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冤罪をつくる検察、それを支える裁判所 そして冤罪はなくならない / 里見繁 【単行本】私:この本を図書館から借りた動機は不明だが、9件の冤罪事件を取材や裁判記録により詳細に描写したドキュメントだね。 刊行が2010年と古いので、当時、すでに冤罪がはれて無罪になった事件が1件だが、その後、「袴田事件」「足利事件」「布川事件」のように冤罪がはれたものもあるし、再審にこぎつけたもの1件、再審拒否が1件、冤罪の疑いのまままだ推移しているのが2件、再審中に被告死亡1件となっている。 冤罪を見逃した裁判官の個人名まで出ている。 A氏:取材と言っても、検察官と裁判官はこういったテーマでは取材に応じないだろうね。 私:直接会うことも電話での取材すら拒否されるという。 そこで弁護士、被告と関係者の取材と裁判記録が中心となるね。 著者がいうように、これらの冤罪は氷山の一角で、なかには泣き寝入りしているケースも多くあるだろうと言う。 そしてミスではなく、構造上の問題があると指摘する。 冤罪では警官や検察が証拠を意図的に捏造したり、無実の証拠を隠したりする「確信犯」だね。 著者がこれらの事例で指摘している証拠捏造、無実の証拠隠しはすごいね。 エリートが平気でこんな証拠捏造をやるとはひどくて呆れるね。 A氏:背景に警察には検挙率、検察には有罪率という重い足かせがあるせいかね。 私:著者は個人的には裁判官がきちんと冤罪を見抜く目を持てば冤罪を防げるという。 警察や検察は「確信犯」だが、裁判官が冤罪を見抜けないのは「不作為犯」だという。 読むべき書面もキチンと読まず、検察官の主張に唯々諾々と乗ってしまう。 それが手っ取り早いからだという。 A氏:「裁判官は忙しい」のが事実だろうし、厳しい管理体制の中に置かれ、出世競争の厳しさは検事の世界以上だそうだね。 私:再審請求の記録は分厚い。 その上、先輩裁判官が出した有罪判決に異論を唱えたりしたら昇進に響く。 A氏:国は制度を見直すべきかね。 私:著者は司法制度改革の目玉である「裁判員制度」は「冤罪防止」という観点では一歩も二歩も後退だという。 まぁ、著者のようなきちんと真実を追求できる人が裁判員になれば別だろうがね。 冤罪の犯人は国家だと著者は言う。
2015.11.30
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A氏:8年前にこのブログの「老いてゆくアジア・繁栄の構図が変わるとき」でアジアの少子高齢化についてふれていたが、次第に目の前に問題が出つつあるね。 このブログでタイもとりあげられていたが、先日の新聞で とりあげていたね。 この8年間でもっと高齢化が進んでいて、すでに今の生活に問題が出ていると報じている。 私:国連統計(2015年)によると、アジアの高齢化率(65歳以上人口の比率)は日本が25%を超えて群を抜くが、韓国(13・1%)、シンガポール(11・7%)、タイ(10・5%)、中国(9・6%)が急速に追い上げている。 専門家は、タイも20年余りで現在の日本の水準に達すると見ているという。 高齢化率が7%から14%になるのに、フランスは100年以上かかったが、日本は24年、タイは23年(予測)だ。 A氏:日本は高齢化の前に先進国入りしたが、タイは「富む前に老い始めた」。 日本のような医療保険、年金、介護保険制度の整備は、財源的にも時間的にも追いつかない。 公務員、会社員には貯蓄型の年金や社会保険の制度があるが、貧しい人々が多い農民や自営業、行商といった「インフォーマルセクター」には、高齢者給付金しかない。 こんな事情はアジアの国々に共通する。 私:タイでは人口が都市に集中し、地方では祖父母と孫が残る「隔世代家庭」が急増中。 故郷に残った人たちを生かさなければ、高齢者支援はままならない。 貧困解消なしの長寿は、貧しくつらい人生の長期化にしかならない。 一方、富裕層向けには新たなビジネスも出てきた。 今年7月、娯楽大手RS社が初の高齢者向けの専門チャンネル、プルンTVを開局。 健康や医療、趣味などの情報番組を放送する。 A氏:高齢化社会で先行する日本も、タイへの協力を強めている。 アジアに対する政府の途上国援助(ODA)での高齢化対策支援で、タイはモデルケースにもなるね。 私:国際協力機構(JICA)は2007年、高齢者介護サービスの開発支援をタイで開始。 介護サービス事業者や福祉機器メーカーなどのタイ進出への関心も高まる。 埼玉県の介護用具メーカー、ランダルコーポレーションは昨年、現地法人を設立し、販売を始めたという。 新しい輸出産業だね。
2015.11.29
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私:パリのテロに対応して、ただちに強化された「イスラム国」への空爆。 そして、さらなる報復テロへの懸念。 この連鎖を、断ち切ることはできるのか。 放送大学教授高橋和夫氏は、イスラム国(IS)は、フランスのイスラム教徒の若者の「心の隙間」を巧みに取り込んでいるという。 そうした若者たちを生み出さないために寛容な社会をつくり、過激主義への同調者のパイを小さくしていく努力が必要なのだという。 A氏:東京外国語大学教授伊勢崎賢治氏は、短期的な解決は無理で、「戦争」はいつか、膠着状態になるので、その時のことを今から考え、準備しておくことで、 今後、日本がやるべきことは民主的な国づくりに積極的に関わることだという。 私:池上彰氏は「ななめ読み」で、各新聞の専門家の意見を要約している。 朝日新聞は、同志社大大学院教授内藤正典氏がフランス社会にテロを誘発する下地があると指摘。 読売新聞では、キャノングローバル戦略研究所研究主幹宮家邦彦氏が、力が衰えてきた現在の欧州に、統治能力が失われたシリアなどいわゆる破綻国家の秩序を立て直す力はもうなく、その結果、欧州はいま、過激派の台頭や難民の大量流入という形でつけを払っていると指摘している。 毎日新聞では、明治大特任教授山内昌之氏がISにたどり着く人間は、社会から脱落し、法の支配を否定する極度なニヒリズム(虚無主義)やアナキズム(無政府主義)の傾向を帯びた若者たちが多く参加している。 イスラムの文脈だけでISを説明することはできないとしている。 A氏:日経新聞では、仏国際関係研究所特別顧問のドミニク・モイジ氏は、空爆がテロを呼び、テロが空爆を呼ぶ負の連鎖に陥るリスクは大きく、確固として我々の価値観を守らねばならないが、文明紛争に陥ってはならないし、これはイスラム教徒との戦いではないし、彼らも脅威にさらされているという。 私:専門家の分析と意見はいろいろだが、世界は、今までの歴史のツケをまとめて払わされているような気がするね。 池上氏も最後に、「私たちの文化、文明、価値観が脅威にさらされている。この視点を持って今後に臨む。これが歴史的視点というものです」としめている。
2015.11.28
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A氏:旭化成建材の杭工事のデータ偽装問題で、24日、過去10年間に杭を打った3052件のうち360件で偽装があり、61人が関与したと発表したね。 君が「総件数」でなく「総本数」で論ずるべきだと言っていたのが、やっと最後に「本数」の発表があったね。 この間、このブログの杭偽装知的街道が続いたね。 「旭化成建材の杭打ち問題と基本的な3データ」、「杭偽装、問われる業界 下請け任せ、不正見逃す」、「元請け三井住友建設、謝罪 杭偽装、管理責任認める」、「杭打ち不正 業界全体の問題だ」 私:新聞では調査対象の物件の計「約14万本の杭」のうち、1・7%の2382本に偽装があったと報じているね。 ようやく、本数レベルの話になった。 しかし、総本数に「約」がつくのはおかしいね。 A氏:全体で196人いる現場責任者(現場代理人)の3割超が偽装に関わっており、偽装が日常化していた実態が明らかになったという。 大半が工事の度に下請け業者から出向しており、「機器の不具合などでデータが取れず、他の杭のデータを転用した」などと説明しているという。 私:このデータは、杭打ち作業では、一番重要なデータだ。 そのデータを作る機器はだから重要な機器だね。 それが「機器の不具合などでデータがとれなかった」というのは全く考えられないね。 製造業では、製品の品質を測定機器で確認する。 その測定機器が不具合なら、正確な測定ができないから、品質は保証できない。 だから、測定器はきちんとした管理をして、測定精度を維持できるように定期的に「校正」をするという管理システムがある。 一体、旭化成建材の杭打ちのデータを得る機器の管理(マネジメント)はどうだったのかね。 A氏:追跡できなかった188件のうち153件は、社内規定に反してデータ保存がなかったというが、社内規定があったんだね。 私:データ作成機器の社内規定もあるはずだよ。 今回のマスコミ報道では、マネジメントについては関心がないのか報じられていないね。 今回の杭偽装問題の根本原因は会社にマネジメントが欠落していたことなのにね。 しかも、三井住友建設も旭化成建材も早くから、品質保証のマネジメントの国際規格であるISO9001の審査を受け、認証されている。 そこには、データも機器の管理の要求もある。 この報道が未だにないのが不可解だね。
