AUDJPYは、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
中国国家統計局は4月17日に1-3月期GDPが+6.9%(2017年の成長率目標は6.5%前後)と発表しました。中国では、今年が5年に1度の共産党大会の年で、党大会の年には経済に限らず各種業績が好調になりがちです。中国の景気拡大は財政政策に負う点が大きいと見られています。
そして、秋の党大会で最高指導部7人のうち国家主席と首相を除く5人が68歳定年を迎えます。中国の特徴は、TOPが代われば下々まで大きく人事が刷新されます。今秋のどこかまでは、中央から地方まで成績アピール合戦です。それでも、中国経済指標が良くなればAUDJPYは買われます。
豪中銀は、中国の経済成長がインフラや不動産への投資で下支えされており、これら投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
また、以前とは違って中国から豪州への投資がそれで増えるかは疑問です。
中国政府は資本流出の抑制策を強めており、以前のように中国から豪州への直接投資が難しい環境になっています。がしかし、そこには抜け穴もあって、中国国外で米ドルで資金調達して米ドルで投資するなら、中国の規制に縛られることなく、中国企業の海外投資は可能です。
その結果、豪州投資はどこから資金が流入しているのか、実態が見えなくなってしまいました。RBAは、実態も把握した上で政策を決定しているのでしょうが。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
AUDJPYは、4月24日週の中国GDPの好調で陽線側に反発していました。がしかし、その前後の週は停滞です。米金利が下がっていた間は前週との日豪金利差も開くためAUDJPYは上昇するものの、FRBの6月利上げへの折込みが始まると豪金利は下がり始めます。まだ少し早い気もしますが、タイミングを間違わないように注意が必要です。
【4-5-1. 政策決定指標】
金融政策
RBA金融政策は「暫く様子見」です。4月に公表された議事録では、前回発表と同じく、現状維持こそが成長と物価と雇用に寄与する旨、記載されています。
そして、5月2日、RBAは政策金利を「市場予想通り現状維持」と決定しました。金利据え置きは9か月連続となります。政策現状維持の理由として、従来のAUD高懸念•住宅債務増•中国債務リスクに加えて「賃金の伸びが暫く鈍い状態が続くと予想」が追加されました。
この結果を受けた先物市場では、年内の金利変更の可能性がほぼ無しと見なしたようです。
(1) RBA政策金利 (2017年6月6日発表結果検証済)
(2) RBA金融政策理事会議事録 (2017年5月16日公表結果検証済)
物価指標
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。人件費の伸び悩みが物価上昇を抑えているようです。
(1) 四半期消費者物価指数 (2017年4月26日発表結果検証済)
(2) 四半期生産者物価指数
雇用指標
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
4月に発表された3月の新規雇用者数は、2015年11月以来の高い数字となりました。
(1) 雇用統計 (2017年4月13日発表結果検証済)
【4-5-2. 政策決定指標】
経済成長
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。2016年10-12月期の落ち込みは一時的なものと、RBAは見なしています。落ち込みと言っても、前年比+1.8%とか+2.4%といった数字のことなのですが。
中国の工業部門企業利益は1-3月が+28.3%でした。好調の原因は、建設ブームで建材の価格上昇や売上増加が続いており、低迷していた製鋼所など重工業の利益回復にもつながっている、とのことです。但し、生産者物価がピークに達しており、年内には新規投資や採算性が弱まる可能性があるそうです。なお、3月末時点の工業部門負債は、前年比+6.6%でした。
(1) 四半期GDP (2017年6月7日発表結果検証済)
実態指標
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
小売売上高前月比は、ここ最近やや低い数字となることが多かったものの、6月1日に発表された4月分データが前月比+1%となりました。+1%に達するのは2014年9月データ以来です。
手元で確認できる2013年以降で+1%以上になったことは4回しかありません。過去に+1%に達したときには翌月に反動で落ち込んでいるので、次回7月発表(5月分データ)でそのことを留意しておく必要があります。
(事例1) 小売売上高 (2017年6月1日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高 (2017年5月9日発表結果検証済)
以上
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