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全1件 (1件中 1-1件目)
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民事再生法49条1項に基づく賃借人の解除と定期賃貸借契約上の賃貸人の損害賠償請求権についての特約の効力定期建物賃貸借の賃借人につき民事再生手続が開始され、再生債務者が民事再生法49条1項に基づき契約を賃貸期間の途中で解除した場合において、残存期間の賃料相当額を支払う旨の約定、契約終了の翌日から明け渡しまでの賃料相当額の倍額の損害金を支払う旨の約定が有効とされた事例(大阪地裁平成21年1月29日判決)Yは、不動産業を営むXとの間で、ビルの一部について、賃貸借期間中Yは契約を解除することはできない、ただしYが残り期間の賃料相当額を支払った場合はこの限りでない(本件約定1)、Yが明け渡すときは、契約終了の日の翌日から明渡完了に至るまでの賃料相当損害金の倍額の損害金をXに支払う(本件約定2)などの内容の定期建物賃貸借を締結した。Yは、平成17年5月5日、民事再生手続開始の申立をし、同月9日、同決定を受けた。その後、Yは本件契約を解除したため、Xは、ア、期間内解約に伴う残期間満了までの賃料相当額、イ、明渡しに至るまでの賃料相当損害金の倍額の損害金等につき再生債権の届け出をしたところ、Yが異議を述べたことから、Xは査定の申立をした。 裁判所は、本件査定申立につき、再生債務者が民事再生法49条1項に基づき双務契約を解除する場合には、契約中の違約金、損害金に関する条項は適用されず、契約の相手が行使しうる損害賠償請求権は、現に被った損害の限度にとどまるとし、上記アイを認めない査定決定をしたため、Xが異議の訴えを提起した。 本判決は、本件の事実関係に照らすと、本件約定1の趣旨は、賃貸期間内に賃借人からする解約は、事由のいかんを問わず債務不履行を構成し、賃貸人の損害賠償請求権を発生させるものとした上、その場合の損害賠償の内容を逸失賃料相当額とすることを定めたものであると解するのが相当であるとし、この約定が当事者間の自由な意思に基づき合意され、その内容も不合理な点がない以上、民事再生法49条1項に基づく解除の場合にも再生債務者等が拘束されるとし、また、同条項は、再生債務者等に契約の履行、解除の合理的な選択機能を付与したにとどまり、その選択に伴う結果を除けば、契約の相手方が実体上有していた地位を当然に失わせ、その不利益を甘受させることまで許容しているとはいえない等とし、本件約定1、2に基づく損害賠償請求権を認めた。民事再生法49条1項により、建物の賃借人である再生債務者等が解除を選択した場合の解除に関わる賃貸借契約上の各種の特約の効力については必ずしも明確にされていない。本判決は、同条項の規定の解釈を明らかにするものとして、民事再生実務に重要な意味をもつとともに、定期建物賃貸借契約の予測可能性、法的安定性に資するものであり、定期建物賃貸借の実務にも重要な意味をもつと評されている。 判例時報2037号74頁ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2009.07.16