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2024年5月刊富士見L文庫著者:みちふむさん大正時代の函館。旧華族の清子は顔の痣により冷遇されて育った。そんな彼女は、金のため顔も知らぬ実業家に嫁ぐように命じられる。清子が出向いた屋敷には、商才あふれる美貌の青年・朔弥がいた。しかし彼の目は不自由になりつつあり、これまでの縁談への苛立ちから彼女を拒絶。それでも清子は真摯に接し、朔弥も、その育ちゆえに真心で人を見る彼女に心惹かれ、互いにかけがえない存在に。だが、痣を知った岩倉本家は彼女を追い出そうとしてーー。彼と生きるため、清子はその人柄と聡明さで懸命に試練に向き合い……? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 伊地知清子=名家の娘ながら、生まれつき顔に大きな痣があることから家族に虐 げられていた。 岩倉朔弥=資産家の長男で清子の見合い相手。目が不自由で気難しい性格。 近藤正孝=朔弥の秘書。 岩倉哲嗣=朔弥の弟で岩倉家の次期当主。旧華族の流れを汲む伊地知家の長女・清子は、顔にある大きな青痣のせいで家族、特に母から疎まれて使用人以下の扱いを受けていた。毎日こき使われてくたくたではあったが、そんな彼女にも楽しみな事が一つ。家族の誰もが面倒がっていた先祖の寺供養を押し付けられた清子を住職夫婦が気にかけ、有名女学校出だという奥さんが勉強を教えてくれるようになったのだ。小学校しか出ていない清子は、おかげで色々な事を学べたし、奥さんが紹介してくれる繕い物の内職で幾ばくかの現金を手にする事が出来た。息子たちのお下がりだけどと貰った本と読み終わった新聞を貰い帰宅すると、珍しく父から呼び出しが。恐る恐る出向くと叔母が来ており、母と優子も揃っていて、自分に縁談が来ていることを知らされた。お相手は貿易商を営む岩倉家の長男・朔弥。裏では成り上がりと陰口を叩かれつつも、社長は商才がありかなりのやり手らしい。当初、両親は優子を嫁に出す気だったようだが、直前で勿体ないと考え直し清子に変更すると叔母に話すと、後日岩倉家に行くよう命じた。色々ショックではあったが、もし嫁いで上手くいかなかったらうちの寺で暮らせばいいと奥さんから励まされ、何とか覚悟はできた。数日後、朔弥が暮らすと言う岩倉家の別邸へやって来た清子は、半日近く待たされた挙句、見合いをすっぽかされてしまった。しかし、根気よく待ち続けていると夜半に帰宅した朔弥はビックリ。結婚なんてしないと、屋敷の使用人の瀧川が止めるのも聞かず、雨の降る中彼女を追い出した。このまま帰ったら父に何と言われるか。母からの折檻も恐ろしい。とぼとぼ歩いていると瀧川が追い付いて、岩倉邸に戻ることに。あの後、自分の乳母を務めていた瀧川に叱られた朔弥は清子を連れ戻すよう命じていた。だが、雨に当たったせいか彼女は熱を出して寝込んでしまい、医師に診てもらうと栄養失調だと判った。名家の娘が栄養失調?不思議に思いながらも彼は暫く屋敷で養生させると、秘書の近藤に伊地知家を調査するよう頼んだ。何とか回復した清子に、朔弥はある提案を持ちかけた。生まれつき視力が弱く不自由な生活をしてはいるが、頭が良く専務として働く彼には縁談がひっきりなしに申し込まれているのだそうだ。そこで、実家に戻り難いのであれば許嫁のフリをして自分の身の回りの世話をして欲しいと。新聞を読むことができるのも助かると話す彼に、清子は自分ばかりが得してないかと気にはしていたが、提案に応じた。彼は全く見えないわけではないものの、輪郭や色が多少わかる程度でやはり常人とは違い介助が必要な場合も多い。着替え等は瀧川が手伝い、おさんどんや瀧川の補助、そして毎朝新聞を3紙ほど読み聞かせるのが清子の仕事となった。朔弥は自分に歯がゆく思うことがあるのかよく癇癪を起し、気難しい性格だ。だが、優しい面もあって瀧川から聞いたのだろう、荷物の少ない清子の為に色々用立て、聡明な彼女を褒めた。彼女が新聞で得た昨今の情勢から読み解いて出した案は、いくつも当たって随分儲けさせてくれた。人柄も洞察力が高いのも気に入った。この頃にはフリではなく、本当に自分の妻になってほしいと朔弥は思い始めていた。瀧川の話では彼女の顔にはかなり目立つ青痣があると言う。本人も気にしているようだが、朔弥には見えないし、それがなんだと思う。しかし、当の伊地知家が今になって清子を嫁に出すのを渋り始めたのだ。調査により、家族で彼女を蔑ろにしていたのは知っている。