2015.11.27
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私:米企業の「節税狙い」のM&A(合併・買収)が止まらないという。 米製薬大手ファイザーは23日、アイルランドの同業アラガンを買収すると発表。 両社を合わせた年間売上高は600億ドルを超え、製薬業界で世界トップになる。 買収が注目されたのは規模の大きさだけではない。 M&Aを持ちかけたファイザーの狙いの一つが「租税回避」とされるからだ。 A氏:買収後、ファイザーは拠点をいまの本社があるニューヨークに残すが、形式上の「本社」はアラガンのアイルランドに移し、税の負担を軽くするとみられる。 アイルランドの法人実効税率は12・5%と低い。 米国の法人実効税率は州によって異なるが、カリフォルニア州で40%超など主要国では最も高い。 私:米財務省は昨年9月、節税目的の買収を防ぐ対策を公表したが、流れは止まらず先週に追加策を出した。 海外の親会社を税率の安い第三国に移したり、米国の企業とみなされないように海外企業の規模をふくらませたりすることをしづらくする内容だが、週明け早々ファイザーの発表があり、またも止められなかったという。 A氏:こうした企業の税問題は来年の大統領選の争点のひとつに加わりそうだね。 野党・共和党指名争いで上位を走るドナルド・トランプ氏は23日の声明で、「ファイザーがとてつもない雇用の喪失と共に我々の国を離れているという事実にはうんざりする」と批判。 民主党の候補者争いでトップのヒラリー・クリントン前国務長官も同日の声明で「タックス・インバージョン(課税逆転)と呼ばれる企業による行為で貧乏くじを引くのは米国の納税者だ」と批判したという。 私:今、各国は法人税率の引き下げ競争だね。 日本もそうだ。 その一方で、各国はグローバル企業の行き過ぎた節税策にも目を光らせなくてはならない。 経済協力開発機構(OECD)はこの秋、大企業が税率の低い国の子会社に利益をため込むことなどを防ぐ対策をまとめた。 特許やブランドなどの知的財産権を税率の低いアイルランドなどに移す税逃れが横行したのがきっかけだった。 OECDの対策は「企業は利益を生んだ場所で納税するべきだ」という原則に基づくが、ルールに法的な拘束力はなく、効果が上がるかは未知数だという。 グローバル企業栄え、国民国家滅ぶかね。
2015.11.26
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A氏:東芝の不正会計は、このブログの「(どう考える?東芝問題)「晴れぬ疑い、調査に限界」弁護士郷原信郎氏・「財務悪化、もっと深刻かも」会計評論家細野祐二氏」でとりあげていたね。 そのときは9月だったが、その時、郷原氏は「疑念のある資産について『問題ない』と言っているのは、東芝自身と、監査法人だけだ。 疑いは晴れないと言っていた。 私:その通りで、11月になって、日経ビジネスオンラインに、米ウエスチングハウスの巨額減損と題するスクープ記事が掲載され、会計不祥事からの信頼回復を図る東芝に、重大かつ深刻な「説明不足」、というより、実質的な「隠ぺい」があったことが明らかになったね。 11月に日経ビジネス誌が指摘するまで、東芝はその事実を開示していなかった。 9月30日の臨時株主総会で、取締役の過半数を社外取締役にするなど、経営陣を一新して再生を図ってきたはずの東芝だが、今回の米ウエスチングハウスの問題は、早くも、その新体制が全くの見せかけだけのものに過ぎなかったことを露呈したことになる。 A氏:東芝はそれまで、原子力事業については一貫して「順調だ」と説明してきた。 私:東芝の連結決算上、減損を回避する理屈があり得るとしても、その理屈を含めて事実を開示して説明することが、東芝にとって最低限の説明責任だと言うべきだね。 東芝の信頼回復・再生のために社長の座についたはずの室町現社長は、東芝の事業の現況に関する極めて重大な事実を、公表も説明もしてこなかったことの責任をどうとるのであろうか。 「社外取締役中心の東芝の新経営陣」なのに社外取締役は原子力事業に関して、実質的な「隠ぺい」が行われていたことに対して、一体何をやってきたのであろうか。 このようなことがまかり通る企業体質が維持されている限り、日本を代表する伝統企業だったはずの東芝の再生は、もはや「風前の灯」だと言わざるを得ないと郷原氏は指摘している。 A氏:不正をチェックする監査法人も問題だね。 私:11月19日、金融庁は、不適切な会計処理を行っていた東芝を担当していた新日本監査法人に対し、公認会計士法に基づく業務改善命令の処分を行う方針を固めたという。
2015.11.25
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今週の日曜書評で興味を持ったのは、下記の2点。 1.『明治大正史』(上・下) 中村隆英〈著〉、原朗・阿部武司〈編〉・評・保阪正康(ノンフィクション作家) 著者は総じて明治草創期の元勲たちに好意的だが、とくに伊藤博文には「やらなければいけないとなったら、無理にでもそういう政策をちゃんと実行するところがあった」と評価しているという。 立憲主義は西園寺公望や原敬に引き継がれたとの見方が貴重。 さらに日本の近代化は他のアジア諸国とは異なり、日本は攘夷を捨てて開国を決めるや、「(欧米のように)なろう、学ぼうという姿勢をとる」という。 日本のリーダーたちが揃って西欧化を目指すところにこの国の強さと弱さが露呈しているという。 明治天皇が他の天皇と異なり、なぜ大帝と言われるのか、その分析もユニークという。 。御前会議でも表だった発言はしないで権威や貫禄を保つ、沈黙こそが有力な武器であった。 それを意識しつつ臣下の者は懸命に職務をこなす、「結果として、明治時代は大きな間違いが起こらずに済んだ」と指摘。 上下2巻の大著なので、書評を読むだけにとどめる。 2.『世界の権力者が寵愛した銀行』 エルヴェ・ファルチャーニほか〈著〉・評・諸富徹(京都大学教授・経済学) 「事実は小説より奇なり」とは、まさに本書のことを指すのかと評者は言う。 これは、世界最大級の銀行HSBCから、約13万人分の機密顧客リストを引き出した元行員の物語だ。 各国政府によるHSBCへの訴追、巨額罰金へとつながり、スイスの銀行の守秘性に大打撃を与えたという。 銀行の中を、巨額の「汚れた金」が通ってタックスヘイブンへ向かう。 EU法令すら脱税を合法化し、銀行はそれを活用したサービスで儲けていたのだ。 目も当てられないこの惨状を知り、著者は銀行と対決する途を選ぶ。 彼はHSBCの機密データ引き出しに成功したが、フランスの捜査当局が動き出すと、なんとサルコジ大統領が出てきて潰した。 命を狙われスイス政府からも情報漏洩罪で追われた著者は、スペインに逃れ、投獄された末、自由を勝ち取る。 大統領選でサルコジが敗れオランドに代わると、捜査は再び進展。 彼の持ち出したファイルはHSBCによる脱税幇助の決定的証拠となり、巨額の脱税回収を可能にしたという。 図書館に予約。 人気があり、すでに38人待ち。
2015.11.24
