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2021年8月刊ガブリエラブックス著者:すずね凛さん継母達に屋敷を追い出され、王城のお掃除係を務める伯爵令嬢カロリーヌは、王太子フランソワの婚約者になってほしいと頼まれる。「柔らかいなお前は。女の子というのはなんて抱き心地がいいのだろう」彼は女性アレルギーだがカロリーヌだけには触れられるというのだ。彼の病が治るまでだと思い引き受けたカロリーヌだが、フランソワは本物の婚約者のように彼女に甘く触れ、誘惑してきて──!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 カロリーヌ=継母と義姉たちから使用人としてこき使われている伯爵令嬢。 フランソワ=第一王子。極度の女嫌いだったがカロリーヌを見初める。 マリウス=フランソワの主治医兼従者。 ローザ=王妃。ガブリエッラ=ナタージャナ王国の王女。ヴィエ伯爵家の一人娘であるカロリーヌは、数年前にやって来た継母とその連れ子の義姉二人に家を乗っ取られた挙句、使用人としてこき使われていた。幼い頃に実母を亡くした彼女を父は可愛がってくれていたが、数年前、夫を流行病で亡くした継母・バルバラと知り合い意気投合。後妻に迎え入れたのだが、その一か月後に父は不幸にも事故死してしまったのだ。悲しみに暮れるカロリーヌを他所に継母たちは本性を現し、あっという間に伯爵家を掌握。異を唱えた使用人たちは全員解雇され、残っているのは古参のメイドのマリーと料理長のみ。当然手が行き届かないのでカロリーヌは馬車馬の如く働く羽目に。自分たちの無駄遣いで家計を圧迫しておきながら、まだまだ遊び足りずに少しでも羽振りの良い家に嫁ぎたいと義姉二人は婚活に必死でしょっちゅうドレスの直しをさせられるカロリーヌは大忙しだ。そんなある日、2番目の義姉・ベアトリスが狙っていた男性がカロリーヌを見初め自分はフラれてしまったと大騒ぎしたことで、激怒した継母が彼女を屋敷を追い出してしまった。とはいえ、先妻の娘を追い出したと知れれば世間体が悪い。あくまで行儀見習いのための王城での奉公という形であったのだが。カロリーヌが就いたのは侍女とは名ばかりの下働きで周りは平民の娘ばかり。貴族ということで彼女は陰口をたたかれ嫌がらせも受けたけれど、ちゃんと給料も出る分屋敷にいた頃より遥かに扱いはマシに思う。それに先輩格の気の好い娘・エーメとも仲良くなりそれなりに楽しく過ごしていた。その最中、カロリーヌはこの国の第一王子・フランソワに一目惚れ。エーメによれば大の女嫌いとのことだし、名ばかりの貴族で下働きの自分など知り合う術もない。ただ遠くからその姿を眺められるだけで幸せ。そう思っていたのだが、意地悪な先輩たちの嫌がらせで転びかけた彼女をフランソワに助けられるというハプニングが。慌てふためくカロリーヌを他所に、フランソワは信じられないものでも見たような表情。後にフランソワの執務室に呼び出されたカロリーヌは、そこで信じられない事を告げられた。俺の婚約者になってほしい、と。いきなり抱きしめられ、悦に浸っている彼に目を白黒させているとマリウスからの説明が。フランソワは過去のトラウマで女性に嫌悪感と恐怖心があるのだそう。それも着飾って香水と化粧くさい女性には嘔吐してしまうほど苦手で、以前擦り寄って来た他国の王女を突飛ばし国交間の問題になる所だったのだと。だが、第一王子がそれでは王位継承権にも影響がある。ただでさえ継母で現王妃のローザとは折り合いが悪く異母弟のアルベルトからは虎視眈々とその地位を狙われているらしい。そこでどうしても婚約者を立てねばならなかったのだが、例の病気で適当な貴族令嬢を据えるのは無理と判断。困っていた所をカロリーヌと出会ったというわけだった。要は派手さも無く一切化粧っ気が無い所が気に入られたということか。想い人と婚約できるのは嬉しいが、正直複雑ではある。でも、自分が役に立てるならとかりそめの婚約者役を引き受けたカロリーヌ。しかし、そういう割にはフランソワの鼻息が荒いような。おまけにやたらと濃いスキンシップが増えてついには押し倒されてなし崩しに関係を結んでしまった。マリウスの説明では随分な言いようだったのだが、フランソワにしてみればカロリーヌの質素さは理想そのもので一目で好感を持っていたのだった。女嫌いではあるものの興味が無いわけではない。そんなジレンマに追い立てられて早々にカロリーヌに手を出してしまったが、彼女は頭も良く性格も良い。是非とも未来の王妃として迎えたい。だが、フランソワが妃を迎えてしまうと状況はかなり変わってしまう。焦ったローザは彼に想いを寄せるナタージャナ王国の王女・ガブリエッラを唆して、フランソワの立場が悪くなるよう企て・・・。ドアマット(不遇)ヒロインのシンデレラストーリーです。タイトルに身代わり婚約者とありますが、どちらかというかかりそめの方が正解のような。おまけにすぐに両想いの本当の婚約者になっちゃいましたしね。フランソワが女嫌いになったのは実母の死後に王妃に収まったローザのせいでした。厚化粧で香水臭く、派手な装いの継母は邪悪で父が病に伏すとやりたい放題。国民達も圧政に苦しんでおり、孤児も増えるばかりで、自分が王位を継いだら福祉に力を入れ経済も回るようあるプランを立てていました。思いを通わせるようになったカロリーヌも彼の考えに同意し、マリウス共々奔走しますがローザに知られた上にガブリエッラによる罠にはまった二人は危機一髪。助けてほしければ自分と結婚してと脅す王女の意に沿う素振りを見せながら裏を探り、見事悪事を暴くことに成功するフランソワ。罪に問わない代わりに国王との離婚を承諾させたローザとアルベルトを王宮から追い出し、邪魔者も無くなった所で晴れて二人は結婚。賢王とそれを支えた王妃として後々までその功績は語られたというその後の説明もありました。それにしても三男四女とは、七人も産んだのかカロリーヌちゃん凄いな。おまけのSSは正式な婚約発表後にエーメの家で過ごすカロリーヌのお話でした。正直、ここでまでラブシーンは入れずとも良かった気はしますが(^_^;)あと、あの強欲なカロリーヌの継母たちもフランソワとの婚約が決まってすぐに金の無心に来たものの、国民の血税をあなた達に渡す訳が無いと追い返すシーンがありスッキリ。そもそもどの面下げてあんなに虐げてた娘から金を貰えると思ったのか。現実にも自分勝手な思考の人は往々にしているからなぁ。評価:★★★★☆
