SAC.COM

2023年07月17日
XML
カテゴリ: 中国、台湾
 たびたびの経済危機報道にかかわらず、中国経済は成長・拡大を続けてきた。都市と農村部の経済発展の差から、国内経済発展の余地もたっぷりあった。
 だが、コロナ禍が収束方向となり、習政権が社会統制の色を濃くするにつれ、経済成長の減速が続いている。
 中国経済成長の原動力の一つであった対米貿易問題の他、中央・地方政府の過剰債務、習政権の世界戦略である「一帯一路」の対外債務、高速鉄道の過剰債務など、国家経済が破綻前であることを示す話題に事欠かない。
 不動産価格の下落策は国民的要請だったが、不動産会社の破綻で工事中止となる物件が多く、将来住むところをなくした多数の住民たちの生活の問題となっている。
 習政権への権力集中は、海外からは恣意的な法の運用ととらえられ、少数門族への圧政への批判と相まって、外資が撤退を始め、それに伴う失業者も静かに増大している。
     ​
3つの壁を前に回復のめど立たず、
対米強硬姿勢が国民不満のガス抜きに使われている
=斎藤満
2023年6月15日 MONEY VOICE
 中国当局が同国の経済先行きに楽観的な発言を繰り返す一方、すでに若年層の失業率が20%を超え、地方の労働者は低賃金に苦しんでいます。経済政策も3つの壁を前に頓挫しており、回復のめどが立たない状況。習近平新体制は国民の不満を爆発させないよう、ガス抜きが必要になります。対米強硬姿勢はそのガス抜きに使われている面があり、危険です。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満)
  …  (略)  …
不安払しょくを図る当局
 中国の中央銀行、中国人民銀行の易綱総裁が上海で行った発言が、9日に公開されました。
 中国の4-6月のGDP(国内総生産)は前年比でみれば比較的高い成長率になる、との楽観的な見方で、さらに現在ゼロ近辺にまで低下している消費者物価上昇率も年末までに1%まで回復する、と述べています。
 最近高まっている中国経済のデフレ懸念を払しょくさせる意図がうかがえます。
 しかし、その楽観論にも確固たる根拠があるわけではなく、ベース効果(昨年4-6月が0.4%成長と弱かったことで今年の前年比が高く出ることか)による、としています。
 問題は高いGDP成長率を提示することで、中国国民や内外の投資家が安心できるかどうかです。統計に不信感がもたれればかえって逆効果になります。
デフレ色が一層強まる
 昨年4月はゼロコロナ政策の下で上海などでロックダウンがなされ、経済活動が一時的に停滞したことは事実ですが、その割に今年の4月、5月のデータはさほど反動高になっていません。
 前年のコロナの影響を受けにくい指標では一段とデフレ色が強まっています。特に景気変動を敏感に反映するPPI(生産者物価)が、今年になって下落基調を強めています。
 5月は前年比4.6%の下落ですが、これは4月の3.6%下落、3月の2.5%下落から下げ幅が加速しているばかりか、2020年のコロナ禍で経済が大きく落ち込んだ時以来の大幅下落となっています。
 企業間での需要停滞がPPI下落につながっていると見られます。また消費者物価も4月の前年比0.1%に続いて5月も0.2%の上昇にとどまり、政府の3%目標から大幅に下振れしています。
  …  (略)  …
政策に立ちはだかる3つの壁
 中国経済の悪化に対して、北京政府は適切に対応するとの姿勢を示していますが、現実には政策対応が厳しい状況にあります。
 まず 財政面からの支援が困難 な状況にあります。そもそも中 央政府の財政状況が、公表される財政赤字よりも厳しい ことです。これまで「一帯一路」で貸し付けてきた途上国向けの資金の多くが返済不能の「不良債権」化しています。その額は 100兆円 とも言われます。
 さらに、財政支援策の大きな担い手となる 地方政府が、やはり債務負担の重圧で身動きがとれなくなっています。 特に、近年の住宅不況で土地利用料の売却収入が減り、地方政府の収入が減っているために、債務の返済も滞っています。こうした地方政府に公共事業などの拡大を求めても機能しません。
 そして 住宅市場の需給が崩れ、開発業者の多くが経営危機 に陥っています。政府は市場の回復に努めますが、住宅の供給過剰で需給は緩く、政府の価格支持策にも限界があります。価格を高く維持すれば新規需要が伸びません。業者の経営悪化で未完成のマンションがゴーストタウン化しています。海外の投資家もこの住宅不況の影響を受けています。
 この状況では住宅建設を柱とした景気対策は打てず、住宅を購入した人々の物件引き渡し、返金請求のトラブルも後を絶ちません。土地使用料の売買環境は冷え切ったままで、地方政府の収入回復にめどが立ちません。
対米強硬姿勢はガス抜きに使われている
 金融政策も行き詰まっています。
 今や主要国の中で中国だけがデフレにあり、当局も金融緩和を模索していますが、欧米が利上げを進めているだけに、中国が利下げをすれば、資金が中国から流出します。すでに人民元が1ドル7元の危機水準を超えて下落していて、これ以上の金融緩和は危険です。金融緩和で資金が流出すれば、意図せざる金融引き締めとなり、逆効果となります。
   ―  引用終わり  ―
 「一帯一路」で描かれた習金平の妄想が実現することはなさそうだ。
 妄想が瓦解し始めるとき、様々な対外摩擦が生じることは想像に難くない。
 また、景気停滞期にナチスドイツは勢力を拡大し、対外侵略へと準備をすすめたことを忘れてはならない。
 中国の出口を塞いでいるのは、日本、フィリピン、ベトナム、インドなどだ。
 経済面では高速鉄道の債務も重い負担だ。
 急激な整備・拡大をすすめた中国高速鉄道網の債務は日本の旧国鉄の比ではない。GDPの5%を占めるほどに達しているという。
