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私:ガソリンを買うのに、あれだけ行列をつくっていたのに、今は、ガソリンスタンドはガラガラだね。 何の騒ぎだったのだろうね。A氏:でも今朝の新聞では、災害のあった東北地方では、ようやくスタンド売りがはじまったというね。 新聞の見出しに「ガソリン店へ車列2.5キロ」とあるから大分待つようだね。 スタンドも震災でやられているだろうしね。私:乾電池はこないだよく来る電気屋さんが、「電池は大丈夫ですか」と御用聞きに来たから、余ってきたんだね。A氏:でも、食べ物のほうは、依然として品切れのものが多いね。 すごいのはヨーグルトと納豆だね。私:俺も、先日、近くのスーパーに、オモチャを買いに孫を連れて行ったんだが、納豆の棚はきれいに空だね。 1家族1個と書いてあったが、それでも売り切れだね。 そして、ヨーグルトの棚に行ったが、これも同様にきれいに空だね。 これも1家族1個と表示してあったね。 そしてヨーグルトも納豆も価格が倍くらいになっている。 生産が落ちているようだね。 計画停電も影響しているようだね。 豆腐のほうはまだ、大分、売れ残りがあったね。A氏:コメのほうは一時のような品薄は解消されたようだが、納豆とヨーグルトは依然、同じ状態が続いているようだね。私:そのうちに原発の汚染が問題になって、もっと品薄になるのかね。 俺は朝食に両方とも食うので気になるね。 納豆は今のところ、中国地方の親戚から宅配で送ってきたのがあるから、問題ないがね。 ヨーグルトは量を減らして食べているよ。
2011.03.31
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私:今朝の朝日新聞では、大きく福島第1原発の設計問題を引き続き追っており、今日は今までと違って、大きく扱っているね。A氏:このブログでも原発設計知的街道が進んでいるね。 「想定内」の言葉の正確な使い方、マグニチュード9想定却下、「原発依存からかじを切れ」、「大津波 東電甘い想定・『福島』の危険性 90年代から指摘」、「電源喪失 想定できぬ・保安院・安全委 両トップ、過去に」、「震災は自然災害 原発は人災 防水携帯はあるのに電源が水に弱いとは」 やはり、緊急事態の場合、停止した原子炉を冷却するポンプが問題になっているね。 冷却できないと「炉心溶融・メルトダウン」という最悪の事態になるからだね。私:福島第1原発は冷却ポンプはほぼ「むき出し」の状態であったという。 屋根のある建屋内にあった福島第2原発と比較しているね。 第1原発のタービンの配管も建設当時、配管を土中にじかに埋めるなど、安全上、もともと雑な部分が多かったという。A氏:ところが、3月11日の大地震と津波がくる直前の2月7日に、運転開始から3月で40年を迎える福島第一原発1号機は、40年経過後さらに10年間運転を続けるための保安規定の変更認可を、経済産業省原子力安全・保安院から得ているね。 一体、大学教授など専門家集団はどういう評価をしたのかね。私:第2原発は4基あるが「冷却状態」になっている。 第2原発では何故大きな被害がでなかったのかが今後問題になるね。A氏:東海村にある福島第2原発は、耐震指針を見直して造った津波対策の防護壁が効果を発揮して電源が失われることはなかったんだね。私:28年もかかって、2006年に原発の耐震指針が見直された。 福島第2原発はこれを受けて、津波防護壁と非常用ポンプの工事を昨年9月に完了したところだという。A氏:危ないところだったね。私:第1原発の場合、もう一つの問題は、原子炉が緊急停止したら、外部電源が長期に喪失する最悪の事態を想定し、炉内を自動的に満水にすべきだったのに、水位が一定の高さにきたところで自動的に止められていたという。 数時間あれば外部電源が復旧するだろうという甘い想定のもとに運用されていた。A氏:想定できた問題なのに想定が甘いね。 40年前に試行錯誤で造った原発だから、最優先で改造すべきなのに、さらに10年の延長を3月11日の1ヶ月前に決めているとはね。 基本的な危機感が皆無だね。私:やはり「人災」だね。
