全3件 (3件中 1-3件目)
1
2024年3月刊角川文庫著者:沙川りささん生まれつきある痣のせいで家族から虐げられてきた商家の娘、リディア。18歳の誕生日を迎えた夜、家族に殺されかけたところを突然現れた美しき銀髪の貴人に救い出される。連れていかれたのは国生みの聖獣が住むとされる屋敷。彼ーエルヴィンドは聖獣本人であり、リディアは“聖獣の花嫁”なのだという。信じられないリディアだが、彼に大事にされる日々が始まり…?生きる理由を求める少女×訳アリ聖獣の異類婚姻ロマンス譚! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リディア=実母と姉に虐げられている少女。エルヴィンド=この国を守る聖獣。長らく花嫁を探している。 ノア=エルヴィンドに仕える少年。 イサベレ=リディアの母。 ヨセフィン=リディアの2歳年上の姉。生まれた時から母に嫌われ、長らく虐げられているリディア。今日も母に難癖を付けられた挙句、姉に足を掛けられて階段から転げ落ちた。生傷が絶えない彼女は自衛のために自室でひっそり薬草を育てている。どうして自分がこれほどまでに疎まれるのか、理由は知らない。ただ、母と姉には家族扱いされていないのは確かだった。お前は醜い、決して家族以外の者に顔を見せてはいけないと厳しく言いくるめられ、出入り業者から荷物を受け取る際は袋を被って応対している。鏡を見ることも禁じられているため、彼女は自身の顔も見たことが無い。そんなある日、ヨセフィンが兼ねてより交際していた軍人・ベンノに嫁ぐことが決まったとのことで、母もベンノが暮らすアーレンバリに引っ越すという。その際、リディアは連れて行かないので嫁入りの日になったらここを出て行けと告げた。突然、自由を与えられた彼女は戸惑ったが、新しい職を見つければ何とか一人でも生きて行けるだろう。そう思っていたのも束の間、いよいよヨセフィンの嫁入りの前日、母たちが醜い厄介者と蔑むリディアを殺す算段をしている会話を聞いてしまった。母たちはタダ働きでも文句を言わない召使が必要だっただけ。ベンノは商売もしているから羽振りが良く使用人も大勢いる。必要無くなった厄介者は始末して行くに限る。家族扱いされていないとはいえ、どうしてここまで嫌われるのか、嘆き悲しむ彼女に話を聞かれたことに気付かれ、鬼の形相の母に追い詰められたリディアの背中が熱を帯びた。そして、背後に何者かの気配を感じると、彼女は目も眩む光に包まれ意識を失ったのだった。目覚めるとそこは姉の部屋のように豪華な一室のベッドの上。傍には白銀の髪をした美しい青年が。彼はエルヴィンドと名乗るとリディアは自らの花嫁だと告げた。彼のことはリディアですらも知っている。神殿近くに住まう貴人であり、この地を守る聖獣ファフニールだと。本来は獅子に似た獣の姿なのだが、人間の姿で暮らしているのは花嫁を探しているから。故に、ここに住む女性は誰しも自分が花嫁かもしれないと一度は夢に見るのが定説だ。リディアには関係ない伝説だと思っていたが、まさか自分がその花嫁だったとは。俄かには信じられなかったが、この屋敷に来てからというもの、妖精と呼ばれる存在が見える。エルヴィンドに話すと精霊に縁ある者の特徴らしい。要は花嫁だからこその力というわけか。長らく粗食だった上、母たちからの虐待で痩せ細っていたリディアには先ず休養と栄養を取ることを優先させられ、体調が整えば式を挙げると説明を受けた。神殿には念願の花嫁が見つかったと既に報告済みだそうで、神官だけでなく民たちも喜びに沸いていた。エルヴィンドに仕えるノアが以前、リディアが助けた少年だと判り、実はそれが花嫁だと判るきっかけだったと後に聞いて驚いた。改めて彼から礼を言われ、エルヴィンドからの命もあり手厚いもてなしを受けた彼女は暫くすると起き上がれるようになり、顔色も良くなってきていた。しかし、その頃から彼女は奇妙な夢により精神を浸食されて行く。精神汚染により、聖獣の花嫁とは生贄になることと毎夜囁かれ続け、疑心暗鬼に陥るリディア。そもそも本当に自分は聖獣の花嫁なのだろうか。エルヴィンドが間違えるはずも無く、本来、花嫁には証となる痣が体のどこかに現れる。自身ですら見たことが無いとなれば後は背中か。するとやはり彼女の背には証たる花の痣があった。どうも、この痣も母親に嫌われる理由の一つだったようで、容姿についてはその美しさに嫉妬されていたらしい。エルヴィンドは内心怒りに燃えたが取り敢えず、証の痣のおかげで漸くリディアも信じてくれた。だが、ここにきて反聖獣派の活動が活発化。ある闇の存在がエルヴィンドを消滅させるべくリディアを狙い・・・。色々設定盛り盛りのファンタジー小説のため結構端折ってます。