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2024年4月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛冷えきった関係のまま夫は戦死、フレドリカも命を失った…はずが目覚めたら一年前に巻き戻っていた!?夫婦としてやり直し、未来の死を回避しようと決意。頑なだった心を開けば、妻の変貌を喜んだユリウスに溺愛される蜜月で。初めて共にしたベッドで心身ともに愛に溺れさせられてしまう。だが、死ぬ原因となった戦のため彼は前線へ赴くことに!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フレドリカ=亡国の王女。幼少期に結婚した夫とは長らく疎遠だった。 ユリウス=公爵でフレドリカの夫。戦争で戦死する。 ボリス=公爵家の執事長。 アンドレア=ユリウスの派遣先である駐屯地の館に勤める侍女頭。エクヴァル王国の王女フレドリカは幼少期に同盟の証として大国ヒュランデルにやって来た。しかし、直後にエクヴァルはニクロ帝国に攻め込まれ王族は皆殺されてしまった。生き残ったのはヒュランデルにいたフレドリカのみ。当時7歳だった彼女は扱いに困った王からの打診により、ベンディット公爵家当主ユリウスの元に嫁ぐことになった。歳の差婚は珍しくはないものの、まだ幼い彼女に妻としての役目が果たせるわけもなく、故郷と家族を恋しがって泣き暮らす彼女は夫となった彼のことを気に掛ける余裕も無かった。やがて軍人でもあるユリウスは王命によりニクロ帝国との国境近くにある駐屯地への派遣が決まり、家庭内別居も同然だった二人は一層疎遠に。馬車で幾日もかかる場所の為、年に一度帰宅すればよい方で、自分からも少しは歩み寄るべきだと思いつつもつい素っ気ない態度を取り続けていた。他愛もない噂を鵜呑みにして浮気を疑い大喧嘩をしてユリウスを怒らせてしまったが、まさかあれが彼を見た最後だったなんて。それから暫くしてヒュランデルとニクロ帝国との戦争が始まり、最前線を指揮していたユリウスは戦死。王都にはニクロ帝国軍が侵攻し公爵邸にも火が放たれた。フレドリカは辱めを受けるくらいならとこのまま屋敷と運命を共にする決心をしたが、後悔するのは夫とのこと。結婚して10年、今思えば自分は子供のままだった。死にたくない、やり直したい。そしてもう一度あの人と。崩落した天井に押しつぶされる瞬間、フレドリカは願った。ふと目覚めると見慣れた天井。侍女に起こされた彼女の元に執事長のボリスがやって来て、今日はユリウスが帰って来る日だと告げられた。まさかとは思うが時間が戻っている?というより何故自分は生きているのか。夢ではないようだし、ボリスに念のため今日の日付を尋ねるとなんと1年前に時が戻っていた。どうしてこうなったのかは謎だが、死に際の願いは聞き届けられたのだ。フレドリカは確信すると絶対に夫を死なせないし、彼との人生のやり直しを誓った。そうとなれば、先ず態度と生活を改めなければならない。引き籠りはもうやめた。フレドリカがいつもよりお洒落をして夫を出迎えると、彼は最初は驚いていたが随分嬉しそう。今まで別々に採っていた夕食も共にしてかつてないほど会話をした。きっと内心ではどういう風の吹き回しだと思われているかもしれないが、旦那様をもっと知りたいからと素直な気持ちで伝えた。そしてその夜、二人は結婚して10年で漸く寝室を共にし本当の夫婦となった。翌日からユリウスは妻を溺愛。七歳だった頃のことはともかく年々美しくなっていく彼女に心奪われていたのだと話す彼に、悲劇のヒロインぶって殻にこもりきりだった自分を恥じたフレドリカ。休暇中は今までできなかったデートを重ね、フレドリカも彼を深く愛するようになっていた。しかし、休暇はもう終わり。明日には彼は駐屯地へ帰ってしまう。前の人生ではその後すぐに戦争になり、彼とはそれっきりで会えないまま戦死してしまったのだ。不興を買うのを承知で駐屯地へ行かないでくれと必死に頼んだものの、王命のため任期が終わるまでは無理だと言われた。自分も離れ難いのだから我慢してくれと諭されたものの、もう会えなくなるかもしれない。フレドリカはならば自分も付いて行くと告げると許しが出て、ボリスと侍女たちを連れ駐屯地へ。彼は随分兵たちに慕われているようで、妻ということでフレドリカも歓迎された。元々妻子と共に宿舎に住んでいる者も大勢いる。館の侍女長のアンドレアはフレドリカの来訪を快く思っていないようで、あからさまな敵意を向けて来る。それに気づかないふりをしつつフレドリカは自分にも出来ることをと兵士の妻子たちと混じって麓の農作業の炊き出しにも参加したりもした。この地に来て早数か月、暫くは平穏な日々は続いた。しかし、ある日ニクロ帝国軍が国境を侵犯。ユリウスたちが出陣することに。フレドリカは皆の無事を祈りつつ女たちと駐屯地を守った。半月後ヒュランデル軍が勝利を収め彼らが帰還。きっともう彼が死ぬ未来はやって来ない。ホッとしたのも束の間、ニクロ帝国の宣戦布告によりついに本格的な戦争が始まってしまった。またもや戦場に行った彼を思い不安な日々を過ごしていた。それから暫くして、一人の兵士が形見だと言うサッシュを携えて帰って来た。見覚えのあるそれにフレドリカは卒倒せんばかり。それは彼女が勝利を願って手縫いしたユリウスの物で・・・。ここにきて「えええええええっ」と思ったものの、戦死したと思われていたユリウスは生きていました。このサッシュは戦時のどさくさに紛れて盗み出されたもの。彼を死んだことにして悲しみに沈むフレドリカを追い出す算段だったのです。この時点で自ずと企んだ者が判るんですが、あの侍女、身の程知らずにも主人に横恋慕して妻の座を狙っていました。でも不審に思ったボリスと飼い猫の活躍によって企みは露見し、逆上したアンドレアはバレた途端に彼女の殺害を目論むも自滅。その後、フレドリカは無事に勝利を収めて帰還したユリウスと再会を果たします。ニクロ帝国は完全に敗北し、トップが変わったことで今後戦争することはないと予想され、属国にされていたフレドリカの故郷も解放されることに。将来的に彼女は女王になりユリウスも王配として赴くことが示唆されて終わっています。お互いの真意が判らないまま死に別れた夫婦。やり直しを望んだヒロインの願いによって時は戻り、愛を深めた二人はまたしても戦争に巻き込まれるも愛の力で乗り越えた。そんなお話。どうして死に戻ったのかは作中説明されないままだったけど、細かいことはいいんです。フレドリカと二人エクヴァルに行くと言うことは、子供が何人か産まれたらそのうちの一人に公爵位を継がせるのかな?評価:★★★★★
2024.05.01
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2024年3月刊ヴァニラ文庫著者:にしのムラサキさんピアノ講師の光希は、陸上自衛隊のエリート部隊である第一空挺団に所属する利人から猛烈なアプローチを受け、お付き合いをすることに。「好きにさせてみせるから、君を俺にくれ」甘いキスや溢れるほどの熱情に戸惑いながらも、初めての恋に溺れていく光希。鍛え上げられた逞しい身体に組み敷かれ、淫らな愛撫で蕩けるほど快感を覚えさせられて…? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 長谷内光希=カルチャースクールのピアノ講師。 プロになることを断念したことで母から絶縁されている。 上田利人=陸上自衛隊・第一空挺団所属の陸曹長。 光希に一目惚れをして交際を申し込む。 平田真凛=利人の同僚・山田の恋人。 滝宮=陸自の第一空挺団の中隊長。幼い頃からピアノ一筋だった光希は、音大卒業間近のコンクールで審査員を務めていた憧れのピアニストからの酷評にショックを受けてプロになるのを断念した。母は一人娘がピアニストになることを生き甲斐とし、学業すら二の次というスタンスで、とにかく光希にピアノを弾くことを強要していた。寝食以外の時間はほぼピアノ。コンテストの後、今までは唯々諾々と従っていた娘からの初めての反抗に母は激怒。ピアニストにならない娘など要らないと勘当された上に家から追い出されてしまったのだった。とは言え、結局ピアノしか自分には残っておらず、こうしてカルチャースクールのピアノ講師を生業としている。そんなある日、スクール主催の発表会が開催。受け持ちの生徒・石原美琴が光希の機転で緊張せずに弾き切れたと本人とその母親からだけでなく、見に来ていた叔父の上田利人からも大層感謝された。おまけに利人はピアノに興味を持ってくれたようで、すぐに入会を決めると足繁く通って来ている。陸上自衛官だという彼は思っていたよりセンスがあってメキメキと上達し引ける曲も増えて来た。だが、なんだろう彼から発せられる光希への好き好きオーラは。ピアノに打ち込み過ぎて恋愛とも無縁で生きて来た光希ですら気が付くくらいなので、講師仲間たちにも当然バレていた。中には誠実そうな人だし付き合っちゃえばと焚き付けて来る者まで。だがそんな杞憂を他所に、利人から食事に誘われた夜、彼から正式に告白された光希は自分も憎からず思っていたこともあり受け入れた。当然、周囲からはやっぱりねー、という反応だったが、応援もしてくれている。恋愛初心者の光希は何もかも初めての経験で、それだけでなく彼が縁で知り合った利人の同僚の恋人・真凛とは随分親しくなった。実は友人と呼べる存在が出来たのも生まれて初めてで、お互い陸自の彼氏がいる者同士、色々と教えてもらって有難い限りだ。利人は陸自の中でもエリート集団・空挺に所属しているとかで、その訓練内容の過酷さは聞いてて青くなるほどで、稀ではあるが外国に派遣され数か月帰ってこない事もあるという。それでも真凛の話では定期的に長期間任務で帰ってこない海自よりは多少はマシとのことだが、すっかり利人に惚れこんでいる自分に耐えられるだろうか。ふと思い返すと、私は本当に空っぽだ。料理どころか手を使う作業はほとんど禁止されていたので、家事は壊滅的。それでも一人暮らしを機に自分なりに勉強して来たし、利人と交際し出してからは一層頑張るようにはなって来たが、真凛のように気の利いた話題も提供できない。そのうち、飽きられて捨てられたらどうしよう。一方、利人は上司である中隊長・滝宮から昔ピアニストを目指していて、難しい曲を弾きこなす光希に憧れていたという話を聞いてモヤモヤしていた。滝宮は結局きっぱりと音楽の道を諦め防衛大に入学した変わり種のキャリアだ。後に駐屯地で行われたイベントで滝宮と光希が再会し、その雰囲気に居た堪れない気持ちになった彼は、つい彼女の前で上の空な態度を取ってしまったことであらぬ疑いを持たれてしまい・・・。好き過ぎるせいでお互いが捨てられたらどうしようと要らぬ心配をしていたせいで、ちょっとした諍いになりかけます。が、その誤解は後にあっさり解けて仲直りし、利人は前々から考えていたプロポーズをします。彼から指輪を貰い光希も大喜び。真凛を始め、理人の姉と姪からも祝福されて式の日取りを決めようと思っていた矢先、利人と滝宮が所属する第一空挺団が任務で外国に赴くことに。期間は恐らく数か月はかかるらしく、当然式はその分延期に。真凛と励まし合いながらその返りを待ち、半年近く経って漸く帰還した彼と再会して本編は終わっています。利人目線で描かれる派遣先のエピソードで、光希の演奏動画が現地の子どもたちに大人気という話にちょっと泣けました(最近涙もろい)。そこには以前光希を酷評したピアニストも病気で引退した後ボランティアになっていて利人と出会います。当然、光希が彼の婚約者とは知らず、動画の彼女が引くピアノを褒めていたのが、もうね。どうやらあの言葉もただの発破かけみたいなものだった模様。でも、おかげであの毒親とも縁が切れたから最終的には良かったんじゃないかな。おまけの封入SSペーパーは、あの後結婚して第一子を授かった二人。しかし、痛みに強く恐怖という感情が薄い彼に光希はヤキモキ。そんな彼が珍しく不調を訴え、いざ病院に行くと、みたいな内容でした。評価:★★★★☆
2024.03.29
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2021年8月刊ヴァニラ文庫著者:火崎勇さん義母に冷遇され、婚約者を義妹に奪われたウィスタリアは、前から好きだった男爵リシャールに求婚されて彼の家で一緒に住むことに。「約束しよう。君だけがわたしの妻だ」彼に望まれるなら爵位や財産などどうでもよかったのに、次々と豪華で上等な品を贈られ溺愛される日々。とまどいつつも幸せを噛み締める中、彼が本当は公爵家の令息だと知って!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ウィスタリア=エルディア伯爵家の長女。 継母と折り合いが悪く冷遇されていた。 リシャール=タイレル男爵家当主。 婚約破棄されたウィスタリアに求婚した。 ガーベラ=ウィスタリアの異母妹。 クラックス=侯爵家の嫡男でウィスタリアの元婚約者。 エリザ=リシャールが別邸に住まわせている少女。ウィスタリアは由緒あるエルディア伯爵家の長女。本来の立場ならその美しさも相俟ってもてはやされていた所だが、母が亡くなってすぐに父が迎え入れた継母に嫌われているせいでドレスすら碌に誂えてもらえない。父も先妻の子を扱いあぐねているのか、後に生まれた次女のガーベラばかりを可愛がり、何かとケチをつけてはウィスタリアを遠ざけた。それでも政略結婚の駒には使えると、彼女をデルマン侯爵家の嫡男・クラックスと婚約させたが、彼もまた地味な婚約者が気に入らない様だった。そんな彼女の楽しみは図書館で本を読むこと。ウィスタリアに金を使うことを嫌う継母は本の購入さえも許してくれない。父も女に学は必要ないというけれど、読書で得た知識は馬鹿に出来ないものと思っている。それに、ここに来れば彼と会えるから。少々の期待をして図書館に入ればお目当ての人物を見つけて嬉しくなる。リシャールと話すのは大抵はお互いが読んだ本の内容についてなのだが、ジャンルを問わない彼女の読書量に彼は驚いていた。若くして男爵家を継いだというリシャールも博識で会話内容も多岐にわたって面白い。ウィスタリアはそんな彼に淡い恋心を抱いていたが自分は婚約している身。それにこんな素敵な人が自分のような地味女など恋愛対象として見ていないだろう。ある日、珍しく舞踏会に参加することになった彼女は、案の定継母の嫌がらせにより地味な姿で壁の花となっていた。エスコートするはずのクラックスは挨拶周りに行っていて放ったらかし。そんな姉に近づいてきたガーベラが自作自演で自分のドレスにワインを溢し、嫌がらせをしたと喚いたことでクラックスはウィスタリアの言い分も聞かずにビンタすると公衆の面前で婚約破棄を宣言したのだった。翌日、エルディア家では父が大激怒。婚約破棄になったのもウィスタリアの僻みからだということにされた上、なんとしても侯爵家と繋がりたい父はガーベラを嫁にとクラックスに頼んでいた。継母としては実の娘に侯爵家に嫁いでほしかったようでこの話の流れに大満足。この茶番のせいでウィスタリアの方は敬遠されて婚期を逃しそうだというのにだ。もうこうなったら職業婦人にでもなるか、そう決意しかけた時、屋敷にリシャールがやって来て、ウィスタリアと結婚をしたい旨申し出た。男爵ということで父は格下に嫁がせるのはと渋っていたが、継母はこれ幸いと大賛成。いい気味だと言わんばかりだった。失礼な家族の態度に彼は気分を害した風でもなく、持参金は不要なのですぐに自らの屋敷で一緒に暮らしたいこと、今後何があっても伯爵家とは関わらない事を約束させた。普通の貴族の結婚では持参金無しというのはあり得ない事だが、今後のガーベラの結婚に金を使いたい継母は大喜び、関わらないという要項も二つ返事でOKしていたのには呆れた。その日のうちに早々にリシャールの屋敷に移り住むことになったウィスタリアはその豪勢な暮らしぶりにビックリ。もしかしてかなりの資産家なのだろうか。聞けば近衛騎士隊長を務めているという。リシャールは持ち込んだ彼女の荷物の少なさを嘆き、すぐに仕立て屋を呼んで何着もドレスを誂えさせた上に装飾品も購入。実母の形見であるネックレスだけで充分と言う彼女に遠慮するなというが、いくら隊長でも近衛ってそんなに給料良いもの?執事を務めるライアンはこの程度心配にも及ばないと涼しい顔をしている。それでも贅沢に慣れていないウィスタリアは恐縮するばかり。後にどうして自分と婚約してくれたのか尋ねると、あの舞踏会の出来事を見られていたらしい。騎士として放っておけなかったという彼の言葉は嬉しいけれど、彼女のことが好きで求婚してくれたわけではないと判って少々ガッカリ。それでも好きな人の妻になれるのだから幸せだと思わなければ。リシャールは彼女の向学心を買ってくれていて、必ずためになるからと実家では学べなかった乗馬やダンス、礼儀作法の家庭教師まで付けてくれた。しかも、領地経営などの勉強も。頭の良い彼女は見る見る知識を吸収し、専属の侍女を付けてもらったおかげで外見もかなり垢抜けた。後日、参加した夜会ではクラックスが気付かない程。それから暫く経ったある日、リシャールの両親と名乗る夫妻が屋敷を訪れ、親に結婚の挨拶も無しなんて有り得ないと激怒し大騒ぎに。義両親はフルメリア公爵と名乗ったが、え、男爵じゃないの?と応対したウィスタリアがパニくっていると報せを受けて職場から戻って来たリシャールの説明により理由が判明。何と彼はこの国の四大公爵家の嫡男だというのだ。しかもフルメリア家は王族。だが、色々煩わしいこともあって母方の親戚であるタイレル男爵を名乗っていたのだそう。ウィスタリアとの婚約については彼の説明で何とか納得してくれて夫人には同情されてしまったらしい。実の母だと思ってほしいと以降随分と良くしてくれている。それにしても王族だなんて、それであの教育というわけか。羽振りが良いのも納得した。実家と縁切りさせたのも地位と金目当てに擦り寄られないため。色々考えてくれていたのは嬉しい。せめて恩返しというわけではないが妻として精いっぱい努力しよう。そう決意したのも束の間。庭園の散策中、迷い込んだ先の別邸に黒髪の美少女が囲われているかのように暮らしているのを知って・・・。ウィスタリアは同情で求婚されたものと勘違いしていたため、この少女が実はリシャールの本命なのだと思い込みます。まぁ、当然そんな関係ではなく、少女・エリザは彼の妹でした。疱瘡により頬に痕が残ってしまい引き籠ってただけという。じゃあさっさと紹介しとけよと思いましたが、痕を見られるのを嫌がって妹が拒否していたからというオチ。後に、ウィスタリアとエリザは意気投合して実の妹より仲良くなるのでした。そんな最中、彼女の名誉回復のためにあの婚約破棄の切欠になったワイン事件の真相をリシャールから聞かされたクラックスは激しく後悔。よりを戻したいと懇願しますが後の祭り。この件でリシャールが嫉妬して少し関係がごたついたり、ガーベラが姉を妬みつつも嫁ぎ先が太いからと擦り寄って来たりと色々起こります。おまけにリシャールは王位継承権1位の立場で子供がいない国王の後に王位を継ぐことも聞かされてウィスタリアは凄い人と結婚するんだなと自覚して戦々恐々。それでもその頃には彼の本心も判っていたので、何とかなるだろうって感じで本編は〆。いくつかおまけの番外編が描かれてましたが、それより後書きにて作者さんが触れてた結婚までに起こる騒動の方が見たかったなぁ。まぁページ数の都合で入りきらなかったんでしょうね。評価:★★★★★ぶっちゃけイラスト買いだったんですが想像以上に面白かったです。
2024.03.18