2011.03.30
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【お届け先・東京23区限定】【1000円以上で送料無料】【平日即日発送】朝日新聞出版/AERA 2011年4月4日号 私:養老孟司氏と内田樹氏の両者の対談で、興味をひいたのは、この見出しの「震災は自然災害 原発は人災」の部分だね。A氏:福島原発事故の「想定外」の知的街道の1つだね。 「想定内」の言葉の正確な使い方、マグニチュード9想定却下、「原発依存からかじを切れ」、「大津波 東電甘い想定・『福島』の危険性 90年代から指摘」、「電源喪失 想定できぬ・保安院・安全委 両トップ、過去に」、と続いたね。私:養老孟司氏は 「震災は自然災害だが、原発事故は人災。まったく別物だ」 としているね。 内田氏は「『非常用電源』と『通常用電源』が同じ海側に並んでいた」というのは信じがたいという。A氏:静岡県の浜岡原発の非常用発電機は1階にあったのが、今度の震災で念のため、緊急用発電車両を2台25メートルの高台に置くというね。 通常用と非常用は離して設置するのは常識だろうね。私:養老氏は携帯電話だって水に放りこんでも平気な機種があるのに、なんで原発にある電源装置は水がついたらだめなのかと疑問を呈しているね。 しかも、東電は電力会社であり、電気工事には強い会社のはずだよ。 電気会社のシステムがまず電気系統からダウンしたとはね。A氏:水に浸ったくらいでビクともしないような技術は今ならいくらでもあるのに、そこにカネをかけないで、本当の意味の安全性が「ないがしろ」にされたね。私:非常用電源を問題にした人は今回の震災以前からいたね。 これはこのブログの「電源喪失 想定できぬ・保安院・安全委 両トップ、過去に」でとりあげた吉井英雄衆議院議員が警告しているね。 しかし、それを追求されると原発推進派は 「非常用電源を利用することは起こり得ない。 それを認めたら、『万一の危険』を認めたことになる」 と無視する。A氏:「想定拒否」だね。 逆に、真剣に安全に関する具体的な提案をすると、原発反対派からは、「原爆推進派に味方するのか」とやられる。 不思議なことに、原発反対派が、結果的に稼働中の原発の安全性をますます低下させることになる。 すでに55基あるという原発の安全性確保について現実的な感覚を持った人たちが、推進派と反対派の両者から閉めだされる。私:科学というものは強いられた合理性、やむを得ざる論理性だと内田氏は言う。 自然を完全に予測して制御するというのはムリだから、どうやって折り合っていくかを考える。 科学者はリアリストでなければならないから、「絶対安全」なんてことは口が裂けても言わない 和戦同様、破局が来ても来なくても、どちらでも対応できるように、あらゆるものをかき集めて準備しておくのが、ほんとうのリアリストであり科学者だと内田氏は言う。A氏:「設計基準値による安全確保」と「設計基準値を超えた場合の安全確保」の2本立てだね。 平時でも放水車も何台か用意するくらいの準備が必要だね。 だから、原発に「想定外」はありえない。私:次のような専門家が、日本の原子力行政の中枢にいなかったことだね。 政治とも、市場とも無関係。 また本人が原発に賛成か反対にかかわりない。 現に存在している55基あるという原発について、リスクを最小化することだけを考 えている。 それから、地球温暖化に疑問をもつ養老氏は、温暖化について最初に言い出したのはアメリカの原発関係の学者だという。 民主党も鳩山由紀夫前首相が、温室ガス削減のためにクリーンエネルギーとして原発は必要と思っていたから、原発の危険性には楽観的だったんだろうね。A氏:いや、違うよ。 原発を増やすなら、ますます安全性を強化しなくてはならないはずだよ。 クリーンエネルギーだとして、原発利用を拡大するなら、それとセットで原発の安全性のさらなる強化にカネをかけるべきだったね。私:政治家や御用学者のこの矛盾はどうしようもないね。 その答えが、今回の福島原発の事故だね。 まさに「人災」だね。
2011.03.29
