そもそも読書をする人、というのが最近では希少種なので、その傾向は多いのかな、とも思います。
といいつつも、ずっと気になっていたので本日ようやく某有名作家の長編を読了しました。
ずばり村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」。
ああ、とか、うわ、とか言われそうですが、長年の宿題をようやく片づけた感があります。
村上春樹、については説明不要かと思います。あの人です。ベストセラー作家です。
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は、彼の4作目の長編で、1985年に出版されました。
「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と「世界の終り」の章が交互に進行し、それぞれ世界を異にする一人称視点の物語です。
この小説を読もうと思った動機は、アニメ「灰羽連盟」の元ネタになった作品だからです。
元ネタである、という部分は、原作者の安倍吉俊さんも語っていますし、舞台となる「グリの街」が、「世界の終わり」の世界へのオマージュになっています。
・・・以下、「世界の終わり・・・」及び「灰羽連盟」に関するネタバレ要素を含んだ記述をしますので、それが気になる方はご注意ください。
とはいいながら、この2つの作品は全くの別物です。どちらが優れているか、というのは無為なことですが、管理人的には「灰羽連盟」がおススメです。「世界の終わりと・・・」のほうは、近代的自我を拗らせてしまったような作品で、ブラックホール爆弾のように「爆縮」していきます。村上春樹の長編を初めて読みましたが、これは、どうしたものか。
一方の「灰羽連盟」ですが、こちらはアニメーション作品ということもあって、視覚に訴えるインパクトが甚大です。冒頭のシーン、少女が空から真っすぐに落下していくカットから始まりますが、その美しさは言葉にし難いものがあります。映像の威力を遺憾なく発揮しています。
「灰羽連盟」は一人称形式ではなく、「灰羽」と呼ばれる複数の少女たちの物語です。
いきなりネタバレをかましますが、「灰羽連盟」に描かれる世界は、中有洞(ちゅううどう)とか中陰(ちゅういん)と呼ばれる世界を描いています。「灰羽」たちは天使のような光輪をのせていますが、神の使徒ではなく、次の世界へ羽ばたく前の雛鳥たちです。彼女たちは、過去の記憶を失ったまま、繭から「グリの街」に迎えられます。新米の灰羽「ラッカ」(冒頭の少女です)が一応の中心人物ですが、「ゆかいな灰羽の仲間たち」が印象深いエピソードを重ねてゆきます。
あまり見ている人が多くないアニメですが、「世界の終わりと・・・」を読んだことがある人ならぜひ一度。
そうでない方も、安倍吉俊作品のかなりベストに近い作品なので、一度お試しを。
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