GBPJPY月足は、かつて2015年6月と8月の高値が195円台に達していました。その後、2014年09月に英国からの独立を問うスコットランド住民投票や、2015年05月にEU離脱国民投票実施を選挙公約に掲げた英総選挙を経て、2016年06月の国民投票でEU離脱が決定し、2016年10月には安値122円台まで売られました。この14か月間の高値-安値の落差は73円にも達しました。
2016年11月からはトランプラリーや先進主要国での好景気による株高によって、2018年2月には高値156円台まで戻しました。この15か月間の安値-高値の落差は34円と、先のGBP下落の半分弱の戻しです。
この下降+上昇=1周期=29か月でした。この29か月の半周期目2016年10月を起点にすると、次の29か月後は2019年3月ということになります。
何か、偶然にしてはうまく符合してました。
その後、2018年3月には、2019年3月のEU離脱まで残り1年余となり、合意無き離脱が真実味を帯びてきました。2018年8月安値は139円台に達し、この5か月間の高値-安値の落差は17円で、先の落差の半値戻しとなっていました。ここから上に半分戻すなら前回安値+8〜9円で147〜148円台、再び下に戻して停滞するなら139〜140円台付近ということになります。
現在の144円台はその中間値付近で、近々に139円を下抜けるか148円を上抜けると、先述の周期性が崩れて新たな波が従来の波に重畳した可能性が生まれます。次週は、緊急EU首脳会議で合意案が承認されるか否かで始まり、英議会承認は12月10日頃に協定案の合意事項を採決し、来年1月か2月に関連法案を審議するそうです。
何だかGBPJPY29か月周期説に符合してて、これから数か月のGBPJPYは動きが小さくなるということでしょうか。
信じれん。
※注記:周期性を論じるときは、上記のように高値・安値でなく、終値で論じるのが一般的です。また、ひとつの波の周期を論じることは一般的でなく、複数の波の周期を合成して論じるのが一般的です。
英国は合意の有無に依らず2019年3月29日にEUを(仮)離脱します。合意案では、離脱移行期間期限は2020年末日とし、同年7月1日までに英欧が合意すれば1回だけ期限付き延長が可能とされています。
移行期間中の英国はEUが定める全てのルールを順守する一方、EUの各機関での議決権はありません。
議決権なくEU決定ルールに従う代わりに、英企業が従来通りEU域内で事業可能/移動可能(移転先での事業許認可がEU域内企業と同等)という訳です。加えて、英国は今後数年間で380億GBP(5兆円強)の清算金をEUに支払うと言われています(金額は合意案に明記されていないそうです)。
国家100年の計、という言葉があります。
一見、非常に高くついた英国のEU離脱は、もし将来にEU各国でポピュリズム政党が躍進したり、それが独仏で起きてEUの枠組が瓦解した場合、それに巻き込まれずに済んだら成功です。
何より、今回の件でEU加盟国はEU離脱のコストが見積れるようになりました。コストが見積もれれば、それを上回るメリットの有無だけが問題になります。EU離脱のハードルは、かつてよりも確実に低くなってしまいました。
もしも、2021年かそれ以前の英国がEUを離れて自主的外交等で経済的に成功するようになっていたら尚更です。
それにしても、米国は政策で、欧州は混乱で、中国は不透明部分の邪推で、FX参加者を次々と楽しませてくれますよね。
以上
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