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A氏:俺の知人で銀行業務をしているのがいるんだが、新店舗を出したり改造したりするときは、店舗工事会社に依頼すると言っていた。 今の「計画停電」で工事が遅れ気味だと言っていたね。 知人がその工事会社の担当と打ち合わせをしていたら、ISO9001をとっているという話をしていたという。 小さな店舗工事会社もISO9001をとるのかね。私:経営者がどういう意図でとったか知らないけれど、ISO9001は業種や企業規模を問わないからね。A氏:俺も君のおかげで、多少、ISO9001をかじってきたので、工事会社だから、設計は除外だろうと聞いたよ。 そうしたら、知人は、その工事会社では設計は除外でないという。 設計部があって、CADで店舗のデスクやカウンターの詳細配置図をきちんと描いているという。私:それはおかしいね。 店舗の設備配置は、それを使う顧客である銀行の支店側で決めるはずだよ。 できあがった店舗が「製品」とすると、「製品」の内容は、それを使う銀行のほうで決めるはずだよ。 事務机はいくつどう並べるとか、カウンターはこのくらの長さと幅でこの位置に置けとか、ATMは何台置くとか---。 店舗業者はアドバイスはできるが基本的に決定権はないね。A氏:しかし、ちゃんとCADで配置図を描いているのは、顧客でなくその店舗業者だという。私:CAD図を描く前に、銀行側と打ち合わせるときに、客が描いたメモ的な配置図や打ち合わせ議事録があるはずだね。 それが設計書だよ。 CADで設計図を描くだけで設計業務をしているとは言えないね。 清書作業をしているだけで、設計者として試行錯誤的な思考をしていない。A氏:なるほど、顧客のメモ図をCADで清書しているだけか。私:俺が若い頃、会社がアメリカの会社と技術提携したが、アメリカの設計者は図面を描いていなかったね。 メモ図やスケッチ図だね。 メモ図をもとに清書するのは、ブルーカラーの経験ある製図工だね。 当時はCADはない時代で、図面はドラフターを使った手書きだね。 完全な分業で、設計管理者が、設計者のメモ図ごとに必要な清書である製図時間を見積もり、当時、1時間数ドルくらいで製図指示をしていたね。 製図工は、週給だから、週末、この製図指示書をもとに経理からカネをもらっていた。 だから、ホワイトカラーの設計者は設計行為という頭を使い、専門の製図工は図を機械的に描くという筋肉を使うという分業だったね。 俺は生産管理部門にいたから、設計の出図が遅れて、生産指示も遅れそうになると、設計部にあおりに行った。 そして、「君たちはアメリカのブルーカラーの仕事にほとんど時間を取られている。 もっと給与の高いほうに頭を使うように、時間を取らないと駄目だ」と皮肉ったがね。A氏:日本ではそういうアメリカ型の風景は、当時はなかったね。 設計の大部屋に行くと、設計者各人が自分の机の隣にドラフターとい大きな製図台を斜めに立てて置いていたね。 日本では分業でなかったんだね。 だから、図面を描くのが設計だと誤解して直結する。私:ところで、その店舗工事会社のCAD図は、「製品図面」というより、俗に言う「工事用図面」だね。 顧客のメモ図では現場作業がやりにくいので、きちんと清書したものだね。A氏:しかし、審査機関も清書行為を設計とみなし、審査したようだよ。私:審査員も設計行為の本質を理解していなかったんだろうね。 設計を除外として、もっと楽に有意義なISO9001がとれたのにね。A氏:いや、その工事会社のCADを書いている人たちは、設計部という名称の部門に属しているんだが、「貴方達の仕事はISO9001の設計でない」というと、プライドを傷つけられるかもね。私:それなら、製品設計ではなく、工事工程設計を設計とすればいいだろうね。 工程設計だね。
2011.03.28