だが、いなくなって初めて清子の重要性に気付いたのだろう。最近詐欺に遭って事業も上手くいってないようだし、取り戻せないなら結納金を多く請求してきそうだ。多少は色を付けてもいいが、ずっと援助を期待されても困る。そこで後日、上手い話と脅しも付け加えて結婚の許可を迫ると、当主は渋々承諾。問題は朔弥の家族か。案の定、母は痣のある娘なんてと反対しているようだったが、実力主義の父は、これまでの清子の功績を話すと随分と気に入ったようだ。弟の哲嗣も手放しではないが一応祝福してくれている。清子もホッとしたようではあったものの、どうも父たちに会った日から様子がおかしい。父母は面と向かって彼女に何か言ったようには見えなかった。となると哲嗣の方か。案の定、哲嗣は清子の容姿について兄がかわいそうだと彼女を責めていて・・・。兄のことが大好きな哲嗣はこの結婚を反対していました。お人好しだが気立てが良く、頭も良い清子を朔弥は自分のことのように自慢に思っており、弟にも彼女の良さをどう判ってもらおうか模索。一方、伊地知家は所有していた貸物件が阿片の闇取引会場にされていたことにより、あらぬ疑いを掛けられたせいで見る見る没落。優子も学校を辞めざるを得なくなり屋敷を売却し、町を去ることに。これはもう完全に娘を虐げていた罰ですね。その頃、朔弥たちも所有する鉱山で暴動が起きて危機に陥っていた所、清子の活躍で鉱山を管理させていた社員達が横領していたせいだと判り事態は収束を向かえます。朔弥はこの件で一層清子に惚れ直し、哲嗣も蟠りは残しつつも彼女の優秀さを認めるのでした。その後、朔弥と清子は結納を交わし、正式に婚約者となって幕。清子さんの才媛っぷりだけでなく、その人となりなんかも良く描かれていて、これは人嫌いさえも惚れさせるわと納得。続編もあるそうなので次は朔弥の溺愛も見られるんでしょうかね。評価:★★★★★
2024.06.30
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2024年4月刊富士見L文庫著者:唐澤和希さん荒ぶる神に生贄として捧げられた如月千代。彼女は弟を守るため、神の力を封じる毒と一緒に食べられたい。その瞬間を待つ千代の前に、秀麗な龍神・銀嶺が現れる。誰もが恐れる龍神は、けれど千代を花嫁として丁重に扱うばかりでーーいっこうに食べてくれない! 銀嶺の優しさに癒やされつつも、食べられようと自分磨きに励む千代。一方で、千代の不憫な境遇を神の力技で解決しようとする銀嶺。から回りながら共に暮らす二人は、やがて互いの隠し事を通じて向き合うようになりーー。生贄乙女と龍神様、運命の婚礼物語が始まる。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 如月千代=霊力を持つ「神士族」の娘。両親を早くに亡くし、弟共々叔父一家か ら使用人以下の扱いを受けていた。 銀嶺=荒ぶる神として恐れられる龍神。如月万里子=千代の従姉妹。 如月柊=千代の弟。荒川に居を構える名家・如月家の長女千代は10年ほど前、当主を務めていた両親を事故で亡くした。残された姉弟を叔父の正道が面倒を見てくれると言う。両親が健在だった頃は優しく人当たりの良い人達に見えた正道夫妻は、屋敷に移り住んだ途端に態度を急変。遺産を横取りした挙句、千代たちを虐げるように。そればかりかお嬢様育ちの千代を使用人としてこき使い、気に入らない事があれば躾と称して暴力を振るった。食事が与えられない事も多々あって弟の柊を庇いながら、それでも生きるために耐え忍んできた。今思えばどうしてあの時叔父の手を取ってしまったのだろう。上っ面に騙されて容易に他人を信じた自分の落ち度だと、ずっと悔やんでいる。そんなある日、千代が次の龍神の花嫁として決まったと知らされ愕然とした。そして、柊も5年後の花嫁として捧げられる予定だと言う。その昔、敵対していたあやかしと共存していくために神士族の元となった術師5人がある協定を結んだ。それは天神契約を交わしてあやかしを神として崇めること、あやかしは受け持ちの地を守護し人を襲うことを禁じた。その見返りとしてあやかしには神士族の者を5年に一度生贄として捧げるというもの。これは男女限らずで、18歳以上の者。建前上生贄は「花嫁」と呼ばれるのが習わしだ。しかし、あやかしと言えども残忍なものばかりではなく、争いや殺生を好まないものがいる。後者は和御魂と呼ばれ、花嫁のことも食うこともせず大切に扱っていると聞く。だが運悪く、この荒川を守護する黒龍は荒御魂と呼ばれる残忍な気性の方だった。