セトウツミ(by此元和津也)


全8巻で完結しています。
此元和津也は漫画家ですが、脚本家としての仕事もしていて、アニメ「オッドタクシー」で脚本を書いています。
マンガのあらすじはこんなかんじ。
「高校生の瀬戸と内海が河原の階段でたわいもない話をするお話。特に大きな事件が起こることもなく、河原での時間つぶしが繰り返されていく・・・」
この作品でウィキペディアを検索すると、壮大なネタバレをかまされますので気を付けてください。
あらすじの項目がとくに危険です。マジで。

管理人は連載中は熱心に読んでいなかったというか、「ヘンなマンガ」だと思っていました。
基本的に川辺で高校生二人が掛け合いしているだけのマンガなのです。
しかも関西弁で。
なんやねん。
と思っていましたが、全巻通して読むと、また別の印象が立ち上がります。
といいますか、「オッドタクシー」の出来がものすごく良かったので(劇場版含めて)その脚本家が描いたマンガはどんなもんだろうと思ったわけですよ。
やられましたね。
基本的に「会話劇」の面白さがいちばんなんですけど、伏線とその回収も見事でした。
マンガ的にはかなり異端で、舞台が「高校近くの川辺」に限定されているので、絵的には厳しいものがあります。たぶん作者には「自分の強みは絵ではなく会話と構成だ」という自覚があったのでしょう。
あまりマンガ的な誇張や省略をせずに、実写的な絵柄で「リアルな会話劇」が描写されます。
高校生が延々と会話する作品といえば、阿部共実の「潮が舞い子が舞い」を思い出しますが、あの作品はこれよりももう少し形而上学的な内容を孕んでいるので、少し味わいが異なります。
「セトウツミ」は、コメディでありながらもサスペンスな要素も盛り込み、一見単調な舞台設定も、会話やカメラワーク、コマ割りで飽きさせない、緊張を維持できる、相当に手の込んだエンタメ作品として成立しており、単なる「日常系マンガ」でくくれない魅力を持っています。
うん、此元和津也君って天才かよ、という気がします。
世の中にはスゲエ奴がいるよね。

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感想(7件)


2024年11月17日

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