本筋としては不遇ヒロインが建国の逸話に登場する聖獣の花嫁だと判り幸せを掴むというもの。なので、ストーリーそのものは至ってシンプル。特異な存在でもあるので、当然ヒロインには稀有な力があること、そして彼女にはお役目もあるらしい。このお役目に関しては現段階では不明であり、黒幕もまだ消滅し切れてないってことでシリーズものなのかもです。エルヴィンドに敵対していたのは彼と対になる者・ユルドで、昔エルヴィンドと意見が対立したことから袂を分かっていました。当然、反聖獣派を煽っていたのもこの人。ギリギリまで追詰められたせいで開花したリディアの力によって一旦はユルドも退けられ、花嫁としての自覚を持った彼女。反聖獣派の筆頭だったベンノに嫁いだことで家も財産も失くした姉と母が自分を頼って来てもきっぱりと縁を切るのでした。もうホント、序盤のイサベレたちの態度がとにかく酷いので思い切って切り捨ててくれてスッとした。背中の痣だけが原因でなく、イサベレがリディアを嫌ったのは別れた亭主にそっくりで、だからこそ自分とヨセフィンより美しかったからっていうしょうもない理由だったってのがね。これからの貧乏暮らしで何の非も無い娘を長年虐げていたことを反省するのが良いでしょう。評価:★★★★☆
2024.04.09
コメント(0)
2024年1月刊角川文庫著者:鶴葉ゆらさん異能のために虐げられてきた少女かぐやは、愛を求めながらも全てを諦めて生きてきた。だが黒鳶隊の強く気高き大将、隆勝に婚姻の形で救い出され、妖影という妖から人々を救う姫巫女として、力を使うことを望まれる。海祢や凛といった黒鳶の仲間にも助けられ、かぐやは次第に居場所を見出していく。そして安らぎや幸せを教えてくれた隆勝に惹かれ始めていた。そんな中、妖影を操る存在が現われ、かぐやを付け狙ってきて…? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 かぐや=特異な力を持つことで虐げられていたが、隆勝とのかりそめの婚姻に より救い出された。 祇王隆勝=かぐやの夫。妖影の討伐部隊・黒鳶の大将を務めている。笹野江海祢=隆勝の補佐役。 零月=かぐやが兄のように慕う錺職人の青年。 淡海=海祢の姉。鵜胡柴親王=皇太弟。異母弟である隆勝を敵視している。初任務の成功と隆勝たちの言葉で少しずつだが、自信を持ち始めたかぐや。翁達から救い出すためのかりそめの結婚ではあるものの、隆勝は不器用ながら彼女を気遣い、休日には買い物に連れ出してくれた。故郷にいた頃は外出どころか手枷を付けられ部屋からも碌に出してもらえなかったのに、今はこうして男性と買い食いまでしているなんて、何と幸せなひと時であろうか。しかしながら、巷では妖影の仕業か、女性の行方不明事件が頻発していた。身寄りの無い者たちばかり攫われていることから計画性を感じられ、黒鳶隊も調査を進めているその日、海祢からさる貴族の女性の話し相手になってほしいと頼まれたかぐや。甘未やに向かうとそこには30そこそこの上品な人が。女性は淡海と名乗り、店員お薦めのあんみつを食べて楽しい時を過ごした。また都合が合えば会いたいと別れたが、店にいた時、男性の怒鳴り声に身を震わせていた彼女に自分と似た雰囲気を感じていた。そう、同じように暴力を受けていたような。だが、その日の夜、皇太弟・鵜胡柴親王の御息所が行方不明になったと宮では大騒ぎに。御息所は外出時に使っていた牛車は発見されたが、従者諸共襲われたのかおびただしい血の跡や肉片が残っていたと言う。しかも、御息所は海祢の姉で、淡海であると聞きかぐやも気が気でなかった。黒鳶隊も捜索に加わったのだが、妃が攫われたかもしれないというのに親王の態度がどうにも腑に落ちない。まるでいなくなってくれて清々したと言わんばかりな物言いに怒りも湧いたが、捜査の末、ある神社に攫われた女たちがいることが判り・・・。この事件については、上巻の終盤にて親王と夜叉が手を組んだことが描かれているため、親王が邪魔に思っている淡海を消すために仕組んだことだとすぐに判ります。この男、同じ血が流れてるとは思えない程、帝や隆勝とは正反対の性分で人でなし。淡海さんのことも中級貴族の娘と馬鹿にした挙句暴力をふるっていました。かぐやが共感を感じてたのもこの辺の事情が起因なんですけど、本当にクズ野郎過ぎて。計画としては御息所を始末し、妖影を始末できなかった黒鳶隊に責任を取らせると言うもの。せこいやり口だけど、地位があるだけにまかり通っちゃうから始末に負えない。妻にDVしてても公然の秘密になるだけで誰もたすけてやれないんだもの、理不尽過ぎて。手を貸した夜叉とも決着着かずだったし、何とか親王に痛い目に見て欲しい所。隆勝とかぐやは諸々の困難を乗り越えて両想いになったけど、彼女の出生についても謎のままなので続編がありそう。評価:★★★★☆
