ファン
検索
<< 2024年12月 >>
1
2 3 4 5 6 7
8
9 10 11 12 13 14
22
23 24 25 26 27 28
29
30 31
最新記事
最新コメント
眼科の定期検査 〜 散歩 by コトタマ (02/15)
眼科の定期検査 by 三文字寄れば文殊のヒフミヨ (09/21)
本を読んで過ごす by 底彦 (12/13)
本を読んで過ごす by ねこ (12/12)
数学の計算をする by 底彦 (12/04)
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
仕事 (59)
社会復帰 (22)
(44)
コンピューター (211)
(1460)
借金 (8)
勉強 (13)
(13)
数学 (97)
運動 (8)
日常生活 (1407)
(204)
健康 (38)
読書 (21)
プロフィール

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ うつ病(鬱病)へ
にほんブログ村
にほんブログ村 科学ブログ 数学へ
にほんブログ村
にほんブログ村 IT技術ブログ プログラム・プログラマーへ
にほんブログ村

2017年08月09日

数学: 圏の連結な部分圏への分解 (続き)

数学: 圏の連結な部分圏への分解 の続き.

ひとまず証明は書き終えたのでメモとして概略を書いておく.

この証明を考えているときはトポロジーか何かの問題を解いているようだった.
圏というもの自体がトポロジーにおける単体的複体のような構造を持っているので, 連結性とかそういう概念を考えることができるのだろう (†1).

†1: 昔, アメリカの雑誌 Times が出していた本 (当時の数学を紹介する一般向け書籍だったと思う) で代数的トポロジーの研究者で圏論の創始者の一人でもあるサミュエル・アイレンベルグ (Samuel Eilenberg) が紹介されていた.
そこに「サミュエル・アイレンベルグ博士は数学の中でも特に難解と言われる代数的位相幾何学を研究しています」と書いてあったのを覚えている.
特に難解 というのは当時の圏論的な方法がそういった印象を与えたのかも知れない.
あまりにも抽象的で言っていることがわからず無味乾燥な "アブストラクト・ナンセンス".
けれどもアイレンベルグ博士が代数的トポロジーの研究者であることを思い合わせると圏論が, それとは別に幾何学的な印象をも与える感じがわかるような気もする.



$\mathscr{C}$ を任意の圏とし, $O = \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$, $A = \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ とおく.
圏 $\mathscr{C}$ は集合 $A$, $O$ および関数
\begin{alignat*}{2}
\mathrm{source} &: A \to O & \quad & \mathrm{source}(f : X \to Y) = X \quad ((f : X \to Y) \in A), \\
\mathrm{target} &: A \to O & \quad & \mathrm{target}(f : X \to Y) = Y \quad ((f : X \to Y) \in A), \\
u &: O \to A & \quad & u(X) = (\mathrm{id}_{X} : X \to X) \quad (X \in O), \\
m &: P \to A & \quad & m(f, g) = f \circ g \quad ((f, g) \in P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A.\, \mathrm{source}(f) = \mathrm{target}(g) \,\right\})
\end{alignat*}
によって 6 つ組
\begin{equation*}
\mathscr{C} = (A, O, \mathrm{source}, \mathrm{target}, u, m)
\end{equation*}
と表わされる.

$\mathscr{C}$ の射 $f$ と $g$ に対して, 式:
\begin{align*}
\mathrm{source}( f ) &= \mathrm{source}(g), \\
\mathrm{source}( f ) &= \mathrm{target}(g), \\
\mathrm{target}( f ) &= \mathrm{source}(g), \\
\mathrm{target}( f ) &= \mathrm{target}(g)
\end{align*}
の少なくとも一つが成り立つとき,
\begin{equation*}
f {\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,} g
\end{equation*}
と書くことにすると $\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,$ は反射率と対称律を満たす $A = \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ 上の関係になる.

