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2024年06月01日
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カテゴリ: 民間航空
 国産ジェット旅客機、MRJ 改め MSJ (Mitsubishi SpaceJet)は、国産、オールジャパンにこだわったところから大きな間違いが始まった。
 膨大な開発費を擁するジェット旅客機は、北米の空を飛べなければ投じた費用の回収が覚束ない。
 北米の空を飛ぶために必要な米FAA(連邦航空局)の型式認証を得る目途が立たなかった。
 官民挙げてのバカ騒ぎを経て投じた500億円公的資金は「空の藻屑」と化した。
 公的資金投入を推進した経済産業省は検証委員会でMSJ実用化失敗の要因をまとめた。
 1. 安全認証プロセスの理解・経験不足
 2. 海外サプライヤー対応の経験不足
 3. 市場環境 想定から外れる
 4. 政府の支援・取り組みのあり方
     ​
 MSJ 失敗の教訓を踏まえて今後の航空機開発に向けては、 国際連携や官民によるリスク分散が重要 、国内外の企業や研究機関が連携する枠組みを作り、開発力を高めていくべきだと指摘した。
 小型ジェット旅客機の成功例であるホンダジェットは、試験飛行を実施しやすい米国で開発し、エンジンについては実績のあるGEとリスク分担した。
 2035年以降、ハイブリッドや水素エンジンなど次世代の旅客機の事業化を目指し、機体やエンジン、装備品で国際的な共同開発を追求するとしている。
     ​
 実用化に不可欠な認証を得るプロセスの理解と経験不足、海外サプライヤー対応の経験不足などが指摘されたが、それらを解決する方法は提示されなかった。
 にも関わらず、経済産業省では早くも次の旅客機開発に再び巨額予算を投じることなった。経済産業省は、三菱重工業が国産初のジェット旅客機の開発から撤退した経緯を踏まえ、今後、航空機産業が目指すべき新たな戦略案を取りまとめ公表するという。
 一方、開発にあたり試験飛行などを管掌する国土交通省は、開発期間の長期化、国産ジェット旅客機のFAA認証が得られなかったことについて何の責任も感じていない。
 このまま日本ベース、日本中心の開発を続けたら再度FAAの認証取得に失敗する空気が濃厚。
     ​
国費大投入「MSJ」失敗から見る日本の“欠点”とは
乗りものニュース  2024年5月13日
  …  (略)  …
MSJには 500億円の公的資金が
 2023年、「MSJ(Mitsubishi SpaceJet・旧称MRJ)」と呼ばれる三菱製国産ジェット機の開発中止が発表されましたが、2024年、経済産業省では早くも次の旅
 認証プロセスに絞ってみると、つまずいてしまったのは日本の航空法と航空行政が欧米とは比較にならないほど遅れていることに起因すると考えられます。
 航空機の安全基準と認証基準は航空法やそれに付帯する施行規則や通達などで定義されています。主要国間においては、航空法や航空機の安全基準、パイロットの資格などを国際的に標準化する努力が続けられてきました。
 旅客機先進国ともいえるFAA(アメリカ連邦航空局)とEASA(欧州航空安全委員会)は、そうした規則全般の相互認証と標準化をかなり深いレベルまで実践しています。これはそう簡単に実現できるような作業ではないことから、2機関双方が多くの専門家と大変な労力を投入して進めてきたものです。そのため、FAAとEASAが合意して導入したルールは事実上の世界基準となっています。
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ちゃんと欧米以外にも「基準に沿って旅客機を実用化」した国はある
 そして、そのFAA・EASAの世界基準化に遅れる事なく、それを自国に導入してきたのがブラジルです。今や米ボーイング・欧州エアバスに続く第3の航空機メーカーにまで成長したエンブラエルがブラジルで生まれた土壌がそこにあります。
 世界では互いに航空法などを標準化して相互に認め合う「BASA」という二国間合意を締結する動きがあります。日本はアメリカなどいくつかの主要国とBASAを締結、もしくは締結に向けて作業を行う事で合意しています。
 しかしこのBASAは単に合意しただけでは全く無意味で、そこから双方が綿密なすり合わせと検討を重ねてルールの共通化と相互承認を実現していく必要があります。日本ではその部分の作業が思うように進んでいないのです。
 アメリカとは2009年に合意した後、その適用範囲の拡大に向けた作業が行われていたようですが、MSJの開発失敗までの経緯で露呈したことは、 FAAと国土交通省航空局の間ですり合わせが進んでいない ことでした。 三菱MRJ(当時)では開発中、途中でボーイングがコンサルタントとして参加しましたが、数百か所にも及ぶ設計変更が必要と指摘した ――という記録があるほどです。
 筆者は、これには 国交省の組織的問題が関係している と分析しています。
 まず、国交省の作業があまりにも遅過ぎるので、結果として日本では航空法の改訂どころか、大臣通達の変更でさえ信じがたい年月を要します。そのため、やっと国内規則を改訂しても、その時には世界ではさらに進んだルールができてしまう――この繰り返しなのです。たとえば自機の位置を緯度経度の座標情報を含んだ信号で、周囲にいる他の航空機に発信するシステム「ADS-B」の制度化などがこれにあたります。
 なぜここまで作業に時間を要するのでしょうか。それは日本の役所特有の人事制度と官僚の習性があると筆者は考えています。
  ―  引用終わり  ―
     ​
 国産旅客機の失敗は、採算性確保と型式証明取得が原因。
 2つの課題をクリアしないまま、オールジャパンで取り組んだところで再び失敗することは目に見えている。高度な技術が用いられることが多い軍用機の採算性の認識は低い。
 技術的に飛べる機体は作ることができても採算性の問題がクリアできる保証はない。





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最終更新日  2024年06月01日 06時00分16秒
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