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2023年11月刊メディアワークス文庫著者:雨宮いろりさんメイドとしてグラットン家の若旦那に仕えるリリス。若旦那に密かな想いを寄せていたもののーー彼の突然の結婚によって新しい妻からクビを言い渡されてしまう。失意に暮れるリリスだったが、容姿端麗で女たらしの最強軍人・ダンケルクに半年限りのメイド&偽りの婚約者として雇われることに。しかし、彼はリリスに対して心の底から甘やかに接してきて!?その上、リリスの持つ力が幻の最強魔術だと分かりーー。失恋から始まる、世界最強の溺愛ラブストーリー! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リリス=グラットン家の若旦那に仕えるメイド。ダンケルク=軍人。解雇され行き場を失ったリリスを雇い入れる。ウィリアム=グラットン家の若旦那。 セラ=聖女。リリスと知り合い友人関係になる。幼少時から使用人としてグラットン家に仕えるリリスは、ある日突然、想い人でもある若旦那ウィリアムから結婚を告げられた。正直、ウィリアムは治癒魔術の使い手として少々名の知れたグラットン家の後継に相応しく優秀な治癒術師ではあるが、ぽっちゃり体型故か全くモテなかった。そんな彼が結婚!?いつの間にお相手を見つけたのか。デートしていた素振りも見受けられなかったし見合いしたとも聞いていない。しかも、妻と名乗る女性がメイドを引き連れてやって来て、これ以上のメイドは不要とリリスは追い出されてしまったのだった。途方に暮れるリリスはウィリアムの友人・ダンケルクが雇い入れてくれることに。彼は軍人で暫く激戦地に派遣されていたようだが、無事帰還し暫くは王都の本部での勤務になるらしい。リリスは掃除魔術の使い手で散らかり放題の部屋もあっという間に片づけてしまう。しかし、実際に目にしたダンケルクはそれが掃除程度に使われるような代物ではない事に気付き、数日後、顔なじみの魔術師にリリスの掃除魔術を見せた。すると案の定、友人の見立てではこれは「秩序魔術」だろうとのこと。150年ほど前、大聖女と共に邪悪な黒煙の龍を倒した大魔女・アレキサンドリアが使用していたのと同じもの。一方、数日ぶりに再会したウィリアムのやつれ具合にリリスたちはびっくり。ダンケルクによって着飾されていたとはいえ、彼は長年一緒にいたリリスのことすら判らなくなっていた。どう考えても嫁が怪しい。伝手を頼り、当代聖女・セラの力を借り、何かしらの術を掛けられていたウィリアムを救い出すことに成功。正気に戻った彼は案の定何も覚えていなかった。夫人を名乗っていた美女は紡績業で羽振りの良いキャンベル家の次女。ダンケルクの話ではそもそもキャンベル家自体、何かときな臭い家だという。黒い靄を使いこなす姉妹たちは、何かしらの方法で黒煙の龍の力を取り込んでいることが判り・・・。設定や展開をかいつまんで書いても相当な長文になりそうなので大分割愛してます。一介のメイドが扱う掃除魔術が実は秩序魔術という、かの大魔女と同じ力だと判明。なし崩しに黒煙の龍の力を持つキャンベル姉妹たちと戦う羽目に。実はリリスは大魔女の転生?って話かと思いきや、龍の呪いで転生できなくされた大魔女が自らの記憶の欠片を分けてあちこちに飛ばしており、その一つがリリスにというからくりでした。正気に戻ったウィリアムと聖女のセラ、そしてダンケルクの力を借りてキャンベル五姉妹を倒すべく奔走するリリス。ダンケルクはリリスに想いを寄せており幾度も求婚するも、彼女には想い人がいるのでなんだか気の毒でした。まぁ最後は色々報われて相思相愛になるんですけど、リリスのモノローグで綴られているため、一人称の小説は読むのがキツイという方には正直お勧めしません。それに全体通して割と好き嫌い分かれそうな内容だとも思います。キャラ自体は皆魅力的なんですけどね。個人的に読むの早い方だと思ってたんですが、この本も何だかんだと時間かかってしまったなぁ。所謂目が滑る系。評価:★★★★