当然、生贄など餌としてしか捉えていない。叔父夫婦にしてみればもはや二人は用済み。花嫁を出した家は莫大な報奨金が出るので、邪魔者を消せるだけでなく金も貰えて一石二鳥というわけだ。それでも自分だけならばまだいい。でも柊が生贄にされるのは何としても阻止しなければ。しかし、どうにも悔しくて今となっては唯一の友である白蛇の「ハク」に、やるせなさをぶちまけた。ハクはまだ両親が存命だった頃、怪我をして死にかけていた所を千代が助けて以来、懐いて屋敷の裏手にある藪に住み着いていた。叔父達に殴られたり心無いことを言われて泣く千代の涙を舐めとりハクなりに慰めてくれていたように思う。黒龍の生贄になんてなりたくない、本当は死にたくない。号泣する彼女を見て、何を思ったのかハクは千代の腕に噛みつきその血を啜ると飛び降りて藪の中へ消えて行った。そして、輿入れの日。白無垢姿で龍神が住まう屋敷にやって来た千代はある決意を胸に秘めていた。亡き母は「毒華の一族」という神の力さえも無効化できる毒を作り出す一族の末裔だった。まだ幼かった千代も母からもしもの時のためにとその毒の作り方を教わっていた。龍神が自分を食べる際にその力を無効化すれば力無い妖に戻る。現れた人型の龍神を前に、食らいついて来た時がチャンスだと機を伺っていると、銀嶺と名乗った彼の態度は予想に反していた。銀嶺は千代を労わり、よくぞ来てくれたと上機嫌。そして、お前を虐げていた叔父一家に天罰を下してやると鼻息を荒くしていた。最後の物騒な言葉以外は、どうみても邪悪な黒龍には見えない、どこか無邪気さが残るその言動に呆気にとられながら、恐る恐る自分を食べないのか?と尋ねると、何を言ってるのか判らないと言う顔をされた。そればかりか性的な意味の方か?と妙に照れている。彼はあかぎれと傷だらけの手を見て眉を寄せると、式神を呼び出し、千代の世話を任せた。痩せ細り傷だらけの女には食欲もわかないと言うことかと彼女は一応納得したが、あれからひと月以上経ち、血色の良くなった千代を見ても彼は彼女を食おうとはしないばかりか、何か欲しいものはないか等、気遣いを見せてくる。どうも噂の黒龍と銀嶺の人となりが一致しない。取り敢えず、千代を食う気が無いのは確かなようで、ここまで来ると疑う余地も無いように思う。銀嶺は本当に優しくてだからこそ叔父一家に激怒している様だった。もしや彼は荒御魂ではなく和御魂なのでは?首をひねりつつ、穏やかな日々を過ごすうち、気になるのは叔父の元に残っている柊のこと。先日、貢物を届けに来ていた花京院家の次期当主・忠勝と会う機会があり、千代が生きていることに驚いた彼に謝罪された。自覚は無かったが千代には優れた霊力があり、本来なら忠勝の許嫁になる予定だったことや、叔父は本家を通さず花嫁役を千代に決めてしまったそうで、気付いた時には取り消しが間に合わなかったと申し訳なさそうにしていた。それでも忠勝は千代が大事にされているなら良かったと安心しており、ここ最近、この地の守護の質が変わったと溢してもいた。前はもっと荒々しかったと。この会話から余計に弟のことが気になってしまい、銀嶺に弟をここに引き取りたいと頼むとすぐに許しが出た。一緒に来てくれると言う彼と二人、如月家に赴くと、正道は腰を抜かさんばかりに驚いていた。しかし、すぐさま姪に向かってお役目を放棄したなと責め立て、横にいた銀嶺の不興を買っていたのは滑稽だった。叔母と万里子は銀嶺に媚びを売っていたものの彼らの悪行は既に彼に知られていたので靡くはずもなく、凝りもせずに千代に対して高圧的な態度をとる万里子達に怒りを露わにしていた。彼のおかげで柊を無事に黒龍の屋敷に連れ帰ることが出来て一安心だったが、何故か弟は銀嶺を見るや彼態度を変えた。その尋常でない雰囲気に二人きりになった際、理由を尋ねると柊が両親を殺したのは黒龍だと言い出し・・・。和風シンデレラストーリーです。銀嶺って本当に邪悪な黒龍なの?最初からかなりの違和感があったんですけど、やはり別人だったことが後に判ります。恐らくハクの件で気付いた方も多いんじゃないでしょうか。銀嶺は荒御魂・黒龍の8人の子供たちのうちの一人で、唯一白い鱗を持っていたことで迫害されていました。そんな中、毒華の一族により、好き放題悪さしていた兄弟たちは力を奪われた挙句に処罰され、生き残った子供は銀嶺のみ。でも彼は父に心底嫌われていて棄てられた所を幼い千代に救われたのでした。千代は稀血であり、その血を啜り身を食えばあやかしは力を得ることができる。