2024.03.24
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2018年6月刊ガブリエラ文庫著者:小出みきさん公女フランキスカは突然の反乱に動揺した父に連れ去られようとしたところ、従者であるレギオンに引き留められる。彼こそが反乱の首謀者、新興国ヴァジレウスの王太子だったのだ。「おまえは俺のお姫様だからお姫様らしくしてればいい」困惑するフランキスカを初夜こそ少し強引に抱いたものの、レギオンは以前と変わらず優しく接し、彼女を妻にすると言ってくる。幼い頃から父母に愛された記憶のない彼女は、元々彼の方が大事で!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フランキスカ=クロワゼル大公国の大公女。 反乱によって父が殺され自身も幽閉される。 レギオン=フランキスカの従者。グウェンドリン=フランキスカの教育係。クロワゼル大公国の大公女・フランキスカは世継ぎの姫でありながら、母である大公夫人・モルガーナに嫌われ遠ざけられて育った。幼少期はそれが納得いかなくて少しでも振り向いてもらおうとわざと騒ぎを起こしたものだったが、10年前に従者のレギオンと出会ってからは態度を改めた。父は娘に手を挙げることはなかったものの、その代わりに従者を鞭で激しく叩くから。レギオンは城に忍び込み、怪我をして蹲っていた所をかくれんぼをしていたフランキスカが見つけた。その後、不審者として処分されそうだったのを必死にお願いして自分の従者にしてもらったのだ。父との約束で良い子になると誓ったフランキスカは以降、勉強や礼儀作法に打ち込んだ。結局、あれほど会いたかった母とは数度顔合わせた程度。そんな母は数年前に遠縁の娘のマリーシャを呼び寄せてまるで実の娘のように可愛がり、随分と好き勝手させているらしい。流石に良い気はしないが、自分にはレギオンと厳しい面もあるけれど優しい家庭教師のグウェンドリンがいる。侍女のデルフィーナも良く尽くしてくれるし、自分の地位や生活は揺るがないと思っていた。そんなある日、突如城の兵たちによる反乱が起きて大公・ギザームはフランキスカのみを連れて早々に城からの逃走を図った。だが、残っている者たちを捨てていけないと渋る彼女のせいで逃げ遅れ追い付いたレギオンによってギザームは首を跳ねられたのだった。信じられない光景にフランキスカは気を失い、目覚めると心配そうに付き添うデルフィーナの姿が。彼女の話では城は完全に制圧されたが、指揮者の温情により城にいる者たちの安全は保障されていると言う。そしてこの反乱が隣国・ヴァジレウス王国の企みであったことも知った。元々この城には何人ものヴァジレウス人が潜入していたらしい。ではあのレギオンの行動も。丁度その時彼がやって来て、その正体がヴァジレウスの王太子・セルドリックだと知り、フランキスカはショックを受けた。レギオンはフランキスカを妃に迎えるつもりだと告げ、その夜彼女は純潔を奪われたのだった。それ以降城では大公女は王太子の愛人になったと噂になるも、そういう関係なのは間違いないので憤慨するデルフィーナにも騒がない様宥めていた。そもそも、レギオンに淡い思いを寄せていた彼女はこうなることを望んでいたのかもしれない。実際、傭兵上がりで横暴な父は多くの者たちに恨まれていた。あんな殺され方をしたのも自業自得なのだろう。全部は教えてくれていないが、レギオンもまた命と同じくらい大事なものを奪われたのだと言っていた。それから暫く経って、彼からフランキスカに大公位を継ぐよう打診された。そして自分の妃としてヴァジレウスに来て欲しいと。大公国はそのまま自治区としてヴァジレウスが統治し、フランキスカが嫁いだ後は信頼のおける者に管理させると言う。その頃にはお互い両想いなのが判り彼女はその提案を承諾。だが今まで沈黙を守っていたモルガーナが、フランキスカには世継ぎの資格が無いと言い出して・・・。この発言にはフランキスカの出生の秘密が関わっていて、前フリ自体はあったんですが、悪いことはできないねぇ、な結果に。モルガーナは前大公の娘でギザームは婿養子。しかし、前大公は前々大公である兄を誅殺してその座を奪っていました。前々大公を暗殺したのがギザームでモルガーナとの結婚はその褒美だったのです。当然、夫人は傭兵上がりの夫が気に入らず、別の男と秘密裏に結婚しマリーシャを出産。ギザームとの婚姻届けは出さず、その後産まれたのがフランキスカなので正当な世継ぎはマリーシャだと言い張ります。その上、幼児期に本物のフランキスカを夫人は暗殺。焦ったギザームが何処から連れて来たのが現在のフランキスカなのでした。ホントもうややこしい~~~~。でも確かに、婚外子扱いになる上、本人ではないのでフランキスカに世継ぎの資格は無いのですが、もう一つの隠された秘密がレギオンによって明かされます。実は彼女は前々大公の孫娘でした。前々大公夫妻とその大公女夫妻が別荘でギザームに襲われ、生き残ったのは前々大公夫人と孫娘のみ。夫人はヴァジレウス人で療養中は国境の屋敷で怪我の療養中、甥のセルドリック(レギオン)に孫の世話と護衛を頼んでました。が、ギザームに知られてフランキスカは攫われ彼の死んだ娘と取り換えられていたのです。前々大公夫人とはグウェンドリンのことで、孫の為に潜入していたという事実も語られます。彼女は火傷でベールをしていたのも正体を気取られずにいた要因でした。前大公の起こした卑怯な事件が明るみになり、さらに実子の殺害やらでモルガーナは罪を問われることになり、無事フランキスカが大公位を継ぎ、本当の名前であるエイメリアを名乗りセルドリックとヴァジレウスに旅立って終わっています。ぶっちゃけイラスト買いでCielさんの絵にハマったばかりの頃、何冊か購入して積読になってた本なんですが、予想以上に面白かったです。もうちょっと早く読めばよかったなぁ。一応ヴァジレウス王国というシリーズものらしいのだけど、前作を知らずとも特に問題ありません。でも結構良かったので他も揃えようかな。評価:★★★★★貴族TL系の下剋上ものがお好きな方におススメです。
2024.01.30
