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2023年12月30日
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テーマ: 倉庫・運輸(148)
 2020年10月、日本郵便はメルカリ向け配送サービスで、ゆうパケットの配送料の値上げに踏み切った。メルカリからの荷物が足元で好調に増えていたため、多少値上げしても影響は限定的と見込んでいた。
 競合のヤマトはメルカリからの荷物を確保すべく、むしろネコポスの配送料の値下げに転じた。これに伴い小型荷物の利用者が日本郵便からヤマトに流出し、ゆうパケットは大打撃を受けた。その一方で、ネコポスは大幅に取扱個数を伸ばした。2021年4月の取扱個数は3126万個で、前年同月比で50.9%も増加した。
 攻勢に出たヤマトの現場のオペレーションは苦しい面があった。ヤマトの自社戦力は2トン、4トントラックが中心だ。宅急便は得意でも、単価が安い小型の荷物を多く投函するには、委託に頼らざるを得ず、ネコポスなどの投函の商品は仕分けなども宅急便とは別の仕組みになっていた。
 2023年6月、ヤマトは小型荷物やメール便の配達業務を日本郵便に移管することを決めた。10月からは日本郵便への荷物の移管が始まった。
 ヤマトは配達業務の移管にあたり、クロネコDM便の配達を担ってきた個人事業主・クロネコメイトの契約終了(最長で2024年度末)に向けた対応を進めている。対象者は約3万人。個別に数万円の謝礼金(就労期間などいくつか条件あり)を支払うほか、10月の早い段階で就職支援サイトを立ち上げ、メイト向けに紹介する。
 ヤマトは日本郵便の仕事もサイトを通じて紹介する方針だが、日本郵便でDM便を担うのは社員。正社員と期間雇用社員(時給制の契約社員)が配達している。日本郵便では「自由な時間に好きなだけ働く」という労働環境はない。日本郵便は「個人委託ではなく期間雇用社員の募集を行い、面接等で選考の上、採用する」方針で雇用のミスマッチが生じる可能性が大きい。
 ヤマトが再就職を支援しても、メイトが同じ条件の仕事を見つけるのは難しそうだ。
 10月13日、ヤマト運輸の茨城ベース(茨城県土浦市)でメール便の仕分け業務などを担当するパート社員18人は、労働組合「ヤマト運輸茨城班」を結成した。現在、会社側から2024年1月末での契約終了を迫られており、撤回を求めて交渉を始めた。
 2023年11月、宅配便大手ヤマトホールディングス(HD)は、2024年3月期の業績予想を下方修正した。売上高に相当する営業収益は前期比0.9%減の1兆7850億円、営業利益は同8.2%増の650億円とした。下方修正の主な要因はEC需要の想定以上の伸び悩み。宅配便の個数はEC需要の減少などで9億1195万個(同3%減)に減少した。
物流2024年問題を前に消費者側の努力も重要だ
東洋経済オンライン  2023年12月15日
 ヤマト運輸は12日、仕分けターミナル「羽田クロノゲート」における機器の一部故障が原因で、 東京都や千葉県の一部地域において、荷物の配達や、当該地域宛の荷物の預かりを停止していることを明らかにしました。その後、預かりは再開されましたが、疲弊する物流業界に思わず心配してしまった人も少なくないのではないでしょうか。
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物流危機の予兆のようにも思える今回のトラブル
 ヤマト運輸の「羽田クロノゲート」のトラブルが話題になっている。機器が故障してしまい、東京の一部地域への配送が滞っているのだ。現在の状況では荷物の預かりに関しては、12月14日に再開している。
 現在は年末商戦のピークであり、さらに今年は大手企業を中心に年末賞与が増加した関係もあって、消費マインドが刺激された。読者の少なからぬ比率もECサイトなどで消費したに違いない。あるいは家族や近しい人向けにプレゼントを購入したかもしれない。
 その中にあって、ヤマトのトラブルが私たちに突きつけたのは、物流の逼迫さだ。現在、「物流2024年問題」なる単語を聞いたことがある人は多いだろう。2024年から法令においてドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限される。
 これはあくまで時間「外」だ。それであっても960時間に制限されることで影響が出る、ということは、既存ではどれくらい過重労働かを想像できるだろう。その制限によって、つまり運べなくなる。
 ただでさえ、キャパがギリギリで、そのうえで2024年問題がやってくる。ヤマトの今回のトラブルは、どこか物流危機の予兆のようにも思える。
 物流領域における生産性の向上や省人化が叫ばれている。そして、私たち“物流サービスを享受する立場”から何ができるか。これを考えるのが当稿の役割だ。
日本の物流の状況は? 輸送トン数は意外にも…
 ところで、私は物流の状況についてインタビューを受けたり、個人的に質問をされたりする。そのときに「日本で運ばれている貨物は減っているんですよ」という。すると、印象とまったく違うからか、驚かれる。
 たとえば、さまざまな統計があるが、「日本のトラック輸送 産業現状と課題 2022(全日本トラック協会)」等を見てみよう。そこで、「輸送トン数の推移」を確認すると減少しているとわかる。
 冷静にいえば「輸送トンキロの推移」という指標がある。これは、トン=重さ、だけではなく、キロ=距離をかけあわせたものだ。それを見ても、減少、あるいは横ばいという傾向が見て取れるだろう。
 その理由は、端的に3つである。
 ①まず日本は製造業が海外に流れていた。したがって、もっとも大きな製造業の企業間物流が減少していった。
 次に②経済のソフト化だ。日本が脱ものづくりに動くと同時に、現在ではGAFAMを代表とするようなソフト・ITが経済の主流になった。Amazonは例外だが、基本的にはモノを介在しないビジネスが多くなった。
 そして③はトラック運転手不足でそもそも運べない。これは予想された未来だった。古くは、2008年9月に国土交通省は「輸送の安全向上のための優良な労働力(トラックドライバー)確保対策の検討」という報告書を発表し、ドライバーがいなくなると予想し、そのとおりになった。
 この数値が、印象と異なるのは、きっと個人の買い物ではECばかりになっているためではないだろうか。たとえば「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(経済産業省・国土交通省・農林水産省)を見てみよう。
 ここでは「物流の現状:EC市場の推移・規模、宅配便取扱個数・再配達率」という項目が設けられており、EC市場の急増と宅配便取扱実績が急増しているとわかる。
 想像してほしいのだが、工場から工場に大型プレス部品が運ばれていたところ、日本は脱ものづくりを志向し、それらの配送品は減った。残ったのは(言葉が悪いが)儲からない、小物のEC物流のみだった、というわけだ。
  ―  引用終わり  ―
 ヤマト、佐川、日本郵便は巨大になった宅配と宅配システムの対応に難渋している。ここに物流2024年問題が大きな負荷として加わる。





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最終更新日  2023年12月30日 06時00分14秒
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