彼女の涙を舐めていた銀嶺は図らずも徐々に力を付けて行き、あの生贄の話を知ることに。千代の血を啜って更に強大な力を持った彼は父を討ち封印に成功。黒龍に成りすまして彼女を迎えたというのが真相でした。でも、黒龍は万里子に唆され疑心暗鬼になった柊を操り、銀嶺への復讐を企みます。一方、彼は千代がそうだと知らず毒華の一族の末裔を探し、父の力を無効化するべく奔走。そして結果的に銀嶺と千代のお互いへの想いが力となり黒龍を倒すのでした。万里子は貴重な文献である千代の母の手記を勝手に読んで処分すると言うやらかしによって千代の怒りを買い、諸々の罪状も相俟って銀嶺の意向で叔父一家の神士族としての身分を剥奪。一文無しで追い出される羽目に。この件は読んでてスッキリ。銀嶺は和御魂として新たに天神契約して黒龍の代わりにこの地を守護することになり、千代と新婚生活を始めた所で〆このお話、続編があるそうで秋頃に2巻が出るとか。新たな試練という煽り文句に嫌な意味でドキドキ(^_^;)評価:★★★★★序盤の銀嶺と千代の噛み合わないやり取りが可愛い。
2024.05.28
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2024年4月刊富士見L文庫著者:マチバリさん悪質な怪異を退治する一族の娘・明彩は、退魔の力がなく冷遇されて育った。一方、傲慢な弟は禁忌を荒らし、異界の王・涼牙を呼び起こしてしまう!その場に明彩は置き去りにされて…。危機に陥る明彩だが、実は涼牙は穏やかで理知的な美青年だった。彼は明彩の秘めた希少な“癒やしの力”の価値を教え「俺の姫となれ」と彼女を誘う。涼牙の治める異界で明彩は力を発揮して尊重され、居場所をくれた彼に惹かれていく。しかし、現世では家族が涼牙に罪を転嫁し、あろうことか異界への侵攻を企てていてー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 須央明彩=退魔師一族・須央家の長女。 魔を癒す力を持つことで家族から冷遇されていた。 涼牙=異界の王。明彩を保護する。 須央壱於=明彩の弟。 西の地を守る退魔師の一族・須央家の長女として産まれた明彩は退魔の力を持たないばかりか、天敵である魔を癒す能力を持つことで長らく厄介者扱いされていた。家族として認められず、毎日使用人以下の生活を強いられる日々。この西の地に出現する怪異は他と比べて弱い。おかげで功績を挙げられないと父はいつもイライラしていた。期待していた長女は禄でもない能力だったこともあってか、自然と次に生まれた長男の壱於に過剰な期待を向けている。家族の中で唯一、明彩を慕ってくれた弟はストレスからかすっかり性格が変わってしまい、傲慢な態度をとるようになった。厳しい訓練や勉強、自由時間などない生活ではどこかで発散しなければやりきれないのだろう。弟が明彩にマウントを取って来るようになっても彼女は壱於を気遣っていた。そんなある日、壱於が退魔師選定の儀式を受けることになり、明彩はその付き添いを命じられた。当日、本家からの未届け人として昔須央家にいた退魔師・佐久間と3人で怪異が現れる山中に入ったのだが、全く遭遇しない。プレッシャーもあったのか壱於がイラつき、漸く姿を見せた毛玉のような姿の弱い怪異に攻撃を繰り出したのだった。本来、怪異とはいえ人に害をなさない弱いものの捕獲や攻撃は固く禁じられている。佐久間も指摘したが聞く耳を持たず毛玉を甚振る弟を止めた明彩は逆に殴られてしまった。そこに現れたのは人型の怪異。壱於は佐久間が制止するのを殴って昏倒させ、その怪異に攻撃したが格が違い過ぎたのか全く歯が立たない。戦意喪失した彼は逃げ出し、その場には意識の無い佐久間と明彩が残されたのだった。殺されると覚悟したが、弟に嬲られていた毛玉を治療しなくては。明彩が触れると毛玉は見る見る回復し、彼女を「ひめさま」と呼んだ。人型の怪異は涼牙と名乗り、怪異の間では姫とは癒しの力を持つ女性のことを指すのだと説明してくれた。涼牙は佐久間にも手は出さないと言い、その代わりと称し、明彩を異界へと連れ去ったのだった。あれから半月。異界での暮らしにも随分慣れた。明彩は「姫」として涼牙の眷属たちの治療に当たっていた。彼の屋敷で本当にお姫さまになったかのような厚遇ぶりには驚いたが、「姫」ならば当然の扱いだと聞かされた。それほど稀少で得難い存在なのだと。涼牙の屋敷には力の弱い怪異たちが大勢暮らしていた。皆彼が保護し眷属にしたそうで、中には明彩が見知った者も。父は弱い怪異を生け捕りにして逃げ出さない様、結界を張った道場で飼い、門下の退魔師たちの訓練に使っていた。