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2023年12月刊ヴァニラ文庫著者:玉紀直さん実家の家業のため婿を探していたら最強立候補者が現れた。まさか御曹司が私なんかのお婿さんになってくれるなんて!!高嶺の花すぎて畏れ多いんですけど!?押し切られてスタートした新婚生活。「婿として妻を気持ちよくしてあげたい」と憧れてた聡に甘く奉仕され、幸せすぎて夢みたい。だけどやはり彼の実家では婿に行ったのが面白くないようでー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 伊藤理紗=中堅建設会社の社長令嬢。婿養子探しの為に大手ゼネコン会社に入社 した。万里小路聡=里紗の勤め先の御曹司で常務。里紗の事情を聴き婿養子に名乗り出た 宮本圭介=里紗の幼馴染。大手ゼネコン会社・マデノの秘書課に勤める理紗は、ある目的のために合コンに参加しまくる日々。親友の真由子はちょくちょく進捗具合を尋ねて来るけれど、中々思い通りにはいかないもので、今回も成果無しと答えた。やっぱりここで働いてるようなエリートは傾きかけた建設会社の婿養子なんて歯牙にもかけないか。しかもちょっと良いなと思い話しかけてみても長男だの一人っ子だの、が多い事。数合わせに毎度苦労しているという幹事の子に重宝されてはいるが、こうしょっちゅう参加しているとそのうち社内で合コン好き女とか噂されそうだ。中堅の建設会社の二代目社長を父に持つ彼女は、喉から手が出るほど優秀な婿養子が欲しかった。それと言うのも、年々業績が傾いている会社を父と協力して立て直して欲しいから。大好きな父の代で会社を潰したくない。なので、出来ればこの業界に明るく経営にも強い人がいい。と、死ぬ気で頑張り何とかこの会社に入社。案外合コンが多く、そこで何とか出会いをと思っていたのだが、婿探しは男性のお嫁さん探しの数百倍難しいと思い知った。それに切羽詰まってはいるけれど、理紗には想い人がいた。社食でよく会うこの会社の常務・万里小路聡は、会長の孫でいくつものプロジェクトを成功させた人物。しかも三男。真由子には高嶺の花過ぎるでしょと言われたが、条件としてはこの上ない人なんだよなぁ。あの超絶優秀な頭脳ならきっと会社を救ってくれる。それに気さくで性格も良いし、理紗がハマってる乙女ゲームの話にも乗ってプレイを始め、自分より早くコンプして来たのには驚いた。そんなある日、いつものように合コンに参加した彼女は、女癖が悪いと評判の畑中にホテルに連れ込まれそうになって大ピンチ。どうやら、理紗の参加理由を男漁りだと勘違いしてるようだった。何とか逃げようと藻掻いていた彼女を救ったのは何と常務。彼に睨まれると畑中は退散。常務から夕食に誘われた里紗は、高級しゃぶしゃぶをご馳走になりながら合コンに参加する理由と伊藤家の事情を話した。話を聞きなにやら思案していた彼は、なら自分が婿になるよと申し出た。想い人からのまさかの発言は願ってもないことだが、聡の家はかなりの名家。婿養子なんて反対されるのでは?と尋ねると、三男だし長兄次兄に比べるとそこまで期待もされてなければ、柵も無いそうだ。おまけに万里小路という名字も嫌いなんだと。本当にいいのかと再確認すれば勿論との答え。こうなったら気が変わらないうちに、とありがたくその申し出を受けた理紗だったけど、何を思ったのか今から伊藤家に結婚の挨拶に行くと聡が言い出して、2時間後には話はついていた。両親は泣いて喜び、これで会社も安泰だと胸を撫で下ろしている。そして数日後には聡の家族にも報告とあいさつをするとあっさり許されてなんだか拍子抜け。いずれ同居するのだしポケットマネーで二世帯住宅を両親にプレゼントすると張り切っていた聡の申し出でを丁重に辞退し、価値観合うんだろうかと心配になりながらも二人は入籍。聡が元々住んでいた高級マンションで暮らすことに。スピード婚なのと里紗が合コンに参加しまくっていたのもあり、騒ぎにならないよう、会社にはこの結婚は伏せることにし、時期を見て公表すると決めた。案の定聡との生活は育った環境が違い過ぎて、食材の買い物すら桁違いだった。それでも、聡は婿なのだからと伊藤家の基準に合わせようとしてくれていて、一般家庭の食事に喜び、激安スーパーに連れて行けば感動するほど。社長令嬢とはいえ、セレブではない理紗とはお互い半分譲歩することで折り合いはついていて、食事や普段の買い物は庶民に慣れさせても、たまに聡が彼女のために散財する時は遠慮せず甘受していた。3ヶ月も経つと、彼はすっかり伊藤家に馴染み、かと言えば会社の立て直しについても精力的に意見を出して徐々にだが持ち直してきているらしい。仕事に役立つからと建設現場に必要な重機の免許も持っていて、金持ちの坊ちゃんと嫌っていた古参勢も聡を認めるように。当初結婚を反対していた幼馴染の圭介まで今では彼のシンパだ。だが、聡の出張中、彼の祖父である会長に呼び出された里紗は、そろそろお遊びはやめて離婚するよう命令され・・・。会長は、この結婚が聡の興味から来るただのお遊びだと言い切り、二人を別れさせようと画策。どうりであっさり結婚を認めたわけで。当然、理紗は何と言われようと突っぱねますが、新しい妻ならもう決まってるから、と嘲笑われる始末。大企業の会長だからって偉そうにと彼女は売られた喧嘩は買う覚悟だったけど、聡に浮気疑惑と彼が父の会社を買収しようとしていると聞いて、何を信じていいのやら。まぁ、この辺は誤解されるよう会長が仕組んだことなんですけど、ホント腹立つわこの祖父さん。理紗が聡を責め、もう破局かと思いきや、彼の真意を知り二人は仲直り。この騒動で理紗と聡の結婚は社員達にもバレてしまうも、彼お根回しのおかげで大ごとにはならず。会長はその性格とワンマンなやりようから家族にも煙たがられており、結果退任に追い込まれることに。この顛末にはスッキリしました。あと、圭介の元カノもこの離婚騒動に関わってるのですが、書き出すと長くなるので割愛。でも、読んでるとピンとくるのでそういうことかと。終盤はもめ事もあったものの、庶民生活に馴染んでいく聡の反応が一々面白かったです。評価:★★★★★
2023.12.22
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2013年7月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん「早速ですが、僕と結婚してください」義理で受けたお見合いで開口一番にプロポーズされてしまった芽衣。SPとは結婚できないとはっきりお断りしたのに、護は諦めるどころか猛アプローチしてくる。甘やかされて心の壁を壊され、快感に溺れさせられて心がグラつく。彼がSPでさえなければ一緒にいたいのに。そんなときある事件に巻き込まれて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 高羽芽衣=保育士。とある理由からSPという職業が嫌い。 堂島護=芽衣の見合い相手のエリートSP。亡き父の昔の同僚からどうしてもと頼まれお見合いした芽衣。しかし、話を聞いた時から会うだけ会ってお断りしようと心に決めていた。何故ならお相手の職業が大嫌いなSPだったから。彼、堂島護はいかにもモテそうな外見で、わざわざお見合いする必要も無さそう。なのに、開口一番「結婚してください」と言われて思わず茫然。さも、第一印象から決めてました!ばりの彼に正気に返った芽衣は呆れつつ、きっぱり断ると座敷を後にしたのだった。その翌日、帰宅時に園児の家庭トラブルに巻き込まれた芽衣はあわや連れ去られそうになり、危うい所を護に救われ事なきを得た。助けてもらっておいてなんだが、随分タイミングが良く現れたなと思っていたら、彼は芽衣ともう一度話をしたくて園の近くで待っていたらしい。どうしても諦められないので、前向きに自分との結婚を考えてくれないかと話す護に、仕方なくSPという職業が嫌なんですと告げた。芽衣の父はSPで彼女が高校生の時に殉職していた。母は父の死にショックを受け暫く落ち込みそれを間近で見ていた芽衣はSPという危険な仕事を憎んだ。だから護と結婚するなんて無理。しかし、護は彼女の父に訓練学校時代に世話になっており、事情も承知していたのだった。なら察して欲しいという芽衣に、最終的に断られるにしても自分のことを知ってから判断して欲しいと頼まれ、気は変わらないと思うけどそれで納得するならと頷いた。それからというもの、忙しいだろうに護は足繁く彼女のご機嫌窺いに現れ、その人懐っこさに芽衣も段々と絆されて行った。護は先日の連れ去られかけた件もあってか、随分と心配してくれているらしい。あのような危険なことはさすがに稀ではあるものの、勤務中は少しでも気を抜けない上に有事の際は身体を張ってでも子供たちを守らなければならないので、保育士は中々ハードな仕事だった。園児の家族達の家庭問題も嫌でも耳に入って来るし、ストレスも多い。おまけに本来は親がやるはずの躾まで園任せにする家も。さすがに今日は腹に据えかねて、護と食事がてら酒を飲んだ芽衣は飲み過ぎて愚痴三昧。キャパを越えて倒れた彼女は気付くと彼の部屋だった。夢に見てつい昔トラウマになった事件を思い出してしまった彼女は、護に縋りそのまま一線を越えてしまったことから話し合い、結婚を前提とした交際を承諾。父の死について蟠りがあったのは確かだが、実は幼い頃にトラウマになった出来事が元で芽衣は父を避けていた。なのに、和解することなく父が殉職してしまったので、ずっと後悔していたのだ。護と付き合ううちにそのことに気付くことができたので今は随分とスッキリしている。一方、護は実家からのしつこい呼び出しに辟易していた。彼の父はメガバンクの頭取で、芽衣との交際について話を聞きたいのだろう。案の定、父は一般人の彼女との結婚をよく思っていないようだったが、芽衣が自分を庇って亡くなったSPの娘と知って思う所があるようだった。翌日、護の父は保育園を尋ね芽衣と面会。彼女の父の死が自分を守ったせいだと話し・・・。親父、余計な事いうなよ~~~~。でも結婚するとなればいずれバレるか。そして、芽衣は護の過去を知ります。天才的な頭脳を持つ彼は吸収するままに勉強や習い事を詰め込まれ、父の後を継ぐはずだったのに、何故だか全部投げ捨ててSPになったらしい。今となっては立派な仕事だと判るだけに、堂島氏がSPの仕事を卑下するのが許せず反発。父の死が例え堂島氏を守ったせいだとしても彼を嫌いになったりしないと言い切る芽衣。このやりとりで彼女は堂島氏に興味を持たれたようだったけれど、序盤に家庭トラブルがあった園児の父親の暴走により再び連れ去り事件が発生。後を追った芽衣も巻き込まれることに。でも間近にいた堂島氏の連絡により護が駆けつけ、園児の父は敢無く確保となります。今作では保育士さんが巻き込まれがちな家庭の問題がいくつも出て来て、本当に大変な仕事だなと読んでてしみじみ。それで薄給なんですもんね、割に合わないよ。世の中話の通じない人とか多いから、トラブルも多岐にわたりそう。事件後、二人は両家共に結婚を認められ婚約。最後はちょっとほのぼのした感じで終わっています。この保育園、同レーベルの「貴方の子供じゃありません」に出てた海花ちゃんが通っていて、思わず( ̄ー ̄)ニヤリとする場面も。評価:★★★★★
2023.12.10
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2019年10月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん「俺の子どもを産んでくれ」元カレが突然私と子づくりしたいって言ってきた!?ある条件と引き換えにOKしたのは、本当は彼のことがまだ好きだったから。甘く優しい愛撫を繰り返される毎日で、とろとろの蜜月同棲。彼も私に気持ちがあるって錯覚してしまいそう…。だけど、CEOである彼にはやっぱり私よりもふさわしい女性がいてー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 栗山千夏=人材派遣会社に勤める事務員。 元カレの達也と再会し、とある依頼をされる。 九条達也=大企業の御曹司でCEO アメリカで起業し3年ぶりに帰国した。 東美登里=千夏の働く人材派遣会社の社長。復縁ものです。小さな人材派遣会社で働く千夏は、ある日元カレの達也と再会した。別れてもう3年、ずっと忘れられなかった彼は、あろうことか千夏に自分の子供を産んで欲しいと依頼してきた。いくら人材派遣会社とは言っても、その手の仕事は受けかねると突っぱねたものの、達也には千夏があの日別れを切り出した理由がしっかりバレていた。3年前、彼の父からの圧力に千夏は従わざるを得ず、住む世界が違い過ぎることもあって泣く泣く身を引いたのだった。そんな彼女を取り戻すために、父親すら従えるほどの会社のCEOとなった達也は、当然彼女を逃がすつもりは更々なく、千夏の会社への資金援助とコンサルティング契約を餌に無理矢理承諾させた。再会前に、婚活サイトで知り合った男性に自宅に置いておいた有り金全部持ち逃げされていた千夏は、家賃が払えず困り果て、彼から子作りのために同居を提案され正直助かっていた。ビックリするほどの豪華なマンションで同棲と相成った二人。毎晩付き合わされるのには参ったが、窃盗については達也が手を回し捜索してくれると言う。懇意にしている派遣社員が被ったトラブルも早々に解決てくれたし、両方とも自分ではどうにもできなかったことだっただけに、知らず知らず彼に頼り切っている自分に気付く千夏。元々嫌いで別れたわけではないし、ずっと好きだった。しかし、跡継ぎを望む彼の期待に応えられなかったらどうしよう。契約不履行として恩人である美登里にも迷惑をかけるかもしれない。思い悩んでいた彼女の前に、金を持ち逃げし行方をくらませていた男・坂本が現れ・・・。この手のお話だと大抵出て来る親と言う壁。ぶっちゃけ、片親に育てられたからって何が悪いのか。結婚するのはお前じゃないだろ、と。そもそも後ろ盾がないと困るくらい内情は火の車なの?と思ってたら達也のモノローグによれば、実際経営は徐々にでも傾いてたらしい。そんなことだから息子の会社に吸収合併されるんですよ。そんな経緯もあって親も達也には口出しできなくなり晴れて千夏を迎えに来たわけだけど、別れの経緯もあって彼女は普通にプロポーズしても頷いてくれそうもない。そこで考えたのは跡継ぎを産んで欲しいと言う依頼。美登里の会社の為にも千夏は受け入れると踏んでの提案でした。その間に前の様な関係に戻れれば良いと。しかし、千夏が男に騙された上に窃盗被害に遭ったと知り、達也は嫉妬と怒りでメラメラ。彼のおかげで一応の決着はついたものの、ふとしたことで達也に婚約者がいることを思い出し身を引こうとする千夏。ここでまた拗れるか~~~。と、ガックリきたけれど終盤だったの誤解が解けるのも早かった。度々二人の会話に上ってた千夏のたった一人の肉親の正体は、ですよねーな感じだったし若干予定調和な展開はあったものの、モヤモヤ度も少ないしストレスなしで読めました。やり直しカップルものが好きな方にお勧めです。評価:★★★★☆
2023.10.12
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2020年1月刊ヴァニラ文庫Miel著者:御厨翠さん「おまえしか愛せない。もう一度付き合ってくれ」再会した元カレから熱烈なプロポーズ!?CEOになった祐輔が一緒に住む部屋まで用意して、ずっとわたしを捜してくれていたなんて。抱えてきた恋心が疼いてキスだけで体が熱くなる…このまま奥まで拓かれてしまいそう。祐輔は執着をあらわにしてくるけど、以前のように二人を阻むものが…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 岡野香桜里=フラワーショップの店員。 3年前に別れた祐輔と偶然再会する。 冠城祐輔=大企業の御曹司。突然姿を消した香桜里を探していた。花屋で働く香桜里は配達先にて、かつての恋人・冠城祐輔と再会。やむなく心にもない言葉で彼を傷付け、手酷くフった自分のことを決して許してはくれないだろう。祐輔の父が言っていた様にもう件の婚約者と結婚しているのかもしれない。だが、そう思っていたのは彼女だけで、祐輔はずっとあの日姿を消した香桜里を探し続けていたという。彼女の性格上、よっぽどの事情があったはずと思ってくれていたのは嬉しいけれど、親代わりに彼女を育ててくれた叔母の為にも、やり直そうと迫る祐輔の言葉に従うわけには行かなかった。それというのも、3年前、祐輔の父から叔母を盾に身を引けと脅されていたのだから。従わなければ叔母の経営する会社が立ち行かない様してやると言われれば従うしかない。自ら姿を消すようにとも言われ、当時内定していた一流企業も辞退せざるを得ず、この町に越して来たのだが、まさかこんな所で会うなんて。その場は何とか逃げ出したものの、当然勤め先もすぐにバレて、多忙にも関わらず彼からの猛アタックが始まった。しかし、嫌いで別れたわけではないだけに諦めない彼に絆されそうになる香桜里。叔母からも心配することは無いからと後押しされ、漸く彼女は祐輔と向き合うことを決心。3年前のことも包み隠さず話し、二人は復縁するも黙っていないのは祐輔の父で・・・。某作のヒーローとその家族の持論からすると祐輔の父は正に二流で、実は祐輔の母や祖父は香桜里との交際には全く反対していませんでした。まぁ、お父さんは婿養子らしいので、周囲からの圧とか色々大変だったんだろうとは思います。だからと言って息子の交際にまで口出しして無理矢理別れさせるとか、読んでる側としては小物だなと感じてしまう。そんな後ろ盾のない娘より、大企業の娘と結婚しろと煩い父に、祐輔がしたのは妻の実家の力を借りずとも業務提携できると見せつけること。親戚一同も、それを見事成し得たら好きな相手との結婚を許すことに賛同しており、見事成功を勝ち取ります。父も渋々認めてくれ、香桜里にも3年前の仕打ちについて謝罪。二人は晴れて婚約者となり、半年後に式を挙げて終わっています。復縁もの(?)としては展開や別れた経緯など、割とセオリー通りなお話なんですけど、祐輔の香桜里への執着がとにかくすさまじく、若干コメディ調な面もあって面白かったです。あなた、どんだけ香桜里が好きなのよ。花屋での働きぶりを見たいからと毎日その様子を録画させてたり、金に飽かせたストーカーのようで、注意はするもののドン引きしない辺り、彼女も結構な肝の据わり方してる。まぁ、当初は一応彼の父が暴挙に出ないための護衛と証拠用の記録と話してたからな。和解してからも続いてるんで映像は彼の癒しコレクションになっていると言う。けど、こういうクスっと笑える所も無いと中盤まで割とじれじれしてるので、良いアクセントになってたと思います。評価:★★★★☆
2023.08.08
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2022年6月刊ヴァニラ文庫著者:宇奈月香さん「これで、そなたは私のものだ」王太子との挙式の日、大国の王アシュラフに攫われ、彼の寵妃にされてしまったラシェル。祖国の行く末がかかった役目を奪われ、毎夜与えられる濃厚で激しい快楽に眠っていた自身を暴かれていく。だが、独善的だと思っていたアシュラフはラシェルを「我が姫」と呼び、驚くほどこまやかな溺愛で甘やかしてきて…? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ラシェル=公爵令嬢。王太子との結婚式当日にアシュラフに攫われた。アシュラフ=大国・ハバル国の国王。 ナルシス=ロクツァナ国の王太子。怠惰な王族と一部の貴族たちによる悪政で国民の不満は爆発寸前。ロクツァナ国は、いつ反乱が起こってもおかしくない状況にあった。ラシェルの父であるエルデー公爵は反王政派の筆頭で、ついにクーデターを起こすことを決意。王太子とラシェルの結婚も作戦の一つだった。彼女の役目は非常に危険であり、ある程度の時間もかかる。そしてクーデターが成功に終わっても、王家に嫁いだラシェルも王族と見なされ極刑は免れない。高潔な彼女はそれで国民が救われるならと引き受け、今日はラシェルの輿入れの日。性格に難ありな上、色々と素行に問題のある王太子・ナルシスとの結婚など、正直虫唾が走る思いだが、大切な役目のために我慢しなければ。だが、悲壮な決意を固めていた彼女は、国賓として招かれていた大国・ハバルの王アシュラフに連れ去れれてしまったのだった。ラシェルが目覚めると、そこはアシュラフの寝室。どういうことだか彼女はアシュラフの寵姫とされ、以降毎晩のように彼の寵愛を受ける様に。ハバルにやって来てから暫く経ち、アシュラフからロクツァナ国でクーデーターが勃発して、反王政派が勝利したと告げられた。王族は子供以外は処刑されたらしいが、王太子のナルシスは混乱に紛れて逃亡中とのこと。一抹の不安は残るが、父も無事のようだしこれであの国も変わるだろう。そして、このクーデターにアシュラフも力を貸していたと知り、驚くラシェル。彼は、変革のために死ぬ覚悟をしていた彼女を救う為、あそこから連れ出してくれたのだった。やがてラシェルはアシュラフの真意と、記憶に埋もれつつあった過去の因縁を思い出し、自分を妃にと望む彼の為にとハバル王宮内で奮闘。そんな中、逃亡していたナルシスが報復のためにアシュラフ暗殺を企てており・・・。自ら愛が重い男と言い切るアシュラフですが、確かに初恋の相手の為にいけ好かない国一つひっくり返してしまうのを見るにかなりの激重っぷり。そんな人物に溺愛されているヒロイン・ラシェルは生真面目で頭が固く、攫われた当初は訳が分からずアシュラフに反発していましたが、割とすぐに陥落。でも真実を知ってからは、彼女も自分の気持ちに素直になり、この辺りからは展開も早くさくさく物語も進んでいきます。逆恨みによるナルシスの暗殺未遂事件が起きたりするものの、最後は怒涛のハッピーエンドって感じで幕。ラシェルも聡明な子なので、二人で国を一掃盛り立てていくんだろうな。割と王道のTL小説って印象のお話でした。評価:★★★★☆
