この規制強化は、準備資金の一部で取引するということが守れない人を保護しているのです。でもどうせ、そういう人は、これまでだって準備資金いっぱいに投資を繰り返して長続きしなかったのだから、きっと何も変わりません。
いま仮に、USDJPY1枚の買ポジションを100円で取得し101円で解消した場合を考えてみましょう。
このとき、レバレッジが25倍だろうが10倍だろうが、1万円の利益です。1円の変動で1枚当たり1万円の損益だということに変わりありません。
これまでと変わる点は、ポジション1枚当たりの投資資金です。
USDJPY=100円のとき、レバレッジ25倍なら1ドル100円で買うべきところが4円で買えます。それがレバレッジ10倍に下がると、1ドルを10円で買うことになります。投資資金は、USDJPY1枚当たり4万円必要だったものが、10万円必要になります。
さてここで、この投資資金は実際の売買に必要な資金です。がしかし、FXでは投資資金の何倍かの資金を用意して取引を行います。多くの解説書では20倍、このブログでは短時間取引に徹しているため10倍を推奨しています。この20倍・10倍の資金のことを準備資金(=預託金)と呼ぶことにしましょう。新たなレバレッジ規制が始まったら、この25倍・10倍をそれぞれ10倍・4倍と読み替えれば良いだけです。
まず、これまでのレバレッジ25倍で、USDJPY=100のとき1枚取得し、USDJPY=101のときそれを解消したとします。取引では投資資金で4万円で1万円の収益が得られるので、1回の取引での収益率は25%でした。このとき準備資金は、投資資金の10倍を用意していたなら40万円が必要でした。1回の取引で得られた1万円は、準備資金40万円にとって2.5%の収益率となります。
一方、新たな規制でレバレッジが10倍になったとします。そしてこれまでと同様に、USDJPY=100のとき1枚取得し、USDJPY=101のときそれを解消したとします。この取引では投資資金で10万円で1万円の収益が得られるので、1回の取引での収益率は10%に減ってしまいます。
がしかし、準備資金は投資資金の4倍しか用意しなくて済むならば、リバレッジ25倍のときと同じ40万円が準備資金として必要です。1回の取引で得られた1万円は、準備資金40万円にとって2.5%の収益率です。
これは、レバレッジ25倍のときと同じです。
新たなレバレッジ規制が始まったら、これまでの準備資金を1回の投資資金の25倍・10倍にしていたのを、それぞれ10倍・4倍へと読み替えれば良いのです。これで、レバレッジ25倍のときと10倍のときと、危険率は同じになります。
だから、今回のレバレッジ規制強化は、基本を守って普通に取引していた人にとって関係ありません。
それに、準備資金>投資資金(このブログでは10倍)、の関係が守れない人は、どうせ1年を通して見れば勝てなかったのです。だから、この規制は準備資金の全てを毎回の取引につぎ込むカモが減るだけで、そんなのこれまでと同じです。
新たなレバレッジ規制で1回当たりの投資毎の収益率が減ることなんて関係ありません。もともと、準備資金そのものがFXに拘束された資金です。その資金の危険率を現在と同じに保つには、準備資金と投資資金の比率をレバレッジに応じて変えれば良いだけです。
FXは「少ない資金で大きな利益が得られる」という言葉に誤解があるのです。少ない資金で大きな利益が得られる点に間違いはないものの、レバレッジのある取引の方法論を知らずに「少ない資金を一挙に無くす」人が多いことも事実です。
レバレッジのある投資は、やり方次第で預金やほとんどの投資信託よりも年間収益率を高くできます。でもそれは、多くの投資信託で会社や投資家がともにギリギリの利益を得られる読みを、専門家に任せずに自分で行うことによって、専門家が所属する信託会社の取り分を自分の分にすることで得られている、と考えた方が良いのです。
専門家のように勉強しなければ利益そのものが得られません。少ない資金で一攫千金を狙えば、その分だけリスクも極端に高くなってしまいます。
最初に用意しなければいけない準備資金を引き上げることで、今よりも新たな参加者に慎重な人が増えると良いですね。慎重でない人はFX会社にとってカモだったかも知れないものの、取引を楽しんでいた我々にとってはカモでも何でもなく関係ない人たちです。
よく誤解している人が居ますが、誰かが負けたらこっちが勝てる訳じゃありません。損益は大きく動くときに大きくなります。大きく反応するときに、大きな資金が動いているのです。相場が動かないときに小さな資金を全て丁半博奕に賭けてしまうような連中は、我々と関係ないのです。
そして、大きく相場が反応しているときは、我々アマチュアが理解しやすい原因があって大きく反応しがちです。そのとき、基本に忠実なやり方で微益であっても積み重ねて、1回の取引で1年間の定期預金の利息ぐらいを稼ぎ、その利息を実際の1年間で10年分・20年分を稼ぐのです。
「少ない資金で大きな利益が得られる」と理解するよりも「基本に徹して忠実ならば、レバレッジがある方が準備資金が少なくて済む」と理解しておく方が正しいでしょう。レバレッジが何倍かは、資金が少なすぎる場合を除いて、FXで稼ぐための繰り返し作業にとってあまり関係ないのです。
以上
タグ: レバレッジ,規制,10倍,25倍
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