2024.05.09
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2023年8月刊メディアワークス文庫著者:優月アカネさん異世界に転生した元薬剤師セーナは数多の困難を乗り越え、妃、母、そして薬師として奔走しながら、止まる所を知らない魔王デル様の寵愛に包まれる日々を送っていた。そんなある日、セーナは麻疹を予防するワクチンに必要な薬草を求めて、家族三人で海洋国家プラーナ帝国を訪れることに。だが精霊に愛されるその皇家は長年、ある呪いー皇族男子の早死にに悩まされていた。悲しく残酷な運命を変えるべくセーナは動き出すが…。二人の絆が試される、溺愛ロマンス第2弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 セーナ=異世界転生した薬の研究者。デルと結婚し王妃となった今 も薬師として活躍している。デルマティティディス=魔族の長でセーナの夫。 タラ=デルとセーナの娘。 ペドロ三世=プラーナ帝国皇帝。 ヘンドリック=皇太子。皇族男子の呪いにより早死にすると言われていた アイーダ=皇女。セーナと意気投合し親しくなる。デルマティティディスと結婚し王妃となったセーナは前世の知識を生かし薬師としても精力的に活動していた。彼女が持ち込んだ図鑑によって様々な機器も作れるようになり、結果この国の医療技術は格段に伸びた。しかし、それでもまだ改良点や組み込むべき制度案も山積み。最近では麻疹が大流行してんやわんやだったので、予防接種の導入をデルに相談して許可を貰った所だ。フラバス達とも知恵を出し合い、他の流行病のワクチンも開発をすることになったのだが、効果を上げるためにもう一つだけ欲しい薬草があった。でもそれは精霊に愛されているという国・プラーナ帝国でしか自生しない種類と聞き、何とか輸入できないかとデルに相談。すると、魔力と同じ作用をする魔石の取引をしたいのでプラーナに赴く予定だと聞き、セーナも同行することに。丁度反対側に位置する国であるため往復だけでも結構な日数がかかる。2歳になる娘のタラと乳母2名を連れての訪問となった。半月ほどの旅程を経て帝国を訪れた彼らは、早速皇帝・ペドロ三世と接見したのだが、小太りで愛嬌ある外見ながら彼はなかなかな策士であった。魔石とシネルギ草を輸入したい旨を伝えると、ある条件を出して来た。デルには皇帝に友人として認められること、そしてセーナには医療に携わる者と聞き、皇家にかけられた死の呪いについて解明して欲しいのだと言う。およそ100年前から皇族の男子がかなりの確率で早死にしているそうで、彼もまた数年前に双子の息子を亡くしていた。溺愛する皇妃が以来気落ちしており真相が判るなら調査を依頼したいとのこと。研究者の性か、俄然興味が沸いたセーナは依頼を引き受けた。右も左も判らぬ地では不便だろうと皇帝から協力者として皇子のヘンドリックと皇女のアイーダを補佐に就けてもらい、彼女は調査を開始した。釣りだゴルフだと皇帝に毎日連れまわされているデルは聊か疲れていたけれど、これも民や国の為と割り切り文句も言わずに付き合っていた。ペドロ三世は短気そうに見えて実は根気がありデルが見習いたい面も持っている人物らしい。夫が不在中、セーナも本格的に調査に乗り出した。だが、自らも該当者であるヘンドリックはあきらめの境地からか何をしても無駄だと初日からボイコット。まぁ、彼にしてみれば怖くてたまらないだろう。弟皇子たちが死んだのも、よくよく話を聞くに抜けかけていた乳歯を抜いただけだというから驚いた。さすがにその程度で亡くなるとは考え難い。何か他に要因があるはず。当時の状況を詳しく知りたいが、辛い思い出だからと皇妃はセーナとの面会を拒否。