2023.08.02
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2022年7月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん『祝言の日まで、あなたは俺だけのものだ』望まぬ結婚をする私のために、期間限定の恋人になってくれた泰雅さん。本当はヤクザの娘だなんて彼には絶対に内緒だし、ましてや家族に彼のことを知られるわけにはいかない。だけど彼も、エッチでもシャツを脱がないなんて秘密がありそう!?普段は紳士な彼のオラオラ系の愛撫に蕩かされて想いは募り…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 千珠真理亜=華道家。 極道の娘だが、カタギの仕事のため名を変えて活動している。 天花寺泰雅=消費者金融会社の社長。元極道の若頭だった。極道一家・千珠組の娘である真理亜は、せめてカタギの仕事をしたいと数年前からとある華道家に師事。去年から少しずつ華道家「聖マリア」の名で仕事をしている。ある時、真理亜を孫の様に可愛がってくれている大親分・九重頭から縁談が持ち込まれた。普段からもっぱらお前はカタギの男と結婚して欲しいと言っていた九重頭なだけあり、縁談のお相手は会社社長で一応カタギとのこと。とはいえ、よくよく聞くにカタギとは言ったが数年前に解散した組の若頭だったそうで、今は足を洗っているから「一応」と付けたらしい。一先ずお見合いからかと思いきや、なんとその男性と一か月後に祝言を挙げろと言う。会うのは式当日までお預け。しかも名前すら教えてくれないとは。だが、父も納得しているようだし、立場上断れるはずもない。一先ず承諾した真理亜だったが、彼女には密かに想いを寄せる人がいた。毎月、会社のロビーに花を活けに行っている消費者金融の会社社長・天花寺泰雅は背が高く見惚れる程のイイ男。会社に行くたびに優しく話しかけてくれる彼にすっかり心奪われていた真理亜だったが、1ヶ月後を思うと切ない。いつもと様子が違う彼女に泰雅も気付いたのか、相談なら乗るからと食事に誘われた真理亜は玉砕覚悟で彼に告白。実は急遽結婚が決まったこと、でも泰雅が好きなので、せめて祝言を挙げるまでの1ヶ月間だけ自分と付き合って欲しいと。そして、泰雅の方もまた、真理亜に想いを寄せていた。彼女の頼みに二つ返事でOKしたものの、実は先日、以前世話になった九重頭から持ち込まれた縁談に承諾したばかり。お相手は千珠組の娘と聞いている。そういえば彼女もマリアだったな、と思いつつ、二人は1か月間だけの期間限定の恋人同士となり・・・。大親分がお互いの名前を明かさなかったことから、両想いの二人は当人同士とも知らず別れることを前提に付き合い始めることに。真理亜が偽名で活動してたせいもあるんですけど、案外気付かないものなんですね。まぁ、極道の娘と元極道ってのをお互い必死で隠してたからな(苦笑)結婚間近と言うこともあり、真理亜はこっそり出掛けて泰正に会っていたけれど、流石に父親に気付かれ釘を刺されます。このことから迷惑を掛けない為にも泰雅との関係を終わらせなければと苦渋の決断をする真理亜。泰雅の方もこのまま見知らぬ女と結婚していいものかと悩み、先方に破談にしてもらえるよう頼みに行くのでした。これ、真理亜の父も大親分も二人が出会って付き合ってたことに気付いてたそうで、またそれを黙ってたのも人が悪い。そもそも顔見知りのようだしお似合いだと思ったから結婚させようと思ってのことだったらしいので、当初は式当日にサプライズ、とかやりたかったんだろうな。そんな親たちの思惑に引っかかりはしたものの、結局、二人とも結婚相手だと判り、最後は式を挙げて終わっています。巻末に真理亜の両親の馴れ初めエピソードも有り。極道ものということもあって、若干それらしいシマ荒らしみたいなものも起きるんですが、内容自体はかなりコメディ寄り。作者さんの作風もあるので、このジャンルが苦手と言う方も読み易いお話かと。評価:★★★★★読んでてクスっと笑えます。
2023.07.18
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2023年3月刊ヴァニラ文庫著者:田沢みんさん心臓病を患う千代の前に七年ぶりに現れたのは、渡米して心臓外科医となった憧れの幼馴染み、士貴だった!そして待っていたのはまさかのプロポーズ!?戸惑いつつ結婚するも、蕩けるようなキスや愛撫で絶頂へと導かれるのに、彼は最後まで抱いてくれない。いつ儚くなってもおかしくない千代に同情し、結婚してくれただけなのかと落ち込むけど…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 海宝千代=愛人の子として義母と異母姉に虐げられて育ち、幼い頃から心疾患を 抱えている。 天方士貴=千代の主治医の息子で心臓外科医。 海宝千寿=千代の異母兄で士貴の友人。不遇ヒロインものです。愛人の子と義母と異母姉から辛く当たられ続け、心疾患まで抱えるヒロイン・千代。妻に頭が上がらない父は頼りにならない分、異母兄の千寿だけは何かと心を砕いてくれたけれど、下手に彼が庇うと余計に義母たちの千代への当たりが強くなると言う悪循環。千代の病気は安静が必要なもの。出来れば心臓移植が必要だと言うのに、その存在そのものが気に入らない義母は尤もらしい理由を付けて手術に猛反対。いっそ早〇にしてくれと言わんばかりの態度で、異母姉の二千夏ともども本当に底意地が悪い。手術も受けられず、体調も芳しくない千代だったけど、そんな彼女の心を支えたのは初恋の人である天方士貴。彼は千代の主治医の息子でそれが縁で長らく家庭教師も務めてくれた。だがある日、8歳年上の彼はアメリカで医療を学びたいと告げ、離れ離れに。7年後、士貴が帰国したと思いきや、突然千代にプロポーズ。本音としては嬉しいけれど、父と千寿から頼まれたからだと思い込んだ千代は複雑な心境に。当然この結婚は義母たちに猛反対されたものの、珍しく父の後押しもあって入籍を強行。晴れて夫婦になった二人だったが、千代は勘違いから彼に迷惑を掛けない様早く〇ななければと、薬の服用を止めてしまいます。そのせいで、だんだんと体調が悪くなっていく千代。何か心配事でもあるのかと気にはしていた士貴は、彼女が症状の悪化で倒れた時に漸く、この結婚が千代に余計な不安を抱かせていたと気付き・・・。士貴の目論見は、千代の家族となり、心臓移植を受けさせるためでした。実家にいたままでは義母の同意が必要で、その憎しみからどうあってもサインしないのは明らか。愛しい彼女を救うための作戦の内容を知らせなかったことが、ただの同情と義務感からだと千代に思われたようで。でも、千代の性格を思うと作戦内容を知らせた所で遠慮しそうな気がする。ちゃんとプロポーズの際に愛してると告白もしてるのにイマイチ信じてなかったから、そう思うとあの家にいた16年はどれだけ千代に無理を強いてたんだろう。いやまぁ、義母や異母姉の気持ちも判らないでもないんですよ、どんなに出来た人でも内心いい気はしないでしょ。とはいえ、何の罪もない子供に必要な手術を受けさせないとかは論外。腹立だしく思ってもそれくらいは妥協して欲しかった。終盤は、怒涛のハッピーエンドで、巻末おまけの短編は千寿さん目線のお話が描かれていました。個人的にヒーローの士貴よりも千寿さんの方が好み。初版限定のペーパーは主役夫婦のエピソードになってます。評価:★★★★★
2023.04.12
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2023年3月刊ヴァニラ文庫著者:玉紀直さん「今日からここに住みなさい」火事でアパートを失った私を、憧れの上司で弁護士の智琉さんが居候させてくれることに。冷静沈着&ややSな彼が甘やかしスパダリに豹変!?お風呂でのぼせた全裸の私を介抱して、口移しで水を飲ませてくれて。ドキドキしすぎて体の奥まで熱くなっちゃう。だけど以前彼と一緒に住んでいたという美人が訪ねてきて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 藤沢杏梨=久我の事務所で働くパラリーガル。 仕事は優秀だが、料理や片付け等の家事が大の苦手。 久我智流=やり手の弁護士。とある理由から杏梨と同居生活を始める。3月中旬発売の本なので、ざっくりと。弁護士事務所で働く杏梨はパラリーガルとして、雇用主の久我共々評判が良い。今日も、馴染みのカフェで起こった恐喝事件が解決に至り、感謝されたばかり。事務所が商業施設内に居を構えるためか、持ち込まれる案件もそこで起こる厄介事を扱うことが多く、やり手の久我が介入すれば解決も早いと、皆に頼りにされていた。そんなある日、杏梨が一人で外で昼休憩を散っていると、人材派遣会社のエージェントだと言う青年から声を掛けられた。彼女の評判を聞きつけ、是非とも引き抜きたいと言う弁護士事務所があるのだとか。聞くとどうやらかなりの好条件なのでとのことだが、とある事情から久我の元から去る気は無い杏梨はきっぱり断った。それから数日経った頃、杏梨の住むアパートが火事で全焼。火元は彼女に何かと良くしてくれた大家の女性の部屋で、不幸中の幸いか緊急搬送されたものの命に別状は無いそうだ。家事に関してはからっきしだが杏梨なりに住みやすく整えた城のような部屋がなくなってしまったのはショックだった。しかも火元の大家・日出子は耳が遠い以外は、若い杏梨よりしっかりしている人だったのに。住処を失くしホテル住まいを余儀なくされた杏梨だったが、日出子が諸々手続きできるようになるまで保険金も下りない。その間仮住まい費用を自腹を切らねばならないのが懐にかなり痛い。そんな彼女に手を差し伸べたのが久我だった。彼の住むマンションに空き部屋があるとかでそこで暮らせばいいと。しかも、久我は料理が上手く上げ膳据え膳の扱いは天国のよう。暫く厄介になることにしたのだが、男慣れしていない杏梨は久我の新たな一面を知ってドキドキするように。奇妙な同居が始まって暫く経ち、大家さんも回復し事情聴取を受けたのだそうだが、そこで漸く火事の原因が判明。あの日、杏梨の部屋の前に無造作に置き配された荷物を、大家さんが預かってくれて、それが後に発火。あっという間に火は部屋中に燃え広がってという話だった。状況からしてどうやらあの火災自体が杏梨を狙ったものだと判り・・・。弁護士ものだったので、予想通りヒロインたちの背後で事件発生。何故、杏梨が狙われたのかは、終盤一気に判明するんですけど、これがまぁ逆恨みもいい所。これに関しては、杏梨の父が亡くなった事件が原因で、理不尽極まりない話なんです。でも、根っこには犯罪者の家族に対しての世間の冷たい目や態度もあったりして、それを思うとホント世の中ってのは世知辛いよなぁと思ったり。過去を蒸し返されて傷付つく杏梨を守る、ヒーローの久我が本当にカッコイイ。個人的に料理男子ってのもポイント高くて、割と理想のタイプだったりします。恋愛に関しても少々ごたつきがあるのはお約束。内容もミステリ要素が多く読みでがありました。書下ろしのペーパーは、社内恋愛に浮かれる杏梨目線のお話になってます。評価:★★★★★
2023.03.31
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2017年10月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん社の広報を担当する美桜は社会人二年目。会社の買収に伴い、眉目秀麗な新社長・芹澤拓斗が就任するが、美桜が拓斗の秘密を知ったことをきっかけに彼のマンションで同居することに! 会社では血も涙もない冷徹な男が、プライベートでは料理上手で優しいスーパーダーリンだ。同居生活はエロ甘く、身も心も結ばれるが、二人の身分の違いが壁になり? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 葛城美桜=建築会社の広報に勤める会社員。 芹沢拓斗=美桜の会社を買収した親会社の御曹司。宇佐美玲華=拓斗の秘書。さすがに発行年からして、電子版のリンクしかありませんでした。同出版社にてコミカライズ化もされているようです。ちょっと金欠で下旬発売の新刊が全然買えていないので、積読本の感想と最近読めてなかったkindleの感想が続くと思います。美桜は入社2年目の会社員。アットホームな経営方針と気の良い先輩社員に囲まれ、広報課の一員として頑張って来たのだが、少し前に会社は大企業に買収されることとなった。経営は当然親会社の管理下に置かれ、退任した社長の代わりに新社長としてやって来たのが、親会社の御曹司・芹沢拓斗だった。彼は優秀だが、無駄を嫌う性格らしく、サボり場にしか見えない社員達の憩いの場である喫茶室の存在もあまり良い印象を持ってないようだった。広報部で発行している社内報に、新社長へのインタビュー記事を任された美桜は、どうにもこの新社長の効率重視の考えが気に入らない。それでも、彼の言わんとすることは至極真っ当な意見で、反論もできないのが余計に腹が立つ。何だが質疑応答のような内容になってしまったけれど、一応新社長のインタビューは取れた。しかし、いよいよ新社長がやって来て、それまでのほほんとしていた社員達は戦々恐々だった。リストラの話は何かしてなかったかとインタビューを取って来た美桜にわざわざ聞きに来るほど。そんな話は一切無かったと正直に答えると皆安心したようだけど、実は大卒が入社規定であるのに前社長の善意で専門学校しか出ていない美桜の立場が微妙に。そのことを芹沢に指摘され、喫茶室の閉鎖と共に広報課を秘書課に移す案などオフレコ情報も得ていた。流石に芹沢もそこまで鬼ではないようで飽く迄まだ考案中のため他言無用だと念押しされてもいる。美桜のことも現状クビにする気は無い様だった。それから暫く経ち、再び新社長へのインタビュー記事を上司から任された美桜は、約束の時間を間違え早く着きすぎて、偶然親会社の社長と芹沢との会話を耳にしてしまった。話の内容からしてどうやら、芹沢は複雑な生い立ちらしい。立ち聞きがバレた美桜は激怒する芹沢に口止めを理由に脅すつもりかと勘違いされたようだが、元来お人好しな彼女にそんな気は更々なく、要求は何だと尋ねる彼に、ただ少し優しくしてくださいと溢した。金か昇進でも希望してくるのかと思いきや、予想外の一言に面食らった芹沢は、少し考える素振りの後態度が急変。予定通り行われたインタビューも随分と終始穏やかな雰囲気で有意義なものとなったのだった。日曜日、家事に励もうと思っていた美桜の元に突然芹沢が訪れ、あらかじめ手配していた業者に頼み、彼女の部屋の家財道具を全て自身のマンションへ運び入れると、ここで同居しろと告げた。彼にとって優しくする=一緒に暮らし甲斐甲斐しく世話をする、も含まれているようで突然のことに美桜は驚くばかり。彼は家事全般得意で何もかもが完璧だった。若い男女が一つ屋根の下、すっかり尽くす系男子になった芹沢に、段々惹かれて行く美桜。当初はあれほど苦手だったのに。そして芹沢もまた、細かい気づかいを見せる美桜を愛しく思うようになり二人は想いを通わせ恋人同士に。だが、そんな二人の関係をこころよく思わない者がいた。芹沢の秘書で、親会社・芹沢コーポレーションの重役の娘・宇佐美玲華が、美桜に彼と別れるよう脅してきて・・・。この秘書がマジで性格ブスで、独自に調べた芹沢家の秘密をネタに美桜を脅すんですけど、当然目論見は失敗。そんな性格だから縁談が纏まらないって言う芹沢の言葉に納得。やっぱり、いくら美人でお嬢様でも性格の悪さは透けて見えるものなのね。性格の良さとお人好しな点で美桜は芹沢に信用を得ていたのが幸いし、一度仲が拗れかけるも無事に元鞘に戻り二人は婚約してお終い。結構極端な性格のヒーローでしたけど、スパダリって良いですね。私も髪の毛洗って欲しい。評価:★★★★☆
2023.01.29
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2020年12月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん「婚約者の俺がそばにいれば、きっとすぐに思い出すから」いやいや、婚約者じゃないです!しかもそのまま同棲なんて!!事故から目覚めた時に覚えていないフリをしたのは、前夜に神崎社長に全身を蕩かされて甘く慰められた記憶があまりに鮮明だったからで…。後ろめたくも幸せな溺愛の毎日だけど、この婚約には会社絡みの思惑があるようで!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 蓮見花菜=電子機器メーカー社長の孫娘。 親代わりの祖父が亡くなり社長業を引き継いだ 神崎譲=アミューズメント施設の企画運営会社の敏腕社長。 自称・花菜の婚約者。 高見沢=蓮見電子の社長秘書。 雨宮=譲の秘書で花菜の元上司。とある事情でプレッシャーに弱く、胃痛とお友達な花菜が、アミューズメント関連会社に勤めてからもう2年になる。頭は良いが、とにかく緊張屋の上にぼんやりした性格のせいで彼氏いない歴年齢の花菜にも密かに想い続けている人がいた。花菜の務め先の会社社長・神崎譲だ。天は二物を与えずとは言うけれど、顔面偏差値は3桁くらい言ってそうだし、高身長に高学歴。御曹司とも聞いている。その上性格も良いとなれば二物どころの話ではない。憧れるなと言う方が無理であろう。それに譲には、入社式での恩がある。あの時彼に会っていなければ、どうなっていたことか。優秀さを認められ、秘書室の配属になったおかげで、毎日のように社長に会える。花菜の譲への懐きぶりは親しい者たちにはバレバレなのか上司で主任の雨宮や、友人の智美からはよくからかわれる始末当の譲はどう思っているのか謎だが、欲しがっていたマスコットをわざわざクレーンゲームで取ってくれたりしてるのを思えば嫌われてはいないはず。だが、彼は基本誰にでも気さくで優しいから、どうにも決め手に欠ける。期待してもいいのかと思い始めていた頃、譲が振袖の美女とホテルで会っていたとの噂が耳に入り、花菜はショックに打ちのめされた。彼の年齢を思えば見合いをしていてもおかしくない。いずれ良家の令嬢と結婚してしまうのだ。失恋確定かと落ち込む彼女に更なる不幸が。両親を失くして以来、親代わりだった祖父が脳卒中で倒れ、そのまま帰らぬ人に。もしもの時の為にと思ったのか、祖父は遺言状を残しており、財産は全て花菜へと記載されていた。会社についても出来れば彼女に引き継いで欲しいとあったが、経営方法については婿を取るなり好きにしていいとも。常々無理に蓮見姓を残さずとも良いと祖父は言ってくれていたが、現状そんな相手はいない。幸い、祖父の秘書を務めていた高見沢がそのままついてくれると言うこともあり、花菜は社長業を引き継ぐことを決意したのだった。良い職場で未練もあったが退職願を出した時、譲と雨宮には引き留められたけれど甘える訳には行かない。今後のことを考えると既に胃が痛いが、祖父の残した会社を盛り立てて行かなければ。高見沢の力を借りて、何とか社長業をこなしてはいるものの、慣れぬ作業にやはり四苦八苦。25歳のお嬢様社長と侮られ、実際見切りをつけたのか退職者も出たと言う。重役たちには侮られ、悔し涙の日々。社長業に奔走する最中、何故か行く先々で譲と遭遇するのが不思議でしょうがないが、そもそも祖父の経営していた蓮見電子は譲の会社の下請けだった。上下の繋がりがある以上、縁は切れていないということ。挨拶代わりに軽口でからかわれるのは彼なりの気遣いだと思う。側で聞いていた高見沢が憤慨しているのは譲の為人を知らないからだろう。社長業を引き継いでからあっという間に3か月。ついには、末端の部品会社の社長にまで舐められ、セクハラされた挙句ホテルに連れ込まれそうになった花菜を救ったのは譲だった。ストレスでボロボロの花菜を彼が景気づけにあちこち連れまわしてくれたおかげで、大分気分は楽になった。やはり良い人だし、好きな気持ちは変わらない。話の流れで、あの頃好き好きオーラを出していたのが本人にも気付かれていたと知って赤面しきりであるが、譲本人はその好意を嬉しく思っていたらしい。その夜、二人は大いに盛り上がり、ホテルに泊まって一線を越えたものの、翌朝目覚めた花菜は真っ青に。お見合い云々については本人が否定していたので、そこは信用しているが、それより現状の自分たちの立場だ。下請け会社の社長と肉体関係なんて譲に悪評が付きかねない。一先ず、彼が起きないうちに早々に帰ろう。だが、そう思い通りに行かず気付いた彼に追いかけられた花菜は、誰かに背中を押されて車にはねられかけた。意識を失った彼女は救急搬送され、目覚めると譲がいてパニックに。つい、記憶障害のフリをしてやり過ごしたら、俺は君の婚約者だと名乗り・・・。気恥ずかしさと立場上拙い関係と思い込んでいる花菜の逃げ道を塞ぐように、婚約者として振舞う譲。既に同居もしているんだと、彼の部屋に住まわされ、新婚夫婦のような生活を送る羽目に。その裏で高見沢が暗躍。花菜は追い詰められます。高見沢さんについては、この人も苦労人なのと、優秀過ぎる故の暴走って感じ。やらかしたことが結構悪質だとは思ったんですが、許しちゃうヒロインは菩薩か何かか。まぁそういう子だから譲も惚れたんでしょうけど、二人の仲も蓮見電子が譲の会社の子会社化することで一件落着。譲と花菜も結婚が決まってお終い。花菜がストレスに弱い理由とか、祖父と譲が交わした約束等、その辺は敢えて割愛しています。気になる方は読んでみてください。実在したらさぞモテるだろうなぁってヒーローでしたけど、こういう鉄板ぶりが良いのです。評価:★★★★★割と万人受けするお話かと
