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2020年11月30日

【読書日記】一人称単数 by 村上春樹 ?A



whipped cream.png



11月28日付のブログ で、私がオススメする 村上春樹さんの、英語訳の本をご紹介しました。

そのブログのタイトルは 「一人称単数 by 村上春樹」 となっていたものの、その本についてはほとんど触れてなくて、申し訳ありませんでした

今日こそは、一人称単数の中で、私が印象的だった部分をご紹介したいと思います。

一人称単数」は8つの 短編小説 で構成されています。

私のお気に入りは クリーム です。

この小説でも、主人公の「ぼく」の前に謎の人物がふと現れ、謎の言葉を残して、どこかに行ってしまいます。

この小説で現れたのは、関西弁を話す老人男性です。

村上さんの本では、ほぼ毎回、 主人公の目線から 登場人物の描写 があります。

そうした描写は、 内容とは直接関係ないことが多い ですね

でも、 こうした描写 村上さんの小説を独特な感じ にしてくれます。

これがなくなると、かなり物足りなくなると思います。

そうした描写をしておきながら、主人公は「そんなこと、どうでもいいけど」みたいなこと言ったりします

「クリーム」に登場した、 この謎の老人の言葉が印象的 でした。

「ええか、君は自分ひとりだけの力で想像せなならん。しっかりと知恵をしぼって思い浮かべるのや。中心がいくつもあり、しかも外周を持たない円を。そういう血のにじむような真剣な努力があり、そこで初めてそれがどういうものかだんだんに見えてくるのや」
「むずかしそうですね」とぼくは言った。
「あたりまえや」と老人はなにか固いものでも吐き捨てるように言った。「この世の中、なにかしら価値のあることで、手に入れるのがむずかしいうないことなんかひとつもあるかい」「けどな、時間をかけて手間を掛けて、そのむずかしいことを成し遂げたときな、それがそのまま人生のクリームになるんや」


老人は、 本当に大切なことは学校では教えてくれない し、 それは誰でも知っていること だ、と言っています。

老人が 必ず存在する という 「外周を持たない円」

時間と手間をかけて 手に入れることができる 「クリーム」

では、独特の 村上春樹ワールド を楽しんでくださいね!

"The cream of the crop"




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