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2021年1月刊ガブリエラブックス著者:高峰あいすさん頑張り屋のOL藤花は、ある日突然奔放な母に21歳差の妹を預けられる。戸惑いながらも育児と仕事をこなすが過労で倒れ、アパートも追い出されることに。そんな藤花の境遇を知った御曹司の和真が「恋人のふりを条件に自分の家に住まないか」と持ち掛ける。和真のお見合いの回避のため、と聞き引き受けてしまった藤花だが、妹ともども、どろどろに和真に甘やかされ! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 長沢藤花=外資系企業に勤める会社員。 白瀬和真=大企業の御曹司。 長沢花音=藤花の異父妹。 シャロン=フランス人。藤花の友人で和真とは幼馴染 長沢都=藤花と花音の母親。自由奔放な母から突然3歳になる異父妹・花音を押し付けられた藤花。初対面ではあるけれど、まさか21歳差の妹とは。交際相手とトラブったらしい母は、暫く身を隠すために他の男に世話になるつもりのようで、花音は連れて行けないのだと、悪びれない態度で事情を説明するとさっさと行ってしまった。相変わらずの身勝手さに腹も立つけれど、この子に罪は無い。姉と自分が子供時代も放ったらかしだったのを思うとどうせ、ネグレクト一歩手前な状態だったのだろう。姉がしてくれたように今度は自分が花音を育てる。藤花は心に誓った。しかし、タイミング悪く最近の藤花はあるプロジェクトに関わってるせいで多忙だった。それに加えて花音の世話ともなれば疲労度もハンパない。日中は社内の保育所で預かってもらえたので、あとひと踏ん張り。そして、いよいよ迎えたプレゼンの日、藤花は体力の限界を迎え過労で倒れてしまった。そんな彼女を助けたのは、専務の白瀬和真。藤花を気遣う彼は、懐かしい雰囲気がしてどこか初恋の人を思い起こさせる。和真に送ってもらい自宅に戻ると、アパートの建て替えのお知らせが。そういえばポストに何回も案内が来ていた。一先ず数か月は今いる部屋を出なければならない。日付を見ると工事まであまり日が無い。金銭面はともかく、暫くは花音とホテル暮らしするしかないかと諦めかけていたら、後日和真から思いがけないい提案が。自分の恋人のフリをしてくれないかと。彼はここ最近、親戚筋からのしつこい縁談攻撃に参っており、それでも和真に恋人でもいれば諦めてくれるはず。その代わりに住処を提供してくれるというので利害関係の一致で依頼を引き受けた藤花。和真が住む低層マンションはとても広く、花音用の子供部屋迄用意してもらってありがたい。しかも、料理上手な家政婦付き。花音もいるのだしフリと聞いてたので、それらしく振舞うだけで良いのかと思いきや、肉体関係込みだとは。さすがはフランス帰り。そういうのは最初に言ってほしかった。まぁ、傍目で見ても普段から熱々に見えなければ意味が無いのも判るが。母の生き方を間近で見て来ただけに自分は恋愛なんてしない、と思っていたのに男慣れしてないせいか、彼と接すれば接するほど、段々惹かれていってしまう。やっぱり彼が初恋の人に似てるから?でも、居候させてもらってから花音もすっかり明るくなって、和真には感謝しかない。せめて恋人役を立派に勤めようと考えていたら、意図せず耳に入った和真と友人シャロンとの会話から、藤花は二人は交際しているのではと思い込み・・・。母親の奔放な生き方をまざまざと見てきたせいで、恋自体が苦手になってしまった藤花。でも、和真をどんどん好きになり、色々と先走った考えから精神的に追い詰められていきます。まぁ当然これは藤花の思い込みなので、植え付けられた先入観って本当に怖い。そして、和真の話から彼が藤花の初恋の人であることが判明。実際、彼はすぐに気付いていて、だから恋人のフリなんて頼んで着々と外堀を埋めていたのでした。誤解も解けて彼との結婚を前提に真剣交際を始めた藤花。和真の提案で花音を養子に迎えることを真剣に考え始めたが、問題は母がどう出るかだ。親権はまだ母にあるから何とか説得しないと厄介なことになる。そんな最中、母がコンタクトを取って来て嫌な予感は的中。結婚を考えてる男性との彩ある生活のために愛らしい子が必要だと、花音を取り上げに来た都さんの言い分はある意味サイコでゾッとしました。この人も毒親よな。独特な思考の人ってどうしてああも話が通じないのか。幸い、母の結婚相手が常識人だったので、養子縁組の件も後押ししてくれたおかげで一件落着。途中、母を追いかけるストーカーが現れたり、ちょっと怖い展開もあったけど、一連の騒動で花音を奪われずに済むよう戦う藤花と和真はどっちもカッコ良かったです。電子書籍版の書下ろし小説は本編ラストから約2年後の白瀬家のお話でした。評価:★★★★☆
2023.10.20
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2019年9月刊ガブリエラ文庫プラス著者:玉紀直さん櫛笥笑美花は父からの見合い話を断るため、憧れている上司、遠山誠史郎に恋人のふりをしてほしいと頼んだ。遠山は引き受ける代わりに自分の言うことに従えと条件をつけてくる。彼に導かれるまま恋人らしい逢瀬を重ね、情熱的に愛される笑美花。「気持ちいいか?かわいい声が出ている」好きな人から彼女として甘やかされ、特別扱いされて夢見心地の日々。けれど遠山の知人から彼には金持ちのパトロンがいると聞かされてしまい!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 櫛笥笑美花=老舗呉服店のお嬢様。 見合い回避のために遠山に恋人のフリを頼んだ。 遠山誠史郎=笑美花の上司で憧れの人。 湊 誠=営業一課の主任。積読本を減らそうシリーズです。凄い、あらすじで終盤までの展開をネタバレしている(苦笑)娘に早いとこ結婚して欲しいと、自分が役員をしている会社の副社長との縁談を薦めて来た父。結婚=女の幸せと考えている父には悪いが、その副社長・湊誠は社内の噂ではとんでもない放蕩息子であると有名な人物であった。まさか、先方から頼まれて? それにしたって自分に何の相談もせずに。憤慨して思わず、もう私には恋人がいるからと告げると父は大喜び。別に縁談でなくとも娘にお相手がいるならそれに越したことはない。近いうちに彼氏を家に連れて来いと言う父に、笑美花は自らついた嘘で墓穴を掘る羽目に。役員の娘と言うことで浮いた存在な笑美花は、怒らせたらクビになる等、妙な憶測で勝手に距離を置かれているので社内では男友達はおろか同性の友人すらいない。恋愛経験も無いし、完全に詰んでいた。父にバレるのも時間の問題だ。