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私:米ウォールストリート・ジャーナル紙は17日、安倍政権の経済政策について「アベノミクスが息切れしている」と題した社説を掲載した。 2四半期連続のマイナス成長となったことを受け、「今こそ再考の時だ」と促している。 社説では、アベノミクスの財政出動で「日本の借金は国内総生産(GDP)の250%に近づき」、「米国より急激に金融緩和を進めている」にもかかわらず、「銀行の貸し出しが増えず、デフレが続いている」と指摘したという。 A氏:しかし、財務省の法人企業統計によると、14年度の企業(全産業)の内部留保は約403兆円となり、09年度より約103兆円増えているね。 しかも、2015年の日本企業による海外企業の合併や買収(M&A)が、11月9日現在で、年間で初めて10兆円を超えた。 14年通年(5兆7829億円)の約1・7倍の勢いで、9年ぶりに過去最高を更新したという。 M&A助言会社のレコフの調べでは、9日現在で10兆44億円に達した。 円安が進み、円換算の金額でふくらんだ面もあるが、過去最高だった06年(8兆6090億円)を上回った。 地域別にみると、北米が4兆527億円と約4割を占め、欧州の2兆7617億円、アジアの1兆9872億円と続いたという。 私:人口減で国内市場の先細りが見込まれるなか、企業は業績改善で豊富になった手元資金を使い、海外の成長市場を取り込もうとしている。 目立ったのは、これまでは主に国内の客を対象にしていた生命保険会社や損害保険会社の動きだ。 少子高齢化が進むことも背景に、成長をめざすのであれば、日本以外に収益源を求めるのは当然の流れだという。 A氏:安倍政権は、財界幹部を集めた「官民対話」などの場で、国内での積極投資を求めている。 私:だが、国内企業同士のM&Aは低調で、レコフの調べでは、15年は9日現在、3兆1029億円だった。 地方銀行や石油元売りで再編があり、前年(2兆3671億円)を31%上回るが、ピークだった1999年の12兆393億円には遠く及ばないという。 少子高齢化で国内市場は需要減で先細りかね。 経済同友会は、GDP600兆円目標は「あり得ない」と言っているが。 「壊れゆく日本という国」のようにグローバル企業栄え、国滅ぶかね。
2015.11.23
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私:このところ、「耕論」はいい記事が多いね。 ところで、消費税増税を前提に、軽減税率の導入をめざす自公協議がなかなか進んでいないね。 A氏:京都大学教授諸富徹氏は、軽減税率は、低所得の人たちが負担軽減となる金額以上に、金持ちにも軽減してしまい、再分配政策としてムダが多い制度といわれてもしかたがないところがあるので経済学者には評判が悪いという。 私:軽減税率は、買い物をした瞬間に、もれなく確実に返すことができるので、再分配という点に着目すれば、今でも意外に効率的な仕組みではないか諸富氏はいう。 A氏:問題は、軽減税率の対象となる品物の線引きだね。 これで自民党と公明党がもめている。 対象品目を増やせば、税収が減り、社会保障費に回す分が減るから、そちらで低所得者が不利になるのではないかね。 線引きが政治の道具になってしまう危険性もあるね。 逆進性の緩和を、消費税の中だけで完結させるのでなく、所得税の累進税率を上げ、資産課税を強化することで、金持ちから取り返すこともできる。 そうした税制全体を見た議論が必要だと諸富氏はいう。 私:早稲田大学教授若田部昌澄氏は、もし消費税増税を延期せず、当初予定の今年10月に8%から10%に引き上げていたら、日本経済はひどい不況に突入していただろうという。 景気は前回の消費税増税の影響によって急激に悪化し、消費が冷え込んでいる。 実質成長率は4月から2四半期連続のマイナスに沈んでいる。 こうした状況を踏まえると、2017年4月に本当に10%に引き上げるべきかどうか、国民の間できちんと議論する必要があり、2017年4月の増税を既定路線にしてはいけないという。 A氏:若田部氏は、軽減税率導入は、高所得者にも恩恵をもたらすので反対で、低所得者への増税負担を軽減したいのであれば、直接手元に給付金を届ける仕組みをつくるべきだという。 私:本来のあるべき姿としては、所得税や資産課税の見直しも視野に入れ、税制全体のあり方について幅広い議論を展開すべきなのに、不思議なことに社会保障の財源をめぐる議論は、消費税の枠内だけにとどまっていると指摘。 これは両氏とも同じ意見だね。 軽減税率では全く逆の意見だったが。 今、検討している軽減税率の考えは基本的に問題が多いね。
2015.11.22
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私:1949年の分断以来、66年の時を経て初めて中国と台湾のトップが顔を合わせた。歴史的な首脳会談は、中台関係や地域情勢に変化をもたらすのか。 3氏のインタビューでは、各氏ともかなり意見が異なるね。 この問題の裏に「92年コンセンサス」というのがあるんだね。 1992年,中台双方の窓口機関の間での事務レベルの折衝過程で形成されたとされ、中国側はこれを「一つの中国原則を口頭で確認した合意」と解釈し,台湾の国民党は「一つの中国の中身についてそれぞれが(中華民国と中華人民共和国と)述べ合うことで合意した」と別途に解釈している。 A氏:あいまいだね。 中国側は、胡錦濤時代になって台湾側の解釈を否定も肯定もしない方針に切り替え,2005年以降の共産党と国民党との連携に道を開いた。 しかし、野党の民進党の蔡英文主席は,合意文書が存在しないこと,中国が台湾側の解釈を公式に認めていないことを理由として,それは「存在しない」と主張している。 私:北京連合大学台湾研究院政党政治研究所長の李振広氏は、大陸が考えているのは、誰が指導者になっても「一つの中国」という原則は崩れないというルールの確立だという。 A氏:これに対し、台湾師範大学教授の范世平氏は、「中台首脳会談は花火のようなもので、見た目は美しいけれど、終わったら何も残らない。台湾の世論調査では評価と批判が拮抗しているが、実質的な成果は何もなかった」と批判的だ。 今回の会談は習近平国家主席が必要としたからで、腐敗撲滅への取り組みで権力闘争が激化し、習氏への反撃の機会を狙っている勢力もいるので、来年1月の台湾総統選で(独立志向の)民進党の蔡英文主席が当選したら、「台湾政策の失敗だ」とつけ込まれる恐れがあったからだという。 氏は、台湾人は中国に深い恐れを抱いていて、統一されるのを心配しているという。 私:京都女子大学教授の松本充豊氏は、中台の経済的、社会的要因から、たとえ民進党が政権をとっても複雑な民意に対応して、当面中国を刺激する動きは控えると見る。 台湾の人々の思いを大切にしながら中国との関係を良好に保つ、デリケートな政権運営が次期総統には求められるという。 問題となるのはどうやら、来年1月の台湾総統選の結果だね。 しかし、今のところ、民進党が優勢のようだ。
2015.11.21
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私:福島県の甲状腺検査は全国の19歳以下の甲状腺がんの年間発生率と比べ、検査時点でがんと診断された人の割合は県央部の「中通り」で約50倍、県全体でも約30倍の「多発」となる。 この「多発」をどうみたらよいのか。 この記事では、「放射線の影響」と見る岡山大大学院教授(環境疫学)津田敏秀氏と、「そうではない」と見る国立がん研究センター・がん予防・検診研究センター長・津金昌一郎氏の意見の異なる疫学専門家の両氏にインタビューしている。 A氏:津田氏は、「多発」は県の検討委員も認めざるを得なくなってきたという。 「生涯発症しないような成長の遅いがんを見つけている」という「過剰診断」説もあるが、これほどの「多発」は説明できないという。 「過剰診断」説を採ると、100人以上の手術が不適切だったことになってしまう。 県立医大の報告では、同病院で手術を受け、がんと確定した96人のうち4割はがんが甲状腺の外に広がり、7割以上がリンパ節に転移していたという。 逆に、「多発」と原発事故との関連を否定するデータはないという。 事故直後に放射線量が高かったと見られる県央部や原発周辺自治体ごとのがんの人の割合、事故から検査までの期間をふまえて解析してみると、被曝量と病気の相関関係、つまり「量―反応関係」も見えてくるという。 私:反対に、津金昌一郎氏は、現時点では放射線の影響で過剰にがんが発生しているのではなく、「過剰診断」による「多発」とみるのが合理的だという。 A氏:津金氏は、大人の甲状腺がんについては韓国の報告で、「過剰診断」による増加が明らかだという。 精度の良い検査の普及などで韓国では1年間に甲状腺がんと診断された人は1993~2011年の18年間で15倍に増えたが、亡くなる人の数はほとんど変わらないという。 一方、放射線の影響という主張に対し、津金氏がそうではないと考える一番の理由は、地域ごとの放射線量とがんと診断された子どもの数が比例する「量―反応関係」が見られないと判断できるためだという。 現時点では疫学的にはデータが少なすぎ、放射線量が高かった地域ほど、がんの子どもの割合が高いとは評価できないという。 両氏とも放射能の「量―反応関係」にはもっとデータが必要ということか。