2023.01.16
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2022年12月刊ヴァニラ文庫著者:ちろりんさん弟の後ろ盾になる結婚相手を探すも、相手にされずに悩むレクシーは、突然訪れた美貌の侯爵ハーヴィーに両家の利益のためにと求婚されて受け入れる。冷徹で永久凍土の薔薇と噂される彼は彼女の前ではとろけるような笑顔を見せ甘く溺愛してくる。「君の奥深くに私を刻み付けてあげるよ」とまどいつつも真摯な彼の愛にほだされるレクシーだがー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 レクシー=ペンフォード伯爵家の長女。 弟が爵位を継げるまでの後ろ盾を得るため結婚相手を探していた。ハーヴィー=ワディンガム侯爵家の当主。レクシーに求婚する。ガブリエラ=レクシーの弟で伯爵家の跡取り。ジャレッド=レクシーの父方の従兄弟。ちろりんさんの最新作です。こちらも12月の末頃の発売なので、ネタバレの方は控えめで。大きな流行り病で当主夫妻もその犠牲となってしまったペンフォード伯爵家。今は長女のレクシーが慣れないながらも家政を受け持ち何とか切り盛りしている。今年11歳の弟ガブリエラが爵位を継げるまで頑張るつもりではあるものの、あの流行り病は甚大な被害を出し、領民も大勢亡くなった。その措置として一先ず税を軽くし、援助も行った。結果、伯爵家はかなりの財政難に陥ってしまったのだった。今は領地経営を信頼できるものに任せているけれど、弟が当主になる前に破綻してしまっては目も当てられない。やはり後ろ盾が必要だ。こうなったら自分が結婚するしかない。レクシーは参加できるパーティーや舞踏会になるべく足を運び、お相手を探した。だが、彼女に声を掛けて来る者は誰一人としておらず、しかも何か避けられてる感が。弟の将来の為に良い家庭教師を付けてやりたいのに。資金繰りや結婚の件含め頭を悩ませるレクシーを更に追い詰めることが一つ。それは従兄弟のジャレッドによる求婚だった。貴族ではあれど爵位の無い彼の家ば商いで収入を得ているのだが、ジャレッドはここ数年と言うもの賭け事にハマり随分散財しているらしい。伯父も体調崩して寝込んでいるそうだし、彼はレクシーの婿に収まってガブリエラが継承する前に伯爵家の財産を食い潰すつもりなのだろう。魂胆は見え見えだ。それ以前にジャレッドがあてにする財産なんてもうペンフォード家には残っていない。散々断っているのに、とにかくしつこい。何と言われようと応じる気は無い。どう追い返そうと思案していたその時、伯爵家をワディンガム侯爵・ハーヴィーが訪れた。子供の頃、何故か先代侯爵家当主からハーヴィーへの接近禁止を命じられていたレクシーは心底驚いた。そして、その用件にも。彼はレクシーに結婚を申し込みに来たのだ。ガブリエラの後見人にもなるし、伯爵家と領地を建て直すための援助も惜しまないと。ブドウが特産のペンフォード領のワインは有名で人気がある。それを侯爵家が営む事業で販売したいと言うのが一番の理由だそうだが、確かに、それならハーヴィー側にも得がある。あの馬鹿らしい命令を下していた先代も既に鬼籍に入っており、今の侯爵家の当主はこのハーヴィーだ。いつまでも従う義理も無く、お互い利害の一致がある結婚である。正直、ジャレッドを婿にするよりは遥かにマシ。多少迷いはあったが、好条件すぎるこの申し出をレクシーは受け入れたのだった。すぐにも同居し、式を挙げたい言うハーヴィーに押し切られ、弟を連れて翌日には侯爵家に移り住むことに。そこでレクシーを出迎えたハーヴィーは昨日とはまるで別人のようであった。彼女に甘い言葉をささやき、微笑みかける彼。ハーヴィーは整った容姿とその冷たい態度に「永久凍土の薔薇」と渾名される程の人物で、勿論レクシーもそう思っていた。しかも、彼女以外の者には確かに冷徹な対応で、飽く迄甘いのはレクシー限定らしい。そもそも、接近禁止命令を出される前は彼はよく笑う子だった。けれど、いつからか氷のような性格に。早々に式を挙げ、夫婦となったハーヴィーとレクシー。侯爵夫人として覚えることも多いが、彼は妻を溺愛。舞踏会で夫婦同伴した際はレクシーに微笑みかけるハーヴィーの姿に周囲がどよめいていたほど。毎日、レクシーを心底愛していると告げる彼に、いつしか彼女も絆されて仲睦まじい関係になって行った頃、当主になるべく勉強をしていたガブリエラが、友人と喧嘩をして傷だらけで帰宅。どうやら、レクシーを酷い中傷で侮辱されたことが原因らしく・・・・。お話自体は非常にシンプル。弟の為に結婚したヒロインが自分限定で優しいヒーローに溺愛されて幸せになると言うもの。接近禁止命令食らってたのもなんで?と思ったんですけど、理由が判ると先代の矮小さぶりが判明するくらいで、その辺に関してはあまり重要性は無い気が。離れ離れにされてた切欠にしては、って感じ。ヒーローのヒロインへの愛情は凄まじく、変な虫がつかない様警戒。舞踏会でヒロインが避けられてたのも実は。こうして外堀を徐々に埋めてたんですね。凄い執念だ。あと、ヒロインの従兄弟がギャンブル中毒そのものな態度で、伯父さん一家が少々気の毒に。ヒーローがこれ以上迷惑を掛けれないようにと対処してくれたのは良かった。ザマァって程ではないけれど、借金返済のためにマグロ漁船に放り込まれる的な仕置きに納得。金を稼ぐ苦労を知れば、多少は思い直すことでしょう。全く、相手にされないからってヒロインの悪口を広めるとか、子供かっ。前述の通りシンプルな展開ですが内容自体は面白いです。と言うか、キャラが。評価:★★★★☆
2023.01.11
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2022年12月刊ヴァニラ文庫著者:火崎勇さん大国の王アレウスに嫁いだフィリーナは、毒殺されかけたことで意志の強かった前世の自分を思い出す。気持ちを改め、国や民のために行動していると、今まで冷たかったアレウスが彼女に興味を持ち始める。「震えているのか?あれだけ豪胆な行動を取りながら少女のようだな」熱い腕に流されるも真にわかり合えないうち、謎の男達に命を狙われ…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フィリーナ=ラドラス公国の王女。 政略結婚でアレウスに嫁いだが暗殺されかけ前世を思い出す。 アレウス=大国レアリアの王。 女性不信の気がありフィリーナを長らく遠ざけていた。 リンナ=ラドラスから付き添って来たフィリーナの侍女。 ルーグ=フィリーナの護衛騎士の一人 オリーワ=フィリーナの護衛その2 クレイン=フィリーナの護衛その3転生ものです。大国レアリアの属国であるラドラスの王女・フィリーナがアレウスに嫁いでから2年近く経つ。しかし、政略結婚というだけでなく、単に嫌われているのか彼が妃を顧みることは無かった。トップの態度がそうなので、属国の姫だし軽んじても良いと思われているのだろう、侍女や召使たちまでフィリーナの世話を放棄している有様。アレウスの命でラドラスから連れて来た侍女もリンナ一人のみしか認められなかったし、一体何が彼の気に障ったのやら想像もつかない。言いつけの通りに王宮にも出入りせず与えらえた王妃宮に閉じ籠っていると言うのに。そんなある日、珍しくアレウスからの贈り物だとティータイムに出されたお茶を飲んだフィリーナは昏倒。幸い処置が早く命に別状は無かったが意識不明となり、その時彼女は長い夢を見た。見たことも無い不思議な形の建物や馬もいないのに走る乗り物。そして、何故か自分はそこでバリバリ働ているのだ。だが、フィリーナと違い生き生きとした彼女はある時余命宣告をされ、精神的ショックから注意を怠り事故死。きっと彼女はフィリーナの前世に違いない。不慮の死を遂げ、こうして生まれ変わった。そう思うと何だかこうしていないもの扱いされた挙句それを甘んじて受け入れ大人しく過ごしていた自分に嫌気がさした。目が覚めたら、前世の彼女の分も有意義に生きなければ。夫のアレウスは妃が暗殺されかかったと言うのに様子見に訪れただけ。しかもこの件は口外するなと釘を刺していった。彼が立ち去った後、リンナは憤慨していたが、元よりここではこの侍女しか味方がいないのを痛感した。それにしても、アレウスはこの部屋に来るたびにフィレーナを贅沢好きの女と窘めるのは何故なのか。嫁いでからと言うもの、贅沢どころかこの2年近く自分の物は何一つ買っていない。それにアレウスはリンナ以外の侍女たちが職務放棄しているのを知っているのか。何はともあれ、彼が自分を贅沢好きの悪女と見ているにはそれなりの理由があるはず。それと嫁ぐ際に、父がレアリアが戦争と飢饉によりかなり財政がひっ迫していること、本当なら可愛い娘を嫁がせたくないと溢していたのも気になる。それ以外にも属国と侮られフィリーナを金で買うふりがあったのも原因なのだが。アレウスの態度と言い、この国の抱える事情。諸々含めて詳しく調べてみる必要がありそうだ。手始めに王妃宮の状況を調べたフィリーナはここ2年の帳簿から侍女たちによる横領の証拠を発見。王妃のサインを捏造し、高額のドレスを数十着に宝石も多数、王妃の年間予算で購入している。さすがに誰がどれを買ったかまでは不明だが、購入先でデザイン等を聞けば舞踏会やパーティーで見つけられるだろう。高価な物を身に着けるとしたらその手の催しの時と相場は決まっている。邪険にされながらもアレウスに乞うて3人の護衛騎士が付けられたフィレーナは、彼らからも自分が浪費家と思われていたことに内心ショックを受けつつ、この調査によって身の潔白を証明した。アレウス命のクレインは他の二人と違い未だ半信半疑のようだが、多少は疑ってもらった方が忖度無しにアレウスにも報告してくれるだろう。横領以前に職務放棄は由々しき事態。侍女たちを全員クビにして横領を働いた者は責任を持って償わせることとして、アレウスには一応自分への誤解を解いてくれるよう真実を話した。王妃宮にある贅沢品は全てラドラスから持ち込み、家族が持たせてくれた物で嫁いできてからは何一つ購入していないと。そして侍女たちが王妃の名で横領していたことも包み隠さず。だが、アレウスはこれまでの態度を改めもせず謝罪すらなかった。オリーワの話では予想通りアレウスは女嫌いと聞いている。そんな理由で謝罪も出来ないなら業腹だが、その日は珍しくアレウスは大嫌いだった自分の母について語った。傾国の美女と呼ばれ寵愛を恣にしてから人が変わり、贅沢三昧の上男遊びも激しかったと。彼にはフィレーナが母に重なって見えていたらしい。どうやら根深い女性不信が頑なにしているようだけど、フィレーナにしてみれば縁談の打診があった時アレウスの絵姿に一目惚れした自分がバカみたいだ。勇敢な軍人王との呼び名も高い彼に嫁げると胸弾ませて来たのに、2年も放っておかれた。それでも嫌いになれないのは惚れた弱みか。忙しい彼に代わり、財政難なこの国の立て直しを図るため、市井を訪れ改革案をいくつか出して見たら、幾分見直してもらったようで、やっと謝罪してくれた。しかし、多少態度が軟化した程度。相変わらず片思いのままかとしょんぼりしていた中、二人の結婚2周年記念のパーティーが行われた。そこで、フィリーナはアレウスの婚約者候補だったと言う侯爵令嬢に含みを持たせた難癖をつけられ・・・。特に捻ってもいないので、毒殺を図ったのはこの侯爵令嬢です。他にもフィレーナの頭上に花瓶を落としたり、侍女たちの横領も令嬢の指示でした。でも、キャリアウーマンで男勝りに仕事をこなしていた前世を思い出したフィレーナにとって、令嬢など敵にはならず、逆にやり込めます。もうこれでちょっかい掛けて来ないだろうと思いきや、令嬢の親である侯爵が乗り出してきてその手の者に命を狙われる羽目に。それを救ったのは当然アレウス。終盤までこの人の頑なさには読んでて腹が立ちましたが、何だかんだとちゃんとフィレーナを見直し惚れてた様で良かった。素直になるのが遅すぎるwwwオイオイ、ラストまであと何ページだよ、仲直りのラブシーン入れたらそんなに残ってないぞ。ツンもここまで来るとイラつくと再認識したお話でした。ヒロインは強く儚く気高くって感じで、好感持てたので、ある意味バランスはとれているのか。あとがきに書かれてた本編後のざっくり展開はちょっと得した気分。評価:★★★★☆
2023.01.08
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2021年7月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さんマッチングアプリで出会った彼は“わたし推し”のわたしマニアだった!?恋人には束縛されるほど愛されたいわたしにとって、わたしのことをなんでも把握したがる恭一郎さんはまさに理想の恋人。初めての夜も憧れてたとおりの完璧なデートでトロトロになるまで愛してくれて。だけど、彼がわたしの秘めた願望を叶えられるのには秘密があって…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 家原実乃里=ごく普通の会社員。 マッチングアプリで理想の相手である恭一郎と知り合う。 槇原恭一郎=結婚相談所・トータルマリッジの社長。 羽田敏弘=実乃里の先輩社員で社内のムードメーカー。 北川美穂子=実乃里の親友。恭一郎の会社で働いている。度を越した溺愛を享受できる?もし、恋人が自分のストーカーだったら?そんなお話です。実乃里は事務用品の会社に勤めるごく普通のOL。彼氏いない歴年齢の実乃里は、密な関係を望み過ぎて理想の相手が見つからないという沼に嵌っていた。ある日、親友の美穂子の頼みでマッチングアプリのテスト会員になった実乃里は相手への希望蘭にありったけの理想の男性像を打ち込んだ。友人知人の誰もが重すぎる理想とドン引かれた内容をしみじみ眺め、これで見つかればいいけれど期待はしないでおこう一応、大本命の「束縛されたい」は書かずにおいたけれど・・・。数日後、例のマッチングアプリからお相手が見つかったと言う通知が。散々周囲からバカにされた実乃里の理想にマッチする人がいたなんて、嬉しさと驚きの半々で該当ページをタップすると、確かに相手側の概要欄に書かれている希望は自分の求めるものとピッタリ。槇原恭一郎さんと言うのか、スクロールして見ると添付されている写真は眼鏡をかけた理知的なハンサムだった。これを逃したら、次はいつこんな理想と合致する男性が見つかるか判らない。実乃里は意を決して、紹介を受けると返信。後日この人物と遭うことになった。実物もやはりカッコイイ人で、美穂子の会社の社長だと知って驚いたものの、自社アプリに自らテスト会員として登録していたらしい。そして彼もまた理想が高すぎるとのことで、漸く巡り会えたのが実乃里なのだと言う。出来ればお付き合いしたいと言われ、実乃里の方も了承。あれから2週間。幾度もデートを重ね、優しくて良く気が付く彼に実乃里はどんどんハマって行った。恭一郎は社長業で多忙だろうにとにかくマメで、毎日必ずメールなり電話なりくれるので、実乃里にとってはまさに望んでいた関係だった。勿論彼女も返事だけでなく、自分からも連絡している。先輩社員の羽田からもついに彼氏ができたか、とからかわれるほど、自分の雰囲気は変わったようだ。初めての恋に浮かれる実乃里。でも最近、自分を見つめる嫌な視線があることに不安を感じる様に。デート後は必ず恭一郎が車で送ってくれるし、もしかして自意識過剰なのだろうか。一抹の不安はあったものの、恭一郎とは結婚を前提にした交際に発展し、ほとんど彼の部屋で過ごすようになっていったのだが、ある時、彼の秘密の部屋を見てしまった実乃里は驚愕。部屋中埋め尽くされた自分の写真に、実乃里の姿を模したぬいぐるみ。果ては写真をプリントした抱き枕迄。恭一郎は悪びれもせず、盗撮や盗聴していたことを明かし、以前トータルマリッジで実乃里がサクラのバイトをした時から見初めていたと明かします。普通の感覚ならば、気持ち悪いとフラれる展開なれど、束縛されたい実乃里にとって彼の異常さは嬉しくてたまらないものだった。こんなにも自分を愛してくれてるなんて。しかし、交際を始めてからというもの、本物と付き合ってるのだから恭一郎は実乃里を尾行したりなどしていないと言う。言われて見れば確かに。では、あのまとわりつくような視線は一体。それに会社ででも身の回りの品が良く紛失している。まさか、他にもストーカーが?数日経ち、恭一郎の会社でトラブルがあり、会えない日が続いた頃、帰宅途中の実乃里の前に恭一郎に切り付けられたと怪我をした羽田が現れ・・・。恭一郎も結構ヤバヤバな人なんですが、実乃里が喜んでるんで結果オーライな状況だったのに、真のストーカーがいよいよ本格的に動き出します。正体は本文を読んでるとヒントが散りばめられてるおかげですぐに判ります。普段の言動が明るいだけに、本性表すと怖いなぁ。実乃里は貞操の危機に陥るも、間一髪で恭一郎に救われ事なきを得ます。好きな人だからこそ、常軌を逸した行動も許せるけれど、何とも思っていない相手から勘違いな好意を向けられるのは迷惑極まりないと言うもので。犯人は現行犯で捕まり一件落着。でもかなり拗らせてたから、世に出てきた時が怖いですよねぇ。報復とか。まぁ、恭一郎が傍に居るのでその辺はぬかりないとは思いますが。二人は後に正式に婚約。近いうちに入籍するんだろうなって感じで終わっています。ちょっと変わった(?)二人の理想ですが、そうなってしまったのも一応理由がありまして、育った過程は本当に重要なんだなとしみじみ思いました。割とさらっと読める内容なので、事情を知りたい方は読んでみてください。評価:★★★★★ラブコメに見えて実はサスペンス要素もあって面白かったです。
2022.12.11
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2022年11月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛さん運命的に出会った相手が結ばれてはいけない人だったなんてー。思い悩んでいたジュリエンヌは、ひょんなことから想いを寄せていた公爵レオナールと結婚できることに。この結婚は正しかったと周囲にアピールするだけの仮面夫婦になるはずが、ジュリエンヌは必要以上にレオナールに甘やかされ、初夜から全身くまなく快感で蕩かされてしまい…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用 ジュリエンヌ=バローヌ公爵の長女。 舞踏会でレオナールと出会い一目惚れする。 レオナール=クレマン公爵家の当主でジュリエンヌの夫。 クレマン夫人=レオナールの母親。フランソワーズ=レオナールの従姉妹。 アドルフ=ジュリエンヌの従兄弟 ミュゼ=ジュリエンヌ付きの侍女。150年もの間、隣り合った互いの領地境のことでいがみ合い続けているバローヌ家とクレマン家。国王は国の有力家門同士のこの諍いに大層胸を痛めいた。そんなある日、クレマン家の長女・ジュリエンヌはとある舞踏会にて運命的な出会いをした。一目で彼女が心奪われた青年の名はレオナール。だが、彼はバローヌ家の宿敵・クレマン家の若き当主だったと知り愕然。あんな奴と話すなと早々にお互いの同伴者によってその場は引き離されてしまった。レオナールもまたジュリエンヌに一目惚れしていたのだが、長年続くこのいがみ合いのせいで恋を成就させるのは困難に違いない。常々、両家は手を取り合うべきと考えていた彼は、出来れば自分の代で成し遂げたかった。実際問題、縁戚関係になるのが一番手っ取り早いのだが、これが一番難題なのも事実。しかし、その頃、領地境の地にて事故が発生。両家側共に結構な被害を出した。現地では当事者たちがお互い罪を擦り付け合っているらしい。それを耳にした国王は激怒。両家当主を諫め喧嘩両成敗となったのだが、今回の件でこの二つの家の不仲ぶりを見過ごせなくなったようだ。何か良い手はないかと考える王にレオナールは、自分とジュリエンヌとの結婚を提案。縁戚関係になれば、いずれ両家の仲も修復されるだろうと。内心では「災い転じて福となす」ではあったが、これで大義名分は出来た。バローヌ公爵は渋っていたものの、両家の仲について思う所はあったらしく、娘との結婚を了承。ジュリエンヌは父からこの話を聞いて、神に感謝をしていた。叶わぬ恋と思っていたのだから当然だ。でも大っぴらに喜ぶわけにもいかず、粛々と父の命を受け入れたのだった。両家見栄の張り合いの挙式を終え、クレマン公爵家へ輿入れしたジュリエンヌ。レオナールから、自分達でこのバカバカしい関係を終わらせようと、この結婚は正しかったと見せつけるべく仲睦まじい夫婦を装う事を告げられ、思わず落胆してしまったが、そもそもこれは政略結婚。彼に望まれて結婚したわけじゃないから、と思い込み、互いの想いを知らない二人はギクシャク。それでもレオナールは優しく、早速姑のクレマン夫人から嫁いびりの洗礼を受けるも、ジュリエンヌはミュゼの力を借りて躱していきます。そんな中、宿敵の家の娘と敵意を向けていた使用人たちは、段々と彼女の人柄に惹かれ、味方になっていく中、レオナールの本心を聞き、両想いだったことを知る二人。やがて、クレマン夫人もジュリエンヌを認め始めた頃、レオナールに想いを寄せていたフランソワーズがアドルフと手を組み、二人の仲を裂くべく策を巡らせ・・・。この従姉妹たちの企みのせいで、ジュリエンヌは命の危機に晒されるんですが、勿論レオナールによって救われます。そしてこの事件を機に、両家の諍いの原因が発覚。それが証明されたことで、最早いがみ合う理由が無いと言うことで、双方が歩み寄ることに。クレマン夫人も根は良い人だったし、夫人とジュリエンヌの妹達との交流も読んでてほっこり。長年の憂いも晴れた頃、ジュリエンヌの妊娠が発覚してお終い。最初は若干ギクシャクはあったものの、終始仲の良い夫婦でじれじれ度は少な目。ロミオとジュリエットのハッピーエンド版って感じのお話でした。評価:★★★★☆