母としての気持ちも判るので無理強いは出来ず、ならまずは早逝した皇子たちの名前と死の原因を書き出して行こう。アイーダの記憶を元にした家系図も出来て来ると降嫁した皇女の息子も早死にしていることに気付いた。しかも親戚筋の女児も。何か引っかかる、やはり当事者に詳細を聞かなければ。どう納得させて話を聞き出すか、開発中の人工血管をいじりながら考えているとヘンドリックと遭遇。彼は人工血管の現物とその用途に興味津々で話も弾んだ。元々この分野とモノ作りが好きなのかもしれない。調査の進捗具合を聞かれ、皇妃と降嫁した公爵夫人の話を聞ければ確信が持てるかもと溢すと、翌日なんとヘンドリックの口利きで少しだけならと彼女達が面会に応じてくれることになった。改めて皇妃の話を聞くと、双子の皇子の死因は確かに乳歯を抜いたから、で間違いないようだった。が、問題はその後の大量出血で・・・。元の世界でもあった血液の病気・血友病。それが呪いの正体でした。公爵夫人の息子もちょっとした怪我なのに出血が止まらず、治療の甲斐なく亡くなったと聞き、セーナも確信を持ちます。家系図を見るに100年前から始まった死の連鎖は繰り返される近親婚によって血友病も遺伝して行ったのだろうと皇帝にも説明。検査の結果、彼とヘンドリックは血友病ではないことが判り、ホッとしたものの、一番下の皇子が頭に怪我をして血が止まらず騒動に。病名が判れば対処は出来る、健康な皇帝の血を輸血することで出血は収まり事なきを得て、彼女が言った呪いの真相についても認められます。褒美としてシネルギ草もGETし、デルの口添えにより近親婚の撤廃も検討される運びに。ヘンドリックは早死にしないと判り、見る見る明るくなっていきますが、この後予想外の出来事が起こります。まさかの事態にビックリしましたが、確かに血友病と他の遺伝性疾患、どちらを受け継いでるか不明ですもんね。検査の結果、血友病ではなかっただけ。あの人工血管も後の前フリとして効いてたのと、タラの不思議な能力も判明。やはり、あの二人の子だけあってただ者じゃありませんでした。成長が遅いのも何か理由があるのかな?なんかまた色々起こりそうなので、シリーズ化しそうな予感。評価:★★★★★
2024.01.27
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2022年10月刊メディアワークス文庫著者:優月アアネさんいつまでも、あなたと在ることを誓いますー。恋慕をその胸に秘めたまま、デルマティティディスの元を去ったセーナ。元の世界での闘病の末に冥界で目覚め、遂に彼と再会を果たす。互いに惹かれ合っていることを知り、晴れて婚約者の間柄となった二人。セーナはデル様から一心に注がれる寵愛に翻弄されながらも、離れ離れだった歳月を埋めるように、幸せな日々を送っていた。一方、国内で凶悪事件が頻発し、デル様を狙う刺客の影が迫る。波乱の先に、二人が迎える結末はー?運命を変える溺愛ロマンス、堂々完結。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 佐藤星奈=薬の研究者。歪に巻き込まれ異世界転移していた。デルマティティディス=魔族の長でブラストマイセス王国の国王。 フラバス=医師。セーナと協力し伝染病の治療と対策をしていた。 ロシナアム=セーナ付きの侍女。 ヘル=500年前に召喚された女騎士。異世界のブラストマイセス王国に蔓延した恐怖のウィルス・スタフィロフォッカス フィロメンタス、あの世界では有効な治療薬も無く、治療に当たっていた星奈は元の世界で自らが開発したセナマイシンことXXX-969でしか対処できないと悟り、真実を隠したままデルに頼んで門を通り戻って来た。だが、門を開けるには多大な代償が必要で、星奈はブラストマイセスでの記憶を失っていた。しかも、帰還したのは発症して昏倒した夜。病院に搬送された時には多臓器不全を起こし生死の境を彷徨った。