(2018年投稿記事です。)
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船務士としての勤務を終えたペンギンは、ついに艦艇装備幹部への道に進みます。
艦艇装備幹部になるため横須賀の2術校にて、幹部専門課程へ入校することになります。
艦艇幹部から艦艇装備幹部への職種転換は、結構大変です。
知られざる艦艇装備課程の世界にご案内!
(前回記事):『 補給艦ましゅうにはマシュー関数が使われている! 』
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船務士の勤務を終えた私は、遠洋航海で提示された艦艇装備幹部への道に進むことになりました。
海上自衛隊の幹部専門装備課程は、横須賀の第二術科学校にて教育を受けます。
図1 海上自衛隊第二術科学校
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/海上自衛隊第2術科学校#/media/File:JMSDF_2nd_Service_School.jpg
現在の幹部専門装備課程は8週間の課程となっていますが、私の時代は20週間(約5か月)の課程となっていました。
ちょうど、教育課程改編の過渡期であり、いろいろと教育課程の試行錯誤が行われていました。
1.1 艦船装備幹部教育の変遷
あまり知られていないことですが艦船装備幹部の教育は、時代に併せて変化しています。
海上自衛隊が発足してしばらくは、艦船装備幹部は遠洋練習航海終了後に、すぐに専門課程に入校していました。
しかし時代の変化にて艦艇の増加により初級幹部が不足したため、艦船装備幹部候補の幹部も海上勤務を経験するようになりました。
現在では、艦艇1配置を経験後に専門艦船装備課程に入校する体系になっています。
1.2 人材や教育は理系だらけの専門課程
艦船装備課程に入校してくる人材は、いろいろな人がいます。
艦艇勤務から、艦艇装備幹部になる予定で入校する人や海上技術幹部として、社会経験を積んだ技術者が装備幹部となるため入校したりします。
また、同時期に艦艇造修に関わる、技官の方も一緒に教育を受けます。
そのため、
『フーリエ展開がどうの〜』
『三相誘導電機が〜』
『アルミニウムの強度について〜』
など理系の世界全開となるのが、艦艇装備課程の特色です。
大学院修了以来、しばらく忘れていた理工系の意識を取り戻すのに苦労しました。
運悪く?大学で文系を専攻して、装備幹部になった方は相当苦労していたようです。
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図2 OTOメララ76mm速射砲
引用URL:https://www.naval-technology.com/wp-content/uploads/sites/5/2017/09/fly4.jpg
幹部専門装備課程は、艦艇職域から装備職域への職種転換となります。
そのため、意識改革も求められます。
特に強く教育の根幹として、
『海軍造船官として、技術者の魂を忘れるな!』
と繰り返し教育されていることです。
帝国海軍時代には、造船官(造兵官)という制度がありました。
その制度の後継者たる『艦艇装備幹部』は、技術者としての意識を忘れてはいけないと、厳しく戒められていました。
2.1 友鶴事件を繰り返してはならない。
造船官となる人間にとって、絶対に忘れてはいけないのは海軍時代に起きた友鶴事件です。
図3 水雷艇友鶴
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6b/Japanese_torpedo_boat_Tomozuru-1934.jpg
1934年に発生した水雷艇友鶴の転覆事故は、海軍造船の歴史で戒めとなる事件です。
翌年1935年に発生した第四艦隊事件と共に、忘れてはならない教訓となりました。
海上自衛隊の艦船装備幹部にとって、徹底的に戒めとして教育されます
その教育が生きた成果として、30DEX(のちのFFM)の設計案があります。
最初のころは5000トン級護衛艦の装備のまま、船体を3000トンまで減らす案が出てきました。
この時海幕長も参加した検討会議で海幕技術課長が、
『友鶴事件を忘れたのか(怒)!!』
と一喝して検討会議が差し戻され、現在公表されている設計案が出てきたという話があります。
現代までに受け継がれている、海軍造船官の意識が見て取れるエピソードです。
2.2 技術者の心に制服を着るな
『我々は制服を着る身であるが、技術者の心まで制服を着るな』
幹部専門艦船装備課程での、教官の訓育で強調されていた言葉です。
装備幹部は自衛官であり、同時に技術者となるべき存在です。
制服組の理論は、時として実情と乖離することがあります。
そこで艦艇装備幹部は、制服組と技術の橋渡し役にならなければいけないと教えられました。
図3 造船所での監督官としての活動
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/recruit/img/taihi.jpg
自衛隊の世界だけに埋没してはならないとの教えから、ビジネスマナーもしっかり教育されます。
特に、会社員から採用された公募幹部の方が一般社会で通用するマナーの講師として教えてくれました。
図4 名詞の渡し方から実践!
引用URL:https://www.pakutaso.com/shared/img/thumb/MKJ_ryoutedemeishiwowatasu_TP_V.jpg
幹部専門装備課程は、一般社会で活動するための教育も行っています。
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幹部専門艦艇装備課程では、艦艇の装備に関する全てを学びます。
専門課程を終業後は、どの分野で装備幹部として勤務するか分かりません。
この装備は専門外だからわかりません!というのは、装備幹部の恥と教育されます。
そのため射撃や水雷など用兵部門の術科教育を行う1術校や、補給を学ぶ4術校に長期の実習出張に赴きました。
当時では、
・1術校(江田島):3週間
・4術校(舞鶴) :4週間
という長期実習が続けざまに行われていました。
『また江田島だよ!(入隊して3年で3回!)』 3度目の江田島行きが待ってました。
図5 舞鶴の4術校
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/fourmss/7enkaku/4mss.jpg
長期の実習に出発〜!
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