死なない程度に痛めつさせては、それを明彩に癒させていたのだ。心優しい彼女はそれに耐えられず、怪しまれない程度の期間を空けて1匹ずつ逃がしていた。あの毛玉も先日逃がしたばかりの子で運悪く壱於の儀式に巻き込まれてしまったようだった。毛玉はあれ以来、特に明彩に懐いており、請われるまま「玄(くろ)」と名付けをした。涼牙も多忙ながら、毎日様子見に来てくれるし須央の家では味わった事の無い平穏な日々を過ごしていると異界こそが自分の居場所なのではと思えて来る。「姫」は怪異たちにとって喉から手が出るほど欲しい存在。鴉天狗の頭目が病気で危篤だから助けて欲しいと無理矢理連れ出された時は涼牙が怒り狂い、せっかく頭目を救えたと言うのに大騒動になりかけたりもした。頭目の息子である峡を明彩の護衛として寄越すことで手打ちとなったが、自分が彼にそれほど大事にされていると思うと嬉しくもあった。それにしても涼牙と昔どこかで会ったと事があるような。彼女は気付いていなかった。10年ほど前、涼牙が大怪我をして人界に迷い込んだ際、亡き母の形見でもある花の苗さえも一緒に治してくれた明彩にずっと恩義に感じていたことを。涼牙にとって彼女は初恋の人でありずっと忘れらない人だったのだ。一方、須央家はあれからかなり追い詰められていた。行方不明の明彩があの人型の怪異・鬼に食われたのであるならばまだいい。だが、佐久間が無事に発見されたことで拙い状況になっている。壱於のやらかしは本家にバレたら大問題だ。しかも儀式に失敗し、付き添いの姉が怪異に攫われた。おそらく明彩はその力を知った怪異によって異界に連れ去られたのだろう。立て続けに起きた不祥事についに本家から監査が来るらしい。せめて明彩が無事に戻ってくれば儀式での事故として多少は取り繕えるのに。壱於は自分のせいだというのに姉を異界から取り戻すべく画策し・・・。その後、弟の罠により明彩は異界から連れ戻され屋敷の地下牢に軟禁されます。そして、壱於は姉を救出に来るあろう鬼・涼牙を退治して汚名返上を狙うのでした。が、力の差は歴然。明彩を助けに現れた彼の強大な力に太刀打ちできないまま負ける壱於。この弟、姉に対してシスコンを拗らせてるとんだ勘違い野郎でした。弟と対峙し明彩は異界で暮らしていくことを告げ、家族とも絶縁。佐久間さんによって報告を受けた本家は須央家に相応の罰を下すこと、実は明彩の能力は保護されるべきものだったと告げ、本家に来ることを薦められるもそれを固辞。涼牙と共に生きていくことを話し、異界へと帰るのでした。無知は罪、明彩の両親は本当に愚か。いや、普通にすごいでしょ彼女の力。魔限定とは言えど怪我だけでなく病気も治せるヒーラーなのに。退魔師の中でも希望の光を秘匿していたとなればそりゃあの罰は当然。壱於については、ああこの子作者さんのお気に入りなんだろうなとと思ってたら後書きにてその辺り触れられてましたw やっぱりね。涼牙によって過去が語られ、両想いになった二人。綺麗に終わっているのでこれで終わりでも良い気はしますが、何となく続編ありそうな予感。ヒーロー・涼牙の過去も重要なファクターではあるものの、全部書くと長くなるので割愛してます。でもそりゃ明彩のこと好きになっちゃうよねと。気になる方は本編をご覧ください。評価:★★★★★和風シンデレラストーリーがお好きな方におススメです。
2024.05.04
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2024年2月刊富士見L文庫著者:坂合奏さん大国ドルマンの第一王女ジョジュは王位継承争いに敗れ、継母殺しを企てた悪女と汚名を着せられてしまう。さらに国を追放され、辺境の小国ロニーノへ嫁ぐことに。失意のジョジュを迎えたのは冷酷無慈悲と噂のエミリオン王だった。「愛を求めるな」と言ったエミリオンだが、敵ばかりの祖国とは違いジョジュを公正に扱ってくれた。ジョジュは生来の聡明さを取り戻し、若き王に反発する者の陰謀が渦巻く王宮で味方を増やしていく。凛とした姿は頑ななエミリオンを変え、二人は次第に心を通わせるが、元王妃候補の令嬢が現れーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ジョジュ=大国・ドルマンの第一王女。 異母弟妹の策略にはまり国外追放された。 エミリオン=辺境の小国・ロニーノの国王。 ヴィオラ=エミリオンの元婚約者の公爵令嬢。大国・ドルマンの世継ぎの姫ジョジュは、皇妃暗殺未遂と覚えのない使い込みの罪を着せられ王籍を剥奪された。