だが、そんな彼女に気安く構ってくるのが、部長の遠山誠史郎であった。名前や雰囲気が大好きだった時代劇のヒーローみたいで密かに憧れている人物で、彼ならもしかして頼みを聞いてくれるかもと一大決心で、事情を説明し恋人のフリをして欲しいと頼み込んだ。案外すんなり引き受けてくれたものの、彼はフリとはいえやるからには徹底的に恋人役を務めるからそのつもりでと念押しされ、訳も判らず頷いた笑美花は、後に大人のお付き合いと言うものを身を持って知ったのだった。憧れの人とのお付き合い(現状はフリだけど)は、殊の外楽しく、暫くして本当の自分の気持ちに気付いた彼女は誠一郎に告白したのだが、彼の本心は謎のまま。縁談を回避出来たら、この関係も終わってしまうのだろうか。そんな中、笑美花の前に現れたのは営業部の湊誠。まさか、彼が縁談相手? チャラ男で、会話の端々に社長の親族であると匂わせて来る。態度からして彼は縁談自体は知らないように感じるが、明らかに笑美花は目を付けられたようで、恋人がいると言ってもしつこく迫って来る。同僚の話によればかなりの遊び人の様だ。一回、誠史郎に見つかって激怒された時は大人しく引いてたけど、後日悪びれもせずに湊が笑美花の前に現れると、誠史郎にはパトロンがいて、もうじき別れるらしいこと、そしてその後釜としてお嬢様の笑美花に手を出したのだと信じられない内容の話を聞かされ・・・。まず、放蕩息子と言う謎の副社長の正体が肝になって来るんですけど、接しているうちに明かになって来る湊みたいなクズ男(しかも悪評ばかりの)を親バカな父が縁談相手に選ぶわけはなく。だけど、いい具合にミスリードを誘ってます。「遠山の金さん」と言えば?ってことで、お話を知ってる人なら「ああ、そういうことか」と割とすぐに誰のことかピンとくるかと。誠史郎への腹いせで二人の仲を拗らせようと目論んだ湊は見事にザマァされ、誤解も解けて笑美花たちは無事婚約して終わっています。「遠山の金さん」、ヒロインは五代目の高橋英樹さん派だそうだけど、私は子供時代に再放送で見た杉様派です。評価:★★★★★このお話も割とじれじれ部分は少な目かな。
2023.05.04
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2020年9月刊ガブリエラ文庫プラス著者:玉紀直さん真面目で地味なOL森城沙良は上司のイケメンCEO桐ケ谷壮に近付く女性の撃退役として、鉄壁秘書と呼ばれていた。成り行きで社用のパーティで壮のパートナー役を務めることになった沙良は、彼好みに手を入れられ着飾らされる。「最高だ。もっと君を感じてもいいか」同伴時は恋人のつもりで振る舞うように言われ、流されるようにベッドを共にしてしまった沙良。何とか元の関係に戻ろうとするが、壮は彼女をしきりに誘惑して!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 森城沙良=壮の秘書で苦労人。 桐ケ谷壮=外資系コンサルティング企業・ウォルシュラインのCEO 片桐雄大=壮の友人。紡績会社の副社長 湯川千佳=壮の元秘書小野田陽子=クリーンサービスのスタッフ森城沙良はとある理由で職に運が無い。派遣社員で色々な企業で働いたが、ホワイト企業と言われるところでも実際は目が行き届かずにセクハラやパワハラの類は往々にある。おかげで何かと被害を被って来た。もしかしてこの大人しそうで従順に見える顔が良くないんだろうか。今回、ダメ元で応募した大手IT企業のCEOの秘書募集の面接ではインテリに見える眼鏡を装備して挑んでみたものの、面接に自ら参加していたCEO・桐ケ谷壮に「君は折れの好みではない」とバッサリ言われて茫然。桐ケ谷氏の方は成程、見目麗しく如何にも女性が放って置かないであろう外見ではあったが、ハンサムだとは思うけれど自分だって好みのタイプではない。つい、ムカっと来てその旨を伝えたら、この態度が気に入られたらしい。望み薄かと思っていたCEO秘書と言う新たな職を得たのだった。初めての正社員と言う立場に、沙良は懸命に取り組んだが、実際彼女は仕事が出来た。壮はその外見と地位、そして大金持ちと言う実家のせいで非常に女性にモテる。本人は相手にするとキリがないと思ってかほぼ放置状態で、来るもの拒まず去るもの追わず。おかげでアポも取らず会社に押しかける非常識な女性もいて、その度に沙良が冷静に対処して追い返していた。こんなことではいつか壮は刺されるんではと心配していたら、実際そういう事件があったらしい。犯人は元秘書と言うから驚きだ。壮に惚れこみストーカー化した挙句、他人を巻き込んでの騒動になったのだと言う。その話を聞いて、漸く自分が採用された理由に納得したものだ。この会社で働き始めてかれこれ一ヶ月は経つが、壮は最初の態度が嘘のように、今では沙良を随分買ってくれている。クリーンスタッフの陽子の話によれば、壮は末端社員や出入り業者に対しても気さくに接してくれるそうで評判が良いとのこと。これで女癖さえ悪くなければと沙良は思う。毎度、対処する身にもなってほしいものだが、そもそもモテるのは壮のせいではないのだから仕方ない。沙良は当初持っていた壮への偏見を改め、彼の為人を見直し始めていた。そして、虫除けの為に壮のパートナーとしてパーティーに参加することになった沙良は、彼から高価な振袖を贈られ、ふと昔を思い出していた。亡き母が用意してくれた着物はあの時言われたように処分されてしまったのだろうか。着飾った更に見惚れた壮は彼女に感じていた好意を隠しきれなくなっており、沙良もまた壮に接するうちに心惹かれ始めていた。元々壮は女遊びもしておらず、言い寄られても相手にしていなかった。悪評が出ても面倒で放って置いただけと言う真相も聞きホッとした沙良。多少のトラブルはあったものの、パートナーの役を見事にこなした彼女に、壮は想いを打ち明け、二人はその夜一線を越えた。古くから壮を知っている雄大は、漸く彼が恋人を作る気になったことに安心したいたのだが、壮の周りをウロチョロするとある人物の影にも気付いていた。湯川千佳は数年前、壮の傍に居た女性に嫉妬しナイフで切りかかった壮の元秘書で、接近禁止令を食らっている。パーティー会場のホテルのバーで千佳を見つけた雄大は忠告をしたものの、果たして効果はあったのか。壮はやっと見つけた愛しい恋人に夢中になり、沙良もかつてない幸福を味わっていたが、こんな関係、果たして良いのだろうかと不安にも思っていた。