中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か
空席が目立つ、北京と河北省張家口を結ぶ高速鉄道の列車内
2022年7月14日 JAPAN Forward
 中国の経済発展の勢いを象徴していた〝中国版新幹線〟の高速鉄道網が、中国経済の時限爆弾となるかもしれない。
 採算性を無視した路線拡大により、高速鉄道を運営する国有企業、中国国家鉄路集団の負債総額は約120兆円に上る。巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手「中国恒大集団」が抱える負債の3倍近い規模だ。専門家は鉄路集団の巨額負債が重大な金融リスクになるとして、警鐘を鳴らしている。
  ―  引用終わり  ―
 既に人口減少社会となり始めている中国経済に高速鉄道債務はより重い負担となって将来の中国経済にのしかかる。広大な国土を抱える中国は、航空路線とすれば経済的な路線をも高速鉄道で結び、膨大な債務と維持費を抱える構造を構築してしまった。
     ​
中国、高速鉄道の整備急ピッチ
総延長、新幹線の10倍超
2023年05月07日 JIJI.COM
 中国が高速鉄道網の整備を加速させている。総延長は日本の新幹線の10倍を超える。今年は約2500キロ延び、南西部・雲南省の「秘境」にも到達する見込みだ。一方で採算が取れない赤字路線も続出し、債務膨張に懸念が高まっている。
  …  (略)  …
 中国は2000年以降、内陸部の経済発展を後押しするため、高速鉄道の整備を一気に進めた。22年の総延長は約4万2000キロと、10年間で4倍以上に拡大。運営する国有企業の中国国家鉄路集団(国鉄)は、35年に7万キロに延ばす計画だ。
 高速鉄道は観光客の増加や企業の進出を通じて地方の発展に寄与してきた。麗江では高速鉄道の乗り入れをきっかけに省都の昆明などとの往来が活発化。観光収入が増え、地域経済を支えている。
 もっとも「大半の路線は赤字」(地方政府関係者)。中国メディアによると、国鉄の債務は6兆元(約117兆円)超と、国内総生産(GDP)比で5%程度に達する。人口が21年をピークに減少に転じる中、鉄道事業は厳しさを増しそうだ。
  ―  引用終わり  ―
     ​
 外資が中国からの撤退を続ける中、機をみるに敏な台湾人も中国大陸から撤退しているという。
 自動車ではスズキはコロナ禍前の2018年に中国から撤退済み。トヨタやホンダは大丈夫なのだろうか?
     ​
 台湾人が中国大陸から逃げ出している
…技術を盗まれ、工場は乗っ取られ、愛人たちは金を持ち逃げし…
2023/6/14 集英社オンライン
  …  (略)  …
中国から30万人の台湾人が逃げ出した
 2011年、中国に40万人の台湾人が駐在、あるいは移住していた。2015年、42万人となった。おそらくピーク、習近平の台湾強攻策が始まった。
 2020年、往時の半分近い24万2000人に減った。理由はコロナ、共産党の強硬な態度、そして中国以外への工場移転である。このころ、台湾の世論調査では台湾独立をのぞむ台湾人が過半、現状維持が25.7%、両岸統一を語る人は11.8%だった。
 2021年、中国に滞在している台湾人は16万3000人に激減した。その傾向は歯止めがかからず、現在はもっと減っているはずである。主因はコロナ災禍で、工場を休業し台湾へ帰り、そのまま戻らなかった。加えて習近平の独裁が確定し、台湾統一を前面にだして軍事訓練、威嚇を本格化させたため嫌気がさすようになった。
台湾企業も技術を盗まれ、
投資した工場は彼らに乗っ取られ、
愛人たちはさっさと金を持ち逃げ
 つぎに人件費の高騰で、川下産業の典型、繊維や玩具、雑貨などは中国からベトナムへ、カンボジアへ、そしてバングラデシュへ工場を移転した。台湾企業の繊維の街だった厦門近辺はゴーストタウン化した。
 結局、台湾企業も技術を盗まれ、投資した工場は彼らに乗っ取られ、愛人たちはさっさと金を持ち逃げ、投資そのものが間違いだったことに気がついた。
日本企業諸氏、この台湾起業家たちの教訓をどう読むか?
  ―  引用終わり  ―








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023年07月17日 06時00分09秒
コメント(0) | コメントを書く
[中国、台湾] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

Ta152R

Ta152R

お気に入りブログ

我が家の家庭菜園 New! 為谷 邦男さん

フレンチトーストピ… New! 越前SRさん

アゾフは死なず  上 New! maki5417さん

沖縄 百名伽藍 酒… New! nkucchanさん

源氏物語〔2帖帚木 … New! Photo USMさん

コメント新着

maki5417 @ Re:中国 重要閣僚解任連鎖 農村農業省(05/22) 5%成長は、立派だと思います。 少子高齢…
aki@ Re:EV テスラ一強時代の終わり(04/20) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
maki5417 @ Re:VW、新疆ウイグル自治区工場の閉鎖協議か(02/28) 強制労働の内容はどのようなものなのでし…
Ta152R @ Re[1]:ダイハツ不正 2024年1月まで生産停止(12/27) maki5417さんへ 伝統ある企業で次々と不正…
maki5417 @ Re:ダイハツ不正 2024年1月まで生産停止(12/27) 非常に悪質な事例で、内部で不正が把握さ…

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: