2017年5月5日21:30に米国雇用指標「平均時給・NFP・失業率」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
(1) 最も参加者が多い指標であり、最も大口の参加者が多い指標でもあります。値がピョンピョンと動くことが多いので、ポジションを取り損なったら、決して無理に参加しないことです。
(2) そもそも大きく反応しかねない指標で取引するのなら、過去の直後1分足跳幅・値幅を確認しておき、直前のレートから平均値分だけ動いたらいくらかを頭に入れておきましょう。チャート画面での動きの大きさが他の指標と違うため、ポジションは値を見て取るようにしましょう。
(3) 直前1分足跳幅が過去平均で17pipsもあります。もし発表を跨いでポジションを持つつもりなら、指標発表直前までこらえた方が良いでしょう。 - 指標については次の通りです。
今回の市場予想は少し高すぎると思います。前月結果よりも良いものの、市場予想を下回ると予想します。初期反応は陰線ですが、平均時給が市場予想以上ならば陽線に転じる可能性があります。6月利上げが絡むからです。
論拠は、先行指標であるISM製造業/非製造業での雇用指数が前回結果より悪化しており、ADP雇用統計もほぼ平均的な雇用者数だったため、です。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が85%となっています。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陰線と見込みます。但し、平均時給が市場予想以上の場合、陽線に転じる可能性があります。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が89%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが48%です。初期反応が大きく戻りが少なかったときは、追撃ポジションを取りにくいと思います。追撃は短時間が良いという数字です。
?T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
本指標発表で過去に最も反応したのはNFPですが、最近は平均時給への注目が高まっています。
平均時給への注目が高くなっているのは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は緩やかな成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、平均賃金への関心が高まっているのです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
平均時給のグラフはまだ用意できないので、上図がNFP、下図が失業率です。
今回の市場予想は、平均時給が+0.3%(前回結果+0.2%)、NFP(非農業部門雇用者数)が19.0万人(前回結果9.8万人)、失業率が4.6%(前回結果4.5%)です。
4月ISM製造業景気指数の雇用指数は52.0(前回結果58.9)となっていました。
4月ISM非製造業景気指数の雇用指数は51.4で昨年8月来の低水準でした。
4月ADP雇用統計の結果は、市場予想17.5万人を上回る17.7万人でした。前月は25.5万人へと、26.3万人から下方修正されました。今回の内訳は、製造業や建設業を含む財生産部門の雇用が1.2万人、サービス業は16.5万人でした。
これらの結果から言えば、今回の市場予想は少し高すぎると思います。前月結果よりも良いものの、市場予想を下回ると予想します。初期反応は陰線ですが、平均時給が市場予想以上ならば陽線に転じる可能性があります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が89%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが48%です。初期反応が大きく戻りが少なかったときは、追撃ポジションを取りにくいと思います。追撃は短時間が良いという数字です。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
直前1分足は陰線率が85%となっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
事後差異と直後11分足との方向一致率が74%となっています。
本指標での事後差異の計算は少し複雑です。
NFPと失業率との(2?発表結果ー市場予想ー前回結果)です。そして、(NFPの事後差異+10?失業率の事後差異)がプラス/マイナスなら直後11分足が陽線/陰線ということです。瞬間的には求められないので、失業率が市場予想と0.2ずれたらそちら優先、それ以外はNFPの市場予想と発表結果の大小でポジション取得方向を決めています。
本指標では、単純に(発表結果ー市場予想)を事後差異で求めると、70%以上の期待的中率が得られません。本指標は、前回結果も反応方向に関係しているようです。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年5月5日21:30発表
以下は2017年5月5日22:30頃に追記しています。
?U. 結果・検証
別途、追記します。
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果と反応が少し妙な動きだったように思います。USDJPYではなくEURUSD中心に発表後のEUR買が起きました。理由はわかりません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 今回の市場予想は少し高すぎると思います。前月結果よりも良いものの、市場予想を下回ると予想します。初期反応は陰線ですが、平均時給が市場予想以上ならば陽線に転じる可能性があります。6月利上げが絡むからです。
論拠は、先行指標であるISM製造業/非製造業での雇用指数が前回結果より悪化しており、ADP雇用統計もほぼ平均的な雇用者数だったため、です。
分析は外しました。
平均時給・NPF・失業率の全てが前回結果よりも改善しました。市場予想に対しては、NPFと失業率が改善しました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が85%となっています。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陰線と見込みます。但し、平均時給が市場予想以上の場合、陽線に転じる可能性があります。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が89%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが48%です。初期反応が大きく戻りが少なかったときは、追撃ポジションを取りにくいと思います。追撃は短時間が良いという数字です。
直後1分足が損切となったのは、分析を間違ったためです。
直後11分足は、陰線に反応が伸びると見込んでのことでしたが、外して傷口を広げました。
がしかし、ここまでの反応は少し理解に苦しむ内容です。シナリオ外取引ですが、思い直して買ポジションを取って再追撃し、これが幸いしました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。表註記載の通り、シナリオ外取引は、下表集計に含めていません。
以上
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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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