2015.11.20
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私:この記事はあるブログの主人公が、高給取りのはずのグーグルの社員なのに、今年5月から社内の駐車場に止めた全長約5メートルのトラックで暮らしている話が載っているもの。 しかし、俺が特に興味をもったのはグーグル社の厚生設備の充実ぶりだね。 A氏:記事によると、グーグル本社は広大な敷地があり、あちこちに無料で日替わりの食事が食べ放題の社員食堂がいくつもあるという。 朝食から夕食まで、毎食温かい料理が振る舞われ、カフェやスナックだけを食べられるような場所もたくさんあり、さらに、自転車で通勤する社員が到着して一汗流せるよう、シャワールームも完備。 ジム、ビーチバレーのコート、ジャクージ、コインランドリー、クリーニングのサービスまであり、建物は24時間開いているため、生活に必要なものには社内の駐車場から問題なくアクセスできるわけだ。 私:IT企業社員が流入し、シリコンバレーは空前の家賃高騰が起きているという。 だから、一人暮らし用のスタジオ(日本で言う「ワンルームマンション」のやや大きなもの)でさえ、家賃平均は月2180ドル(約26万円)。 だから、トラックを家代わりにしても、会社の充実した厚生設備のおかげで生活できるというわけだ。 A氏:この記事の主人公の例では、毎朝午前5時半ごろ起床。 車から自転車を出して、まずはジムへ直行し、運動して一汗流してから、シャワーを浴びる。 会社の食堂で朝食を食べ、午前8時ごろから仕事を始めて、再び社員食堂で昼食をとり、午後4時ごろまで働く。 その後は同僚とおしゃべりしたりして、夕食も社内食堂で食べ、再びシャワーを浴び、午後9時ごろまでに車へ。 寝る前にブログを更新したりして就寝。 私:こんな生活すら可能にしてしまうぜいたくな会社の福利厚生。 これはグーグルに限ったものではない。 シリコンバレーのIT企業は無料の社員食堂やジム、シャワールームなどを備えている会社が多くある。 シリコンバレーは一歩会社を出ると周囲には店も何もない場所が多い。 社員は朝から晩まで広大な敷地の社内から一歩も出ず、プログラミングに没頭することになる。 会社としては、食事のたびに車で社外に出てうろうろされるより、働きやすい環境を整えたほうが仕事の効率が上がるという面もあるようだ。 でも女友達の影が薄いように感じたね。
2015.11.19
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私:来年の裁判員候補に選ばれた人たちに通知が届く季節になったが、さまざまな理由で辞退する人が今や3人に2人となっているという。 そこでこの欄では裁判にゆかりある3人に聞いている。 3人のうち、裁判傍聴芸人という変わった肩書の阿曽山大噴火氏の意見が一番俺の考えに近かったね。 A氏:阿曽山氏は「裁判員、俺はやりたいですよ。経験がネタになるし、どういう議論してるのかが気になりますしね」と言う。 私:実は俺は4年前の11月に裁判員候補に選ばれた。 裁判所からの郵便でビックリ。 俺は断るつもりはなかった。 阿曽山氏同様、どういう議論しているのかが気になるという好奇心からだね。 日常と別の世界だから、飛び込んでみたかった。 A氏:結局、裁判に出たの。 私:最初、裁判所に呼ばれて行ったら、20人位来ていた。 若い人、老人といろいろな人がいた。 まず、プロジェクターを使って、裁判する事件の説明が詳しくあった。 たしか、強盗事件だったね。 A氏:その事件に利害関係がある人は避けたいわけだ。 私:それから、5人ぐらいずつ呼ばれて、裁判長、裁判官、検察、弁護士が座っているテーブルの向かい側に座る。 10分足らずの面接だね。 そのとき、裁判長から裁判員の役割の説明があったね。 何があったかもう忘れたがね。 たしか、個人生活の負担は避けたいと強調していたように思う。 20人くらいいた人、全部の面接を終わってまた抽選で6人を選んだんだが、この抽選で俺は落ちたよ。 A氏:なんで6名のために20人も集めたのかね。 私:最後に裁判長から説明があり、当日、辞退者や検察や弁護人から拒否者が出るので余裕をみて来てもらったのだと弁明があったね。 日当は出たね。 まあ、裁判を身近なものにするには阿曽山氏が言うように 「裁判員になるなんてあっても人生で1回か2回。 本気で司法を市民の身近な存在にしたいんならば、それより裁判をもっと傍聴しやすくしたらいい。 会社勤めの人も見られるよう、平日の夜や土日も裁判を開いたり、国会みたいにテレビやインターネットで中継したり。 その方がオープンな裁判って感じがするんですけどね」 だね。
2015.11.18
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私:2日間のスペシャルだったが初日の予防編だけ見た。 認知症というのは予防できないと考えられていたが、最近の研究で予防できるということがこの番組でわかったね。 MCI(軽度認知障害)の段階で手を打てば予防できることがわかってきたという。 A氏:MCIというのは認知症と正常の間にある軽い認知障害だね。 私:人間の脳には神経細胞のネットワークがある。 MCIはそのネットワーク活動が関係しており、このネットワーク強化が改善になるという。 自分がMCIであるかを簡単に知る方法は「歩く速さ」と「バランス」だという。 秒速80cm以下の速さだと、MCIの疑いがあるという。 簡単に知るには、横断歩道の信号は秒速100cmで設定してあるので、青信号が点滅するまでに余裕をもって渡れればOK。 歩く速度が遅くなったり、外出をおっくうになったり、小銭で支払うのが面倒で紙幣で払うようになったとか、料理が面倒になりコンビニ弁当で済ますことが増えるという変化があると要注意だという。 A氏:認知症は、このMCIの段階で改善すれば予防できるというわけか。 私:アメリカの大学で、MCIの人に1日1時間の早歩きを週3日やり、1年間続けたら、MCIが改善されたという。 A氏:「歩く」というのは視覚、聴覚などいろいろ同時に脳を使うので、脳内ネットワークを活性化し、脳内血管を修復するのだね。 私:ただ、早足で歩くだけでなく、カロリー消費がポイントなので脈拍は120程度が望ましく、それで歩けば1回10分、1日3回でOKという。 フィンランドで研究した予防法は下記のようなもので、大きなMCI改善効果を実証したという。 1.1日30分の早歩き 2.軽い筋トレ 3.食事は脂肪をさけ、野菜、魚中心 4.1回10分の記憶トレーニングを週3回 5.血圧管理 MCIの治療薬も開発されつつあり、2020年頃には実用化されそうだという。 MCIは、飽食と、車利用などで「歩かなくなった」現代病だね。 これに対抗するためには、メタボ対策同様、個人の継続的な現代病脱却の努力が必要だね。歩数計はあるので脈拍計も買ったよ。
2015.11.17
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私:ノーベル経済賞受賞者のクルーグマン教授は、緊縮財政はお嫌いなようだね。 今月も、そのような論を展開している。 まず、2008年のリーマン・ショックに見舞われたとき、FRBやほかの中央銀行は、従来の慎重な金融政策の考えよりも、金融システムを支えることのほうが優先すると理解し、オバマ政権や先進諸国は、不況時の財政赤字は有益であって、有害ではないとわかっていて、そして紙幣の増し刷りや借り入れが功を奏したという。 あのときは十二分に起こりうると思われた「世界大恐慌」の再来は、回避されたのであると高く評価しているね。 A氏:ところが、すべてに狂いが生じた。 2010年、大西洋の両岸にいる政策エリートたちは、いささか唐突に、失業率を心配することをやめて、その代わりに財政赤字の心配を始めることにしたという。 私:財政赤字は危険だという不吉な話は、みんながそう言っているからという理由で、誰もが話題にするようになり、反対する者はもはや尊敬の対象ではなくなった。 だから教授は、時の正統派の政策をオウムのように繰り返す連中を「大マジメ君たち」と呼び始めたという。 財政赤字ばかりを、とやかく言うのは間違いだし、破滅的でもあり、主要国にとって政府の借金が問題だという十分な証拠はないけれど、経済が低迷するなかで歳出を削減すれば不況は深刻化する、という証拠なら山ほどある。 そんな指摘を教授たちの何人かがしようとしたが、それも無駄だったという。 A氏:短期的に景気を押し下げる政策が、長期的にも損害をもたらすという考えは、広く「ヒステリシス(履歴現象)」と呼ばれているという。 素晴らしく由緒正しい考え方で、その論拠は、オリビエ・ブランシャール氏と、ローレンス・サマーズ氏による1986年の著名な論文で示されたという。 不況にもかかわらず財政支出を削減した国は、自らの経済を傷め、ひいては将来の税収にも打撃を与え、国の借金さえ、むしろ増えてしまうのだとしている。 私:教授はここ数年で目につくのは、間違っていたことを認めようという人物がいかに少ないかであるとして、破滅的な政策に喝采を送った「大マジメ君たち」が、この経験から何も学ばない恐れは十二分にありそうで、それはそれで、経済の見通しと同じくらいに恐ろしいと警告している。
