で直接取引することも可能になります」
  …  (略)  …
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本の仕入れ方法や事業計画などのノウハウが世に広く開示された
 そもそも、本の仕入れの仕組みは、数年前までは部外者からするとブラックボックスだったと和氣さんは語る。
 「新刊書店『Title』(東京都杉並区)の店主である辻山良雄さんが出版した『本屋、はじめました 新刊書店Title開業の記録』(苦楽堂、後にちくま文庫)や、ビールが飲める書店『B&B』(東京都世田谷区)のオーナー・内沼晋太郎さんの著書『これからの本屋読本』(NHK出版)が発売されたことが、新規書店の開業ラッシュに大きな影響を与えています。 本の仕入れ方法や事業計画などのノウハウが世に広く開示された ことで“やってみたい”と背中を押された人も多いのではないでしょうか」
  …  (略)  …
 「書店経営といっても、もちろん金銭だけではない部分でやりがいや人とのつながりを重視して続ける方もいます。そういった情熱を持った方が出版業界や書店業界を支えているのもまた事実です。ぜひ身近にある“小さな書店”を訪れて、できれば本を一冊でも購入していただけるとうれしいですね」(和氣さん)
  ―  引用終り  ―





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最終更新日  2023年05月15日 06時00分12秒
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