2017年5月15日21:30に米国景気指標「NY連銀製造業景気指数」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本発表後23:00には米国住宅指標「NAHB住宅市場指数」が発表されます。こちらもあまり大きな反応をする指標ではないため、本発表への影響はないと考えています
本指標の要点を下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
指標一致性分析の結果、事後差異(=発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が70%あります。それにも関わらず、事後差異と直後11分足との方向一致率は57%しかありません。その代わり、実態差異(発表結果ー前回結果)は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各67%・68%です。
今回の発表結果が市場予想を上回れば前回結果も上回ることになり、逆に前回結果を下回れば市場予想も下回ることになります。それらの場合には、かなり安心して追撃ポジションを取ることができます。その一方、発表結果が前回結果と市場予想の間だった場合、直後1分足跳値こそ素直に反応するものの、その後に反応が大きく伸びることは期待できないので、追撃を行うなら短時間にしましょう。 - 指標発表結果については今回予想できません。
- シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は陰線率が88%となっています。
(2) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が78%で、方向一致時に直後1分足終値よりも直後11分足跳値の反応が伸びたことが76%、直後11分足終値の反応が伸びていたことが71%です。この数字なら安心して追撃ポジションが取れます。
?T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
NY連銀管轄のNY州製造業約200社の経営者の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。
製造業景気指数は、NY連銀製造業景気指数→Phil連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がPhil連銀製造業景気指数で、Phil連銀製造業景気指数の先行指標がNY連銀製造業景気指数、という見方があります。
発表は毎月15日(夏時間:日本時間21:30、冬時間:日本時間22:30)に行われます。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は7.5で、前回結果5.2を上回っています。直近の数値は、2月発表18.7、3月発表16.4、4月発表5.2と、2回続けて数値が低下して今回は少し戻すという予想になっています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が78%で、方向一致時に直後1分足終値よりも直後11分足跳値の反応が伸びたことが76%、直後11分足終値の反応が伸びていたことが71%です。この数字なら安心して追撃ポジションが取れます。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
直前1分足は陰線率が88%となっています。
また、直後11分足は、直前1分足との方向一致率が29%(不一致率が71%)となっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、
指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、
発表結果と市場予想の差(事後差異)と、
発表結果と前回結果の差(実態差異)と、
を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
事前差異はプラスへの偏りが大きいようです。調査期間における市場予想が前回結果より80%弱もプラスに偏っている指標は本指標だけです。
また、事前差異は直前10-1分足・直前1分足との方向一致率が各32%・33%となっています。市場予想が今回のようにプラスの場合、指標発表前にはやや陰線となる場合が多いようです。
事後差異は、直後1分足との方向一致率が70%あるにも関わらず、直後11分足との方向一致率が57%しかありません。発表結果が市場予想を上回っても(下回っても)、直後1分足こそ素直に陽線(陰線)で反応するものの、直後11分足でそのまま同じ方向に反応し続ける確率がやや下がってしまいます。
実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各67%・68%と、前回結果との大小関係に応じて反応が決まりがちなことを示唆しています。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年5月15日21:30発表
以下は2017年5月15日22:20頃に追記しています。
?U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標は△1.00で、市場予想(+7.50)・前回結果(+5.20)を大きく下回りました。本指標はこれで3か月連続前月割れが続き、マイナスとなるのも7か月ぶりです。
反応は陰線で、初期反応から4本目分足がどんと落ち、7本目に安値を付けました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
むしろ追撃ポジションは、これ以上にないベストなタイミングでの利確となりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 指標一致性分析の結果、事後差異(=発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が70%あります。それにも関わらず、事後差異と直後11分足との方向一致率は57%しかありません。その代わり、実態差異(発表結果ー前回結果)は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各67%・68%です。
今回の発表結果が市場予想を上回れば前回結果も上回ることになり、逆に前回結果を下回れば市場予想も下回ることになります。それらの場合には、かなり安心して追撃ポジションを取ることができます。その一方、発表結果が前回結果と市場予想の間だった場合、直後1分足跳値こそ素直に反応するものの、その後に反応が大きく伸びることは期待できないので、追撃を行うなら短時間にしましょう。
追撃の条件を定めたことは良かったものの、マイナスまで低下するとは意外でした。
そもそも今回の予想を難しくしていたのは、前回結果が5.20と悪かったため、下げ余地が少ないと思えた点にあります。市場予想が7.50と改善となっていたこともあります。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
(2) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が78%で、方向一致時に直後1分足終値よりも直後11分足跳値の反応が伸びたことが76%、直後11分足終値の反応が伸びていたことが71%です。この数字なら安心して追撃ポジションが取れます。
問題ありません。
NY連銀の追撃で18pips弱も取れたことは、このブログ以前も含めてあまり記憶ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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