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【送料無料】蟻族私:図書館から借りる。 この本が中国で出版されたのは2009年9月。 中国でベストセラーとなり、「蟻族」という名がひろまった。 日本と似ているのは、中国では1990年代から現在にかけて、私立大学が増加して在校生数は、1997年の317.4万人から2008年の1620万人へと一気に4倍増となったという。 そして大学経営の自主採算性が重視された。 結局、有名大学に学生が集中するが、その他の大学は志望者が定員に満たないということになる。 そこで評価の低い大学は、志願者全員が入学可能という「全人時代」となった。A氏:日本と同じで「名ばかり大学生」の出現だね。私:こういう大学生が、卒業してもきちんとした職につけず、就職浪人となる。 日本と違うのは、中国では農民と都市住民との戸籍差別があることだね。 地方大学を出た学生は、就職を求めて北京などの大都市に集まる。 きちんとした仕事がないから、アルバイト的な安い仕事を転々とする。 住まいは二段ベッドなどの安い宿に共同で住むようになる。 北京に10万人、上海、広州、西安などの各大都市にも多数存在し、その数は全国で100万人を超えると推計されるという。A氏:だから、共同の部屋で群居するから「蟻族」というわけか。 最近は、「ネズミ族」という言葉があるそうだね。私:「蟻族」は地上の部屋に住むが、「ネズミ族」は家賃が半分以下の地下の部屋を共同で借りて住む。 だから、「ネズミ族」と言われるのだろうね。 北京市内にはこうした「ネズミ族」が100万人はいるとみられる。 北京郊外にも約450万人。 合わせると北京の人口900万人の半数以上を占めるという。 日本の10倍の人口だけに桁が違うね。 この本は「ネズミ族」という言葉が出る前の出版だから、これにはふれていないね。 中国では都会の中でも貧富の差は大きいと言えるね。 ただ、日本と違うのは、この本で知る限り、そういう日本以上に厳しい貧困生活や長時間労働にかかわらず、愚痴らないで、必死に生きていこうとしていることだろうね。A氏:秋葉原無差別殺傷事件の加藤被告のような八つ当たり事件はないようだね。私:それと日本のワーキングプアは「孤」だが、「蟻族」も「ネズミ族」も同居していて、かつ、住むところも同じ地域で「群居」していることだね。 しかし、政治的な集団とならないのは、日本と同じだね。 もっとも中国の場合、天安門事件以来、政治的な活動は無意識に抑えられているので関心が無くなっているようだという。 日中ともにワーキングプアはアナーキーだという。 日本もそうだが、これらの若者が、大人になったときにはどういう社会が待っているのだろうか。
2011.03.28
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私:原発の「想定外」「想定内」の知的街道は昨日から続く。 昨26日の朝日新聞では、原発の「想定」問題をまた、追及しているね。 今度は「電源喪失」の問題だね。A氏:非常用の冷却電源は、本体原子炉同様に強固なものでなければならない。 これは、昨日のブログで、97年に石橋克彦神戸大名誉教授(地震学)の論文にあったことだね。 地震で原子炉を停止しただけでは危険は回避できない。 続いて、すぐに冷却しないと原子炉融解につながり、地震の被害と放射性物質による汚染が広い地域で重なり、救援も妨げられる事態となる。 石橋教授はこれを「原発震災」と名づけて警鐘をならしていたね。 福島原発は原子炉本体はよかったが、非常用電源をやられ、今、この予言通りに危機を迎えている。私:石橋論文では、非常用電源による冷却用装置の重要性を指摘しているね。 ところが、この朝日新聞が報ずるところによると、すでに、この非常用冷却電源の安全性問題は2006年10月の衆院内閣委員会で、吉井英勝衆院議員(共産)が、非常用電源が失われた場合の事態について質問しているという。 吉井議員は京都大学で原子核工学を学んだという専門家だね。A氏:今回の福島原発で危機を迎えているのは、地震で原子炉は即停止して安泰だったが、非常用ディーゼル発電機などが津波で破壊され、原子炉が冷却できなくなっているからだね。 消防車などの海水放水などいろいろやっているが、冷却が成功しないと、さらに「炉心溶解」という大惨事に発展する恐れがある。 