2022.12.08
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2022年11月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉置直さん妹の子供・海花を育てている春花。ところが三年前に別れた海翔が会いにきて、二人の子供だと勘違い!「結婚して三人で暮らそう」と喜ばれてしまう。ワケあって真実を言えないことには心が痛むが、彼のアプローチは嬉しい。離れていたぶん募った愛で身体のすみずみまで可愛がられて、さんざん啼かされてだけど、いつまでも隠してはおけなくて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 天宮春花=ベビー用品会社のデザイン部勤務の会社員。 アイドルをしている妹に代わり、姪を育てている。 京極海翔=貿易企業の御曹司子で春花の元カレ。 長らく海外赴任で不在だったが帰国し、春花に求婚する。 天宮唯花=海花の母親。 地下アイドル「りん」と名乗り活動中。 天宮海花=唯花の娘。 桂木=唯花が所属するアイドルユニットのマネージャー。つい最近の新刊なので、ネタバレは控えめに行きます。春花は会社勤めをしながら、2歳になる姪の海花を育てている。妹・唯花はシングルマザーなのだが、現在は理由あって海花とは離れて暮らしており、春花が面倒を見ることになったのだ。そんな彼女の目の前に、3年前に別れたはずの元カレ・京極海翔が現れた。海翔からの告白で始まった交際。初めての恋愛に春花は幸せだった。しかし、海翔が大企業の御曹司であることから、案の定、彼の両親には結婚を反対された。悩んだ結果、春花は身を引くことを決意。海翔の海外赴任を機に、彼女は別れを告げた。あれから3年。春花は自分が未だに彼に未練たらたらなのは否めない。海翔は彼女を迎えに来たと言う。彼もまたずっと思い続けてくれていたのだ。死ぬほど嬉しい。けれど、彼が春花に抱かれている海花を凝視しているのを見て嫌な予感が。どうやら、海翔は海花を自分たちの子だと思っているらしい。「海花」という名前も誤解に拍車をかけており、海翔と春花、二人の名前から一文字ずつ取ったんだろう?と如何にも感動してます風に尋ねられ、春花は動揺。感動に水を差すのもアレなので言い難いが、そんなロマンティックな理由ではなく、実の母である結花がが付けた名だ。それに、この子は姪であり預かっているだけと説明しかけて、これは内緒だったと口を噤んだ。彼女の様子から、斜め上の解釈をした海翔は子供も引き取る。結婚しようと告げるのだった。唯花の所属するプロダクションとの契約で、彼女がシングルマザーだと言うのは口外禁止になっている。彼が正式に春花の夫になれば事情を説明するのは吝かではないが、現時点で話すはちょっと拙い気がする。とは言え、海翔は完全に海花を自身の子と信じて疑わず、海花の方も彼に懐いていた。海翔と別れてすぐ、唯花の妊娠発覚だったので、名前だけでなく微妙に海花の年齢が合致しているのも原因だろう。元々、優しい人ではあったものの、ここまで子煩悩とは思わなかった。足繁く彼女の部屋を訪れる彼に、やはりのっぴきならない状況だから海翔には事情を話すべきかと思い悩む春花。そんな折、海翔とよりを戻したことを喜んでくれていた唯花が、最近何だか情緒不安定で心配になる。桂木の話ではユニットメンバーといざこざがあったらしい。春花も気遣っていたのだが、ある日、唯花が海花をあげるから実子扱いにして海翔と幸せになれと、信じられない提案をして来て・・・。この一件で姉妹仲が拗れかけるも、実は妹なりに姉と娘の幸せを考えてのことでした。詳しい事情はあんまり書いてもアレなので渇愛しますが、妹は良い子ですので。唯花が所属するアイドルユニットで悶着あったり、中盤になるとさすがに海翔には真相がバレてたり、中結構展開がジェットコースターで、グイグイ読めます。このヒーロー、外見はカッコイイけど、思い込みが激しくて何だか可愛い人。ヒロインが自分のことは二の次な人なので、回想シーンでの決断にじれじれもしますが、最後は何もかも上手く行って良かった。あ、あと、タイトルで言ってる程夫婦生活はしていません。同居してどうのこうのって内容ではないので、そこはご注意を。マーマレード文庫と同じ出版社さんなせいか、このMielも少々字面は大きめ。近眼に優しくてありがたい。評価:★★★★★お話も面白かったけど、キャラが良い。
2022.11.27
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2022年9月刊ヴァニラ文庫著者:佐倉紫さん修道女見習いから自分そっくりの王女の身代わりに、隣国の王オーガストに嫁ぐことになったティアナ。結婚前夜、庭園で転びかけた彼女を助けてくれた騎士がまさかのオーガスト本人だった!?「大丈夫だ。素直に快感に身をゆだねてごらん」二人の日々を重ねるたび、誠実な彼に惹かれるけれど、好きになるほど自分が偽物であることが苦しくなって…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ティアナ=元孤児の修道女見習。自分と瓜二つの王女・フリーデに懇願され、彼 女の身代わりでオーガストに嫁ぐ。オーガスト=ユールベスタス王国の国王。嫁いで来たティアナの人柄を気に入り溺 愛する。 フリーデ=アマンディア王国の王女。ティアナとは瓜二つ。 ダーナ=フリーデの乳母で侍女。 ラモン=フリーデの護衛騎士。アマンディア王国の片隅にある修道院にて修道女見習をしているティアナは、この国の王女であるフリーデのそっくりさんとして有名だった。王女に似ている修道女(見習い)制作のワインや小物は大人気で、併設されている孤児院の運営費として大いに役立っている。ティアナはまだへその緒が付いている状態でこの孤児院の前に捨てられていた。成人したらこのまま正式に修道女になろうと考えていたある日、巡礼中だと言う件の王女・フリーデがこの修道院を訪れた。実際に見てみると本当に王女はティアナと似ている。他人の空似とは思えないほどに。フリーデはティアナに自分の身代わりを務めて隣国へ嫁いで欲しいと告げた。これ程似ているならフリーデとして輿入れしても先方は気付かないだろうと。王女はこれを頼むために婚礼前に巡礼がしたいとこの田舎町までやって来たのだった。思ってもみない申し出に、いくら王女様からの頼みでも流石にティアナは速攻で断った。結婚は神聖なもの、それに相手側にバレたらどうする。しかし、フリーデは毎日のように彼女の元を訪れ、頼み続けた。よくよく話を聞くにどうやら王女には将来を誓った者がいるらしい。数々の武功を立てた騎士で、一国の王女が降嫁するにも申し分ない人物なのだが、父に話す前に隣国の王との政略結婚が決まってしまったとのこと。フリーデは焦り嘆き悲しみ、そんな折に自分と瓜二つの修道女の存在を耳にした。きっと藁にもすがる気持ちでここまで来たのだろう。フリーデとその恋人の護衛騎士ラモンの姿を見て、お人好しなティアナは折れ、ついその頼みを引き受けてしまったのだった。フリーデの侍女・ダーナにティアナに貴婦人としての教育を急ピッチで施された。フリーデはラモンと共に国を出るつもりだと言う。幸い読み書きはマスターしており、バザー用の小物作りの経験から刺繍もお手の物。問題は立ち居振る舞いとダンスなのだが、流石にこれは付け焼刃では難しい。あれよあれよという間に日数が経ち、いよいよ輿入れの日。フリーデたちは既に旅立っており、二人の幸福を祈りながら、フリーデとして隣国・ユールベスタスへやって来たティアナ。国王・オーガストは多忙で初日の顔合わせに現れなかったが、その夜、意外な場所での初対面となった。元々いくつもの国が合併されて出来たこのユールベスタスは国政がまだ安定していない。それでもオーガストはかなり優秀な人物で国民からの人気も高いと聞く。いざ会ってみると秀麗な面立ちに思わずティアナはときめいた。オーガスト自身も可憐なティアナを気に入り、政略婚とは言えども夫婦仲良くやっていきたいと告げた。彼は王妃はお飾りなどではなく政治にも参加すべきと、ティアナに会議の場にも参列させた。難しい事案も多かったが、長年の経験を生かして慈善事業なら手伝えることもあるだろうと積極的に動き、多くの貴婦人たちを味方につけて精力的に活動をした。オーガストとの関係も良好で、ティアナは王宮の侍女たちからも多くの支持を受けている。だが、ふとした際に悲しくなるのは愛しい彼からフリーデと呼ばれること。自分は本当は王女ではなく孤児の修道女見習だと知られたら。そんな不安な想いを抱えていたある日、フリーデにそっくりな少女が奴隷市場で保護されたと一報が入り・・・。奴隷市場摘発に乗り出していたオーガストが偶然にも人買いに騙されて売られかけたフリーデを見つけたことから騒動になるんですけど、これを勘違いした高官たちがティアナ偽物だと投獄すると言う暴挙に出ます。そもそも、この件は王妃の人気をよく思わない連中の早とちりに巻き込まれたってオチ。すぐにオーガストに救い出され、ティアナはフリーデと再会。ラモンが病を患い薬代を稼ごうとした所を人買いに騙されて売られかけたと言う経緯らしく、この日に摘発が入ったのは本当に幸運だった。そして、オーガストに身代わり婚のあらましを全て白状することに。でも、オーガストはティアナに心底惚れていたのと、侍女たちや高位貴族の夫人たちの後押しもあって、フリーデではなくティアナとして嫁ぎ直すことを提案されます。公爵夫人辺りの養女になれば問題ないでしょと皆で策を巡らせていると、今まで傍観していたダーナが話したのはティアナの出生の秘密。実は彼女はフリーデの双子の妹だと言うのです。まー、これだけ似てれば多分そうだろうとは思ってました。ダーナとティアナの出会いの反応とか。ティアナだけが捨てられたのは理由があって、アマンディア王国王妃が死の間際に願った事らしい。王妃は姑である皇太后からパワハラとモラハラでそれはそれは苛め抜かれ、終いには双子は不吉として片方を処分されかねない状況だったため、ティアナを手放したというのが事情。そこで娘に会いに訪れていたアマンディア国王に全てを語り、ティアナは正式に第二王女として発表されます。誓約書はフリーデと結婚したことになっているのでオーガストはバツイチ扱いになるも、フリーデがラモンの元に降嫁しやすくなるとして、この政略婚のやり直しが決まったのでした。王女さまがティアナにした頼み事は見ず知らずの他人にする事じゃないよなぁとは思いました。だって結婚ですよ?そっくりさんに押し付けようとか虫が良すぎる。とは言え、最後は生き別れの姉妹だったと判るんですけど、これ、オーガストがティアナを気に入っていなければとんでもないことになってたような。ティアナに人を惹きつける才があったればこその幸運だった気がする。正直、フリーデのことは最後まで好きになれなかった。それにしても、アマンディア王国の皇太后は人でなし過ぎる。元をたどればそもそもの諸悪の根源はこの人なんだよなぁ。特に山場の無いお話な印象だったけど、ザ・王道なストーリーだったとは思います。今生きてる人達が幸せならそれで良し。評価:★★★★☆
2022.10.29
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2018年3月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛さん離すものかーー君は私だけのものだ甘すぎる溺愛公爵と濃蜜な年の差新婚ラブ左右で異なる色の瞳のせいで忌避されていたフレデリカを、公爵・クリスティアンは花嫁として迎えてくれた。孤独を抱えていたフレデリカをクリスティアンはひたすらに甘やかし、搦め捕るような濃厚愛撫で蕩かせて身も心も彼の色に染めていく。幸せに満たされていたが、クリスティアンにはかつてフレデリカと同じ瞳の色の婚約者がいたと知って!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フレデリカ=この国では忌み嫌われるオッドアイの持ち主。養護施設で育ち、 18歳になったある日、グランホルム公爵に妻にと望まれ嫁いだクリスティアン=グランホルム公爵家の当主。婚約者を病で亡くして以来独身を貫 いていたが、立ち寄った施設にて幼いフレデリカと出会う。以降 、数年に渡って彼女を見守り続け、後に自らの妻に迎える。 ベルマン=伯爵家の当主で大地主。フレデリカの初恋の人であったが後に幻 滅される。 フェルメール=クリスティアンの姉。フレデリカを財産狙いの卑しい女と嫌って いたが、意外と芯の強い面を目にして見直す。 ダーヴィッド=グランホルム家の執事長。フレデリカを主人の救世主と使用人一 同彼女を歓迎する。積読を減らそうシリーズです。購入したのは今年なれど、発行年数的に電子版のリンクしかありませんでした。所持しているのは文庫版。歳の差&身分差の新婚生活は山あり谷あり、って感じのお話。誤解もあって終盤じれじれ展開もありますが、絶対助けに来るでしょって言う謎(でもないか)の安心感があります。文庫本一冊分は流石に情報量が多いのでざっくりと。婚約者を病気で亡くして以来、独身を貫いていたクリスティアン。慈善事業の一環としてとある養護施設のバザーに立ち寄った彼は、そこで一人の少女を目にして驚きます。何故なら、少女は婚約者の幼いころにそっくりだったから。しかも、顔立ちだけでなく左右異なる瞳の色まで。でもこの国の古い因習によって、オッドアイを持つ者は忌み嫌われていた。少女も漏れなく心無い嫌がらせを受けているのか、他の少年少女と違い肩身が狭そうだ。思わず、彼女の手作りらしい小銭入れに目を止め少し多めに金を払おうとしたら、何か気に障ったのかタダで良いと小銭入れを押し付けられた。取りつく島もなく、これ以上刺激しない方がいいかとその場は引いたものの、どうにも少女の事が忘れられない。クリスティアンは後日匿名で施設に多額の寄付をし、度々立ち寄っては少女のことを見守っていた。そしていつしか、それは恋心へと変わり、少女・フレデリカが年頃になったら自らの妻に迎えようと決意するのでした。数年後、美しく成長したフレデリカはもうすぐ18歳になると言うことで、今後の身の振り方について悩んでいた。施設の規則で18になったら独り立ちせねばならない。だが、彼女はその容姿のせいで就職が難しい。期限が迫る中、施設を運営する教会の神父に呼び出されたフレデリカは自分に引き取り手が現れたと知らされます。それも使用人としてではなく、妻として迎え入れたいと。相手はクリスティアン・グランホルム公爵と言う今年37歳になる貴族らしい。資産家であり国でも5本の指に入るほどの富豪だそうだが、それほどの人物ならば結婚相手など引く手あまただろうに、何故自分の様な孤児を。かなり不安で複雑な心境ではあったが、それでもこんな自分を迎え入れてくれるのだ精一杯お仕えしようと決意。半月後、公爵家から寄越された馬車に乗って公爵家へ赴くと、迎えに現れたのは背が高くてハンサムな青年だった。使用人勢ぞろいで、驚くほどの歓迎ムードに戸惑ってしまう。屋敷内を案内してくれたダーヴィットはフレデリカをこの屋敷の救世主だといっていたけれど、果たしてどういう意味なのか。それからというもの、公爵夫人として扱われるようになったフレデリカをクリスティアンは溺愛。贅沢に慣れない彼女にプレゼントは却って気を遣わせるとすぐに気付いてくれて、観劇に連れ出してくれたりと、今まで経験したことも無い世界を見せてくれた。とは言え、結婚してすぐのころは彼の姉に自分が良く思われていない事を知った。決して財産目当てなどではないけれど、平民でしかも孤児の自分が公爵と結婚なんて、世間では財産目当てと思われても仕方ない。それに、彼の姉・フェルメール夫人が話していたエスメラルダの代わりとは?どうやらフレデリカはそのエスメラルダなる女性に似ているようだ。クリスティアンが長らく独身だったこと、ダーヴィットが自分を救世主と言った意味はもしかして繋がりがあるのかもしれない。そんな引っ掛かりも幸せに過ごしていた数か月の間は忘れかけていた。でも、とある切欠で再びその話題が耳に入り、意を決してフェルメールの元を訪れたフレデリカはクリスティアンの過去を聞きます。彼の婚約者・エスメラルダは結婚式直前に亡くなり、嘆き悲しんだ彼は以来ずっと独身を貫いていたこと、フレデリカはエスメラルダにそっくりだとも。フェルメールは意外に芯の強いフレデリカを気に入り、誤解していたと謝罪。過去など気にせず弟を頼むと告げたけれど、その言葉を受け彼の為に良かれと思ってしたフレデリカの行動が彼を怒らせてしまい・・・。この騒動でフレデリカはクリスティアンを怒らせてしまったと気に病み、屋敷を出て行きます。これはまぁ勘違いなんですが、施設に舞い戻った彼女をベルマンが見つけ、近々教会と施設を取り潰し更地にしてその土地を売るつもりだと告げます。元々、この土地は代々ベルマン家所有のもので、それが縁で彼も昔からよく慰問に訪れていた。フレデリカにとって初恋の人だったこの伯爵、根はとんでもないクズでその本性を知って以来、フレデリカは彼を嫌っていたというのに、施設がなくなったら子供たちは。ベルマンは公爵夫人になりすっかりあか抜けたフレデリカが欲しくなり、土地を売られたくなければ自分の情婦になれと脅してきた。自分より他人を優先しがちな性格を見事に逆手に取られ、ベルマンの屋敷に連れ込まれた彼女は貞操の危機に陥った所を、クリスティアンが踏み込み事なきを得るのでした。施設の土地はクリスティアンが買い上げてくれており、ベルマンもしっかり罰を受けます。やらかし具合からしてこの程度が落としどころかな。二人は無事に元鞘に戻って幕。終盤、クリスティアンがエスメラルダのことを話し、事情が判明。この辺は、やっぱりそういうことかと亡くなった婚約者さんには悪いけど、フレデリカが引け目を感じたり身代わりだと思わなくていい理由にはなってます。その辺の詳細が気になる方は読んでみてください。それはそうと、独身時代が長かったのは、フレデリカの成長を待っていた8年間のせいじゃないかと。ぶっちゃけ婚約者を偲んでたのは大体2年くらいなのでは(苦笑) それを思うと周りが美談にし過ぎてたようで。評価:★★★★☆全体的に面白くて良いお話だと思うんですが、貞操帯の件にはドン引き。
2022.09.14
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2019年9月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛さん兄が作った借金のせいで意に染まぬ結婚に悩んでいたイングリッドを救ってくれたのは侯爵トリスタン。跡継ぎを望むトリスタンとの契約蜜月はくるおしいほどの愉悦と寵愛に満ちていた。「君の全身に印を押してあげる」過ぎる快感に啼かされ甘やかな日常を与えられるも、それは子どもが生まれるまで。しかし、トリスタンからの情愛は濃密さを増し…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 イングリット=バロワン男爵家の長女。兄が博打で作った借金のカタとして望ま ぬ相手との結婚が決まり絶望していた。 トリスタン=名家・キャンディロロ侯爵家の当主。 利害の一致から、イングリットを妻に迎える。 クリス=バロワン男爵家の当主でイングリットの兄。博打で負けが込み、 屋敷の代わりにイングリットを差し出した。 ベルナール=子爵家当主でクリスの博打仲間。無類の女好きでもあり、美しい イングリットを妻にする代わりに借金帳消しを承諾。だが、寸で の所でトリスタンに横取りされ、仕返しを目論む。 ソフィー=トリスタンの義妹(兄嫁の妹)。長年トリスタンに想いを寄せて おり、イングリットに敵意を向ける。訳あり歳の差婚のお話。ヒロインの兄がクズ過ぎて読んでてもーイライラしました。amazonで既刊をポチって積読になってた本です(^_^;)情報量が多いのでネタバレはざっくりと。没落貴族の娘、イングリットは、博打好きの兄が作った借金のカタに、女好きの子爵の元へ嫁がなければならなくなった。自分が行かなければ屋敷を取られてしまう。クリスと自分だけが住んでるならともかく、まだ幼い弟妹5人を路頭に迷わせるわけにはいかない。泣く泣く承諾したものの、どうやら、先方は若く美しく、しかも手つかずの娘を嫁に出来ると喜び、自慢げに話しているらしい。おまけにあちこちに愛人を囲っているのだとか。ベルナールの悪評を耳にして、イングリットは何だか腹が立ってきた。あんな男に純潔を捧げるくらいなら、どこかで素敵な男性に声を掛けて、自分の初めてを貰ってもらおうじゃないか。意気込んで出かけたものの、本来大人しい性格の彼女に行きずりの相手と一線を越えるなど無理だった。所在な気にうろうろしていたらゴロツキに絡まれてしまった。怖くなったイングリットは丁度目が合った男性に助けを求めた。見ないふりをされるでもなく、男性は彼女を助けてくれた。よく見ると、40過ぎだろう彼は図分と素敵な人だった。この人が良い、イングリットは意を決して自分を抱いて欲しいと頼みます。泣きながら、事の経緯を話したイングリット。充分同情に値する内容だし、美しい彼女をどうにも放って置けなかった。そういう事情ならとトリスタンはイングリットの願いを叶えます。相当困窮してるのだろうと高価なカフスボタンと短い手紙を添えて、翌朝眠る彼女を残して屋敷に戻った彼は、彼女が気になってしょうがない。たまたま訪れた貴族達の集まりで、ベルナール子爵とその友人たちの話が耳に入り、よくよく聞いてみると、内容の一致からイングリットの嫁ぎ先であることが判った。成程、こんなクズが相手に初めてを捧げたくないだろう。愛人とも手を切る気は無い様だし、嫁いだ彼女が不幸になるのは目に見えている。トリスタンは、国でも5本の指に入る財閥の当主・キャンディロロ侯爵家の当主だが、自らの生まれに思う所があって生涯独身でいるつもりだった。本来の当主であった兄が家族諸共事故で亡くなり、異母弟の自分が当主を継いだ。だが、身内を失くしてしまった彼が独身のままでは後継がいない。そこで王は侯爵家存続のために妻を娶るよう命じたのだ。頭の痛い悩みではあったが、待てよ、自分がイングリットと結婚すれば良いのでは。男爵家の借財は自分が肩代わりすれば、彼女の兄も納得するだろう。たった一晩の関係だったけれど、イングリットの事は随分と気に入っている。善は急げと男爵家を訪れた彼は、クリスにイングリットを嫁にしたいと告げ、代わりに借金を肩代わりすること、結婚後は妻の実家であるから相応の援助をすると条件を言うと、案の定クリスは飛びついた。当のイングリットは嬉しいけれど、迷惑をかけることになると返事を渋っていたが、跡継ぎが必要なのでせめて子供が産まれるまで妻になってほしいと言うと、漸く彼女は承諾。ベルナールにしてみれば横取りのような形で掻っ攫ったトリスタンに相当腹を立てていた。口汚い言葉でトリスタンを罵っていたが、後にベルナールは恨みと腹いせでトリスタンを窮地に追い込んでやろうと目論みます。トリスタンは年の離れた妻を溺愛し、幸せに暮らしている二人の生活は順風満帆だったけど、イングリットはある不安を抱えていました。兄クリスが屋敷を失いかけてからもまだ博打を辞めておらず、結構な額の援助金も早々に使い切り、妹に金の無心に来る始末。弟妹を食わせるためと言われ、しぶしぶと侯爵夫人用の身支度の為の金をトリスタンには内緒で渡しているけれど、こうも頻繁ではさすがに困る。使用人たちも不審に思うだろう。そんなな日々が続き、トリスタンの義妹・ソフィーが屋敷を訪れた。彼女はあからさまにイングリットを敵視し、貧乏貴族と軽んじる始末。間の悪いことにクリスに金をせびられているのも知られてしまったようだ。おかげで、あなたは彼の妻に相応しくないと責められている。だが、悪いことは続くもので。トリスタンが社運をかけて輸入した希少な宝石を積んだ船が海賊に襲われ積荷を奪われた挙句、船は焼失。多大な損失を負った彼の会社は倒産の危機に追い込まれ・・・。まあ、これはベルナールの仕業なんですが、金策と後処理に追い込まれるトリスタンの元にまだクリスが金の無心に来て、このバカ兄貴、いい加減にしろやっと怒りがこみ上げました。どうしてこんなに考えなしなのか、なのに、トリスタンは大事な金をクリスに渡してしまうし、イングリットは申し訳なくて居た堪れなくなるのも判る。そんな彼女にソフィーが自分の家は裕福だから、融資してあげるから彼と別れろと迫ります。この女も諦めればいいのにと腹が立ちますが、ベルナールにそそのかされイングリットを彼の元に行かせようと企みます。でも後に、ベルナールの悪事が暴かれ、積荷の宝石も子爵邸で発見。パニくったベルナールからトリスタンを庇ってイングリットが撃たれるも事件は解決。トリスタンの船舶会社は倒産の危機を乗り越えたのでした。ソフィーはさすがに罪の重さに猛省し、クリスも顛末を経て心を入れ替えトリスタンの会社で真面目に働き出した。万事が上手く行って終わり。正直、ベルナールの身の程知らずぶりに呆れます。子爵が侯爵に面と向かって悪態ついたり何様なのかと。逆恨みも甚だしいけれど、かなりの被害を出した事件を起こしてるので相当の罰を受けそう。ソフィーはまぁ、いけ好かない女だったけど反省するだけマシかな、と。兄貴はクズのまま行くのかと思ったらラストに漸く改心。とは言え、散々迷惑かけたんだから、少しずつでも金は返して言って欲しい。ヒロインは苦労した分、いい旦那さんに巡り会えて本当に良かったと思えるお話でした。評価:★★★★★
2022.08.22
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2022年5月刊ヴァニラ文庫ミエル著者:玉紀直さん「子どもが欲しいなら、俺が手伝ってやる」意地を張って口にした一言のせいで、犬猿の仲の亘が子作り相手に!?毎晩ぐずぐずになるまで甘く攻められて、快感も気持ちもいっぱいになっちゃってる。だけど恋人じゃない、子作りだけ。そんな関係にだんだん胸が痛んできて…。そんな時、亘の会社とのコラボ商品企画が出て、ある決断を迫られて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 湯浅奏絵=ヒロイン。小さなベンチャー企業の女社長。 巷では犬猿の仲と噂されている四方堂に内心密かに憧れており、いつ ものように売り言葉に買い言葉なやり取りをきっかけに、彼と深い関 係になる。 四方堂亘=ヒーロー。老舗アパレルメーカーの御曹司でマーチャンダイザーも手 掛ける敏腕社長。奏絵に好意を持っているが、何かと言い合いになる せいで一向に仲は進展していなかった。ある日、結婚に興味はないが 子供は欲しいと言う彼女の言質を取って子作りに協力すると宣言。 以降、頻繁に逢瀬を重ねる。 湯浅純=奏絵の弟で常務兼モデル。聊かシスコン気味で、四方堂に敵意を持っ ていた。 新見愛香=奏絵の同級生で親友。起業スタッフの一人で専務兼デザイナー。 宇目平=大手不動産会社社長。女癖の悪い人物で、奏絵に性的接待を促す発言 を何度かしていたことから四方堂から警戒されていた。これも購入したものの2ヶ月くらい積読になってた本ですね(^_^;)舞台はアパレル業界。社員は弟と同級生だけと言う小さなベンチャー企業の社長・奏絵。ユニセックスブランドなこともあってか、起業して3年、最近はポップアップストアを出店すれば大盛況で何とか軌道に乗って来た。大手の総合商社との取引話も出ているし、それが決まればかなりの利益が見込める。そちらは弟の純に任せ、自分は今夜、セクハラ発言も多く、若干苦手な人物・宇目平の接待があるので気が重いが、今回のポップアップストアも彼が良い場所を都合してくれたおかげ。これも仕事と割り切って、ホテルのバーで接待をしていた所、グイグイ飲まされてそう酒が強くない奏絵はそろそろ厳しい。あとは適当に話を終わらせてお開きにと思っていたら、宇目平は店を出す気は無いかと言う。家賃も出してやるからと彼は当然とばかりに性的接待を要求して来て、奏絵は焦った。厭らしく触って来るこの手をどう躱そうと考えていた所、助け舟を出したのは四方堂社長。どうやら、彼は宇目平にクレーム案件があり、ここに来ていると聞きつけてわざわざやって来たらしい。大手老舗アパレルメーカーの御曹司相手ではさすがに分が悪いと見たか、宇目平はそそくさと帰って行った。おかげで貞操の危機は免れたものの、よりにもよってこの男に助けられるとは。内心密かに憧れている人物だけど、起業前に企画を持ち込んだのがこの四方堂のところで、その時の厳しい言葉にショックを受けた。今思えば、あの一件によって奮起したのが後の追い風になったわけだが、そういう経緯もあってかどうにも彼には素直になれない。今回もちゃんと礼を述べるべきなのに。何となくそのまま一緒に飲みなおすことになった二人。だが、素直になれずに出てくる言葉は憎まれ口ばかり。だが、流れで結婚話になり、今のところ結婚に興味はないけど子供は欲しいんですよねと答えた奏絵は、後に続いた亘の言葉に驚愕。子供が欲しいなら、自分が協力してやると。かくして、相手に上手い事乗せられた感はあるものの、亘と関係を持ってしまった奏絵。彼氏いない歴=年齢の彼女は、8歳も年上の彼にすっかり骨抜きにされてしまい、以降お互い多忙ながら、3日と空けずに逢瀬を重ねる二人。都合の良い相手にされてるだけかもと思いつつ、優しい彼に敢えて蓋をしていた想いを自覚していく奏絵。彼との子供は勿論欲しいが、出来たら出来たでこの関係が終わるだけだと思うと胸が苦しい。本音では彼の恋人になりたいし、結婚もしたい。そんな日々が続く中、彼女の会社と亘の会社とのコラボ話が持ち上がります。3年前は散々こき下ろされたと言うのに、今は随分見直してくれたようだ。申し出はありがたいし、奏絵自身はやりたい気持ちがある。問題は純と愛香がどう思うか。案の定、二人は良い顔をしなかった。しかも、奏絵と亘のただならぬ関係を純に気付かれてしまい、恋人の会社だから仕事を回して来たのではと勘繰る始末。そんな人ではないと否定したいが、実際は恋人ですらない事実が彼女を不安にさせます。だが、あの大手総合商社との取引が、亘が社長と友人で奏絵の会社を推薦してくれたからと知り、彼の心遣いに一層思いが深くなる彼女。そんな奏絵に再び、宇目平が接近を図り・・・。この宇目平が女の敵そのもので、奏絵を手に入れるべく無理矢理迫ってくるんですが、亘が踏み込んできて事なきを得ます。元々問題行動の多い人物だけに、目を光らせていた彼は証拠固めもばっちり済ませ宇目平を失脚に追い込むことに成功。この騒動の前にもちょっとしたじれじれ展開もあるんですけど、誤解が解ければラブラブになるのも早い。亘も好きじゃなけりゃあんなに多忙なのに週2,3回のペース会ったりしないと奏絵も気付きそうなものだけど、犬猿の仲だったことも影響してるのか、鈍いヒロインでしたね。想いが通じ合った二人は婚約してお終い。割とラブコメチックな内容でしたが、これもヒロインのモノローグが面白い。主にヒーローへのツッコミなれど、千円札を小銭と言い切る彼には読んでた自分も衝撃。千円あったらそこそこのランチ食べれるのに。←モロに庶民の考えこれだから金持ちは。よくよく思えば、これもシンデレラストーリーだった。評価:★★★★☆そういえば、ヒーローの名前、俳優さんにそんなような名前の方がいたような。
2022.07.16
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2022年5月刊ヴァニラ文庫著者:逢矢沙希さん稀代の悪女と噂される王女カルディナは、隣国の王太子に婚約破棄されるが、代わりに彼の護衛騎士隊長である公爵のヒューゴと結婚することに。評判に惑わされず、「私は仮面の下のあなたの本当の顔に大変興味があります」と甘く迫ってくるヒューゴ。ある理由から条件付きでそれを受けるも、情熱的に溺愛してくる彼にドキドキが止まらなくて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 カルディナ=ヒロイン。ルジアーナ王国第一王女。 美しい外見ながら希代の悪女と実しやかに噂されている。 その悪評のせいで友好の証として嫁ぐはずだった隣国の王太子に婚 約破棄され、代わりに王太子の従兄弟である公爵・ヒューゴに輿入 れした。 ヒューゴ=ヒーロー。ベルスナー王国筆頭公爵・ロックウォード家の当主で王 太子付きの護衛騎士隊長。親善大使としてルジアーナに訪れた際に 出会ったカルディナに好意を持ち、従兄弟の王太子が婚約破棄した のを機に自らが彼女の夫になると名乗りを挙げた。 リオン=ベルスナー王国の王太子。既に恋人がいたこともあり、カルディナ の悪評を幸いに婚約破棄を申し出て、国交関係にヒビを入れた。 お坊ちゃん気質な甘ったれで、ヒューゴを頼りにしている。 セドリック=ルジアーナ王国のグランツェン公爵家の子息。カルディナの元婚約 者。カルディナが追いかけているとある事件の首謀者で、その追及 を逃れるため病気を理由に婚約を破棄して領地に引っ込んだ。 今は留学目的でベルスナーに滞在している。 チェスター=ルジアーナ王国のグレゴリー子爵の子息。 セドリックの仲間で、同じくカルディナの目を逃れるためにベルス ナーに逃れていた。タイトルとあらすじから、可愛い目のお話かと思いきや、結構重い内容でした。友好の証として政略結婚するはずだった隣国の王太子に婚約破棄されたカルディナ。どうやら、希代の悪女と言う自分の噂が相手側の耳に入ったらしい。だが、いくら王太子と言えど一個人の感情で国交間の契約を反故にするなど許されるはずもなく、しかもベルスナー側から申し入れられた縁談だっただけにカルディナの母である女王は大層ご立腹であった。そんな、ベルスナー王国が代替え案を打診。王太子の従兄弟ヒューゴ・ロックウォード公爵との婚姻では如何かと自ら出向いて願い出た。王族とは言え、臣下の公爵ではと女王は渋ったが、ヒューゴによればこの件で王太子の自分勝手さがかなり問題視されているらしい。そして彼は王位継承権第二位である。よくよく思えばそう悪い話ではなく、女王はヒューゴと娘との結婚を許可した。カルディナも足繁く自分の元を訪れるヒューゴに好意を持ち始めた頃、ベルスナーへと嫁いでいったのだが、今回の婚約破棄騒動の謝罪としてベルスナーの領地の一部を移譲したことから、王太子の我儘のせいであるのにルジアーナの王女と言うだけで、彼女は良く思われていなかった。侍女たちからあからさまな嫌がらせをされたのには面食らったが、数日後そんな彼女たちはヒューゴの怒りを買い全員クビになったと言う。飽く迄政略結婚の間柄なのに、彼はカルディナを溺愛。王太子・リオンは、あんな悪女とは別れろとヒューゴに捲し立てたが、そもそも根も葉もない噂を鵜呑みにし、これ幸いと婚約破棄して大問題になった彼を逆に諫めた。どうも、リオンにアレコレとカルディナについてあることない事吹き込んだ輩がいるようだ。折しも、ベルスナーの社交界ではカルディナの悪い噂が広まり、今や公爵夫人となった彼女の立場は悪くなっていった。そんなある日、ルジアーナの貴族、セドリックとチェスターと対面したカルディナの様子がおかしいことに気付いたヒューゴが理由を尋ねると、観念したのか彼女が告白したのは三年前ルジアーナで頻発した下級貴族の令嬢のみをターゲットにした婦女暴行事件についてだった。その首謀者がセドリックで、チェスターはその仲間。他に数人、貴族の子息たちによる性質の悪い遊びが事件の真相だ。彼女の友人の男爵令嬢も被害に遭い、仇討の為に調査を進めた結果、あと一歩のところまで追いつめたのに逃してしまった。カルディナの悪女と言う噂が出回り始めたのもその頃からで、広めたのはセドリックであろう。彼はこの国の王太子との縁談が出る前、一時彼女の婚約者であった。ベルスナーでは暫く大人しくしているけれど、味を占めているだろうからここでもやらかす可能性は充分にある。今出回っている自分の悪評と言い、やり口がそっくりだ。彼らの好みは共通しており、チェスターが現在懇意にしている男爵令嬢が恐らく次のターゲットだ。カルディナはヒューゴにも力を貸してほしいと頼み、彼もまた決着をつけるため彼女が危ない橋を渡ろうとしているのに気付き、出来うるだけのすることを約束。数日後、何とチェスターが、次の獲物にしてやろうと近付いた令嬢に本気で惚れてしまい、セドリック達を止めてほしいとカルディナに願い出て・・・・。カルディナは令嬢を助ける代わりに、過去の事件の全てをチェスターに紙に書き出させセドリックを追い詰めるべく、自ら囮となることを決意。友人の傷を癒したいと言う思いも有ったが、一刻も早くこの嫌な事件を終わらせてヒューゴと幸せになりたいと彼女は若干焦り、窮地に陥ります。そこを助けたのは当然の如くヒューゴ。全て自白して情状酌量されたチェスター以外は一網打尽で捕縛となり、結果北の地に流刑となります。チェスターも単にベルスナーではなくルジアーナで裁きを受けるだけのことで、好きになった令嬢とは別れることに。セドリック達も今までやらかしたことを思えば刑が生ぬるい気がするけど、流刑の地が相当劣悪なとこかもしれないので落としどころとしてはそんなものかな。王太子リオンはセドリックに上手く乗せられた挙句、恋人と結婚したいがゆえに浅はかな事をしでかしたと猛反省。事態を重く受け止め、王位を継ぐべきではないと判断。王太子の座を降り、臣籍降下することになった。結果、ヒューゴの継承位が繰り上がり彼が王太子に。ルジアーナの女王の目論見通りカルディナは王太子妃になった。5年後、王女と王子、二人の子宝に恵まれ仲睦まじく暮らしている二人の様子が描かれてお終い。思ってたより嫌な事件が背景にあって驚きました。ヒューゴはカルディナの為人を知ってただけに噂を鵜呑みにせず、自らの感情に正直に彼女を愛する熱い男。そんな彼にカルディナも惚れないわけがなく、嫁いでそう日も経たないうちから二人はラブラブ。そのせいかラブシーンも結構多め。でもストーリー自体はしっかりしてて面白かったです。王太子がアホの子過ぎて、こんなのが国王とかベルスナー王国、大丈夫か?と思ってたら、ラストがああなったので、なるほど序盤の女王とヒューゴのやり取りはそういうことかと。評価:★★★★☆キャラもストーリーも良いです。
2022.06.15
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2022年3月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛さん敵対していた大国の皇帝ギルベルトと政略結婚することになったクリスタ。幼い頃と同じようにからかってくるギルベルトにクリスタはどうしても素直になれない。しかし、ギルベルトの優しさを感じ、初夜から毎晩甘美で濃密な愛撫に全身を蕩かされるたびに恋心も擽られていく。愛のない結婚だったはずなのに、ギルベルトの言動は甘さを増してー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 クリスタ=ヒロイン。ヨッヘム国の王女。 三世紀に渡って敵対していた隣国・ホルガー帝国皇帝ギルベルトに 友好の証として嫁いだ。ギルベルトとは幼少の頃の因縁があり、初 恋の相手ながら素直に想いを打ち明けられず、表向きは嫌っている 体で振舞っていた。 ギルベルト=ヒーロー。ホルガー帝国皇帝でクリスタの夫。 11年前に出会ったクリスタに一目惚れして、皇帝位を継いでから 友好のためと称してヨッヘム王にクリスタとの政略結婚を打診して いた。皮肉屋で好きな子ほど虐める性格。 モロー=ヨッヘム国の国交大臣。公爵でクリスタの従兄弟。 王太子が幼いことを理由に、自分がクリスタと結婚して国を牛耳ろ うと画策していたが、ギルベルトにかすめ取られ憤慨していた。 後にアダン王国のエレオノーラ王女と密約を交わす。エレオノーラ=アダン王国の王女。 ギルベルトの妃の座を狙っていたこともあってクリスタに何かと突 っかかっていた。利害の一致によりモローと手を結び、皇帝夫妻を 人質にして帝国制圧を目論んだ。すずね凛さんの最新作ですね。2か月程積読になってて、漸く読めました。んが、なんだろう、ストーリーが溺愛花嫁 朝に濡れ夜に乱れ (蜜猫文庫) [ すずね凛 ]楽天で購入この作品の焼き直しかってくらいよく似てる。まあ、同じ作家さんなので、得意なシチュエーションみたいなのがあると思うので、たまたま似たような話になっちゃったのかなぁと感じなくもないんですが・・・。とは言え、似てると言いつつキャラ設定とかお国事情など、あれこれ違う部分も結構あります。ただ、終盤の展開が瓜二つなのはちょっと(^_^;)皮肉屋で好きな子ほど虐めるヒーローと、初恋の人だけど幼い頃にからかわれたことを忘れられず、今なら彼なりの愛情表現だと判ってはいてもついつい腹を立ててしまうヒロイン。元々長らく敵対してた国からの輿入れと言うこともあって、ヒロインのことも最初は良く思わない者たちもそれなりにいたものの、そんな輩に俺の妃になんか文句あるのかと黙らせるヒーロー。ケンカップルに見えて実は終始ラブラブってお話でした。故にラブシーンの回数が半端なく多い(苦笑)評価:★★★★内容は面白いです。ひと月前に「溺愛花嫁」を読み直してなかったら素直に楽しめたかもしれない。
2022.06.05
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2017年3月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛さんあなたに男女の愛し合い方を、教えようか出会ってしまったから、離れられないーー極甘ロイヤル・ウェディング双子が忌み嫌われる国で、世間から隔絶されて育ったセラフィーナ。突然、病弱な姉の身代わりとして『死神皇帝」と噂されるレオンハルトに嫁ぐことに。噂と違い、セラフィーナを過保護なほど甘やかし、蕩けるような愛撫を施してくるレオンハルトにセラフィーナは染められてゆく。けれど、愛が深まるほどに身代わりである立場が苦しくなって……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 セラフィーナ=ヒロイン。シュミット伯爵家の次女として産まれたが、双子だっ たため、セラフィーナだけ秘密裏に別邸で育てられていた。 18歳になったある日、突然父に本宅へ呼び戻され、病弱な姉の 身代わりでロザリンダとして皇帝レオンハルトに嫁いだ。 生活を共にするうちにレオンハルトを愛するようになるが、彼に 嘘をついていると言う罪悪感から思い悩む。 レオンハルト=ヒーロー。ゴルネルド帝国の皇帝。今年35歳になり結婚に本腰 を入れることになったが、花嫁候補の貴族令嬢達三人全てが不慮 の死を遂げ、「死神皇帝」と言う不名誉な渾名で呼ばれていた。 この度、新たに迎えた花嫁候補のロザリンダ(セラフィーナ)を 一目で気に入り、妃にして溺愛する。 ロザリンダ=シュミット伯爵家の長女で、セラフィーナの双子の姉。 体が弱く、肺の病気の悪化により花嫁候補に選ばれても辞退せざ るを得ない状況だったが、立場上断れず父によって瓜二つの妹が 自分の身代わりにされたことに胸を痛めている。シュミット伯爵=姉妹の父。この帝国の悪しき法律「双子法」を順守し、産まれた ばかりのセラフィーナを里子に出そうとしていたが、夫人のたっ ての願いにより、世話係を雇い別邸で秘密裏に育てさせていた。 妻と同じ体質で病弱なロザリンダを溺愛し、病状が悪化した彼女 の代わりにセラフィーナを皇帝に差し出した。バルツァー侯爵=帝国の宰相。レオンハルトの片腕であるが、実は先の花嫁候補三 人を殺害させた真犯人。皇帝位を狙っている。5年以上前の作品のため画像リンクは電子書籍になっていますが、所持しているのは文庫版です。すずね先生の本も多く所持しているので、合間に少しずつネタバレ感想を上げてこうと思います。昔、帝国では双子の皇子それぞれを推す派閥が醜い争いを起こし、戦争に発展した挙句、皇子は二人とも戦死してしまったと言う。この悲劇から、当時の皇帝は嘆き悲しみ、双子はいらぬ争いを産む忌むべき存在とし、「双子法」なる法律を定めた。それは、双子が産まれた際は一緒に育てずに必ず妹か弟の方を里子に出せと言うもの。破った家には厳しい罰則を課し、その後百五十年経っても、この法律は改定されることなく受け継がれている。その日、シュミット伯爵夫妻に待望の子供が産まれたが、あろうことか双子の姉妹であった。伯爵は法に従い、妹の方を里子か養子に出すべく苦渋の決断をしようとしていたが、夫人は聞き入れずそのたっての願いにより、セラフィーナと名付けた次女を別邸で秘密裏に育てることに。それから十八年後。先日ついに病気がちだった母が亡くなったと言う。隠された存在であったセラフィーナは当然葬式にも参列は叶わず、その母の目が無くなった今、彼女の立場は非常に微妙なものとなってしまった。秘密裏に育てると母が父と約束を取り付けた際、彼女が十八になったらどこか外国の然るべき家へ嫁に出すと言う条件だったそうだ。そんな不安を抱えていたある日、セラフィーナは伯爵家に呼び出された。久しぶりに会った父から開口一番、皇帝陛下の花嫁になれと告げられたセラフィーナは驚いたが、本来は双子の姉・ロザリンダに打診された縁談らしい。だが、ロザリンダは母と外見だけでなく体質も似ており、身体が弱かった。今は肺を悪くしているとかで、皇妃になって世継ぎを産むなど無理な相談だ。しかし、これは貴族議会で決まったことであり、辞退など以ての外。伯爵は悩んだ。名誉ではあるがこの婚姻はむざむざ可愛い娘を死にに行かせるようなものだ。そこで思い出したのが、世間に知られていないセラフィーナの存在であった。法に背いてまで育ててやったのだから今こそ恩を返せと迫られ、何ともやるせない気持ちにはなったが、ロザリンダはそんな父を諫め、セラフィーナを庇い打診された通りに自分が嫁ぐと言っていた。だが、姉はその後発作を起こして倒れ、姉の為にもセラフィーナはロザリンダとして皇帝に嫁ぐと決心します。数日後、伯爵家の総力を挙げて輿入れの準備をしてもらったセラフィーナは王宮へ上がったが、顔合わせをした皇帝・レオンハルトは何ともハンサムな青年で思わず見惚れてしまった。出立前に先の花嫁候補達の事故死の話を聞いて不安に思ったが随分とイメージが違う。「死神皇帝」と世間で揶揄されていることは当然、レオンハルトも承知しており、セラフィーナに妃となる覚悟を問われたが、是と答えた彼女を彼は甚く気に入ったようだ。この時点で、候補ではなく妃として扱われることになったのだが、その日から皇帝は彼女を溺愛し、今度こそ死なせないと過剰なまでに過保護に接する彼に戸惑うセラフィーナ。しかし、彼女の方も彼と過ごすうちに段々と惹かれて行くも、自分はロザリンダ・シュミットとして嫁いで来たことから罪悪感を抱くように。そして、いつしかセラフィーナと呼んで欲しいと願います。そんな日々の中、彼女の周りで不審な事故が相次ぎ、ついにはレオンハルトが可愛がっていた犬までが毒殺されて王宮内は騒然となって・・・。その後、黒幕である宰相によって正体がバラされそうになったりセラフィーナも追い詰められていくのですが、何かしら抱えているらしい彼女に気付いていた皇帝によって救われます。宰相もまた双子法の犠牲者であり、自分が皇帝となって国を変えようとしていたようなんですが、まあご立派な決意だけれど、花嫁候補達を殺害したのはやり過ぎだよねぇ。この人も苦労したんだろうとは思いますが、やらかしたことを思うと同情出来ない。セラフィーナは騒動後に事情を包み隠さず話し、長らく続いた悪法である「双子法」はレオンハルトの名のもとに廃止が決定。後顧の憂いが無くなった二人は式を挙げ、数年後生まれた王子は双子だったものの、お互いを盛り立てて国を更に繁栄に導いたそう。感想を書くために久々に読み返しましたが、そうそうこんなお話だった。レオンハルトさん、良き夫であり良き皇帝で正に王族系TL小説で王道のヒーローです。嫁いだ経緯がアレでしたけど、セラフィーナも良い旦那さんに嫁げて良かった。法律のせいで、父親との仲は他人に等しかったものの、その分、母親と姉は次女想いだったのでそう不遇と言う立場ではなかったかも。ラストシーンからして、ずっと仲睦まじくしているようで何より。評価:★★★★皇帝夫妻のイチャイチャぶりが非常に多かったものの、この作家さんなので安定の面白さです。あまり内容的な外れが無いので読み続けてる作者さんの一人。
2022.05.15
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2020年8月刊ヴァニラ文庫著者:すずね凛さん祖国を助けるため隣国の王に売られたフェデリカ。しかし、突然現われた征服王バルトロメオによってフェデリカはさらに買われることに。連れていかれた大国で訪れた、淫らで甘すぎる愛欲に満ちた日々。激しい愛撫が生み出す絶え間ない法悦さえも愛しくて…。バルトロメオはフェデリカを唯一の妻にすると言ってくれたが、不穏な気配が漂ってー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用買われた王女と征服王のお話です。美しさ故に30歳以上年上の隣国の王に目を付けられ、困窮する国を助ける代わりに身売り同然で嫁ぐことになったヒロイン。そんな彼女を救ったのは大陸一番の強国の国王で、征服王と渾名されるヒーローでした。ヒロインにしてみれば夫になる人物が変わっただけと思いつつ、ハンサムな上に自分を大事にしてくれる彼に段々惹かれて行きます。口さがない貴族たちの陰口を物ともせず、二人の蜜月期間が続くも、大陸に起こった大地震で彼らの国も甚大な被害を受け・・・。支援活動やら、災害の後始末に追われる国王夫妻の目を盗み、ヒーローの腹違いの兄が色々やらかしたりと陰謀もあって、結構立て続けに不幸に見舞われるんですが、だからこそラストが良い〆でした。この作家さんはよく、出来の良い弟を妬む凡庸な兄貴を敵役にされるので、出てきた瞬間に「あ、これ絶対に後で何かしでかす奴っ」と思ったら案の定(苦笑)でも、序盤のヒロインを買った国王まで絡んで来たのは予想外でした。ぶっちゃけ、あの人あれで出番終わりかと(^_^;)評価:★★★★ヒーローがカッコイイのと、ストーリーが良いです。
2022.04.21
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2021年10月刊ヴァニラ文庫著者:桃城猫緒さん失踪した王女の身代わりとして、皇子ジェラルドと結婚させられた下女のルイーゼ。彼が初恋の相手だったのは嬉しいけど、王女のふりをしたまま彼に抱かれるなんて…。「恥ずかしがり屋なのに体はこんなに淫らだ」蕩けるほど愛されて、駄目だとわかっていても幸せを感じてしまう。なぜならこの結婚は王女が見つかるまでのかりそめのものでー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用不遇ヒロインが権力者の都合で失踪した王女の身代わりに仕立てられ、輿入れしたら結婚相手は初恋の人だったと言うお話。ヒロインが余計な事を喋らないよう、声が出なくなる薬を飲まされるので意思疎通できないもどかしさよ。(ちゃんと途中で喋れるようになります)割と序盤にヒーローはヒロインが初恋の子だと気付き、出会った時は小間使いだったのに王女として嫁いで来たからには何か事情があるのだろうと秘密裏に調査をしつつもヒロインを溺愛します。終章にて何もかもバレて王家への詐欺罪で裁かれかかるも、ヒーローが調査した結果ヒロインが幼少時に攫われたとある王国の王女だと判明して無罪放免。後に本当の名前と身分でヒーローの元に嫁ぎ直すと言う終わり方でした。身代わりでヒーローの元に嫁いで来るまで苦労しっぱなしだったこともあり、終章でのヒロインに起こる怒涛の幸運ラッシュは気分爽快です。評価:★★★☆ヒロインが昔の主人に酷い折檻されてるシーンがどうにも可哀想なので、そういうのが苦手な方はご注意を。
2022.03.31
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2021年10月刊ヴァニラ文庫著者:小出みきさん伯爵令嬢クラリサは王暗殺未遂の濡れ衣で投獄された。彼女を救ったのは“悪魔公”と噂される美丈夫の第一王子エーリクだった。「あなたを妻にしたいとずっと願っていた」噂と異なり美しく誠実な彼に、後ろ盾のなさを引け目に感じつつ求婚を受け入れる。溺愛され幸せな新婚生活を送っていたが元婚約者の王太子と異母妹の陰謀が二人を狙っていて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用一月に購入作として紹介した本です。漸く読み終わりました(^_^;) (こうして積読本が溜まっていく)陰謀に巻き込まれたヒロインが王宮から追い出された第一王子と結婚して幸せになる話。ここからネタバレと感想。ヴァイスハイト伯爵の長女であるクラリサはこの国の王太子の婚約者でありながら、二か月前に起きた国王暗殺未遂の犯人として投獄されてしまった。王が毎晩晩酌で飲んでいたクラリサお手製のコーディアルのワイン割りに毒が混入されていたとかで、問答無用で彼女が疑われたのだった。彼女を碌な取り調べもせずに牢に放り込んだのは誰あろう王太子であった。そのせいかヴァイスハイト伯爵は娘を庇うどころか親子の縁まで切る始末。伯爵令嬢でさえなくなったクラリサは劣悪な環境下で一ヶ月近く耐え忍んでいたある日、宰相がやって来て彼女を牢から出した。いよいよ処刑されるのかと覚悟を決めていると、同行していたらしい第一王子のエーリクが彼女の身柄を引き取ると言う。傍にはクラリサ付きの使用人のナディーネも控えていた。エーリクの話によれば、先日漸く国王の意識が戻り、クラリサの投獄を知って激怒し宰相に事件の徹底的な調査を命じたのだそうだ。その結果彼女お手製のコーディアルではなく、薬物が混入されていたのはワインの方だと判明したのである。かくして彼女の無実は証明されたのであった。王宮の一室にてナディーネの手によって身綺麗にされたクラリサは改めてエーリクに礼を述べた。今回の釈放については彼が随分と尽力してくれていたようで、普段からコーディアルの瓶は大事に鍵付きの金庫に仕舞われてことを指摘してくれたのもエーリクらしい。ならばワインの方が怪しいと調べたら案の定薬が混入された形跡があった。だが、毒ではなく痛風の薬だったようだが。それが思いの外効果があり、王が意識不明にまでなったので毒殺未遂だと騒がれただけで、実際は質の悪い悪戯のつもりだったのだろう。宰相が表沙汰にならないようそれとなく王太子に釘を刺したようだが・・・。エーリクは事件とクラリサ投獄を聞きつけてすぐさまわざわざ遠い自らの領地から駆け付けたとのことであるが、助けが遅くなったことを謝罪した。そんな彼の態度にクラリサは恐縮するばかり。十年ほど修道院で暮らしていたため質素な生活には慣れていたが、やはり牢獄暮らしは堪えたようで瘦せ細ってしまった彼女の姿は憐憫の情を誘うのかもしれない。エーリクは第一王子でありながら幼少時に正妃であった母と共に病を患い、宰相によって療養という名目で離宮に追いやられ、父王はその後エルメルンガンドを正妃とした。その後、アードルフが産まれたのだった。そしてエーリクが15歳になった時、クロイツァー辺境伯の位を授かり以降そちらで暮らしている。アードルフは誠実で勤勉なエーリクとは真逆の性格で奔放で好色な青年なことから、クラリサは初対面の時から彼が嫌で堪らなかった。二年前、彼の立太子の祝賀&婚約披露のパーティーの場にて、出席者たちから見えないようクラリサの体を触って来たアードルフに我慢できず逃げだしたのだが、追って来た彼に人気のない場所に連れ込まれ乱暴されそうになっていたところをを助けたのがエーリクであった。エーリクはこの件について当時弟に散々説教したそうだが、アードルフは甘やかされて育ったせいか、怒られると反省ではなくへそを曲げてしまう性質らしく、それでも婚約者だけは大事にしろと言い含めたのにと、余計に今回の件に対して思う所があるようだ。そんな彼は二年前からクラリサに恋をしていたと告げると、結婚して欲しいと申し入れた。だが、もう貴族でない自分との結婚はエーリクに何の得にもならないと思案したのだが、ナディーネからの後押しもあり、結局その求婚を受けることとなった。クラリサの回復を待ち、クロイツァー辺境伯夫人となるべく彼女は王都から約10日ほどの旅路を経て、領地入りした。気心の知れたナディーネも付いてきてくれたことは頼もしい。先触れが行っていたので着いて数日後には結婚式となったのだが、今まで女っ気一つ無かったエーリクが漸く奥方を迎えられたと、家臣や使用人たちはクラリサを歓迎した。結婚の祝賀は三日続き、落ち着きを取り戻すと彼女は辺境伯夫人としての勉強を始め、徐々にクロイツァーの暮らしに慣れて行った。エーリクはクラリサを妻に迎え入れてから随分と丸くなったそうだが、自分の前ではいつも穏やかで微笑んでいる彼が無愛想で厳しい人物だと言われてもピンと来ない。クラリサに対する彼の溺愛ぶりに多少戸惑うこともあったが、幸福を感じてもいた。ある日、領地一の品ぞろえの商会に出掛けたクラリサは、女主人のカサンドラが何やらエーリクに報告しているのを目にした。気になって後についその内容を尋ねると、彼は二年前から彼女にアードルフの現状を探らせていたのだそうだ。当然内偵も数人忍ばせてあるが、商人なりの情報も大いに役立つらしい。今回得た情報によれば、クラリサの異母妹・ペルジネットと結婚したアードルフは随分と奔放に好き勝手やっているらしい。それでも何度か王が諫めているらしいが、あの性格のせいで今一つ効果が無い。宰相もバカの方が操り易いという考えらしく敢えて注意せずに傍観している節がある。ペルジネットも色々問題のある性格だ。ある意味似た者同士な夫婦なだけに何かやらかしそうで、エーリクは今後も内偵は続けるつもりのようだ20年以上前、他国と諍いが起こり即位したばかりの国王が敵国に囚われそうになっていた所を救ったのが先代のヴァイスハイト伯爵であった。命の恩人の伯爵に大層感謝した王はヴァイスハイト伯爵に孫娘が産まれたら息子の妃として迎え厚遇すると約束を交わした。当時の王の子供はエーリク一人のみであり、本来ならクラリサが嫁ぐべきは彼の元であった。だが、宰相の企てによる正妃の交代劇によって状況が変わってしまい、アードルフが婚約者となったわけである。だが、これも運命と言うべきか、暗殺未遂事件の濡れ衣に寄り投獄されたクラリサは王太子妃にはなれず結局エーリクの妻となることとなった。初対面時に彼の母に言われた「あるべき場所に収まった」ということかもしれない。その頃王都では宰相がアードルフにいよいよ苦言を呈していた。現王は普段は宰相に頭が上がらない。現状王宮の実権を宰相が握れているが、王族が廃れてほしいわけではないのだ。なのにこのバカな王子は自分自身の評判を落とすことばかりやらかしているのが頭痛の種であった。王も何度か諫めているようだし、このままではアードルフの素行の悪さを憂いてエーリクを呼び戻して王太子に据えると言い出しかねない。元々、王は彼の母であるレナーテを愛しているのでエーリクに王位を継がせたいのが本音であろう。先日など痛風の薬を仕込んだのがアードルフの手によるものと気付いて随分厳しく叱っていたようだ。そんな問題児でもまた自分の子であるから王は見限ることが出来ないだけなのだ。いい加減それくらい念頭に置いてもらわねば、アードルフは御しやすくはあれどバカ過ぎても困るのである。そこで宰相はエーリクが王位を狙っているとアードルフに吹き込んだ。プライドだけは高いアードルフは案の定その話に食いつき、進言通り遊興も控えると約束したものの、それもいつまで続くやら。取り敢えず、宰相は自分の目の届く範囲で大人しくしてもらうだけのつもりだったのだが、アードルフは宰相のついた嘘により急激にエーリクを意識し始めた。彼は幼少期から優秀な異母兄が目障りでしかたなく、母であるエルメンガルドを正妃の座に就けるため宰相が手を貸してくれなければ順当に王位はエーリクが継ぐはずだったのだ。今になって自分を追い落とすのかと疑心暗鬼に駆られたアードルフはペルジネットの紹介でとある男を雇いエーリク暗殺を企てたのであった。