“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2015.08.07
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カテゴリ: 産地・生産者訪問
 飲食店の勉強代行業の大久保一彦は麻布十番に出没しております。

 こちらの熟成肉は、ドライエージングでもなく、“枯らし”でもなく、ウエットエージングでもない、“発酵熟成”という唯一無二のスタイルです。

 今日、お勉強したのは、“発酵熟成牛”のリエット、

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“発酵熟成牛”たたきと生ハム、

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発酵熟成牛のハンバーグ、

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そして、発酵熟成の牛と豚のローストです。

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 ちなみに、“発酵熟成牛”については先日、こちらのオーナーの跡部氏と『四方よし通信』でインタビューしましたので、下記にペーストします。

1 跡部式“発酵熟成肉”とは

跡部(以下 跡):まず、そもそもの「熟成肉とは?」というところからお話をしましょう。私が、いろいろな店を見たり、肉を作ったりしながら感じていることを、明治大学農学部と一緒に進めている科学的な根拠をもとにお話したいと思います。今、流行の波に乗り、熟成肉をやっている店の方がたくさんおりますが、その方たちに「熟成とは何ですか?」と質問をしたら、大概の方たちは、「何週間寝かせました」とか、「何日間寝かしました」ということで“熟成肉”だと答える方が大半だと思います。確かに、この答えは間違いではありません。その一方で、人間であれば、食べ物を摂取して、炭水化物を摂ると、タンパク質が出て来て、そのタンパク質が今度はアミノ酸に分解されますね。このアミノ酸は旨味をグーッと引き出してくれるのですが、放置しておきますと、さらにアミノ酸がアミノ基というものに分解されていきます。このアミノ基が壊れた時に、アンモニアになり今度はアンモニア臭がして来ます。人間なら、このようなアンモニアが出来れば尿として排出することが可能です。しかし、肉となると、外への排出は出来ず、内部に留まります。アンモニア臭も出てきます。これが食品の腐敗と言えるでしょう。熟成肉はいいタイミング――アミノ酸がマックスに引き出されたタイミングでお客様に提供できれば、「とてもおいしい」と感じていただけると思います。しかし、今、流行に任せて“熟成肉”をやっている店で、嫌な臭いがしたり、舌を刺すような印象があったりする場合もままあります。実は従来の熟成肉のやり方は安定した状態で提供するのがとても難しいのです。試行錯誤の結果、私たちは、微生物と酵素の働きによって、発酵という文化をここに取り入れました。アミノ酸をグーッと引き伸ばしながら、もう一方の軸で、発酵という軸を作って、肉自体の物性を変えて、後ほどお話しますが、おいしさと食品の安定感を出すことに成功しました。
大:その発酵とは青カビを活用するわけですね?
跡:はい。元々、青カビというは、抗生物質の一つですよね。まだ、完全に解明されたわけではありませんが、学者の見解では、この抗生物質の一つであるカビがコロニーを形成することで、外敵から自身を守っていこうという力が働くようです。つまり、青カビをつけることによって、このお肉が腐敗しづらくなります。肉に付着して、肉中の糖が餌となり、どんどん食べてコロニーを形成します。全体にコロニーが拡大していく過程で、お肉の物性(肉を組成しているタンパク質や脂肪の性質)が変化していくのです。
大:これが跡部さんの肉の違いですね。
跡:はい。従来の熟成では、肉は腐敗に向かって酸化はしますが、物性は変化しません。あくまで壊れて行くだけなのです。しかしながら、発酵の過程を経た肉というのは、その微生物によって、ドンドン変化していくのです。そうすることによって、脂の融点がすごくグーッと低くなるとか、あと、繊維と繊維、筋繊維のくっつき合いがほぐれやすくなるとか、そういったことが起き出すのです。その発酵というものがないと、腐敗します。
大:従来のドライエイジングでは肉に強風をあてて、まず自由水を追い出すことをしますが、跡部さんの肉はまず菌が付着して発酵させるのですね。
跡:そうです。したがって、熟成と発酵、どちらが早いかによって、物性が変わるか変わらないかの勝負は決まります。発酵が早ければ早いほど、腐敗はしづらいのです。
大:そのために、強風はあてず、さわやかなそよ風をあてるのですね。
跡:はい。まず、菌がうまくつき発酵を順調に続けて行くことができれば、お肉自体が、腐敗菌を寄せ付けなくなります。青カビというのはものすごく強いのです。
大:日常生活でも、パンや餅に青カビがつくことがありますね。
跡:この青カビを利用して作ったのが、我々が今作っている、“発酵熟成”という方法で作った熟成肉です。

跡:はい。いわゆる、「寝かせ」て物性を変えるというのが日本の“熟成文化”です。私は、たまたま、肉でやってみたらうまくいったということなのです。
大:カビを付着させるわけですから、一般生菌はあり、その数は、十の四乗ぐらいでしたか?
跡:そうです。
大:まあ、素人がやるというのもあるのでしょうが、熟成牛というと、よく「お腹が下ってしまう店が多い」と言われていますが、跡部さんのところの肉はどうですか?一般論としては、一般生菌が多いと有害な菌も多いと言いますが、たとえば、0-157とか、そういった人間に有害な菌は検出されていないのですか?
跡:(過去の検査で)検出は一切ないです。180日寝かせた肉でも、すべて陰性です。ただ、おっしゃるように、カビの部分もありますから一般生菌は必ず存在します。それでも、十の四乗ぐらいで終わってしまいます。おかしなことに、時には、十の三乗ぐらいに減ってしまうことがあります。それぐらい、微生物の世界の環境はめまぐるしく変化するようです。

跡:むしろ、寄せ付けないと言った方がいいかもしれません。全く物性が変化しますし、今この焼いたお肉でも、これは5時間放置していても変わりません。まず、色が変わりません。それと、水分が抜けないので、このままラップしないでおいても、同じように食べられます。
大:5時間後ですか?
跡:はい。ただし、菌数を測った数値はまだありません。開店前に、みんなで試食しようとしてカットしたのですが、なかなか食べる時間が無くて、結局、閉店間際で口にするというパターンがよくあるのですが、経験上、全然問題なかったです。
大:これ(試食中の調理済みの肉)を持って帰って後で食べてもらえばいいですよね。
跡:はい。十分いけます。今ぐらいの気温であれば、氷を当てるなどしなくても、色は絶対に変わらないです。どこに置いておいても大丈夫です。生肉ですが、変わらないのです。

※字数制限ですね。すいません、インタビューのさわりで。

旬熟成
東京都港区六本木5-11-31 1・2F
電話 03-3497-8875





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Last updated  2015.08.13 10:15:35


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