ある日、アパートの前に千佳が待ち伏せており、言いがかりをつけられた。実は沙良と千佳には、亡き母を巡るある因縁があって・・・。今作のヒーローは見た目と家柄のせいで、幼少時から女難に悩まされていました。彼が何もしなくて、女側が狂って行く。まさに魔性の男と言うわけです。でも、当人はとにかく良い人で、自分のせいで女たちが不幸になることを望まず、ストーカー傷害事件の際も加害者家族に土下座され訴えを取り消し示談で済ませていたと言う。彼にとってはいつもの慈悲の様なものだったのだけど、ストーカーは諦めず、あの手この手を策を巡らします。そこに現れたのがヒロイン。ストーカーにとってヒロインはヒーローを横取りした憎むべき相手。しかも、見知った相手だったから憎さ百倍と、またしても事件を起こすことに。結果、壮は怪我を負い、まだ加害者を許そうとする彼にそれじゃいけないと友人は厳しい選択を迫ります。と言う展開なんですが、事件も絡んで面白かったです。ストーカーとヒロインが関係者って言うのが意外で、ストーカーの言い分がもう甘やかされ放題のバカ娘って感じで、ホントにヒーローの友人の言う通りこういう輩には厳しい処分をするべきと思いました。最初の事件の時、いくら土下座されても許しちゃったから、こんなことになったんだし。結局、ヒーローとヒロインは紆余曲折の上、婚約してお終い。ヒロインの身の上や事情など、この辺は全部ネタバレしてもアレなので、興味のある方は読んでみてください。評価:★★★★★
2023.02.04
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2022年12月刊ガブリエラブックス著者:玉紀直さん天才デザイナー善家新の会社で働く沙季は、彼が余命一年の身で、子どもがいれば…と話しているのを聞いてしまう。新の作品で心を救われたことのある沙季は、尊敬する彼の子どもを産むことを決意すると、新に直談判して子作りの為の同棲生活を始める。「真っ赤だ。君はこういうところもかわいいな」つらい事情のはずなのに、新は何故か余裕のある様子で沙季をどろどろに甘やかし溺愛してきて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 水澤沙季=デザイン会社に勤めるアシスタント社員。 命の恩人である新に心酔している。 善家新=天才デザイナー兼社長。 湯澤愛季=沙季の親友のシングルマザー。湯澤ひまり=愛季の娘の4歳児。 柏木哲太=新のアシスタント。余命モノ(?)です。かと言って悲嘆にくれるような内容ではありません。でも、ヒロインの過去がかなり重いかも。12月末の発売で1週間くらいしか経っていないのでネタバレは控えめに。天才デザイナー・善家新のデザイン会社でアシスタントとして働く沙季は、新を尊敬し心酔していた。この会社に入社できたのも並々ならぬ努力と、新への思いの強さの賜物である。その崇拝ぶりに先輩たちにはよくからかわれるものの、だから何だと言うのだ。彼女にとって新は神にも等しく崇め奉る存在なのだから。だが、ある日、ふとした弾みで新の電話での会話を盗み聞く羽目になってしまった沙季は、彼が余命1年と知りショックを受けた。彼はまだ35歳。精力的に仕事をこなし、その度に賞賛されている素晴らしいデザイナーだと言うのに。話を聞かれていたのを知ってか知らずか、新は何やら現状独身なのを後悔しているようで、せめて子供がいればと自嘲し落ち込んでいる珍しく弱気な新の態度に自分のことのように思い悩んだ沙季は、ならば自分が彼の子を産もうと決意。残された時間を思えばギリギリだけれど、すぐに励めば妊娠できそうな気がする。友人の愛季はシングルマザーでその苦労も身に染みているせいか沙季の決心を諫めたが、最終的には応援してくれると言った。愛季の後押しもあって、新にあなたの子供が産みたいと爆弾発言をした沙季。さすがに最初は考え直せと言われたものの彼女の意志が固いと判るや、彼はその願いを聞き入れた。元々、新は自分への好意を隠そうともしない彼女を好ましく見ていたのだが、一体いきなりなぜ子供が欲しいとか言い出したのだろう。女性に言い寄られることも多いので、もしや沙季までその手の類とは思いたくない。子作りするなら同居をしようと彼女を自宅に住まわせ、それこそ新婚の様に仲睦まじく過ごしていたのだが、ある時、新は沙季の言う余命1年と言う言葉を聞いて衝撃を受けた。まさか彼女は自らが生きていたと言う証が欲しいのかもしれない。余命1年と言えば、自分の母も先日余命宣告されたと話を聞いて落ち込んだばかり。なら、せめて沙季の願いを叶えてやらなければ。二人はお互い余命わずかだと勘違いしていたことに気付いていなかった。沙季は10年前、旅行中の事故で両親を失った。観光バスの運転手の飲酒運転によるもので、乗客乗員含め何十人も亡くなり生き残ったのは両親に庇われた沙季一人。この事件、当時は連日ワイドショーを賑わせ、沙季と彼女を引き取ってくれた祖父母はターゲットとしてマスコミに追い回される日々。しかも、勿論一番叩かれたのは運転手だったが、被害者遺族に生き残りの沙季も妬みもあってかかなり恨まれていたらしい。彼女へ恨み言を言う遺族のインタビューが放送されるたび、沙季は心を病んで行った。どうしようもない自殺衝動に襲われ見知らぬ土地に降り立った彼女が何となく足を向けたのは新の作品展示場。そこで見た彼のとある作品に心打たれて生きる気力を取り戻した沙季が彼に心酔するのは無理からぬこと。恩返しと彼のDNAを残すため、妊活に励む沙季だったが、同居から2ヶ月生理の日以外は毎日のように励んでいるのに一向に妊娠の兆しが無い。このままだと、新に赤ちゃんを抱かせてあげられないではないか。焦る彼女を宥める新は、沙季の余命云々が勘違いだと判明しホッとしていた。彼女を愛しく想いプロポーズしたものの、沙季の方の誤解はまだ解けておらず返事は貰えていない。そんな折、彼女があのバス事故の唯一の生存者だと知り・・・。二人の会話にて新の父親がバスの運転手だったと言うセリフがあって、当然ミスリードっぽい展開になるんですけど、多分違うだろうと思っていたら案の定。もしそうだとしたら余命以前に障害が大きすぎてドロドロしそうですもんね。読み終わって思ったのは世間ってのは想像よりも遥かに狭いってこと。勿論フィクションだからご都合主義なのもあるのだけど、事故の原因が原因だけに加害者家族も被害者で苦労している。現実でもですが、マスコミはホントクソ。沙季を追い詰めたのも、加害者家族を追い込んだのも世論を煽ったマスコミなんですよね。実は沙季が恨まれてたってのもどうやらやらせだったみたいで、この辺は読んでてマジでムカつきました。こういう傾向があるから一昔前のワイドショーは好きになれないんだよなぁ。ともあれ、余命宣告の勘違いから始まる恋でしたが、周囲を巻き込みながらも諸々大団円で終わって何より。初回限定版特典のペーパーは同居したての頃の新目線のお話でした。評価:★★★★★