そんな彼女は、覚えがない自分あてのメモを握りしめていたと言う。死ぬときはXXX-969、切れ味の良いメス、実験機器図鑑などなどを棺桶に入れて欲しいと書かれていた。なんのこっちゃと思いながら、星奈は2年の闘病の末に30歳の若さでこの世を去った。目覚めると、彼女は冥界にいた。完全に異世界での記憶も取り戻し、門の管理者でもあるデルマティティディスとも再会。薄々気付いてはいたが元の世界とここでは時間の流れが違うようで、あれから10年の時が経っていた。再会後、彼の求愛を受け、同じ気持ちだと自覚した星奈はデルと生きることを決意。婚約者として城で共に暮らすことになった彼女は、この10年の間に起こったことを尋ねた。あのウィルスにはやはり効果的な治療薬は発見に至らずだったが、フラバス始め医師たちの尽力と隔離施設の建設であれ以上の流行はなんとか防ぐことができたらしい。幸い、今は星奈が持ち込んだXXX-969があるので現物があればデルの魔力で大量に生成できる。これからはあの病気の死亡率は格段に下がると言うことだ。そしてこの件で人間たちは魔族に歩み寄るようになったのだと聞いて嬉しくなった。そんなある日、デルの祖先の代から懇意にしている加工職人が殺害されたとの報告が。先の戦争で身内が傷付くのが嫌だからと一人で人間の軍団と戦った彼は、かなりショックだったようで気落ちしている。だが、この事件を皮切りに今度は星奈が食べた菓子に猛毒が仕込まれており周囲は騒然。幸か不幸か、冥府から異世界入りした彼女は不老不死の身体になったため大事には至らなかったが、毒の成分がかつてデルを体調不良にさせたのと同じ毒だと判明。そして彼の誕生日、星奈が再び狙われたことで、犯人の狙いは自ずと知れる。デルか王族に激しい恨みを持つ者の仕業であろうと。そして浮かび上がったのは彼の祖父・先々代の王が呼び寄せた女騎士・ヘル。召喚された彼女は亡くなっているのだが、先々代の王が無理矢理冥府から連れ出し自らの側に置いていた。望まぬ関係だったのは容易に推察できて、ましてや星奈と同じく不老不死になっているならばさぞ先々代王を恨んでいる事だろう。だが、かの王は既に亡くなっており恨みを晴らすことができない。今思えばデルの父を殺したのも恐らく彼女だ。次に何か仕掛けて来るなら、二人の結婚式の日。星奈は薬学の知識を使い、ヘルに打ち勝つための仕掛けを準備。当日、案の定ヘルは現れて・・・。デルを虚弱にした原因が、ここにきて漸く判るんですが、ヘルがまあとにかく手強い。恨むなら先々代だけにしといてよ、とは思うもののその対象が既に故人では恨みの行き場所が迷子になってもしょうがない。孫子の代まで憎いとばかりにデルの父を殺害し、彼にも毒矢を放った。不老不死同士だからこそ理解できることもあって星奈はヘルを追い込み、終わりないその生に引導を渡します。悲しい結末を迎えたこの事件でしたが、ヘルの攻撃でデルは片方の角を切り落とされ瀕死に。あの角は魔王の最大の弱点で、切断面を繋ぎ合わせることもできない。どうすることもできず星奈達は彼を救う方法を模索。そして閃いたのは再生治療。この世界では前代未聞の治療法は果たして上手くいくのか、って感じの展開です。以降の内容は本当にドキドキしました。絶望的な状況が続いてもしかして?と少し嫌な予感はしたものの、最後は怒涛のハッピーエンドで本当に良かった。評価:★★★★★見た目はクールで最強なデル様が星奈にべた惚れなのが良いです。
2024.01.26