2024.03.01
コメント(0)
2023年12月刊角川文庫著者:鶴葉ゆらさん7つの島邦を帝が統べる金鵄国。その一つ、隠岐野の辺境の里で暮らすかぐやには幼い頃から奇妙な力があった。それを気味悪がった育ての親の翁と媼に虐げられ、心を殺して生きていたが、帝の異母弟で黒鳶隊大将を務める美丈夫、祇王隆勝によって、仮初の婚姻という形で救い出される。彼は人々を脅かす妖影と呼ばれる異形を討伐する役目を担っており、隊の姫巫女としてかぐやの力を欲してきてー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物讃岐かぐや=金色の瞳を持つ美少女。育ての親である翁達に金蔓として飼い殺しに されていた。特異な力を持つ。 祇王隆勝=妖影を狩る黒鳶隊の大将。虐げられていたかぐやを妻に迎えた。笹野江海祢=隆勝の補佐役。 蘇芳凛=隆勝の部下。 零月=かぐやの家に出入りしていた錺職人。 天誠帝=隆勝の異母兄。名君として民からも慕われている。「かぐや姫」がベースの和風ファンタジーです。生まれてすぐに両親に捨てられ、母方の翁に引き取られたかぐやは妖影を狩る特異な力を持っていた。加えて妖影の証とも言える金色の瞳。小さな里のこと、噂はすぐに広まり翁達は生業である竹取の仕事もままならなくなって孫娘に辛く当たった。しかし、彼女が美しく成長し、数多くの求婚の申し込みが届くようになると翁達はかぐやで金稼ぎを始めた。孫娘に会いたいなら相応の金品を寄越せと。払えない者には当然会う資格はなく、逆に金持ちは良いように金を巻き上げられていた。かぐやは育ててもらった恩があるため翁たちに従っていたものの、幼い頃からあの力のせいで責められ、成長した今も無意識に力を振るう彼女を鞭で打った。そんなある日、黒鳶隊の大将・祇王隆勝がこの屋敷にやって来ると言う。翁達はきっとかぐやの噂を聞きつけてまたいつもの求婚だろうと喜んでいたが、彼女自身はそんな浮ついた用件ではないのではと思っていた。きっと彼はかぐやの正体を見極めるつもりなのだ。もし妖影だったらすぐさま討伐する気に違いない。彼女の予想は半分当たりで、嫁に望んでいるわけではなく隆勝は彼女の力を確かめに来たのだった。だが、偶然にも屋敷が妖影が襲われ、不可抗力でかぐやを庇った隆勝を守るため本能的にあの力・天月弓で倒した彼女を見て彼は愕然。幼い頃に2度自分を救ってくれたあの力と同じ。しかも媼に取り憑いた妖影まで本人に少しも影響なく倒してしまった。もしや彼女こそが恩人なのか。しかし、かぐやは16歳。自分の方が年上なので年齢を考えれば有り得ないこと。力を使って倒れた彼女のことを翁に尋ねると、つじつまの合わない曖昧な事ばかり。本当に翁の娘の子なのかも怪しい上に、ちらりと見えたかぐやの背には鞭打ちされた痕があった。普段から虐待しているのが判り、放っておけなくなった隆勝はあの力の根源を探るためにもかぐやを傍に置くことを決めた。彼女を虐待し続けていた翁達に思う所はあるが、かなりの金額と米俵と引き換えにかぐやを嫁に迎えた隆勝は自らの屋敷に住まわせ、更に黒鳶隊の姫巫女として部下の凛に実地での教育を任せた。長年の虐待と洗脳により卑屈なかぐやは自分に自信が無く、人に気を遣うばかり。ずけずけものを言う凛はかぐやによい影響を与えたようで妖影の声を聞くことができる彼女はその存在を察知することに成功。見回りの際、民たちからは彼らのいる所妖影ありということで嫌われ者扱いされることに理不尽さも感じたが、凛の過去や覚悟、隆勝からの言葉でかぐやの心境にも変化が。その日は上手く天月弓が出せず妖影を取り逃がしてしまったが、翌日再び対峙した際、かぐやを庇った凛が妖影に取り憑かれて・・・。前半は翁達の態度に読んでてムカついてしょうがなかったんですけど、割と早いうちに嫁に貰われたので辛いターンは終了。でも毒祖父母から離れられても卑屈な性格は早々変わらず、自分に自信が持てないかぐやは隆勝と凛から叱咤激励され少しずつですが変わっていきます。凛を救う為に力を振るった彼女は入隊して二日目で手柄を立てた所で上巻は終わり。その裏で、帝の地位を狙う皇太弟が妖影のボスと手を組んだり、隆勝の難しい立場や事情なども語られていて面白かったです。下巻はこれから読み始めますが、皇太弟を上手く片づけられると良いけど。敵のボスは零月さんがチト怪しい気もするんだけど単にミスリードな気も。書き下ろしの短編は初戦の後日談と番外編で凛の過去のエピソードでした。評価:★★★★☆
2024.02.29
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1