2023.01.05
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2022年11月刊ガブリエラブックス著者:麻生ミカリさん乙女ゲームのモブに転生した来歌。婚活アドバイザーだった前世の経験を生かし、ゲームヒロインと結ばれないと不幸な結果になる不憫王、セドリックを幸せにすべく彼の婚活に奔走するも、セドリックは他の女性ではなく来歌に興味を持ち迫りだす。「もっと聞きたい。きみの甘い声が、私を狂わせる」惚れ薬的なものを入手しセドリックに飲ませるが、彼はヒロインではなく来歌を押し倒してきてー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 真砂来歌=婚活アドバイザー。事故死し、乙女ゲーム「ハッピーマリアージュト ゥユー」の世界にモブキャラとして転生するセドリック=ダウズウェル王国国王。ゲームの攻略キャラの一人で来歌の最推し。 ユイシス=ゲームのヒロイン。転生ものです。こちらも発売日からあまり日が経っていないのでネタバレは控えめで。お節介心から他人を庇って予定外の死を迎えてしまった来歌。神の様な存在が言うには天寿を全うできなかった彼女は、すぐ転生させてくれるらしい。提示された転生先候補4つ。だが、3つは個人的には遠慮したい如何にも苦労しそうな世界。だが残りの一つは生前ハマりまくった乙女ゲーム「ハッピーマリアージュトゥユー」略して「マリユー」ではないか。そりゃ選ぶなら当然これでしょう。大好きな世界で面白おかしく生きて、あの人を救いたい。かくして「マリユー」の舞台・ダウズウェル王国へ転送された来歌は早速行動に移した。この国は移民に寛容でウェルカムな政策を取っているため、手続きさえ踏めばすぐ住める。入国審査である国王との謁見をし、携わりたい業種を報告の上許可を取らねばならない。来歌は生前の経験を生かし、晩婚化の進むこの国でも婚活アドバイザーとして働くつもりだった。いよいよ、国王・セドリックとの謁見を果たし、その旨説明を交えて許可を請うと、何故か食いついたのは宰相たち。どうも、この国の晩婚化はかなり深刻な問題だったようだ。結婚を扱うと聞き、興味無さそうだったセドリックも、宰相たちの意見に押され、来歌を王宮に住まわせ、国の重大事を解消する人物として厚遇するよう命じたのだった。予期せぬ対応に驚いたものの、王宮に住めるのはありがたい。しかも侍女まで付けてくれるとは。是非独身の国王にも婚活に参加して欲しいとお願いしたら、宰相たちも乗り気でセドリックの参加も決まった。ゲームユーザーたちから常々「不憫王」と呼ばれるセドリックは、その名の通り攻略キャラの中で唯一彼のルートでないと必ず不運の死を遂げる。質実剛健なキャラなだけに皆が不思議がっていた不遇ぶりに、彼が最推しキャラである来歌は常々納得が行かなかった。そもそも彼のルートに入ることも難しいのに。でも、自分がこの世界に来た以上、何としても彼には幸せになってもらわなければ。それにはヒロイン・ユイシスとセドリックをくっつける必要がある。婚活パーティーの下準備と称してユイシスとの出会いを目論んだものの不発に終わり、何故か来歌とイベントが起こってしまうこと2回。しかも、ユイシスに懐かれ、いつの間のにか来歌に対して親密度が上がってしまったセドリックはユイシスとライバル同士に。推しキャラに好かれて嬉しくないわけではないが、自分では身分差もあるし、ヒロイン以外と結婚したらセドリックは死んでしまうのでは。来歌への好意を隠そうともしないセドリックの態度で、周囲の者たちは彼女を国王の婚約者として見るようになり、意外にも宰相たちもお相手が来歌ならと認めているらしい。実際、彼女が考案した婚活パーティーは功を奏し、大成功。その手腕を認められてこの国の救世主の様に思われているのが原因の様だ。じわじわと外堀を埋められていくのに焦り、何とかユイシスに目を向けてもらおうと、ゲーム中何度もお世話になった親密度を上げるアイテムを魔女から貰い、セドリックに飲ませると、彼は来歌を押し倒し・・・。結構端折ってますが、あらすじで記載されているまでのお話はこんな感じ。この出来事で二人は一線を越え、セドリックは益々来歌に熱を上げ、来歌もまた推しキャラなだけでなくセドリックに恋心を抱くようになるも、段々前世の記憶を失くしているのに気付きます。結局は来歌も決心してセドリックの気持ちを受け入れてハッピーエンド。エピローグでは二人の13年後が描かれてます。端折ってる部分も、来歌がぐるぐるしてたり、ユイシスが彼女を姉の様に慕ってたり細々したエピソードもあるので、興味のある方は読んでみてください。書店によっては書下ろしペーパー付もまだ入手できるかも。因みにペーパーはセドリック目線のお話です。評価:★★★★★
2022.12.20
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2017年5月刊ガブリエラ文庫著者:すずね凛さん小国の姫、フレイアは隣国の侵略で捕虜となり、海を越えた大国デルネイドの王、デフォードに貢ぎ物として献上される。竜王と呼ばれる彼は彼女を一目見るなり激しく執着し、強引に抱く。先祖に竜がいるデフォードは、ただ一人の女性だけを溺愛する竜の性質を継いでいた。「私だけの運命ー決して離さない」美しい竜王に情熱的に抱かれ、フレイアは戸惑いつつも惹かれていく。だが隣国を煽り祖国を攻めさせたのはデフォードだと聞き!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フレイヤ=亡国の元女王。戦勝国・ヒューのネロ王によって大国デルネイドへ の貢ぎ物にされた。ドラゴンと意志を通わせる力を持つ。 デフォード=大陸を統一したデルネイドの若き国王。ドラゴンの末裔の証である ドラゴンアイの持ち主。