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2022年9月刊メディアワークス文庫著者:優月アカネさん薬の研究者として働く佐藤星奈は、気がつくと異世界に迷い込んでいたー!なんとか薬師「セーナ」としての生活を始めたある日、行き倒れた男性に遭遇する。絶世の美しさと、強い魔力を持ちながら病弱なその人は、魔王デルマティティディス。漢方医学の知識と経験を見込まれたセーナは、彼の専属薬師となり、忘れ難い特別な時間を共にする。そうしていつしか二人は惹かれ合い…。元リケジョの天才薬師と美しき魔王が織りなす、運命を変える溺愛ロマンス、開幕! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 佐藤星奈=薬の研究者。 伝染病の新薬開発に成功するも異世界に転移した。デルマティティディス=異世界最強の魔王でブラストマイセス王国の国王。 とある理由で虚弱体質となった。 ライ=老舗鶏店の店員で星奈の恩人。 サルシナ=薬店を営む女性店主。とある伝染病の特効薬「セナマイシン」開発者の名前を冠したその新薬は27歳の女性研究者によって生み出された。しかし、彼女は研究中に自らもその病に罹患。倒れた星奈は目覚めると異世界に飛ばされていたのだった。病に倒れたはずの自分は何故かこの世界では健康そのもので暮らせている。後に知ったのだが、ここはブラストマイセスという国で、自分が飛ばされたのはトロピカリなる町。住民達から信頼されるまで少々時間はかかったが、今は顔見知りも増えた。ここは薬草の類も豊富なので、空き家を借りてそこで生活をしながら漢方薬を作りそれを薬店に卸して日銭を得ている。今日もサルシナの店にいくつかの薬を売り、家に戻ると中に男性が倒れていてビックリ。角の生えた彼は随分な美形で不覚にもときめいたが何とか寝台に運び、成り行きで介抱することに。翌朝になっても青年は目覚めず、一先ず症状から効果のありそうな漢方を処方し飲ませ暫くすると漸く彼は目を覚ました。青年はデルマティティディスと名乗り、起き上がれるようになると礼を言い、魔法で姿を消した。帰り際、飲ませていた漢方薬もどっさり渡した時はとんでもない金額を渡されそうになって慌てて辞退したものの、それなら話し相手になってほしいと頼むと承諾してくれた。まぁ、頷いてはいたけれどどうせ社交辞令だろう。大して期待はせずにいたのだが、いつもの日常を過ごし暫くすると約束通り彼はやって来た。それでもまだ調子が悪いみたいでまたお世話する羽目になったのだが、何だか妙に距離を縮めて来られて研究一筋だった自分には刺激が強い。そして改めてその素性を明かされて彼からある頼みごとをされたのだった。わけあって虚弱体質なデルの専属薬師になってほしいという。少し迷いはしたけれど、貴族相手の場合は要相談になるが専属と言えど今までのように薬の卸売りは続けてもいいという条件は助かる。しかも、なんだかこの人が気になるし放っておけない。星奈はその申し出を受け入れた。その際、お互いの秘密を明かす条件で気になっていたデルの今の体質の理由を尋ねると答えは意外なもの。100年前、以前この国を治めていた王族と諍いになり、デルが勝利を治めたのだが一瞬の隙を突かれて右胸に毒矢を打ち込まれたらしい。以来、魔力の循環が上手くいかず絶賛体調不良が続いているのだそうだ。魔族の王がここまで体調を崩すとはかなりの毒なのは確か。成分が不明なので解毒は難しいが漢方薬で体調改善は見込めるかもしれない。薬を処方して渡すので定期的に取りに来てくれるよう話すと星奈も自らの素性を打ち明けた。真剣にその話を聞いていたデルは彼女が異世界転移した理由に思い当たる節があるようだ。元々、この世界では異世界に繋がる門があり、以前は違う世界の専門家を召喚して国や領土の発展に協力してもらっていたのだとか。しかし、門を開ける際は術者の魔力を大量消費し代償も大きいので割に合わないと、ある時期から禁止された。門は代々魔族の長が管理していたのだが、デルの魔力は不安定で歪が産まれ、たまたま星奈が巻き込まれたのだろうと。しかも召喚ではなくすり抜けてきてしまったということなので何とも恥ずかしい。デルは時間はかかるかもしれないが必ず帰還方法を調べると約束してくれたが、自分にはここの生活が合っている。一先ず専属薬師として頑張るので告げると彼は何だか顔を覆っていて角はほんのり色づいていた。