2015.11.16
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私:「社説」は普段あまり読まないのだが、例の横浜のマンションの旭化成建材の杭打ち問題を扱った「社説」は興味があったね。 ポイントをついている点が多いと思ったね。 横浜市のマンションでの不正が明らかになった10月、旭化成建材の幹部は、工事の現場責任者について「ルーズな感じがした」と、原因が個人の資質にあるかのように話していたが、偽装はこの人物に限らず、なかば常態化していたことがわかったね。 同様の不正をした人数は50人以上にのぼるという。 A氏:問題の50人以上の大半は、旭化成建材に出向していた別会社の従業員で、様々な会社の現場を渡り歩いていたので、今回の266件は氷山の一角で、他社でも偽装があったのではと考えるのが自然だろうと「社説」は述べているね。 私:大手のジャパンパイルが一部の杭工事でデータを流用していたことも明らかになり、自治体レベルでは、他社の工事にも広げて調べる動きが出ている。 「社説」は国交省が率先して業界全体の調査に乗り出すべきだという。 A氏:問題の背景として、ゼネコンなど元請けの「現場力」の低下も指摘されていて、コスト削減で、現場に常駐する元請け社員が減り、一人あたりの仕事は増え、現場監督なのにデスク仕事に追われ、工事を見極める力が弱まり、その結果、下請けまかせになり、基本的な工事でもヒヤリとすることが少なくない、と専門家は言っていると指摘している。 私:実際、横浜の件の元請けである三井住友建設は、多くの杭打ち工事に立ち会っておらず、同社は「管理に落ち度はなかった」というが、ではどこに問題があったか検証すべきだと指摘。 元請けには現場を管理し、何よりも安全を優先する責任がある。 「現場力」の向上には何が必要か。 国、自治体、業界は、識者の意見も聴いて早急に改善策を練ってほしいと「社説」は要望しているね。 A氏:日本の強みだった伝統的な「現場主義」が消えつつあるようだね。 私:ところで、三井住友建設も旭化成建材も品質管理システムの国際規格であるISO9001の審査を受け認証している。 このシステムでは書類が増え、管理者はデスク業務に追われ、形式的な書類主義になりやすいと言われている。 偽装データも紙の形式さえ整っていればいいという考えからだろうか。 「社説」はこれにもふれてほしかったね。
2015.11.15
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私:この欄は東工大教授の山室氏が連載しているものだが、今回、珍しい記事を書いている。 江戸時代の牢屋の会計記録で、江戸は小伝馬町にあった町奉行管轄の牢屋に何人の囚人を収容し、何にいくら出費したかの帳簿が明和7(1770)年についてだけ稀有にも残されていた(『日本財政経済史料』巻1)。 この幸運に乗って、当時の牢屋事情を会計面から覗いてみようという記事で、珍しい情報だね。 A氏:1日平均371人の囚人が滞在とあるね。 1人あたり平均58日もの入牢は気が滅入るが、吟味が済むまでは出られないんだね。 食費は、総経費の18%で収まっていて、1人1日15文の定めで、米に換算すると2・7合。 ほかに1・9文の茶が9万4352人分供されており、毎日とはいかないまでも3日に2日は1服のお茶を口にできたことが分かる。 私:行水もできた。 その薪代が1人あたり13文かかり、冷水で済む夏季を除いて概算すると5日に1度程度は湯を浴びられたことになる。 1人ぶんの行水の湯を沸かす薪に1日の食事代にほぼ匹敵する金額がかかるとは、江戸における薪の貴重品ぶりが知られる。 そんな高価な炭薪も含め、蝋燭や筆墨紙などの物品購入が27%を占める。 A氏:病人への出費が手あついのは意外。 1貼21文の薬を14万9129貼、さらに52人の病人には高価な朝鮮人参を30両、また医師3人が常駐し、その給料が年間32・5両で、総経費の26%が医療費にあてられている。 お茶も行水も医療のための朝鮮人参も、囚人への当然の待遇と認識されていたのだね。 私:伝馬町と両溜の収容者数計3301人は、当時の江戸の町方人口50万余人の0・65%。 検挙率を低めに見積もっても、当時の人口あたりの犯罪発生率は民事も含め2~3%程度と平成日本にまさる治安の良さだったようだ。 官の温情、民の温和。 「一冊の帳簿から、ゆかしい江戸が開けてくる」と山室氏は結んでいる。
2015.11.14
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A氏:君は横浜市のマンションが傾いた問題で元請けの三井住友建設が何故、問題にならないのかといっていたね。 私:杭打ちの場所と杭の長さは元請けで設計するからだ。 設計がしっかりしていれば現場はただ杭を打ち込めば地盤の固い支持層に届く。 設計通り杭打ちして地盤に食い込まなかったら設計ミスとなるからだ。 A氏:その元請けの三井住友建設がやっと11日に、問題発覚後初めて会見し、工事全体の管理責任を認めて謝罪したと報じているね。 君は、今度の問題で杭打ちに関連して次のように4つのデータをあげていた。 データ1――ボーリングの地盤調査データ データ2――これによる杭の長さと杭打ちする場所の設計データ データ3――杭が地盤に打ち込まれた証拠データ データ4――打ち込んだ杭に流すセメント量のデータ 私:横浜のマンションでは杭6本が地盤の固い支持層に届かず、2本が打ち込み不足。 元請けの事前のボーリング調査では、支持層を深さ14メートル(データ1)と推定して杭を発注したが、実際の支持層は深さ16メートルで、長さ不足の杭が打ち込まれた。 旭化成建材の関係者は「三井住友建設の設計通り(データ2)に杭を打った。 設計に問題があるのでは」と話す。 だが永本副社長は設計ミスとの指摘を否定。 「(事前調査は)地盤の深さ、地質を推定するための暫定値(データ1)」として、実際の地盤の状況の確認は旭化成建材の責任と主張したという。 A氏:重要なデータ1が「暫定値」とはね。 責任のなすりあいだね。 私:三井住友建設の説明では、なんのためにボーリング調査をやり、設計をしたのかがわからないね。 今度の問題で、重要なのはこのデータ2の設計ミス問題だね。 設計者は、自分の設計が問題なかったかデータ3で見届ける必要があるだろう。 設計しっぱなしでは、設計者は図面描きで技術者でないことになる。 設計のマネジメントの欠如だね。これが、今回の問題の根本原因だね。 A氏:国交省幹部は「実際に不正をしたのは下請けだとしても、元請けの確認が不十分だったと言わざるを得ない」と指摘しているという。 三井住友建設への処分も検討しているという。 私:野球で言えば、マネジメントは監督がやり、プレイ中はベンチで選手の動きをよく見ているね。 三井住友建設はISO9001をとっているそうだが、品質マネジメントシステムが空転しているね。
2015.11.13