俺の知人で原子工学にくわしい奴が東京脱出、日本脱出を考えているよ。私:ところで、この吉井議員の質問に当時の鈴木篤之原子力委員長は「問題ない」というような回答であったという。 吉井議員は10年5月の経済産業委員会でも、この問題をとりあげている。 このとき、原子力安全・保安院の寺坂信行院長は、「安全設計をしている」として事故発生の可能性を否定した。 最悪の場合、消防車などの放水による冷却をするなどの返答はなかったね。A氏:吉井議員は今は「地震と津波は自然災害だが、原発事故は人災だ」と言っている。私:現在の原子力安全委員長の斑目春樹氏は、東大教授だった07年3月に中電の浜岡原発をめぐる訴訟で中電側の証人として出廷したとき、「原発内の非常用電源がすべてダウンすることを想定しないのか」と問われ、「割り切りだ」と答えたという。A氏:学者らしくない言葉だね。私:今月22日に、参院の予算委員会で社民党の福島瑞穂党首から、この裁判での証言を問われ、斑目氏は「割り切りが正しくなかった」と答弁しているという。 翌23日夜、事故以来最初に開いた記者会見では、斑目氏は、原発の状態について「非常に懸念している」と語り、「想像よりも、どんどん先にいっちゃっている」と認めているとして朝日新聞は報じているね。A氏:こういう人が原発の安全管理をしているのだったのだから恐ろしいね。私:日本は原爆の被害を受けた世界で唯一の国だ。 原爆の怖さを知っている国だ。 そして、地震国だ。 どうも今回の事故の問題の背景には、地震国に原発を設置するときの技術的な慎重さが欠如しているようだね。A氏:今回の問題の原点は自民党政権時代の原発電推進の際の安全性軽視の「負の遺産」だが、民主党も他の野党も「原発の安全性確保」というテーマをマニュフェストに掲げたところはなかったのではないかね。私:しかし、「割り切り」とは恐れいったね。 原発事故は大変なんだから、本当に安全は最優先に「真面目に」やってもらいたかったね。 やはり「人災」だろうか。
2011.03.27
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A氏:君が福島原発の設計基準の「想定内」「想定外」に興味をもってから、次のようにこの知的街道ができたね。 「想定内」の言葉の正確な使い方、マグニチュード9想定却下、「原発依存からかじを切れ」私:さらに、昨日の25日の朝日新聞の科学欄では、「大津波の襲来は20年前から分かっていた」として東電の原発設計の「想定の甘さ」を指摘しているね。 大津波は「想定外」でなく、「想定内」だったのだね。A氏:東電の福島原発を襲った津波は高さ14メートルを超えていたと言うが、東電の設計での想定値は5.4メートルだという。 約120キロメートル北にある東北電力の女川原発は、10年後ほど後にできているが、9.1メートルの津波に備えており、今回、大きな被害がなかったのと対照的だという。私:東電の清水正孝社長は「想定を超える大きな津波だった」と会見で話したと言うが、 20009年6月、経済産業省での古い原発の耐震性を再検討する専門家会議で、地震研究センターの岡村行信センター長は、過去に大きな津波があり、再び来る可能性を指摘し、「東電の想定値が納得できない」と何度も激しい口調で繰り返したという。A氏:「大津波は想定外」ではなかったわけだね。 まさに「想定拒否」だね。私:97年に石橋克彦神戸大名誉教授(地震学)は、地震で原子炉を停止した後も冷却できないと燃料棒が溶けて炉心溶融に至り、水素爆発の可能性があるという論文を発表しているという。 この論文では地震の被害と放射性物質による汚染が広い地域で重なり、救援も妨げられる事態を「原発震災」と名づけて警鐘をならしてきたという。A氏:福島第1原発は、沖合に今回の地震の原因になったプレート境界があるとは知られていなかった40年以上前の設計だという。私:したがって、古い原発の耐震性を見直したり、新設の原発の耐震指針を見直したりしようという動きは90年代からあった。 