以降、デルとの交流は続き、星奈も充実した毎日を送っていたのだが、いつも明るく無邪気なライの様子がおかしい。彼はいつになく真剣で話を聞くと近々魔王討伐が行われ、ライも参加するのだと言う。この国の王は魔王なのに、未だ先の大戦の影響か魔族をよく思わない人間も多い。ライの親も魔王に殺されたのだと聞き、そういう理由なら説得できそうもない。何とか討伐の決行日だけ聞き出したが、デルに知らせるにしても連絡方法が無い。先日薬を取りに来たばかりなので暫くはやってこないだろう。星奈は放っておけないと王都までこの事態を伝えに行くことを決断し・・・。100年も前のことなのに、魔族と人間との確執がまだ根強く残っていることを知って心を痛める星奈。ライにも危ないことはして欲しくないし、デルも絶好調の時ならば心配いらないがあの体調では。何日もかけて遠い王都まで向かう星奈は途中立ち寄った町で、元の世界で猛威を振るったあの病と再会することに。医師のフラバスと治療に当たるも漢方薬で症状を抑えることはできても完治は出来ない。自分が開発したセナマイシンがあれば。デルとも何とか会えて、一つの過程を試したものの不発に終わり、行き当たった答えは自分が元の世界に帰りセナマイシンを取ってくればいいというもの。デルにより、帰還方法も判明したけれど、こんな方法を打ち明けたらきっと反対されると、ただ帰りたいからと彼に願った星奈は現世に帰還します。終盤はデルと彼を逆恨みするブラストマイセスの王子との対峙と、この件に黒幕がいるらしいことも判り、門を開けたことで彼が多大な代償を払ったことなどが描かれて、ちょっと不穏な空気で下巻へ。あれ?星奈ってあの病気にかかってなかったっけ?と気になりましたが、この上巻では期間後の彼女の様子は描かれていません。私は上下巻一気に買ってあまつさえ先日まで寝かせてたから一気に読めたけど、一ヶ月待った人はさぞモヤモヤしただろうな(^_^;)思い合う二人は幸せになってほしいし、きっとハッピーエンドに違いないと信じてる。評価:★★★★★原題より書籍のタイトルの方がすっきりしてて良いという珍しいパターン
2024.01.25
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2023年4月刊メディアワークス文庫著者:水芙蓉さん貴方への想いと、貴方からの想い。それが私の剣と盾になる。「剣は鞘にお前を選んだ」美しい長女と三女に挟まれ、目立つこともなく生きてきたオードル家の次女サクラは、「軍神」と呼ばれる皇子カイにそう告げられ、一夜にして彼の妃となる。課せられた役割は、国を護る「破魔の剣」を留めるため、カイの側にいること、ただそれだけ。屋敷で籠の鳥となるサクラだが、持ち前の聡さと思いやりが冷徹なカイを少しずつ変えていき……。すれ違いながらも愛を求める二人を、神々しいまでに美しく描くシンデレラロマンス。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 サクラ=名門・オードル家の次女。 「破魔の剣」の鞘となり、カイに娶られた。 カイ=大国キリングシークの第二皇子。 「破魔の剣」の使い手で<漆黒の軍神>と呼ばれる。「小説家になろう」発のファンタジーロマンス。初版切れなのか、リンクが電子しか無かったのですが、所持しているのは文庫版です。詳細を書くと相当な長文になりそうなのでざっくりと。オードル家の美人姉妹として有名な姉と妹のおかげで、地味で凡庸な次女のサクラは今イチ目立たない存在だった。そんな彼女の唯一の取り柄は小型の魔獣となら意志を通わせられること。妹・アオイの誕生日パーティーの日、多くの男性客が屋敷を訪れていた。「漆黒の軍神」と呼ばれる第二皇子・カイもその一人。賑やかな場に馴染めず、使い魔のアシュと庭を散歩していたサクラは、怪我をした白い魔獣を助けた。