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徹底検証日清・日露戦争 私:バルチック艦隊を見つけたのが27日早朝だったのに戦闘開始が午後2時頃。 実は、その間に日本海軍は駆逐艦と水雷艇でロシア艦隊の目の前で連携機雷をまくという作戦であったが、当日の荒波のために実施できず、戦闘開始が遅れた。 A氏:「本日、天気晴朗なれども浪高し」だね。 私;連携機雷の奇襲は長い間、極秘にされ、それを隠すため、T字戦法をやたらに持ち上げたという。 T字戦法の宣伝は敵もだまし味方もだますカモフラージュ。 午後2時開始の海戦は最初の30分で勝負が決まったという。 距離も6千メートル接近して併航して撃つのでどんどん当たる。 その日の夜間に駆逐艦、水雷艇約50隻で魚雷攻撃し、戦艦撃沈、巡洋艦2隻大破する。 翌28日の午前10時半、連合艦隊は27隻の総掛かりで敵の敗走艦隊を包囲して砲撃を開始。 退路を断たれたバルチック艦隊はついに白旗をかかげて降伏。 2日間の戦闘でロシア艦隊は38隻のうち戦艦6隻とほか19隻が撃沈され、戦艦2隻を含む7隻を捕獲。ウラジオストクにたどりついたのは駆逐艦2隻、輸送艦1隻のみ。 日本の損害は、夜襲時の水雷艇3隻。 A氏:戦死者はロシア側4800人、日本側117人、捕虜はロシア人610人。 私:世界の海戦史においてこれ以上の完全勝利はまず、ないという。 しかし、政府は勝ちに驕ることなくよく戦争をやめたね。 明治の軍人は「己を知っていた」のだね。 A氏:日露戦争に日本が勝利してから、ヨーロッパ列強の植民地とされたアジア諸国の独立運動の闘士たちにとって日本は希望の国であり、比較的安全に独立運動を推進できる拠点となった。 インド、フィリピン、ミャンマー、ベトナム、アフガニスタン、トルコなどの国の独立闘士が来日したが、日本政府が支援したのでなく、頭山満らが彼らの面倒をみた。 頭山満は衰運に乗じてその領土を盗むようなことが嫌いで、日韓併合も、満州事変も、日中戦争も反対で心から怒っていた。 私:安倍首相は、日露戦争は多くの植民地の人に希望を与えたというが、以後の日本は頭山満とは逆に東アジア植民地化の道を進む。 日本軍自身は以後日露戦争に学ばず勝利に浮かれ、明治の軍部のリアリズムを忘れ、太平洋戦争に突入する。
2015.11.12
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徹底検証日清・日露戦争 私:日露相互の海軍戦力は、戦艦はロシア8隻、日本4隻で、勢力的にはバルチック艦隊が上だが、巡洋艦、駆逐艦、水雷艇まで含めると日本が勝っているし平均速度も速い。 ロシア艦の船底は長旅で汚れていたので速力は出ず、日本艦との速力差は大きかった。 25センチ以上の大砲は、日本が24門、バルチック艦隊は41門とまさっているが、20センチ以下の速射砲では日本は337門、ロシアは208門で日本のほうが多い。 A氏:訓練の差もあったようだね。 私:バルチック艦隊は7ヶ月の航海の間、艦隊運動も砲術訓練もしていなかったが、日本の連合艦隊は対馬や朝鮮半島の鎮海湾でかなり訓練を積んでいる。 最初はさっぱりダメだったが、ある時点から命中率があがったという。 しかし、実戦では波が荒いと当てるのはむずかしいね。 私:バルチック艦隊がウラジオストクに入港する前に全滅させるのが日本の連合艦隊に課せられた任務だ。 そこでバルチック艦隊が対馬海峡を通るか、津軽海峡を通るかが問題になるが、東郷は対馬海峡だと明言したと「坂の上の雲」にあるが、史実は違うという。 5月24日、東郷はすでに津軽海峡への移動を準備していた。 間際に参謀3人が対馬海峡を主張したので移動を待った。 これがよかった。 26日にバルチック艦隊の石炭輸送船が上海に入港したという情報が入り、対馬海峡突入が確定的になる。 A氏:日本海軍の基本戦策は「七段構えの作戦」で対馬からウラジオストクまでの海域を7つに区切って、昼間は主力艦隊による総力決戦、それが終わった日没後は駆逐艦・水雷艇を使って魚雷攻撃をかけるというものだ。 これを繰り返し、敵の残存艦をウラジオストクへと追い込み、最後は港口に敷設した機雷で全滅させる作戦だね。 戦隊は伝説のT字型でなく、実は併航戦だね。 5月27日、いよいよ海戦が始まる。
2015.11.11
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徹底検証日清・日露戦争 私:奉天会戦では日本軍25万対ロシア軍32万、大砲の数は日本990門、ロシア軍1200門。 10日間の奉天会戦が終わってみれば日本軍が撃った砲弾数36万発、弾丸は2千万発。 対するロシア側も砲弾54万発、弾丸8千万発でまさに死闘。 ただ、ロシア軍は野戦砲を重視したが日本軍は重砲の比率が高く、火力では日本は健闘。 この戦いもロシア軍の退却で日本軍は3月10日に奉天城に入城し、戦闘終結を宣言する。 日本軍の死傷者7万人、ロシア8万人で捕虜2万人。 日本軍は奉天会戦で勝利したが、日本には直接部隊を指揮する少佐、大尉、中尉クラスの戦死者が多く、いくら内地から新兵を集めてもすぐに戦力にならない。 ロシア側は戦争を続けるつもりだが、日本には次のハルピン決戦にのぞむにはもう兵力はない。 必要な軍備が揃うのには1年かかる。 児玉源太郎は講和工作を急がせるために急ぎ帰国する。 A氏:旅順戦や奉天会戦の後でもアメリカのルーズベルト大統領が「このへんで手を打たないか」とロシアに打診しているが、バルチック艦隊がウラジオに向かっている途中だからとロシアは、はねつける。 ロシアはバルチック艦隊が行けば大勢をひっくり返せるはずだと思っている。 私:日本海軍もバルチック艦隊こそ主敵でそれが最終決戦だと思っている。 大小40隻からなる大艦隊バルチック艦隊は、奉天会戦の頃、まだアフリカのマダガスカルにいた。 日本の同盟国のイギリスはバルチック艦隊の行く先々で露骨なほどの嫌がらせをするね。 A氏:日本海海戦は当時の最新鋭同士がぶつかった珍しい戦争で、ロシア艦隊のほとんどはフラン系の設計、日本艦隊はイギリス系だから、英・仏の技術決戦とも言える。 私:いよいよ日本海海戦が日露戦争のとどめの戦いとなるね。
2015.11.10
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徹底検証日清・日露戦争 私:陸では、いよいよ、8月26日から遼陽で、両軍が対決する。 ロシア軍が22万5千人、日本軍が13万5千人。 戦いとしては5分5分だったが、ロシア軍のほうがなぜか先に戦闘を打ち切ってしまう、あるいは退却するという形が多くて、日本の方はよくわからない。 たまたま向こうが先にやめてくれたので日本は勝った。 敵将クロパトキン本人は戦略的撤退だと強調しているが。 がっぷり四つに組んで戦っている場合には被害は両軍ともさして違いがない。 このときも、死者数はロシアが2万、日本が2万3千。 A氏:あれだけ兵力差があってそれでも日本が勝ったのは、日本は負けたら後がない。 絶対にひけないと死に物狂いで戦う。 一方、ロシア軍は「下がってもいい」という気持ちで戦っている。 その差が出た。 後ろにさがってチャンスを待つのはロシア軍の伝統だね。 私:クロパトキンは9月4日、奉天方面へ一斉退却を命じる。 日本軍は遼陽に入場し、遼陽会戦は日本の勝利で終わる。 一方、旅順戦は8月から開始されるが、203高地の強固なトーチカを相手に死傷者6万人をだして苦戦する。 途中、要塞爆破のため28センチ榴弾砲18門による攻撃をするが、実は、要塞を破壊する効果はなかったという。 むしろ山越えで旅順を攻撃したら、ロシア軍の軍艦に命中してすでに旅順艦隊は壊滅していたという。 A氏:多くの戦死者を出して「203高地を占領後、弾着観測班が山頂にあがって計測してから、28センチ砲をどんどん港に撃ち込んで旅順艦隊を撃沈した」というのは事実と違うんだね。 私:山越えの砲撃で戦果をだしていたのなら、日本軍は多くの死傷者を出して、無理に203高地をとることもなかったのにね。 乃木さんも自宅に投石されることもなかった。 想定外は戦争の常だがね。 いよいよ、2月の厳冬の満州で、日露戦争最大にして最後の奉天会戦となる。
2015.11.09
