“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2015.04.14
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料亭 恵の本 @川崎大師 ~350年の歴史をのせて江戸の味“はま鍋”(蛤鍋)のルーツを探る


 今日は、“はま鍋”(蛤鍋)のルーツを求めて、徳川四代将軍家綱のころ創業の川崎大師前『恵の本』へ。

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創業のころから出している“はま鍋”の御勉強をします。

 かつて川崎大師のそばは砂浜で、蛤がたくさん獲れたらしい。
現在、こちら『恵の本』で食べられるのは2008年に復活した木更津の“地蛤”
参考までに師匠長山一夫校長の書籍より、木更津の蛤の記事を引用させていただきます。

 「朝日新聞 2008年3月24日「復活江戸前ハマグリ 東京湾で40年ほど前に姿を消したとされるハマグリの生産に、千葉県の漁業者たちが成功した。沿岸にある木更津、富津両市の干潟での試験生産を終え、今年から本格的な生産態勢に入る。『江戸前』のハマグリが、再び庶民の味になる日も遠くなさそうだ。(有山産祐美子)

 木更津市の中里漁協は、漁港から船で20分ほどの距離にある干潟でハマグリ漁を行なっている。浅瀬に浮かぶ船内には、5cmほどのつぶがどっさり。多い日には計1tほどもとれるという。永峯善次郎組合長は『何十年ぶりのハマグリ漁。とにかく感激です』
 かってハマグリはアサリやノリと並び、東京湾でとれる「江戸前」の代表格だった。それが、高度経済成長期の湾岸の埋め立てや水質悪化で激減。いまや千葉県のレッドデータブックでは「消息不明・絶滅動物」に指定されている。

 本来のハマグリは、内湾の静かな水域を好む別の種だ。とくに東京湾のようなプランクトンの多い水域で育つハマグリはチョウセンハマグリに比べて甘みが強く、身も柔らかいのが特長という。
「江戸前ハマグリの復活」プロジェクトは、東京湾沿岸にある千葉県市川市から木更津市までの11漁協のうち、02年から中里漁協が始め、04年から残りの10漁協も参加。九州・有明海に残る「江戸前」同種のハマグリの卵を、養殖先進地の台湾で人工孵化。2cmほどの稚貝に育ててから東京湾に放流した。
中里漁協では06年4月に12tを放流、07年2~12月に25tを収穫した。当初は出荷できる大きさ(4.5cm以上)まで成長するのに2年かかると見られていたが、1年程度で成長したという。そこで県漁連は今年、放流量を約6倍の120tまで増やし、市場への出荷態勢を本格化させることにした。県漁連によると、一般に流通しているハマグリの店頭価格は1kgあたり1,000~1,300円。これに対し、江戸前ハマグリは1kg3,000~5,000円となっており、百貨店などで販売されているという。

字数オーバーにつき追記へ

 店は、入り口に近い建物の大部屋がメインの営業で、気軽な利用に対応しています。
真ん中の建物は料亭で、実は、このエリア唯一の料亭で、戦後すぐ経てた歴史ある建物が現存します。
ミシュラン川崎、横浜でここを紹介していれば、審査員はなかなかの通。
というのは、格式ある、普通はこちらに案内されないです。
奥に、御大師様の法要に対応する部屋があるらしいです。

 私は一応、文化人ということで料亭でお食事になるらしい。
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 さて、それでは、こちらの料理も勉強してみます。

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【八寸】 つぶ貝の木の芽味噌和え、唐墨大根、豚肉の松かさ焼き、山葵菜のお浸し


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【お造】 鮪とろ、鮃、赤貝

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【煮もの】 羽田の江戸前穴子を山椒煮
江戸前にこだわる一品の穴子、羽田の穴子
面白いのは神奈川の鮨屋などは羽田産、すなわち東京が多く、子安や小柴の神奈川産は東京の高級店が多い。
子安などの江戸前穴子は行くとこが決まっており、セリを通さず相対で取引されているためなのか・・

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【天ぷら】 天ぷら、海老、アスパラ、ししとう

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【酢の物】 〆鯖、胡瓜

 さあ、いよいよメイン登場です。

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 蛤には、下記の三種類がありますがご存知ですか?

(やはり長山校長の書籍引用で)
(1)ハマグリ…正式学名は「ハマグリ」・「ヤマトハマグリ」という。内湾の汽水域に生息し、柔らかく甘みがあり、最も美味なハマグリとして珍重される。江戸前鮨の貴重なネタの一つであったが、東京湾産は昭和43年に絶滅してしまい、三重県桑名・熊本県川口の一部では今でも獲られるが、漁獲量は少なく、サイズも小型のものが多い。 
(2)チョウセン(汀線)ハマグリ…外海に生息し、正式学名は「チョウセンハマグリ」という。「ハマグリ」と比較すると食感が少し硬めで、殻が厚く、その分、足の身肉の厚みが少し薄くなっている。甘み旨みも少し浅目で、足の先端は薄い赤色を帯びている。茨城県波崎・銚子・大洗・鹿島、千葉県旭と、九十九里から鹿島灘にかけて獲られる。「ハマグリ」が大量に獲られていた頃には、東京の高級すし店では決して扱われないものであったが、全国の「ハマグリ」が絶滅に近く、しかも適正サイズの入荷も全く無い長い年月の中で、適正サイズの漁獲も順調であったため、最高品として評価されるようになり、最高値を付けるようになった。しかし近年の資源の減少と、厳しい漁獲制限により、このチョウセンハマグリも超高値安定の状態が続いている。宮崎県の細島からも入荷し、大分県日向の大型ものは白碁石の加工原料として有名であったが今はもう獲られなくなっているという。
(3)シナハマグリ…中国から輸入されるもので、三重県四日市・津市・伊勢市の業者達によって蓄養され、出荷調整されながら通年出荷されて来る。殻はチョウセンハマグリよりは薄いが、足の身肉は痩せ気味で硬く、甘み旨みも少ないのだが、大量に輸入されて安価なため、大衆店や産地のみやげ物店などで便利に利用されている。

 本物の高級店で使うのは、本来はヤマトハマグリ。
ただし、蛤が二種類あることは意外と料理人には知られておらず、知らずに外湾の蛤、汀線蛤を使っていることが多いです。
 見分け方は、“汀線蛤”の殻のつなぎ目の形(三角形)と分厚いこと、そして足がピンクであること。
そして、身のしまりです。“汀線蛤”はかなり身が固くなります。

 さて、『恵の本』の蛤をご覧ください。

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写真を見ると、足がピンクなので、“汀線蛤”かと思いますね。
実は木更津の蛤の足はヤマトハマグリにも関わらずピンクなんです。
台湾で人工孵化させたことがあるんでしょうか。
ちなみに、元水産庁の上田勝彦さんは飲んでいる席で、DNAは同じだと言っておりました。

 鍋の地は味噌です。

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昔はもっと辛かったそうです。
これはなかなか!!
もっと大人数だともっといいねすね。

〆は雑炊です。

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古典江戸料理いいですね。

出典: http://harumi-sushi.sakura.ne.jp/zoho_sonogo/sonogo_19.html

料亭 恵の本 (えのもと)
神奈川県川崎市川崎区大師本町9-12
電話 044-288-2294








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Last updated  2025.08.17 14:52:13


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