“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2021.09.24
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秋分の連続講座 「成長期の飲食店とこれからの飲食店のサービスの位置づけの違い」


成長期の飲食店とこれからの飲食店のサービスの位置づけの違い
 外食産業は1970年代初頭の石油ショックによって一気に成長期に入りました。
当時の成長ぶりは「倍々ゲーム」とも言われ、一般大衆のレジャーとしての食のマーケットを広げていきました。
外食はもっとも身近なレジャーであるために、バブルまで勢いよく市場成長を遂げました。
これが「倍々ゲーム」と言われるゆえんです。

 普通でしたら、バブルの崩壊で構造的な不況に陥るはずです。
しかし、1986年に制定された男女雇用機会均等法の影響ですすみつつあった、家事の中に占める食事の外注化がバブルの崩壊で一気に進み、あらたなマーケット、すなわち、消費者の日常の食事の利便性を取り込むマーケットが広がりました。これにより、また外食産業は成長の機会を得ます。

 自由貿易の国際的な高まりから、食にかかる関税の低減がされていましたが、おりしもバブル崩壊後、円高が急速にすすみ、輸入食材に切り替え、その下がった原資を売価に反映するチェーンが急増します。
 チェーンが急増した背景には、日常マーケットは、価格競争力を武器にパート・アルバイトでの運営が可能であったことを意味します。

価格を日常的に利用できるポピュラープライスにすると、「価格がすべてを解決」し、ものに目線が移行するので人という部分の重要性を感じなくなります。
そうなると価格が安ければ安いほどスタッフの熟練度は必要がなくなり、素質のよいパート・アルバイトを雇い、マニュアルによる教育・訓練を行い運営をすることが可能になります。
バブルが崩壊した後、外食産業の労働市場にパート・アルバイトが流れ込んだのと、家事代行業を代表とする日常食のマーケットが伸びたためにポピュラーチェーンが急成長します。
そして、外食産業は1997年に29兆円を超え市場規模が最大になります。
その後、居酒屋などの大衆化・チェーン化があり、私は2005年までを外食産業の成長・発展期と位置づけます。

 1990年代後半くらいから、消費者がさらなる利便性を追求するようになります。
携帯電話の普及や光回線など社会インフラが整えば、便利になり、効率化がなされます。しかし、効率が良くなれば、良くなるほど効率化がすすみ、時間が無くなります。そのため、食においてもさらなる利便性が求められるようになります。
 利便性のキーワードは「安い、早い、失敗しない、いつでも、どこでも、気軽に」です。
利便性というキーワードを極めていくと、外食産業の特徴であるテーブルがあることが阻害要因となります。
といのも、家庭の食事なら複数の人が揃わないと食事できません。
それなら、コンビニや弁当チェーンで買ったほうが良いということになります。

したがって、人件費がかかります。
また、テーブルを増やせば面積が増えるので、初期投資や賃料も増えます。
つまり、テーブルがあるということは、価格競争力を出すことを考えると足かせになるのです。
 当然、コンビニや弁当チェーンのような中食やファストフードにマーケットを奪われます。
現に食の価格は下がっていますが、料理品小売業を足した外食マーケットは30兆円を超え微増の状態が続いています。それだけ、日常の食事の外注化(食の外部化)が進んでいるのです。

 利便性の本質はサービスを必要最小限にとどめ、コストダウンをすることです。
コストダウンの本質はメニューを絞り込むこt、作業点数を減らすこと、そして、お客様との接触回数を減らすことです。
 もちろん、そのために不満が出る確率も減りますが、働いているスタッフはサービスをちゃんとやっているつもりですが、作業点数を意図的に増やした店には負けてしまうことが現在発生しています。
そして、不満にならないようにしながらも作業点数を減らし生産性をあげるやりかたをするとコミュニケーションがないと心地よい人が残るので、サービス強化しようとしてどうにもならないスタッフ構成になっている場合も多いですので、非常にこわいです。

次回に続く





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Last updated  2021.09.24 21:13:31


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