$\mathscr{C}$ の対象 $X$ から $Y$ に射の連鎖を辿って辿り着くという考えを集合
\begin{equation*}
\mathrm{Path}_{n}(\mathscr{C})
= \left\{\, (f_{1},..., f_{n}) \mid
f_{i} {\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,} f_{i+1} \, (i = 0, 1,..., n - 1)
\,\right\}
\end{equation*}
とその全体の和集合
\begin{equation*}
\mathrm{Path}(\mathscr{C}) = \coprod_{n=0}^{\infty} \mathrm{Path}_{n}(\mathscr{C})
\end{equation*}
によって表わす. ここで特に
\begin{equation*}
\mathrm{Path}_{2}(\mathscr{C}) = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A.\, f {\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,} g \,\right\}
\end{equation*}
は $A$ 上の関係 $\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,$ に等しい.

圏 $\mathscr{C}$ の 2 つの対象 $X$, $Y$ に対して, ある $(f_{1},..., f_{n}) \in \mathrm{Path}(\mathscr{C})$ が存在して
\begin{equation*}
\mathrm{id}_{X} {\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,} f_{1}, f_{n} {\,\langle{\mathrm{\small comp}}\rangle\,} \mathrm{id}_{Y}
\end{equation*}
が成り立つとき (†2),
\begin{equation*}
X \sim Y
\end{equation*}
と表わす.
†2: この条件は
\begin{equation*}
(\mathrm{id}_{X}, f_{1}),\, (f_{n}, \mathrm{id}_{Y}) \in \mathrm{Path}_{2}(\mathscr{C})
\end{equation*}
と同値である.

任意の $X, Y \in \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ に対して $X \sim Y$ が成り立つとき, $\mathscr{C}$ は 連結 (connected)であるという.

$O = \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ 上の関係 $\sim$ は同値関係である. つまり.
(i) $X \in \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ に対して $X \sim X$ (反射率);
(ii) $X \sim Y$ ならば $Y \sim X$ (対称律);
(iii) $X \sim Y$ かつ $Y \sim Z$ ならば $X \sim Z$ (推移律)
を満たす.

これにより $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ の商空間
\begin{equation*}
\hat{O} = O\,\big/\,\sim
\end{equation*}
が一意的に定まる.

$O_0 \in \hat{O}$ を任意にとる. $O_0$ が圏だということを証明できれば, 任意の圏が連結な部分圏の非交和として一意的に表わされることが言える.

これは実際に正しく,
\begin{equation*}
A_0 = \left\{\, f \mid f \in A.\, \mathrm{source}(f), \mathrm{target}(f) \in O_0 \,\right\}
\end{equation*}
とおくと, 関数 $\mathrm{source}$, $\mathrm{target}$, $u$, $m$ が $O_0$ と $A_0$ 内で閉じていることがわかる.
すなわち
\begin{equation*}
P_0 = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A_0. \mathrm{source}(f) = \mathrm{target}(g) \,\right\}
\end{equation*}
とおけば圏 $\mathscr{C}$ を構成する 4 つの関数
\begin{align*}
\mathrm{source} &: A \to O, \\
\mathrm{target} &: A \to O, \\
u &: O \to A, \\
m &: P \to A
\end{align*}
を $O_0$ および $A_0$ に制限して得られる関数はすべて $O_0$ と $A_0$ を定義域または値域として持つ:
\begin{align*}
\mathrm{source}|A_0 &: A_0 \to O_0, \\
\mathrm{target}|A_0 &: A_0 \to O_0, \\
u|O_0 &: O_0 \to A_0, \\
m|P_0 &: P_0 \to A_0
\end{align*}

したがって 6 つ組
\begin{equation*}
\mathscr{C}_0 = (A_0, O_0, \mathrm{source}, \mathrm{target}, u, m)
\end{equation*}
は $\mathscr{C}$ の部分圏になる.
posted by 底彦 at 05:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6574723

この記事へのトラックバック
Build a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: