細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」が2021年7月16日から公開されています。
「竜とそばかすの姫」
2021年製作/121分/日本
配給:東宝
監督・原作・脚本:細田守
2021年製作/121分/日本
配給:東宝
監督・原作・脚本:細田守
じつは管理人は、すでに7/17に観ております。掛川のつま恋に遊びに行った日、土曜に静岡市集合で、友人と久しぶりに静岡市内の劇場で観ました。旅行参加者4人のうち、映画鑑賞に参加したのは管理人含めて2名でした。
管理人的にはネット世界と現実世界、自己肯定感の低い女子高生、家族の再生など、わりと好きな題材を美しい映像や歌でエンターテインメントに昇華させていて、好きな映画です。
ご鑑賞の後、静岡から掛川へ車で移動する最中に、いろいろと感想戦が行われたのですが、友人のほうはわりと点数が低めのようでした。
共通した認識としては、「細田監督もいよいよ当てに来たなあ」というところ。
毎回それなりのヒットを出している細田監督ですが、最近はやや低調だったので、得意技の「ネット世界」に、「美女と野獣」「電脳ミュージカル」の要素を乗っけて、長打を狙ったなあというのが素直な印象。
今回の失点として共通したのは、「役所広司はマズかったな」というところ。
役所広司が細田監督作品に出演するのは3作目で、今回は細田監督からのオファーがあった、というのがネット記事に書いてあったことですが、出来映えは、う〜ん、残念。役所広司が演じたヒロインの父親役は、終盤にすごく重要な役割を果たすのですが、そのシーンが致命傷です。大塚明夫でいいんじゃない、って思うんですけど。
ちなみに役所広司は、リアル役者としては高く評価できるので、こういう動きの少ない声優の演技には不向きな人なのかな。「バケモノの子」ではそれほど気にならなかったので、やはり地味だけど緻密な芝居にはベテランの声優さんを使うのが良いのではないかな。
作中の仮想現実世界「U」には、専用のデバイスを使ってユーザーの生体情報を基に創られたアバター(Asアズと呼ばれている)が参加するのですが、いわゆるフルダイブ型なのかそうではないのか、じつは映画だけではよくわからない。ネット世界のベルが歌うとき、現実世界のすずも大声で歌っているのか、謎です。
ネット世界の描写は細密でCGを上手く使っているのですが、ネット世界と現実世界を同時に描くシーンは少なくて、操作については不明な部分が多いのです。
辛口採点の友人と意見が一致した「面白いシーン」は、現実世界の長回しのカットでした。基本的にネット世界ではカメラは自由に動き回りますが、現実世界ではカメラは固定やドリーなど、わりとシンプルな動きをします。
駅の改札での長まわしは、ほぼ画面固定で、フレームの外で重要なやりとりが行われているという面白い演出で、カットを割らずに芝居をじっくり見せる愉快なシーンでした。ここは高得点。
物語の後半で、ヒロインが単独である行動をとりますが、これに関して「おかしい」という方もいるようです。
管理人はとくに気にしていませんが、それは以下の理由からです。
創作世界(映画・漫画・小説ほか)においては、「作劇上」の理由から主人公が単独で何かに立ち向かう場面は往々にして有ること。
創作世界でも現実世界でも、人は常に「正しい」行動を選択するわけではなく、「最適解が分かっているのにそれに従わない」ことが、そもそも「人間」である必然だから。
ということで、この映画に出てくる人たちは、ヒロインを含め、必ずしも「正しい」行いをする人ばかりではないのです。
過ちもあれば、悪意もあるし、善意の輝きもある。
この映画では、人の持つ勇気や善性を肯定的に描いていて、それを信じられるか否かは見る人次第だと思うのです。
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