だが、誤解からカイがその魔獣を退治すべく攻撃を仕掛け、それを庇った彼女の身体に「破魔の剣」が吸い込まれてしまった。「破魔の剣」は使い手が変わる度に鞘となるものを選ぶ。当代はサクラが選ばれたことになるのだが、すなわちそれは使い手の妻になることでもあった。地味で目立たない自分の様な者が、と気にするサクラだったが、カイは彼女を自らの側に置き続け、皇子妃として厚遇。しかし、それは大事な鞘のため。女性として愛されているわけではない。加えて剣の使い手として、危険な任務に赴く彼をサクラは気にかけ、心配し続けた。やがて彼女は心労と季節の変わり目で体調を崩し、カイの幼馴染が治める領地で静養することに。鞘とその中に眠る剣と離れるわけにもいかず、カイも付いて来たのだが、そこで過ごすうちに漸く二人は互いのことを意識し始めて・・・。帯に記載されている人物紹介だとサクラが不遇ヒロインだと書かれていますが、別段不遇ではないです。姉妹仲も良いですし、家族に蔑ろにされてるわけでもない。ただ、姉と妹に比べると少々目立たず、モテなかったってだけで。そんな彼女がふとしたきっかけで「破魔の剣」の鞘に選ばれ、皇子妃に。夫はぶっきらぼうだけれど、待遇も悪くなく他に妾を作るようなそぶりも無い。だが、大事にしてくれているのは偏に自分が大事な「鞘」だから。それがストレスになって暑気あたりと重なって体調を崩すサクラ。幼馴染たちの助言もあって、カイも色々考え直したようで、妻に歩み寄ろうとするも、そんな最中、彼が強大な魔獣に狙われていることが判明。サクラが助けた白い魔獣もその魔物と因縁があり、みたいな展開です。結婚も突然なら式も挙げておらず、ただ鞘に選ばれたからという、そんな理由で大事な家族が娶られたなんて、そりゃヒロインの実家からクレームも付きますわ。ヒーローはその手のことには無頓着過ぎて、日に日に元気がなくなっていく妻の様子が気になりつつも、原因に思いつかず、関係はぎくしゃくしたまま。魔獣の騒動と妻の姉の一言によって漸く考え直すわけですが、まぁ朴念仁故なので悪気はないんですよね。おかげで周りが気を揉んじゃって、さぞかしじれじれしたことでしょう。最後は何だかんだと仲良くやっているような描写があったので、上手く行って何よりではありました。評価:★★★★☆
2023.05.21
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2022年12月刊メディアワークス文庫著者:灰ノ木朱風さん士族令嬢の月乃は父の死後、義母と義妹に虐げられながら学園生活を送っていた。そんな彼女の心の拠り所は、学費を援助してくれる謎の支援者・ミスターKの存在。彼に毎月お礼の手紙を送ることが月乃にとって小さな幸せだった。ある日、外出した月乃は異形のものに襲われ、窮地を麗容な異国の男性に救われる。ひとたびの出会いだと思っていたが、彼は月乃の学校に教師として再び現れた。密かに交流を重ね始めるふたり。しかし、突然ミスターKから支援停止の一報が届きーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 謡川月乃=士族令嬢。父が亡くなり義母と義妹に虐げられている。 フリッツ=月乃達が通う女学校にやって来た英語教師。 蓮者千代=月乃の親友。 真上暁臣=月乃の幼馴染。 謡川亜矢=月乃の義妹。TL小説ではなくラノベです。不遇ヒロイン+怪異モノ。研究医をしていた父が、留学先の異国で亡くなって早2年。士族である謡川家の屋敷や財産は義母が恣にし、この家の直系の娘・月乃は虐げられる日々。元々、義母とその連れ子の義妹は父が存命中の時から月乃を邪魔者扱いしていたのだが、父の目が無くなった途端それが顕著になった。父の死を嘆き、泣くことすら許されず無体な扱いも受けたが、それより、目下の悩みは義母が月乃を早々に嫁がせようとしていることだ。彼女を追い出し、結納金も貰える。