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徹底検証日清・日露戦争 私:日本の海軍は船団護衛でなく航路護衛主義だった。 ところが、制海権さえ押さえておけば大丈夫と思っていたら、ウラジオ艦隊があちこちに出没したので驚く。 上村第2艦隊はウラジオ艦隊の撃破を命じられていたが、敵は逃げ足が速いし、濃霧に紛れ込んだりしてなかなかつかまらない。 A氏:そのうち、大胆にも津軽海峡を通って太平洋側まで脅かすようになる。 7月下旬にはとうとう東京湾に姿を現した。 私:これは大変だというので大本営命令が出て、上村艦隊のあっちへ行き、こっちへ行きが始まる。 司馬遼太郎氏は「坂の上の雲」で「日本の国内の世論はこの上村の不運に対して冷酷」とあるが、上村さんの家には石を投げられたという。 203高地で多くの戦傷者が出た時も、乃木さんの家は投石されたね。 A氏:8月14日早朝、朝鮮半島の蔚山沖でようやくウラジオ艦隊を捕捉する。 捕捉できたのは、ロシア軍の通信を日本が傍受できたからだという。 戦いとしてはそれほど戦果がなく、3隻のうち2隻は取り逃がすが、結果的にはこの戦いをもってウラジオ艦隊は滅んだね。 私:ウラジオ艦隊との関連で見落としてならないのは、日本の守り、海岸要塞の役割だね。 明治37年7月、ウラジオ艦隊は、津軽海峡を通って東京湾の入り口まで来たが、東京湾には要塞ががっちりかまえていたので湾内に入らず帰っていった。 もし、湾内に入り、東京や横浜を砲撃されていたら、海軍の戦略は大変更を迫られただろうね。 A氏:日本各地の海岸の要塞が抑止力になっていたんだね。 私:2月以降、東郷艦隊が粘っても出てこなかった旅順艦隊が8月10日朝、ついに全艦隊、港の外に出てくる。 これが黄海海戦だね。 日本はT字戦法で臨むがロシアの艦隊に戦意がなく逃げしてしまう。 この戦法の欠陥だね。 この海戦でのT字戦法の失敗が、後の日本海海戦の併航作戦に見事に活かされる。 いずれにせよ、黄海海戦で旅順艦隊は激しく損傷し、以後、大規模な海戦を行うことはなかった。
2015.11.08
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【日時指定不可】【銀行振込不可】【2500円以上購入で送料無料】【新品】【本】徹底検証日清・日露戦争 半藤一利/著 秦郁彦/著 原剛/著 松本健一/著 戸高一成/著 私:明治37年2月4日の開戦決定まで計5回の御前会議」が開かれる。 明治天皇は慎重であったようだ。 日露戦争の幕開けは2月8日の旅順港奇襲作戦だ。 7日深夜、仁川にいた日本の巡洋艦は同じく仁川にいたロシア艦2隻を攻撃し、これを沈める。 前哨戦ながら黄色人種の日本人が白人を破った最初の戦いとなる。 A氏:ところが肝心の旅順艦隊は港から出て勝負しない。 そこで港の閉塞作戦になるね。 私:全部で17隻沈めたが全部航路からはずれたところだったのであまり効果がなかった。 だから、海軍は陸から旅順の要塞攻略を陸軍に要請する。 一方、5月に陸戦が始まる。 第1軍は朝鮮半島に上陸し鴨緑江を攻める。 第2軍は遼東半島から北上し遼陽を目指す。 乃木将軍の第3軍は後から海軍の要請で旅順包囲戦に向かう。 南山はロシアの防備が固く苦戦する。 日本はそれを甘く見ていた。 日清戦争で使った全砲弾の数を1日で使ったという。 A氏:第3軍も旅順の要塞で苦戦するね。 私:児玉源太郎は旅順攻撃そのものは懐疑的だったという。 それが、あえて深入りしたようだね。 ロシアは陸軍も海軍も持久戦をとるという民族性がある。 大陸国家だから持久戦が得意だね。 退却に退却を重ね、追いかける方の兵站が切れたり、息が切れたりすると見るや猛然と巻き返してくる。 ロシア側は公海上に50個もの機雷を敷設したので日本の艦船はわずか6日間で艦艇8隻を失う。 A氏:一方、日本近海がウラジオ艦隊におびやかされ、陸軍の輸送船が対馬海峡を航行中にやられ撃沈される。 私:太平洋戦争でもそうだが、日本海軍は不思議なくらい未防備なまま輸送船を送り出す。 明日は、一時、東京湾に侵入しようとしたこのウラジオ艦隊の活動にふれよう。
2015.11.07
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徹底検証日清・日露戦争 私:日清戦争の講和後、三国干渉で勝利の喜びから奈落の底に落ちる。 そして仮想敵国はロシアとなり戦えるだけの軍備を整えることになる。 国家予算の4割強を軍事費に当てる。 この国を挙げての苦闘に光がさしたのが明治35年の日英同盟だ。 イギリスはロシアの南下に対応して、アジアのどこかと手を組むかというと日本しかない。 日本の戦艦6隻、装甲巡洋艦6隻のうち、2隻の巡洋艦以外はイギリスの建造。 1880年(明治13)から1904年(明治37)の間、すなわち、日清戦争の14年前から日露戦争開戦までの期間にイギリスが請け負った軍艦のトン数で比較しても日本は13.8トンで、2位のチリの2.7トンの5倍強。 イギリスに限らず世界各国が国外に発注した軍艦のトン数でみても日本は15.7万トン、2位のアルゼンチンは5.1万トン。 A氏:日本はイギリスの海軍軍需産業の最大の顧客だね。 私:しかもイギリスは最新鋭艦を供給した。 それにしても、明治30年代、イギリスは戦艦37隻をもっており、海軍力はアメリカ16位、日本は32位。 イギリスと同盟していなかったら、日露戦争は勝てなかったろうね。 この頃の政治家や外交官は藩、または政府からの留学経験者だから対外的な手当を丁寧にやっている。 ロシア国内の撹乱をねらった明石元二郎に渡した工作費用が今に換算すると600億円だという。 日本陸軍もドイツのメッケルの指導で強くなる。 海軍もイギリスのダグラスの指導を受ける。 A氏:国民は我慢に我慢を重ね、軍備には惜しみなくカネを投じて、日露戦争の直前には海軍力は世界32位から第5位に躍り出た。 しかし、ロシアはその2倍で旅順艦隊とバルチック艦隊の2大艦隊を擁している。 私:ロシア陸軍は75師団、日本が13個師団で輜重兵などを入れても兵力24、5万人、これに対してロシアは2百万人。 当時、国民総生産(GNP)という概念はなかったがロシアと日本のGNPがおおよそ10対1、太平洋戦争のときのアメリカと日本も同じく10対1。 しかし、世論は日露戦争の賛成が増加する。 日清戦争に比較するとすごい緊張感だね。
2015.11.06
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徹底検証日清・日露戦争 私:成歓の戦いで日本が負けていたら、日本軍は朝鮮半島から駆逐され背後からロシアも出てきて日本は大変な窮地に陥ったと予想される。 日清戦争の軍事作戦は相当危ない橋を渡っていた。 このとき、負けたときのことを考えていたのは参謀本部の川上操六だけだという。 本土決戦まで視野に入れた計画を練っていたという。 彼の考え方はアメリカ流の危機管理思考だという。 勝った時のことをしか考えないのは、太平洋戦争の陸海軍が最たるものだね。 真珠湾攻撃が失敗したらどうするかということなどまったく考えていなかった。 A氏:ここまでが前哨戦で8月1日に宣戦布告し、日清戦争が始まる。 9月17日に黄海海上で日本海軍と清国の北洋艦隊が制海権を賭けてぶつかる。 私:当時の日本海軍は弱体で軍艦も輸入艦。 清の主力艦の半分の4千トン級の小さな艦だね。 中心となった軍艦3隻も大砲を撃ったらたちまちこわれ、海戦の間中、打った弾はわずか3発か4発。 開戦前にイギリス情報部が発表した兵力比較では海軍は百対十八で圧倒的に清国が有利。 そこで日本軍は巡洋艦中心の攻撃で作戦を立てた。 こうして敵艦12隻のうち、4隻を沈め、こちらは無傷。 黄海海戦は事実上、日本海軍の初陣で、戦闘経験のない軍人も多かった。 A氏:黄海海戦の勝利で制海権を確立したので、大陸に兵力を安全に送れることになり、陸軍は遼東半島に上陸し、旅順はあっという間に落ちる。 私:陸戦は、不利となると清国軍はすぐ退却する。 清の皇帝は満州族だから、漢人たちには我が身を投げ出すというモチベーションが働かない。 全局面を通じて清国軍はやる気がなかった。 日清戦争の勝利で3.1億円という国家予算の4倍もの賠償金を手に入れた。 福沢諭吉は、最初戦争に反対だったが、途中、賛成に変わる。 最後まで反対したのが勝海舟。 日清戦争に勝つまでは、日本は中国文化に対して深い思い入れがあった。 その偉大なる中国への幻想と日清戦争の現実のギャップがある種の侮蔑感につながるね。
2015.11.05