元原子力安全委員会長代理の住田健二大阪大名誉教授(原子炉工学)によると、当時はまだ原発の新設が続いており「産業界から計画が一段落するまで変えるなと圧力がかかったり、見直しを先延ばししたりする政治的判断が働いた」という。A氏:やっと原子力安全委員会が登場したね。私:耐震指針が全面改定されたのは06年で旧指針から28年かかっている。 そして新指針によって既存の原発の安全性の再チェックが開始された。 津波によりも「揺れ」に対する強さ(ガウス)の検討が優先され、その再チェック作業の途中で、本来なら「想定内」の大津波が、予防策を取らないうちに来てしまった。A氏:「人事を尽くして天命を待つ」ではなかったわけかね。私:「備えあれば憂いなし」でなく、備えが甘かったという「後悔」を残したね。 「想定内」の大津波に対して対策を取っていないことに恐怖感を持たず、備えを怠ったということかね。
2011.03.26
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私:泉田裕彦新潟県知事のオピニオンには、昨日の川勝平太静岡県知事の発言に多く出た「想定外」という言葉は皆無だね。 それは、泉田知事が2004年の中越地震発生直後に知事になり、07年7月の中越沖地震では、柏崎刈羽原発の変圧器の火災事故や放射能漏れも経験しているせいだろうね。 もっぱら、事故が起きたときの対応について意見を言っているね。A氏:「設計基準値による安全対策」と「設計基準値を超えた場合に起こる事故の安全対策」の2つがあるとすると、後者についての意見が中心だね。私:泉田知事は、柏崎刈羽原発のトラブルの経験から、適切で透明な情報の早期伝達を重視している。 その視点からすると、福島原発問題では、記者会見が、官邸、原子力安全・保安院、東電が別々にやっているのは異常だとしているね。A氏:現場から遠い枝野官房長官が一々事実を説明しているのに違和感をもっているね。私:原子炉の建屋がこわれて、放射性物質が漏れるという事故は自治体単独での対応を超えている。A氏:そして保安院は経済産業省の一部局に過ぎず、職員は人事異動で行ったり来たりしているという。私:原子力安全委員会というのがあるんだが、これは何をしていたのかね。A氏:泉田知事は、原子力の安全について、すべての権限をもち、安全を自分の判断で対処できる独立した組織を作り、災害が起きたときに、機動的に動けるような体制をつくらないと、今のようなバタバタした対応を繰り返すようになることを危惧すると言っているね。私:「設計基準値を超えたときに想定」される災害の事前の対応策を専門に行う独立した組織だね。 関連する自治体の避難所、専門家の参加、自衛隊、警察、消防隊、アメリカ軍などとの連携など、事前に災害を「想定」して独立した体制を作るべきだということかね。 そうすれば、今回の福島原発事故に対して、自衛隊の参加はもっと早かったし、消防隊の放水ももっと迅速であったかも知れない。 アメリカの合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)を大きくし、独立性をもたせたようなものかね。 原発はすぐに全面廃止というわけにいかないだろう。 昨日の静岡県知事のいうように、ソフトランディングが必要だろう。 それには、「想定外」と言って、もたもたしないで、「俺たちの出番だ」として、活躍するこのような強力な独立した組織が並行して必要だろうね。
2011.03.25
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私:今朝の朝日新聞のオピニオン欄では、原発が立地する静岡県知事と新潟県知事の2人のインタビューを掲載しているね。 今日は、川勝平太静岡県知事のオピニオンにふれよう。A氏:最初から「想定外」がどんどん出てくるね。 マグニチュード9.0は「想定外」 10メートルを超す津波も「想定外」 東電幹部の社会的信用が地に落ちたのも「想定外」 保安院への信頼が揺らいだのも「想定外」 川勝知事は「想定外」のオンパレードだと言っているね。私:静岡の東海地震の想定は、マグニチュード8.0。 東海、東南海、南海地震が連動した場合はマグニチュード8.7。 