幼い頃から王位を継ぐべく努力していた彼女は、異母弟妹の策略によって王女ですらなくなり、地下に幽閉された後、父王から辺境の小国ロニーノの国王・エミリオンの妃になるよう命じられた。国交間の親睦の為の政略結婚と言えば聞こえは良いが、要は体の良い国外追放である。ドルマンから幾日もかけて辿り着いたのは雪深い寒冷の地。護衛や世話係達はジョジュの世話を嫌がり、あまつさえ本人に聞こえても構わないとばかりに大声で悪口を言っていた。あの事件後、皆に愛されていたジョジュの評判は落ち、顔も見たくないと言うのが本音だろうが、迎えに来ていたロニーノの騎士達はドルマン人の態度に眉をひそめていた。職務放棄した従者のせいで持ち込んだ荷物は置き引きの被害に遭っており、せめてこれだけはと持ってきた家族の肖像画を紛失してしまったことに消沈。しかも、城で待っていたエミリオンはジョジュに興味も無いよう。軽く挨拶を済ませると忙しいのかさっさと立ち去ってしまい、ジョジュも唖然とした。その夜、歓迎の晩餐会に参加したジョジュは、初っ端から故郷での事件の真偽を問われピンチに。エミリオンが不快を示したおかげで事なきを得たが、やはり自分の悪評はこの地にも広まっていたのかとうんざり。謂れのない罪とは言え、身の潔白を示す術が無いのだから平静を装うしかない。そして、この国でも派閥争いがあるらしい。ジョジュの輿入れを厭んでいるのはエミリオンの治世を良しとしない旧体制派だそうだが、ここは中立に徹するべきだろう。どうやらあの置き引きも旧体制派による嫌がらせだったようで、持ち去っただけでなく荷物を丸ごと王宮の裏庭で燃やされていたのを見た時は流石に腹が立ったが。少々悶着はあったものの、エミリオンの弟・ガルスニエルとその幼馴染である公爵令嬢アルムとも仲良くなり、嫁いできた以上自分に出来ることをと、ジョジュも努力を重ねている姿を見て、エミリオンを始め、徐々に彼女の味方も増えて行った。ある日、エミリオンと視察に出掛けたジョジュは、彼からこの婚姻の経緯を聞かされた。エミリオンは現在この国の経済発展のために鉄道事業に着手しているのだが、その援助をしたいとドルマン側から申し入れて来たのだとか。その条件がエミリオンとジョジュとの結婚。それが娘を救う唯一の方法だからと、父が言っていたと聞き、親心を知ったジョジュ。端から父は娘を疑っていなかったのだ。うれし涙を溢す彼女にエミリオンは君をはめて追い出した弟のお手並みをここから見ていてやるがいいと言っていた。優秀な姉を蹴落として王になったとて、国民の目はごまかせないのだからと。この一件から徐々に距離感を縮めて来た二人。この国で半年以上過ごさないと式を挙げたとて王妃として戴冠できない。その式典の準備も着々と進んで来た。質素を好むジョジュに侍女たちには嘆かれたので、数日後にある舞踏会では多少は装うことにした。当日、赤いドレスで登場したジョジュは、自分と全く同じドレスに身を包んだ女性の姿に驚愕。侍女から彼女はジョジュの前にエミリオンの婚約者だったというバルジャン公爵令嬢・ヴィオラだと教えられた。そんな彼女からジョジュはあからさまな敵意を向けられ・・・。ここに来てライバル登場。ヴィオラはジョジュの悪評を耳にしたことで余計にこの結婚が気に入らない。彼女の父が中立なのも相俟って余計に敵に回してはいけないので扱いに困るエミリオン達。でも、このヴィオラさん、今は悔しい気持ちが先んじてただけで根は悪い子ではなく、とある事件に巻き込まれジョジュと凍死しかけた際、二人で協力して危機を脱したことから蟠りも解けるのでした。しかし、この事件がヴィオレ暗殺を目論んだジョジュの仕業と言う旧体制派の罠にかかり、ジョジュは裁判にかけられ、という展開で、なんか今作のヒロイン不運過ぎる。まぁ、この時点ではジョジュには味方が大勢いたのと、ヴィオラの証言により不起訴となり、エミリオンの調査によって旧体制派の不正も暴かれ、粛清されます。ラストの戴冠式ではジョジュを罠に嵌めたあの異母弟が式典に参加し、予想通りに小物感を見せつけ周囲の失笑を買っていました。マジであんなのが国王になって本当に大丈夫なんだろうか。それはそうと、この国に嫁いで、ジョジュの人となりを認めてくれる人は増えたけど、故郷での悪評は覆せなかったので、そこだけはスッキリしなかったのが惜しい気も。評価:★★★★☆
2024.04.20