まだ学生の月乃は義母に縋り、せめて学校だけは卒業させてほしいと頼み、何とか聞き入れられた。それと言うのも、月乃の学業支援をしたいととある人物から申し出があったからだ。以降、定期的に学園長宛に学費が送られているらしく、退学にならず済んでいる。だが、義妹の亜矢も同学園にいるため、何かと嫌がらせをしては月乃を困らせていた。そんなある日、いつもの嫌がらせで街へ買い物に行く羽目になった月乃はその帰り道、怪我をしたフクロウを発見。その際、異形の存在に襲われた。それを救ったのは突如現れた異国人の青年。青年とは少し会話をした程度ですぐ別れたが、その翌日、彼が新しい英語教師として赴任して来て驚いた。彼はフリッツ・イエーガーと名乗り、またもや亜矢の嫌がらせで難儀していた月乃をさりげなく助けてくれた。フリッツはたちまち女生徒たちの人気者となったが、月乃は二度も救われたこともあり、彼に礼もしたいしフクロウは無事なのか、そして昨夜のアレは何なのか意を決して尋ねることに。中庭のベンチに一人いたフリッツにからかわれはしたものの割とあっさり事情を話してくれた。英語教師と言うのは仮の姿であり、本来は帝国陸軍から依頼されやって来た「悪魔殺し」なのだそうだ。ここにやって来たのはこの近辺で不可思議な怪異と思われる事件が四件も起きていたかららしい。それ以上は流石に教えてくれなかったが、それよりも彼は学園長から、月乃がミスターKなる篤志家から援助を受けていることを聞いたようで、なのにどうしてそんなみすぼらしい姿なのかを尋ねた。義妹の亜矢は仕立ての良い高そうな着物を着ているのに、長女の月乃は擦り切れた着物と言うのは明らかにおかしい。そもそも援助してもらっているのは学費だけのはずで、余計な額はないはずだ。そう思い込んでいるのか言い淀む月乃にフリッツは思う所があるようだった。それから暫く経ち、新たな事件が起きた。幸い生気を吸われただけで、命は別状ない。フリッツは吸血鬼の仕業と踏んでいるようだ。その間、フリッツは月乃にフクロウを助けた礼と称して、着物を何着か買ってくれたりとさり気ない優しさを見せた。口実を付ければ彼女は遠慮をしないだろうと考えてのことだとすぐに判ったが、そんなフリッツに段々と惹かれて行く月乃。だが、ある日、ミスターKから援助を打ち切る旨の報せが届き・・・・。この援助、実際はかなりの額が毎度送られて来てたんですが、その大部分を学園長が着服しており、月乃には一銭たりとも渡っていませんでした。そして、彼女の実家にも当主の死亡により、その研究に関するものや屋敷の維持費として援助していたようなのだけど、これも義母が使い込んでいたと言うオチ。この大人たちは全くしょうがないな。月乃の現状を知り、篤志家本人が不振に思いお前らへの援助は切るからと連絡してきたわけです。でも、月乃への援助は以降も継続。義母には今までの金は借金扱いにすると返金を迫り、返せないなら屋敷を出て行けと義母と義妹を追い出すことに。学園長は横領がバレてクビ。この辺はいい気味でスッキリ。まぁ、篤志家の正体は当然あの人なわけですが、最初に月乃の扱いを見てビックリしたろうな。義妹の妬みの理由も判らなくもないけど、正直逆恨みの範疇ですからね。そもそも、何で後妻と連れ子が大きい顔をするのか意味が判らん。親だし娘と二人なら正義とか?不遇ヒロインもののセオリーでもあるけれど、前妻の子がいるのを承知で嫁いで来たんだから邪険にせずに仲良くやればいいのに。お父さんもなんでこんな女選んだんだろう。見る目無さすぎる気が。この件に関しては人の好さが災いしたんですかねぇ。その研究については、続編で明かされそう。怪異事件の方も同時展開していき、意外な人物が真犯人で驚きました。ああでも確かに言われて見ると・・・・。ラスト間際のあれは夢オチ?評価:★★★★★
2023.01.30
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