竜の血の本能からフレイヤに強く惹かれ、 彼女を王妃にと望む。 ネロ=フレイヤの祖国・ゴルドラを攻め滅ぼしたヒュー国の国王。 狡猾な人物でフレイヤを利用してデルネイドの征服を目論む。 グルフ=ゴルドラ国の宰相。敗戦の後落ち延びてデルネイドの隣国・ムルガ に身を寄せていた。 ナターリア=ヒュー国の第一王女。 アウル=デフォードの従者。積読本を減らそうシリーズ。こちらも暫く、購入したままになってた本です。(購入自体は今年になってからですが)竜使いの力を持つ姫とドラゴンの末裔の王様との恋物語。設定としては、先月発売したノベルス「虐げられた生贄の皇女~」に生かされている感じ。とは言え、ストーリー自体は特に似ていませんが。ので、ファンタジー色は若干濃い目。山間の小国・ゴルドラは牧歌的で平和な国だったが、ある日突然隣国ヒュー国によって攻め入られ1日ももたずに陥落した。女王フレイヤはこれ以上の殺戮をしない事を条件にヒュー国の王・ネロの元に捕虜として赴いた。ネロは美しい彼女を大国・デルネイドの王への貢ぎ物にすると言う。屈辱的な扱いにフレイヤは絶望したが、国民を守るためと抵抗することなく従います。幼いころから使える侍女一人を連れ、デルネイドへ送られたフレイヤだったが、噂によれば国王デフォードは残忍で大の女嫌いと聞く。気に入らない行動をすれば、飼っているドラゴンの餌にされるとも。だがいざ目通りをすると、フレイヤを見た時から彼の様子がおかしい。デフォードはフレイヤに一目で惹かれ、本能から彼女を激しく求める自分に戸惑います。そしてフレイヤには、デフォードの心の声が響き、初対面でありながら彼女を欲する気持ちが伝わり困惑。暫くして落ち着いたデフォードの話によれば、デルネイドの王族はドラゴンの末裔であり、竜使いと言うドラゴンと意志を通わすことのできる一族に惹かれる性質があるらしい。ゴルドラには今も多くのドラゴンが生息しており、その王家は竜使いの一族であった。ネロがそこまで計算していたかは不明だが、デフォードはその日のうちにフレイヤと契りを交わすと、彼女を傍から離さなかった。先祖返りの賜物か、デフォードは一際ドラゴンの血が強く出ており、長らく女嫌いだったのも番う気質を持つ存在と出会わなかったからであった。フレイヤを生涯ただ一人の相手とし、彼女を王妃にと望むデフォード。側近達も漸く王が結婚する気になってくれたと大喜びで反対の声も無く、早く挙式をと盛り上がっている。デルネイドにやって来て早3か月。フレイヤもデフォードに惹かれており、出来ればずっと傍に居たかったが、ゴルドラの民を思うと自分だけ幸せになるのは気が引ける。そんな彼女の気持ちを察してか、デフォードはネロ王と交渉して何とかゴルドラを解放しようと策を練っていた。話を聞いてフレイヤもデフォードの心遣いに感謝した。ゴルドラを取り戻せたら、自らの幸福についても考えてみようと思っていた矢先、戦後どこかに逃げ延びていたらしい宰相のグルフがこっそりとフレイヤにコンタクトを取って来た。指定された場所にて久方ぶりにグルフと遭った彼女は、あの戦争がデフォードの指示によって起きたものだと聞かされて衝撃を受けます。そして、グルフは恨みを晴らすためにと毒の小瓶を渡しデフォードを暗殺しろと仄めかすのだった。フレイヤは疑心暗鬼に駆られるも、デフォードを信じたい気持ちも大きく、彼の真意を確かめようとしたが、タイミング悪く大量のドラゴンの亡骸の前に佇むデフォードの姿を見てしまい・・・。ここでちょっと拗れかけるんですが、デフォードの捨て身の努力によって潔白は証明され宰相の言葉が嘘だったことが判ります。ドラゴンの死体は密猟により乱獲され、取り締まりによって回収されたものでした。実は、ゴルドラが滅ぼされたのも未だ数多く生息しているドラゴンを手に入れるためとデフォードは考えており、最近ではグルフが身を寄せているムルガ国がデルネイドに戦を仕掛けてきていた。グルフとネロは通じていると見るのが正解だろう。しかも、ネロは娘のナターリア王女を寄越し、是非とも妃の一人にとふざけた事を言ってきた。フレイヤを王妃にするので不要と突っぱね、王女を説得して国へ帰らせたのだが、それから幾日も絶たずしてヒュー国は戦争を仕掛けてきます。でも、フレイヤの竜使いの力でドラゴンたちを意のままに操り、敵を脅威に陥れる作戦が功を奏し、戦争はデルネイド側の勝利に終わり、和議の結果、ゴルドラは返還が決定。フレイヤは国に戻り、後にゴルドラの女王としてデフォードに嫁いで終わり。途中、フレイヤが連れていた小型の竜が体調を崩して死んじゃうんですけど、その一連のエピソードが何だか読んでて泣けました。そんな後に大量のドラゴンの亡骸とか見たら疑惑が膨らんじゃうのは仕方ないよなぁ。とは言え、デフォードがとにかく一途で熱い男な事もあり、誤解が解けるのも早くモヤモヤも一瞬。じれじれ展開を引っ張るのが一番辛いんで。二人の恋に横やりを入れそうだった王女様は意外に物わかりのいい人で、父は狡猾だから気を付けろと忠告までしてくれた、この作家さんのライバルポジキャラにしては、ヘイトは少な目。あの宰相とネロに関してはもう少し痛い目に合って欲しかったけど、さすがにもうデルネイドとゴルドラに手を出す気は失せたろうから、落としどころとしてはこんなとこかな。ドラゴンの密漁取締にも力を入れるみたいだし、万事が上手く行って良い〆だったと思います。評価:★★★★☆
2022.09.04
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2016年4月刊ガブリエラ文庫著者:すずね凛さん憧れの相手と間違えて、強欲と噂される軍人公爵ランスロットに告白してしまったアンジェリーナ。女性からの勇気ある行動を気に入る公爵にとっさに否定出来ずそのまま付き合うことに。豪奢な橇での送迎、有名レストランや遊園地を貸し切る等、公爵に振り回されながらも徐々に惹かれていく。「ここが感じる?どんどん溢れてくる」甘い囁きと愛撫に蕩けていく身体。彼を好きになるにつれ告白は間違いだったと打ち明けられなくなって!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 アンジェリーナ=代々貴族議員長を務めるメイフィールド伯爵の一人娘。 憧れの相手から告白されて舞い上がっていたことが災いして、 全くの別人に交際を申し込んでしまった。内気な性格もあり 間違いを訂正できないまま、お付き合いを続けることに。 