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2023年12月刊富士見L文庫著者:村田天さん教会で働く聖女・リゼルカは突然魔力を失った。焦るリゼルカを、魔法士のシャノンが保護しに来る。多くの浮名を流すシャノンとは幼馴染だが、昔から苦手だった。 力がない自分は無価値だと悩むリゼルカに、研究者が提案した回復方法は、建国の祖の血を引くシャノンと『契る』こと。シャノンは堅物のリゼルカには無理だと言うが、少しずつ彼に慣れると決める。 保護のための同居生活の中、リゼルカはシャノンと触れ合う練習を始める。初めての経験に戸惑うリゼルカだが、遊び人のはずのシャノンもどこかぎこちなくーー? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リゼルカ=強大な魔力を持つ聖女。教会で怪我人や病人の治療をしていたが、あ る日突然魔力を失う シャノン=リゼルカとは幼馴染の魔法士。パトリック=リゼルカの親代わりの司祭。聖女・リゼルカは、強大な魔力を持ち、教会を訪れる病人達を日々癒していた。少々堅物な彼女にとって聖女としての力の行使は自らの生きる意味であり存在理由であった。そんなある日、悪夢を見たリゼルカが目覚めると体に満ち溢れていた魔力が綺麗さっぱり無くなっていることに気付きショックを受けた。どうやら、何者かによって魔力を奪われたらしいのだが、今までにも何人か同等の被害が出ており、ついにリゼルカもその犠牲になってしまったのだった。治癒の力を求めてやって来る人達の為にも早く魔力を取り戻さなければ。焦る彼女を幼馴染で魔法士のシャノンが保護をしにやって来た。宰相である筆頭王聖魔法士の息子である彼は、子供の頃は何かとリゼルカに突っかかっては嫌味を言われたので正直、未だに苦手な人物。でも、シャノンが言うには魔力を戻す方法に心当たりがあるらしい。例え苦手でも背に腹は代えられないと親代わりの司祭が止めるのも聞かずに彼に付いて来た。そして、シャノンから紹介された聖女の研究者の説明によると確かに魔力を戻す術はあると言う。だがなんとも生々しい方法で、到底受け入れられそうもない。建国の祖の魔法士の血を引くシャノンと契れば自ずと彼女の魔力は戻り、もし再び狙われても今度は抜かれにくくなるのだと。理屈は判ったが正直言えば遠慮したい。しかし、焦っていたのはシャノンの方もで、少々意外な反応だった。噂通りに遊び人で女好きなら喜んで引き受けそうなものだけど。一先ず覚悟は決めたものの、シャノンから好きでもない相手とは抵抗あるだろう?と諭され、手を握るハグをする等、段階を踏んでお互いに慣れる練習から始めることに。その間、リゼルカはシャノンの隠れ家に匿われていた。なんでも魔力を抜かれた「空の聖女」は、器だけでも生贄として大層な価値があるそうで、邪竜復活の為の生贄に最適なのだそうだ。この事件も邪竜を崇める邪教によるものとして調査も進んでいるが、狙われると判っていて彼女を野放しには出来ない。シャノンとは警護も兼ねての同居となったのだった。しかし、ずっと引き籠っていては気が滅入る。シャノンがリゼルカを供なってやって来たのは無償の治療院。治癒の力は使えないけれど、包帯を巻いたり薬を渡したりなどの手伝いなら出来る。やりがいを見つけたのか、患者やスタッフたちと交流するうちに本来の自分を取り戻して行くリゼルカ。シャノンとも段々打ち解けて、思っていたよりも彼は生真面目な性格で女遊びなどしていない事にも気が付いた。そんな最中、目を掛けていた後輩聖女が治療院迄訪ねて来て、教会に戻って来るよう懇願された。でもその時の後輩の表情と必死さが少々引っかかり・・・。リゼルカの魔力を抜いた者の正体は、恐らく読んでるとすぐに見当が付くと思います。シャノンとリゼルカの活躍によって相応の報いを受けたのでスッキリ。主役二人の恋の顛末も、うんまぁそうなるよねって感じの大団円でした。シャノンがもう本当に一途なので、ついそっち目線で読んでしまったのは仕方なし。評価:★★★★☆
2024.01.23
