おしゃれ手紙

2007.10.01
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テーマ: お勧めの本(7414)
カテゴリ: 昭和恋々

値七輪(あたいしちりん)しか炭の費用がかからくて経済的だからと書いてある本があったが、当てにはならない。
俳句の季語に、もし七輪があるとしたら、季語は秋である。
七輪がいちばん似合うのは、秋刀魚だからである。

あはれ 秋風よ 情(こころ)あらば伝えてよ
男ありて、
今日の夕餉(ゆうげ)に ひとり
さんまを食いて
思ひにふける と・・・


七輪の上に屈んで、秋刀魚を焼いている、季節外れの単衣(ひとえ)の着物の、男の後姿が見えるようだ。
「秋刀魚の歌」のおかげで七輪は、秋の風物詩になった。
こんなに愛想がなくて妙なものはない。
「昭和恋々」久世光彦

子どもの頃、うちには、父が作ったクド(竈・かまど)があった。
そこでご飯を炊いたり、おかずを炊いたりした。
しかし、七輪もよく使った。
竈と違って七輪は持ち運びが簡単だった。
だからもっぱら、家の外に持って出て使っていた。

焼くものは、秋刀魚ではなかった。
近くの川でとった川魚。
夏は茄子。
そして秋には、父が山でとって来たマツタケだった。

今考えると、夢のような話だけれど、七輪で炭を熾し、マツタケを焼いて食べたのだ。
秋刀魚は、お金がかかるが、マツタケはタダ。
そんなわけで、 私は秋に七輪で焼くものといえば秋刀魚ではなくマツタケ

** 「昭和恋々」前書きより **
それは、ほんの取るに足らないものかもしれない。
たとえば・・・私たちは、あの日のように雨や風の音を聴くことが、いまあるのだろうか。
このごろみたいに、夜は明るくていいのだろうか。
春を待つという、懸命で可憐な気持ちを、今どれほどの人が知っているのだろうか。

・・・あの頃を想うと心が和むが、いまに還ると胸が痛む。
久世光彦


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◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。
★10月1日 *「園芸家12ヶ月:10月の園芸家」* UP
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Last updated  2007.10.01 20:47:07
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