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徹底検証日清・日露戦争 (文春新書) (新書) / 半藤一利/著 秦郁彦/著 原剛/著 松本健一/著 戸高一成/著 私:このブログで松本健一氏の著書「『孟子』の革命思想と日本・天皇家にはなぜ姓がないのか」と「真贋・中居屋重兵衛のまぼろし」と2冊とりあげたが、特に後者の著書で松本氏に興味を持って、図書館に著者名で検索したら、この「徹底検証 日清・日露戦争」が検出された。 対談の5氏は、日本の近現代史に知識が深い錚々たるメンバーなので早速借りることにした。 新刊でないのですぐに入手出来た。 まず、日清戦争だがこの性格をめぐる論争は未だに決着がついていないという。 防衛戦争なのか国民戦争なのか、戦後、マルクス主義が盛んだった時代には帝国主義戦争かという議論もあり、「早発的帝国主義」という概念までひねりだしたという。 A氏:日本は幕末の頃、植民地化されるかもしれないと危ぶまれたときでさえ、意気だけは軒昂で吉田松陰は「アジア全域を征服してインドまで行く」というし、橋本左内は「アメリカ大陸まで行く」と付け加えるという調子だった。 私:明治になってもその精神は変わらず、征韓論があり、明治7年に台湾出兵、翌年、江華島事件と、軍事行動を起こしている。 当時は「侵略」という概念がないから「膨張」だという。 民族精神が高揚するときは自然に膨張主義になりやすいという。 日本は文明国になったのだからそれを押し広めて行く途中でだらしのない国を奪い取るのは一向に差し支え無いと明治の人は考えていた。 A氏:朝鮮の内乱鎮圧のために派遣されていた清国の軍隊を日本軍の力で駆逐してもらいたいと朝鮮の特命全権大使大鳥圭介から要請があり、日本は戦争を仕掛けていく。 私:一度動き出したら最後、振り上げた拳は振り下ろすしかないという感じで、軍人が主導権を握ってしまう最初のケース。 満州事変、支那事変とその後、日本陸軍はこのパターンを繰り返す。 A氏:前哨戦が明治37年7月29日、成歓で兵力は互角の清国軍と正面衝突し圧勝する。 続く9月15日の平壌の戦いでも圧勝。 私:司馬遼太郎氏は「坂の上の雲」で「勝因はこの頃の中国人が国家のために死ぬという観念をほとんどもっていなかったためである」と締めくくっている。
2015.11.04
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私:旭化成建材の杭打ち偽装で、工事全体の管理・材料発注などをしている元請けの三井住友建設の話が出てこないのが不思議だと思っていたね。 A氏:君は、杭打ち関連で以下の3つのデータ(最後に1つ追加で4つのデータ)をあげていたね。 データ1――ボーリングの地盤調査データ データ2――これによる杭の長さと杭打ちする場所の設計データ データ3――杭が地盤に打ち込まれた証拠データ データ4――打ち込んだ杭に流すセメント量のデータ 今回、主に問題になったのはデータ3だがこの重要なデータを「雨が降ったから」とか「装置の故障」などで現場で取れないので偽装したのではと幼稚な説明を旭化成副社長が昨日の記者会見でしていのには驚いたね。 私:今回の横浜市の「傾斜マンション」ではこの4データのうち、データ1とデータ2は元請けの三井住友建設で扱ったものではないのかね。 それがマスコミ報道では明確で無いね。 データ1とデータ2が正確でないと、いくら現場で設計通り作業をしても正しい杭打ちはできないね。 三井住友建設の設計者は、自分が設計した杭で問題なく地盤に打ち込まれたか気にしないのかね。 気にしていたら、データ3は打ち込みが終わったらすぐみたいはずだがね。 杭の品質を保証するには、この4つのデータの一貫性が重要だが、誰が一貫して管理しているのかね、 元請けの品質管理も問題だね。 ついでに、三井住友建設はISO9001を2002年に取得している。 A氏:旭化成建材については建設業法にもとづく国交省の立ち入り検査が始まった。 国交省はさらに、横浜のマンションの元請けのゼネコン、三井住友建設についても調べる方針だという。 私:今回、横浜では元請けの担当者は最初の1本目の杭打ちには立ち会ったものの、それ以降は旭化成建材から提出されたデータで確認しただけだった。 こうした対応が元請けの役割に照らし問題がなかったか、国交省は関心を持っているという。 元請けと直接契約していた1次下請け、日立ハイテクノロジーズも調査の対象だ。 契約では、杭工事の安全面や工程管理を担うことになっていた。 ただ、同社の社員が現場に常駐していたのかなどについて同社広報は「まだ調査中」。 もし必要な管理業務ができていないと、建設業法が禁じる「丸投げ」に当たる可能性もあるという。 今後の調査結果を待ちたいね。
2015.11.03
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A氏:総務省が発表した9月の製造業の就業者は、1961年6月以来、54年ぶりの低い水準となったという。 海外移転した生産拠点は円安でも戻りが鈍く、長期的な就業者、働く場の減少に歯止めがかからないようだ。 一方で、増え続ける介護など医療・福祉の職場は、賃金など課題も多いようだね。 私:9月の製造業の就業者は前年同月比42万人減の992万人。 2012年12月の調査で半世紀ぶりに1千万人の大台を割り込んだが、景気回復もあって、いったんは持ち直したが、その力は弱かったようだ。 円高で海外に移った工場の国内回帰は、さほど進んでいないので、働く場は減少。 「企業は内部留保を積み上げるのではなく、国内で設備投資をして雇用を作ってもらいたい」と、30日の会見で塩崎・厚生労働相は産業界にこう注文をつけたという。 A氏:しかし、人口減で国内市場が細るなか、国内に積極投資して雇用を生み出そうとする製造業は少ない。 国内の新車販売台数は減少しているね。 7~9月期の実質GDP(国内総生産)について、民間13社の事前予測が出そろったが、平均は前期比で年率0・3%減。 一方、海外投資で得られる経常収支は黒字続きで企業に蓄積だね。 私:雇用環境を支えているのは、製造業に代わる「雇用の受け皿」として期待されている介護を含む医療・福祉。 この分野の就業者は前年同月比34万人増の786万人。 10年前からは4割増えたという。 ただ、介護は仕事がきつい割に賃金が安い。「老人いじめ」も問題になっている。恒常的に人手不足が続く。 A氏:これが経営に影響して、老人福祉や介護業者の倒産が相次いでいるという。 東京商工リサーチによると今年1~9月で倒産は57件に上り、前年を上回って過去最多となった。 景気が良くなって倒産は全体的に減っているのに、介護の分野では人手が集まらず、経営に行き詰まる業者が増えているという。 私:介護の需要の問題点は消費する人が自分で稼いだカネで消費していないことだね。 賃金があがると老人の負担が増加し、社会保障費の増加になるのではないの。 難しい問題だね。
2015.11.02
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私:旭化成建材の杭打ちデータの偽装が問題になっているが、今度は千葉県警の交通死者のデータ偽装が問題になった。 「交通死者、166人計上せず 千葉県警、『病死』加筆も 04~13年」という見出しでデータ偽装をマスコミが報じている。 千葉県警は、2004~13年の10年間、交通死亡事故の件数を165件、死者数を166人それぞれ少なく計上していたと発表。 意図的に過少計上した例が22件あり、小林昇交通部長は「死者数が全国上位で、1件でも少なく見せたかった。組織的な重圧があった」と陳謝したという。 A氏:兵庫県警では、「警官70人書類送検 同僚の名義借り、報告書作成容疑」という見出しで、交通違反の実況見分をしていない同僚に捜査報告書に署名させたとして、退職者2人を含む70人を虚偽有印公文書作成・同行使などの容疑で書類送検し、発表したと報じている。 また、関与を認めた10人を含む現職78人を戒告や訓戒、注意処分としたという。 私:70人の送検容疑は2009年8月~14年4月、担当者が自ら実況見分して見取り図などを作成したのに、同僚が作成したと偽って65件分の報告書に署名させたというもの。 うち1人は同僚の名前を報告書に無断記入したとして、有印公文書偽造・同行使容疑も加えた。 同僚を現場に呼ぶ手間を省くため、同僚に署名だけ頼む「名義借り」が横行していたという。 A氏:別件だが、教科書を発行する三省堂(東京都)が昨年8月、公立中学校の校長らを集めた会議で検定中の教科書を見せ、謝礼金を渡した問題で、北口社長が文部科学省の昨年時点の調査に、過去にも同様の会議があったことを知りながら、「ない」と虚偽の報告をし、文科省の追求で社長自ら虚偽の報告をさせたと認めたという。 私:学校の「いじめ」のデータ問題もそうだね。 最初の文部科学省の調査で「いじめ」ゼロと答えた学校に「いじめ」による自殺者が出た。 そこで再調査して、小学校で見つかったいじめが過去最多の約12万3千件に上る一方、中学では減り、全体では前年度より約2千件多い計約18万8千件だった。 現場の第一線からあがるデータは、互いに信頼感がないと要注意だね。
2015.11.01
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