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2022年8月刊富士見L文庫著者:美月りんさん地味で取り柄もない菫。派手好きで浪費家の母と姉に、稼ぎから家の仕事まですべて押し付けられ、身も心もボロボロだった。ある日、姉の借金の取り立てにヤクザが乗り込んできて……返済の代わりに、菫はヤクザに売られてしまった。 家族に捨てられ沈む菫に、何故か若頭の桐也は親切に接してくれる。やがて店に出るため着飾った菫を見て、桐也は意を決したように言うのだった。「……店に出なくていい。俺の専属家政婦になれ」 ーーやがて結婚し幸せになる二人が、お互いの居場所を見つけていく、不器用な溺愛生活がはじまる! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 雨宮菫=母親と姉にこき使われ、搾取され続けていたせいで生きることを諦め かけていた。姉の借金のカタとして取り立てに来た桐也に売られる。 日鷹桐也=義理人情に厚い獅月組の若頭。母と姉によって売られた菫を不憫に思 い、風俗には行かせず、自宅の家政婦として雇う。 雨宮蘭=菫の姉。派手好きで浪費家の上にホストに入れ上げて多額の借金を負 ってしまった。返済を迫る桐也に菫を売る。 雨宮志保=菫と蘭の母。自分に似ている蘭だけを可愛がり、菫を蔑ろにしていた 龍咲美桜=新興ヤクザ・龍桜会の組長の長男で若頭。桐也を目障りに思い、菫を 攫う。TL小説ではなく、ラノベになります。タイトル通りの内容で不遇ヒロインとヤクザの若頭との恋物語。つい最近の発売なので、ネタバレの方はざっくりと。母と姉によってこき使われ、搾取され続けている菫は、この生活に疲れ果てていた。早朝から夜まで掛け持ちで仕事をして稼いできても菫の手元に給料ほとんど残らず、二人の美容費や買い物に消えている。しかも、もう一つ夜間のバイトを増やせとまでいう始末。生活の全てを支えている菫に感謝の言葉は一切無く、出るのは悪態と罵りばかりでは気力も無くなるというもの。そんなある日、家に数人の男たちがやって来て、蘭に借金返済を迫った。どうやら姉は最近ホストに入れ上げて、200万もの金を借りているらしい。相手はどう見てもカタギじゃない。その中でも若いが威厳のある青年が男たちのリーダーのようだ。彼は、返済できないなら働いて返すのが筋、取り敢えず蘭を組が経営する店で働かせるつもりだと言う。尤もな言い分だし、この家にそんな大金は無い。だが、蘭は風俗で働くなんてまっぴら、自分が蒔いた種だと言うのに代わりに妹を連れて行けと喚きたてた。母も是非菫の方をと懇願。自分を見捨てて助かろうとする二人の態度に絶望で真っ青になっている菫を見て青年・桐也は思案したものの、諦めの境地になっったのか菫本人の承諾もあって彼女を連れて行くことになった。生気が無く痩せ細った菫は桐也に昔の自分を思い起こさせた。彼もまた身勝手な家族に捨てられていたから。クズな身内に振り回されどこか達観している、そんな様子の彼女の事がどうにも気になるし、身体を売る店に行かせるのは止めた。一先ず、面倒見の良い店長に任せているクラブでホステスをさせるのが無難かと着飾らせてみたらあの二人が散々言っていたブスどころか、単に髪型や服装がダサかっただけで菫は大層な美人だった。思わず見惚れてしまったが、やはり読み通り。母親と姉が彼女を貶め虐めていたのは嫉妬もあったのかもしれない。それに悪くも無いのに人の顔色を窺い、何かと謝る菫の卑屈な態度も放っておけなくなって、つい店ではなく自宅の家政婦として働けと口にしてしまっていた。菫は働き者で料理も上手い。公立の進学校出なこともあって頭も良かった。組の若い衆たちも彼女を慕い懐くように。不器用な桐也は何かと菫を気遣い、口下手ながら彼女の料理を褒めてくれる。共に過ごすうちに彼らはお互い惹かれ合うようになるも、その裏で獅月組と縄張りを二分する新興ヤクザ・龍桜会の若頭・美桜が桐也を罠に嵌めるべく画策。彼が大事にしている菫に目を付け、彼女を手の内にしようと蘭を利用します。姉に呼び出された菫は龍桜会の男たちによって、連れ去られ・・・。ヒロインの母と姉がクズ過ぎて、読んでてもう腹が立って仕方なく。そんな二人と図らずも離れたことにより、萎縮することもなくなった彼女は本来の自分を取り戻していきます。騒動後、ヒーローの後押しもあって最後はきっぱりと二人と縁を切ったのでホッとしました。正直、離れて正解だったんですよね。どっちの為にもならない。姉もまだ22なんだからいくらでも変われるはずなんだけど、ラストのあのセリフだとまたなにかやらかしそうな。ライバルの組の若頭と言い、まだまだ懸念事項はあったりします。ヒロインとヒーローはお互い思いが通じ合い、婚約してお終い。これ一冊で綺麗に終わってはいるけど、前述の懸念事項もあって続編も作れそうって感じの〆でした。正直、任侠はものは苦手ではあるんですけど、良い話だったと思います。評価:★★★★★
2022.08.30
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