ランスロット=数多くの武勇伝を持つ軍人公爵。王族でかなりの美青年だが 強欲な人物と噂され、何かと評判が悪かった。 可憐なアンジェリーナに交際を申し込まれて快諾。以降、彼 女を溺愛する。 シェリダン=社交界一の伊達男でアンジェリーナの憧れの人物。 パーティーにて彼女に愛を告白し、数日後に返事をもらう約束 だったが、アンジェリーナの人違いにより、フラれる。 ハンナ=アンジェリーナ付きのメイド。物おじしない性格で、女性に怖 がられがちなランスロットにも臆せず接したことで気に入られ る。さすがに6年以上前の文庫だと電子版しかリンクが出ない(^_^;)こちらも既刊の中からまだ記事にしてないお話。ラブコメ寄りの内容なせいか、面白くて何度も読み直してしまう大好きな作品です。人違いから始まる恋物語。アンジェリーナは名門メイフィールド伯爵家の一人娘。母親譲りの美貌ながら、内気なせいで舞踏会でもつい壁の花になりがちなのだが、今夜は憧れの伯爵ヘンリー・シェリダンにダンスを申し込まれて大興奮。しかも、彼は自分に告白をしてきた。嬉しくて天にも昇る気持ちではあったものの、恥ずかしさもあって即答するのは憚られた。ヘンリーに答えは後日に、と場所と時間を決めて会うことを約束した彼女はドキドキ。勿論OKに決まってる。母も喜んでくれて、当日はいつになく気合を入れてめかし込んだアンジェリーナは、約束の場所に佇む青年に正式にお付き合いして欲しいと勢い込んで告げた。が、振り返った相手を見て茫然。誰?????彼はランスロット・ボートン公爵と名乗った。しかも、彼女の告白を受け入れ是非とも交際したいと言う。どうやらテンパり過ぎたのと同じ黒髪なことから伯爵と人違いした挙句、一世一代の告白をぶちかましてしまったようだ。おまけにボートン公爵とは・・・。初対面だけれど彼とその武勇伝と言う名の悪評は社交界でも度々噂になっている。短気で荒々しく、兄弟喧嘩で弟を半殺しにしただの、クマを素手で倒した、女遊びも激しく捨てられた女たちは数知れない等etc.よりにもよって、どうしてこの人と伯爵を間違えたのだ。どう見ても告白を喜んでるし、交際する気満々な態度。内気なアンジェリーナに人違いでした、ごめんなさいと告げる度胸は無かった。とは言え、例え内気でなくとも彼に間違いを訂正できる女性はいないだろうが。なし崩しに交際することになり、内心愕然としている彼女を屋敷に送ったランスロットは、しっかり両親にも挨拶していた。母は当然、相手が違うことに気付いていたが、戯れでないのなら別にあの人でもいいんじゃないの?な態度。父も彼をかなり買っているらしい。事情を話して父の方から人違いだと取りなしてもらうのも無理そうだ。翌日から早速デートの出掛けた二人。クリスマスなこともあり、ランスロットは趣向を凝らして彼女を驚かせ、喜ばせた。たった一日だけの評価だけど、彼はうわさで言われているほど非道でもないし、荒々しくもない。随分と可愛い性格の人だった。ランスロットとの交際は思っていたよりも楽しく、段々と彼の為人に惹かれて行くアンジェリーナ。シェリダン伯爵とはあの後一度すれ違った際思い切り睨まれ、申し訳ないことをしてしまったと思ったものの、今ではすっかりランスロットに夢中である。あの武勇伝も、いくつか真相を尋ねるにどうやらかなり誇大と湾曲されて広まったようで、実際は彼の武勲に尾ひれがついただけだった。人のうわさなど本当に宛にならない。だが、ある日彼女の元に赤子を抱いたイレネと名乗る女性が訪ねて来た。イレネの話では、この赤子はランスロットの子であり、アンジェリーナと交際してから彼に自分たちは捨てられたのだと言う。さめざめと泣く彼女の言葉に彼を信じると言ったアンジェリーナに見せられたのはランスロットがイレネに宛てた手紙。まるで恋文のようで、しかも生活の面倒は自分が見る云々と書かれていて、ガラガラと彼への信頼が崩れた彼女は、ランスロットと別れることを決意し・・・。まあ、これはある人物による策略なんですけど、この一件で二人の仲が拗れます。失意のアンジェリーナを優しく慰め、シェリダン伯爵が彼女に求婚。捨て鉢になった彼女はそれを受け入れてしまい、早々に伯爵との結婚式も決まってしまいます。実は、シェリダン伯爵はアンジェリーナの父にライバル心があり、いつか蹴落としてやると狙っていました。そこに目を付けたのがメイフィールド伯爵が目の中に入れても痛くないほど可愛がっているアンジェリーナ。彼女を妻にして、いたぶってやるつもりだったのに、ランスロットに横取りされてしまった。このままでは彼女は公爵に嫁ぎ、益々メイフィールド伯爵は力を付けてしまう。イレネはランスロットの弟の愛人で、赤子はその弟の子でした。が、弟は兄とは真逆な人間性でクズだった。ランスロットは弟を懲らしめ、田舎の領地に幽閉。イレネと子供の面倒を代わりに見ていただけだったのです。それにしたってあの手紙の文面は結構紛らわしい気が(苦笑)シェリダンはイレネに金を積み、一芝居打たせたことでアンジェリーナとランスロットと引き離すことに成功した。それ以前にも、夜会でアンジェリーナを襲わせたり。やることが結構えげつない。それと、武勇伝のうち弟を半殺しってのだけは事実だった模様。元々、ランスロットは舞踏会にてアンジェリーナを見初め、告白のチャンスを狙っていました。が、シェリダン伯爵の裏の顔を知っていたことから、彼女の身を護るため敢えて間違いやすい場所に立っていたのです。当然、人違いなのは承知と言うか仕組んでのことだったので、内気な彼女が口をはさめない雰囲気に持ち込み、見事交際に至ったのでした。シェリダン伯爵は彼から制裁を受け、諸々の悪事も露見。後に裁きを受けることに。アンジェリーナは誤解を詫び、二人は晴れて元鞘。結婚後、異国の駐屯地への転勤が決まったランスロットに着いて行き、二年後王国に帰還して終わり。二人の交際中のやり取りが可愛くて可笑しい。なまじ軍功を挙げ捲ったおかげで、尾ひれの付いた噂が広まり悪評塗れだったヒーロー。でも実際は、堅物で可愛い人だった。女癖が悪い云々は、瓜二つな外見らしい弟のせいなのでこれは完全に濡れ衣だったから気の毒。でもおかげで変な女も寄ってこず、想い人と添い遂げられたのだから結界オーライかw評価:★★★★★話のテンポが良いので、さらっと読めるのもポイント高し。
2022.07.29
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