そんなことなど露知らず、騎馬試合にエーリクが参加することとなりクラリサもついて行くことになったのだが、そこで思いがけずに昔カサンドラとエーリクが結婚寸前の仲だったと聞き及び、のんびりした性格のクラリサもさすがに動揺した。しかも、自分に内緒でこの試合会場でも会っているのを見てしまい気分はどん底だ。美人で商才のあるカサンドラと比べて、事件の容疑者となり投獄されていた自分などエーリクにとってマイナスにしかならないではないか。悶々としていた彼女が夫を出迎えに天幕から出て来たところを、何者かの矢によりクラリサは背中を射抜かれ倒れ込んだのだった。幸い急所は外れており三日ほど寝込みはしたがクラリサは起き上がれるようになっていた。エーリクの話によれば、狙われたのは彼らしい。そこにたまたま出迎えに出て来た彼女が矢と彼の間入ってしまったのだろうと言う見解だった。その夜、見舞いに訪れたカサンドラにクラリサは噂の経緯と先日秘密裏にエーリクと会っていたことを単刀直入に尋ねた。先ず、密会についてはペルジネットが始末屋を呼び寄せ、エーリクの暗殺を目論んでいると聞きつけ急ぎ報告に来ただけだと言う。結局ギリギリになってクラリサが射られたことになってしまいカサンドラは申し訳なさそうだ。噂に関しては根も葉もないことで、昔も今もそんな関係になったことはないらしい。それにエーリクにはずっと想い人がいてその人と結婚までされたのに、と微笑まれ今一つクラリサにはピンと来なかったが、どちらにせよ気を揉む必要は無いようであった。女性陣が和やかな時間を過ごしていた頃、あの後すぐに捕らえられた暗殺者はエーリクにある取引を持ち掛けられていた。依頼人の名を明かし証言もするのなら見逃してやるし、何なら依頼料以上の金も払うと。そして暗殺者はあっさりと陥落したのであった。数日後、エーリクはクラリサを連れて王都へ向かった。証人としてあの暗殺者も別の馬車で同行させている。これで言い逃れは出来ないはずと王宮に乗り込み、王に謁見すると今回訪問した理由を報告した。王と宰相はエーリクが暗殺者に狙われた事、代わりにクラリサが誤射されて怪我を負ったと聞き、心底驚いていたが、犯人はもう判っているとエーリクに告げられ覚悟を決めたようだ。すぐさま王太子夫妻が呼ばれ、暗殺者が面通しと改めて証言したことにより、アードルフたちの目論見がバレてしまった。度重なる遊興と素行不良だけでなく、王族の暗殺まで企むとなると宰相も庇いきれず、王も息子を見限る決断をしたようでアードルフを廃嫡にし、エーリクを王太子に据えると宣言した。結果、この暗殺未遂事件は過去の正妃交代劇にまで遡り、だんまりを決め込んでいた宰相もろとも、罰を受けることになった。アードルフは身分はく奪の上僻地の城で監禁、ペルジネットと暗殺者を紹介し、過去に宰相に依頼されてレナーテ王妃とエーリクに毒を盛ったことがバレてヴァイスハイト伯爵夫人も国外追放処分。宰相も全財産没収の上追放となり、国王はエーリクと共に王宮の改革に乗り出したのだった。クラリサは王太子妃となったわけだが、ヴァイスハイト伯爵は宰相という後ろ盾を失くしただけでなく、妻と娘も追放処分となればショックであろう。そんな父は領地に引っ込むつもりらしく、彼女の勘当を解き今までの仕打ちを詫びた。だが、娘に泣きつくことだけはせず、一人残った彼女の異母弟のことだけは悪いようにしないでくれと頼んでいった。異母弟はクラリサに懐いており、エーリクも悪いようにはしないと約束してくれた。その後、エーリクに実は彼女と初めて言葉を交わしたのは十四年前で、以来想い続けていたんだと打ち明けられた。クラリサも当時は名も知らぬままであった初恋の少年が彼だったと知り、漸くカサンドラが言っていた言葉の意味を理解し、幸福感に包まれたのであった。で〆ヒロインが巻き込まれ系で悲惨な目に合っていましたが、正真正銘の王子様であるヒーローに救われ、最後は王太子妃にまでなりました。継母と異母妹に蔑ろにされて修道院に追いやられ、無実の罪で一か月以上投獄された上、終盤では夫の代わりに矢で誤射されるとか、色々と不運過ぎる半生ですが、最後は作中の悪人全部一気に消えたことで、残りの人生はいいことづくめでしょう、多分。夫婦の営み中、随分と子供を欲しがってたので、ラストは懐妊エピで〆るのかと思いきや、そうにはなりませんでした。この手のストーリーでは割と珍しいかも。ヒーローがとにかく新妻を溺愛している様が微笑ましいお話でした。その裏で、宰相が暗躍してたけどアホ王子を上手く操ってたつもりでも、結局そのアホも御し切れなかったんですよね。欲をかかずに堅実にやってればそこそこいい目を見れたろうに。身分はく奪の上に財産没収とか、関係ない家族が気の毒過ぎる。評価:★★★★割と読み応えあるお話で、ストーリーもとても面白かったです。あんな目に合っても、のんびりした性格がかわらないヒロインがとにかく可愛い。
2022.03.05
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2016年6月刊ヴァニラ文庫著者:白ヶ音雪さん「お前は一生、俺のものでいればいいんだ寡黙な紳士の秘めたる激情に囚われて……。婚約者に裏切られ、両親までも喪ったエミリアの許に現れた黒づくめの紳士・レオン。彼は復讐を肩代わりする代償として、エミリアに自分との婚約を求めてきた。抗えず、奪うように抱かれ、快楽を刻み付けられてしまう。熱く激しい愛撫に溺れるエミリア。残酷なことばかり告げてくるレオンだが、時折見せる優しさがエミリアの心に甘く響いて……。」↑楽天ブックスより、あらすじ文引用こちらもピッコマで序盤の無料部分だけ読んで気に入り購入を決めたはいいものの、さすがに新品は入手不可能になっていたので、先日amazonのマケプラで入手。電子版と迷いましたが、やっぱり紙媒体の方が読み易いですね。ここからネタバレと感想。ヒロイン・エミリアは元伯爵令嬢。ほんの数か月前までの彼女は由緒あるクイン伯爵家の一人娘でしたが、ある時父の事業に問題が起こり多額の借金を負ってしまった。その金策に駆けずり回っていた両親は事故で急死。後継者となる男子もいないため、屋敷と調度品を整理して借財に当てたエミリアは国王に爵位を返上すると、以来下町の狭いアパートで一人暮らしをしていました。そんなある日、エミリアの部屋に一人の青年が訪れます。レオンと名乗った彼は口を開くなり彼女に告げました。「元婚約者のルイス・ローウェン男爵はエミリアを捨てたばかりか、両親を死に追いやった原因でもある。ルイスへ復讐したくはないか?」(意訳)と。彼女にとっては荒唐無稽な内容過ぎて混乱するばかり。レオンの得体も知れない上に、自分の婚約破談も両親の死とその原因となった父の事業の失敗も、どれも悲しい出来事ではあったがただ不運が重なっただけのこと、彼女にはもう関係のない事でした。エミリアはレオンの話をきっぱり断るも、彼は気が変わったら連絡をくれと自分へのコンタクト方法を教えると去って行きます。伯爵令嬢だった頃のエミリアにはルイスという婚約者がいました。クイン家には一人娘の彼女しかいないため、後継のための入り婿として決まったのがルイスだったのです。政略結婚だと言うのに、お嬢様育ちの彼女は人好きのするルイスにべた惚れで、結婚式を待ちわびる日々。しかし、漸く日取りも決まって招待状の発送作業に取り掛かろうというその時に彼から好きな人ができたから、この婚約を解消して欲しいと告げられたのでした。ショックのあまり食事も喉を通らず寝込んでしまった彼女は知らなかったのです、父の事業で問題が発生して大損害を被り、両親がその対応と金策に苦心していたことを。あまりに勝手な申し出にエミリアの代わりにルイスを張り飛ばしたメイドのサラが大事なお嬢様の容態を案じていた時、クイン伯爵夫妻が突進してきた馬車に撥ねられ事故死したという知らせが屋敷に届きます。こうしてエミリアはこの数週間の間に何もかも失ってしまったのだった。レオンの来訪から数日が経ち、買い物に出かけた彼女はルイスを見かけます。彼は一人ではなく、婚約解消の原因となった令嬢・ヴィヴィアンと一緒で思わず身を隠したエミリア。二人は奇しくもエミリアの話題で盛り上がりっていたかと思うと、続けられた会話は信じられない内容でした。以前からヴィヴィアンはいい子ちゃんなエミリアを嫌っており、パーティーで知り合ったルイスが自分に気があるのを利用してクイン家を陥れてくれと頼んだのだと言う。思ったより上手く行ったし、あいつは貴族ですらなくなっていい気味だと馬鹿笑いする二人の姿を見たエミリアにどす黒い感情が沸き、その足で彼女はレオンの元を訪れます。復讐に力を貸してほしいと。このヴィヴィアンがとんでもないゲス女で読んでて唖然。人の好き嫌いに関してはまあ誰にでもあると思うのですが、普通嫌いな女の家を破滅させようとまではしないでしょ、精々嫌がらせ程度じゃないかな。そんな女に乗せられたルイスも調子いい奴だと思ってたらただのアホだったし、エミリアはこんな奴らに復讐まで誓ってしまいました。人を呪わば穴二つ、とは言いますが、彼女はレオンの目論見に嵌ってしまうのです。復讐を手伝ってもらうにしてもエミリアにはもう自分の生活費程度の金しか残っていない。レオンは彼女をある屋敷に連れてくると、金に困っていないので自分との婚姻が条件だと告げられ戸惑うエミリア。彼が言うには、もういい歳なため親戚筋から結婚をせっつかれてはいるが、家業のせいで縁談も纏まり難いのだと言う。そこで柵の無いエミリアはうってつけなのだと。一先ず婚約者としてこの屋敷で暮らしてもらうと言われて一瞬逡巡したが、その条件を飲んだ彼女は覚悟も決まらないうちにレオンに純潔を奪われ、契約上の婚約を果たしたのでした。レオンのことを詮索しないともきつく言い含められていたため、婚約はしたものの夫になる人の生業どころか家名も知らないエミリアでしたが、将来の女主人として使用人達に丁重に扱われる日々。レオンは事件の調査をしてくれているようだが、他にも邸宅があるのか毎日帰ってくるわけでもないので割と気楽に過ごせていた。ある日、サラが自分付きのメイドになったと部屋に現れ、数か月ぶりの再会にエミリアは涙を流して喜んだ。彼女は何もかも失った自分について行くとまで言ってくれたのに、苦労させたくなくて泣く泣く置いてきたのでした。ずっと気掛かりではあったのだが、サラの話ではレオンがざわざ彼女を探し出し、エミリアの世話をしてほしいと頼んだのだとか。優しい方を見つけましたねと自分のことのように喜んでくれているサラに本当のことなど言えるはずもないが、レオンは思っていたよりもエミリアに気を遣ってくれているのは事実だった。彼との逢瀬にはまだ慣れないが、いつしか会話も増え、エミリアが読書好きだと知るや毎日のように流行りの本を数冊届けてくれて時にはその感想を聞きたがった。不器用ながらも彼女を大事にするレオンとこれまた戸惑いながらも彼に接するエミリアの姿に使用人達も微笑ましく見守っていまいた。そんな中、事件の調査に終わりが見えたレオンはエミリアを尋ね思わず買い求めた薔薇のバレッタを贈り、彼女が眠ったのを見届けると彼が子供時代から使えている老従僕にエミリアを守るよう伝えます。忍び込ませた間者によって証拠固めもした、後は奴らを捕らえるだけ。老従僕は主人の不器用さに気を揉んでいました。こんな回りくどいやり方をせずとも、失意の彼女に優しく接し愛しただけでエミリアを手に入れられたのではと。尤もな意見ではありますが、レオンは彼女がまだルイスに未練があるのではと未だに疑っていました。復讐心を焚き付け、成功報酬として後に結婚してしまえば優しい彼女のことだからどうとでもなるという打算もあった故の婚約だったのです。実はレオンとエミリアはあのアパートが初対面ではありませんでした。数年前、レオンが任務で怪我を負い白薔薇の咲き乱れる庭園で動けずにいた所を、エミリアに手当をしてもらったのです。一目で恋に落ちた彼は彼女に既に婚約者がいることに落胆したが、エミリアは誰にも分け隔てなく優しく、体の弱いレオンの姪も励ましいつの間にか友人となっていたらしい。しかし、数か月前クイン家に悲劇が訪れたのです。エミリアを心配していた姪からの頼みもあり、彼は事件の調査を始めます。結果、それがヴィヴィアンとその父・ハレンフィールド伯爵、先ごろヴィヴィアンと結婚したルイスの手によるものと判った。ルイスはエミリアの元婚約者であったことから、あの復讐話を彼女に持ち掛けたのでした。レオンの指揮の元、ハレンフィールド親子は捕縛されたがルイスは何処かへ逃れた後だった。その頃、屋敷にはハレンフィールド伯爵とヴィヴィアンの悪事が露見し第一級犯罪で逮捕されたと知らせが入り、彼らの様々な悪事とクイン家を陥れた経緯含めて全て明らかとなったと言う。両親の名誉が回復されたとサラと抱き合い涙を流して喜んだエミリアは、約束を果たしてくれたレオンに想いを馳せます。いつしか彼女はレオンに惹かれて愛し始めていたのです。彼の帰りを待ちわびていた彼女に屋敷に忍び込んでいたルイスが襲いかかり、斬り付けられたエミリア。逆恨みも甚だしいことを叫びながら彼女に止めを刺そうとしたルイスから庇い、飛び込んできたレオンが刺されます。ルイスはレオンに伴ってやって来た騎士たちに捕らえられ事件は幕を閉じました。レオンを看病していたエミリアは秘密裏に見舞いに訪れた国王に驚きます。国王と彼は幼馴染らしく、レオンの本名はレオニード・オルレイ公爵だと教えてくれたが、エミリアは彼の乗る馬車の家紋を見た時から、なんとなく素性を察していました。そして目を覚ましたレオン本人の口からオルレイ公爵が代々「国王の影」として働く家系で普段から謀略や不正を未然に防ぐ役割を担っていること、前々からきな臭いハレンフィールド家を探っていたことを明かしました。彼女は覚えていなかったが二人の出会い含め、エミリアの年下の友人がレオンの姪だったと知り奇妙な縁に驚いていると、レオンは改めて長年の想いを伝え、エミリアもそれに応えるのでした。事件終結から半年後、二人は結婚式を挙げて了。レオンが何とも不器用な男でしたが、ホントあの老従僕さんの言う通り、やり方が回りくどくて事情知ってる人はさぞじれじれしてたことでしょう。ヴィヴィアン達はあの言い方からして他でもやらかしてそうだと思っていたら、レオンが前々から目を付けてただけにわんさか悪行が露見した模様。第一級犯罪で逮捕となると良くて終身刑くらいにはなりそうなので、不幸な死を遂げたエミリアの両親も漸く報われるかな。この作者さんらしい、じれじれながらロマンチックなお話だったと思います。キャラ的にはメイドのサラがお気に入り。よくぞルイスを張り倒してくれた!評価:★★★★☆この作品も割と王道路線なTL小説かな。
2022.02.06
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背徳の婚姻【電子書籍】[ 浅見茉莉 ]楽天で購入2015年11月刊ヴァニラ文庫著者:浅見茉莉さん「おまえは俺のものだ、一生……。信じていた関係が崩れ堕ちるーー独占愛の誘惑「お前を妻にする」家族と自分は血が繋がっていないと告げられた日、ヴィヴィアンは兄と信じていたアンドリューに求婚された。「こうしておまえに触れる日を待っていた」と囁くアンドリューから与えられる、甘く激しい愛撫に夜毎蕩かされ、ヴィヴィアンは情愛と罪悪感に苛まれる。それでも、アンドリューの搦め捕るような執愛に抗うことはできなくて……。」↑楽天ブックス商品詳細ページよりあらすじ文引用。楽天の商品リンクでは発売日のせいか中古品しかなかったので電子版になっていますが、私が読んだのは文庫版です。先に電子でコミカライズ版を読んでまして、原作小説をかなり前に購入していたものの積読になってたのを思い出し、(発売日からして何年積んでた)昨夜読み終わったこともあり記憶が新しいうちに感想上げときます。が、う~~~ん色々とツッコミ所があり過ぎて今回はネタバレの方の長文は書けそうもありません(^_^;)てか、いつも長すぎですよね。でも筆が乗ってる=面白さのバロメータだと思っていただければ。読みやすさを念頭に書き方や文字の明暗、ブログデザインについても現在模索中ではあるのでご容赦を。けれどもこの調子でブログ書いていったら早々にネタ切れしてサボりがちになりそうなので、こんなタイトルも読んだよ、的な紹介もしてこうかなと。話題が逸れましたが、ここから簡単なネタバレと感想をば。社交界デビューをした日、自分が侯爵家の実の娘ではないと当主である父から告げられたヒロイン。しかも美形で頭も良い優秀な9歳上の兄が彼女を妻に望んでいるという。混乱するヒロインを尻目に両親は兄の願いに反対どころか歓迎ムード。寧ろ息子よよく言った感がありありと。まあ、政略結婚が主流の貴族社会で気の合わない令嬢を嫁に迎え入れるくらいなら、自分たちが育てた自慢の娘を息子の嫁にしてずっと傍に置いておきたいよね。でも今更兄と結婚など考えられないとヒロイン・ヴィヴィアンは思い悩みますが、自分付きの侍女を始め屋敷の使用人たちは、これが至極当然の流れとばかりに二人の仲を祝福しており、意を決して相談した親友にも彼女の悩みは理解されません。そこから何だかんだとあり、割と最初の方で強引な兄・アンドリューとヴィヴィアンは深い仲になりますが、そんな関係が続いたある日、アンドリューが彼を結婚相手にと希望してる独身令嬢達の催す集まりにばかり顔を出していることに気付いたことで新たな不安が募り、漸く兄としてではなく異性として愛していることを自覚するヴィヴィアン。折しも、最近ロンドンでは物騒なことに貴族令嬢失踪事件が頻発しており・・・。タイトルに背徳とはありますが、前述のとおり血は繋がってないので言う程背徳感はありません。狡猾で家族とヒロイン以外には腹黒なヒーローが幼い時の約束を有言実行するお話です。既に外堀は埋まりまくってるので、周りも二人が男女の仲になってからは仲いいわねぇという感じで生暖かく見守ってるので、アンドリューに浮気疑惑を持つヴィヴィアンの悩みも、彼を信じてあげなさいとしか言われない。とは言え、傍から見てもアンドリューには彼女しか目に入ってないのはもう丸わかりでしたからね。知らぬは本人ばかりなりで、せっかく彼が気を付けていたのに不安から屋敷を飛び出したヴィヴィアンが件の事件に巻き込まれるんですが、もうね、ここまでがとにかく長い。ヴィヴィアンが自覚するまでもそこそこ長かったのに、自覚してからは本当に自分と結婚してくれるのかとぐーるぐる。まあ、彼女が一応事件に巻き込まれる前フリ自体はちゃんとそこかしこに盛り込まれていたので唐突感が無かったのは良かったかな。恋のライバルとしては王家の親戚筋である公爵家の令嬢がいたものの、名前が出た程度。権力をかさに令嬢の父親である公爵が強引に婚約を進めようとしますが、当然ヴィヴィアン命のアンドリューの鉄の意志は変わらずで、それどころか例の失踪事件を調べるうちに偶然入手した公爵家の秘密をネタに撤回させるという鬼畜ぶりを披露。社交界では血が繋がっていないとはいえ一緒に暮らしてた兄妹で結婚だなんて、と陰口もありましたが、そんな噂も事故死した伯爵夫妻の娘を引き取った親友の侯爵一家の愛情という、ヴィヴィアンの身の上話が美談として語られたことで一転、祝福ムードが広がる中、二人は大々的な婚約発表パーティーを開きました、で幕。話の構成自体がちょっとアレでしたけど、この時代の小物やドレスとかもよく調べて書かれてますよね。が、よっぽどのデッドエンド入稿だったりしたのか誤字やキャラ名の間違いなどが目立ってしまい、重箱の隅と突っ込まれそうですけども、読んでてかなり気になってしまって。侍女カロリーヌの名前をヒロインの親友のシャーロットと二回も間違えてるし、おそらく変換間違いだろうなぁと思われる漢字の誤字もいくつか。もしかして校正さん入ってないのかしら。とまあ気になる点もあったものの、ヒーロー・アンドリューはキャラ的にそこそこスパダリ要素あるのでここは好印象でありました。↑個人的に結構重要ポイントページ数が限られてるせいか、挿絵担当の方が描いてるコミカライズ版の方が余計な要素をそぎ落としてて面白いのが何とも。やっぱり小説で作中やたらと導入されていたヒロインの生活描写(風呂やら寝起きやら食事やら)がテンポ悪くしてたのかなぁ。申し訳ないけど読んでて目が滑って仕方なく(^_^;)ヒーローとのエッチシーンもそれなりに多いので、本筋も内容があって無いように見えてしまうのが何とも残念です。失踪事件に関しては首謀者がヤク中&アル中の割には頭も手間も使ってるなとは思えたんですが・・・・。評価:★★★作家さんのファンの方には申し訳ないですが、私には合わなかったです。ヒーローが好みのタイプだったのが幸い。挿絵は好き嫌い分かれるかもだけど、読まれるならコミカライズ版の方をお勧めします。
2022.01.12
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