津波の高さは10メートル以下。 それから、、問題は「揺れの数値」だという。A氏:静岡県の浜岡原発の「揺れ」の許容度は800ガル。 実際には1000ガルまで耐えられるという。私:「揺れ」は安全上、重要な数値だが、今回の福島原発の問題では「揺れ」のデータは、3号機507ガル、6号機431ガル以外、1号機、2号機、4号機、5号機の数値が公表されていないのが不思議だという。A氏:いろいろな「想定外」で問題になったのは、ディーゼル発電機が使用不能になったことだという。 事故が起きたときの「最後の砦」が陥落したも同然だという。私:浜岡原発の発電機は1階にあるが、念のため、緊急用発電車両を2台25メートルの高台に置くという。 従来はは発電所前の高さ10~15メートルの砂丘が防波堤の役割を果たすとしたものが、今回の大津波にを知って、中電は「さらに、高さ12メートル以上の防護壁を設置する」そうだ。A氏:知事は「想定外」という言葉を逃げ口上にはできないが、「人間は自然を制御しきれるものではない」ということで、原発の安全性が大きく揺らいだ以上、エネルギー政策を原発依存から太陽光発電などの代替えエネルギーに切り替えるように推進すべきとしているね。私:しかし、浜岡原発3号機が運転開始出来る状態にあるので、これは稼動させ、ソフトランディングすべきとしているね。 いずれにせよ、これらの問題を解決するのは科学力、技術力で、これが大きな今後の課題になるだろうね。 明日は、新潟県知事のオピニオンにふれよう。
2011.03.24
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私:今朝7時過ぎ、TBSテレビの「みのもんた朝ズバッ」をチラッと見たら、東京新聞のトップの見出しを映していた。 チラッと見ただけなので正確でないかもしれないが、東京新聞の記者が福島原発の設計者に取材したらしい。 まさか、M 9の地震や大津波がくるとは設計時には考えていなかったという。A氏:「想定外」と言っていないのかね。私:「想定却下」という新語が登場したね。 想定したけれど、誰かに否定されたということかね。 中心の原子炉は頑強だったが、周辺の機器が弱かったね。 これを問題にしていたのかね。 後の細かい記事のことはチラッと見ただけなのでよく知らないがね。 しかし、各紙、福島原発の事故対応を報じる中で、東京新聞が設計問題をトップに掲げたのは独特の視点だね。 ゲストに元東京特捜検事の若狭勝氏がいたが、耐震設計の地震強度の基準値と、それを超えたときの対応と2本立てのシステムを最初からつくっておくべきだと言っていたね。A氏:君の言う「設計基準値による耐震・耐津波」と「設計基準値を超えた地震・津波の対策」の2本立てかね。私:インターネットで検索してみると、この福島原発の設計はGE社と東芝の共同らしいね。 最初は津波などは「想定外」だったという。 設計関係者によっては。「想定が悪かった」「想定が甘かった」という「想定外」を避けている言葉もあるね。 中には、政治問題までからませ、民主党福島選出の渡部恒三氏が福島への原発設置に積極的だったという報道もあるね。 また、手抜き工事問題も出ている。A氏:今、情報が混乱しているのかも知れないが、日本人は「起きたことは仕方がない」という考えが強く、これが事故の再発を生むのではないのかね。私:そうだね。 福島原発の設計時点にもう一度戻って、正確な情報をマスコミは明らかにすべきだね。
2011.03.23
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A氏:今朝の新聞で東電の「計画停電」は少なくとも、来年の夏までは続くのではないかと報じているね。私:そのつもりできちんと日常生活を見直さないといけないね。 しかし、「計画停電」の地域になっていないとことがあるね。 俺の孫たちは車で5分くらいのマンションにいるが、この地帯は「計画停電」なしだね。 その近くにあるスポーツクラブも「計画停電」なしで営業している。A氏:その地域に病院が多いとか、消防署があるとか「計画停電」すると公共の活動に問題がある地域かね。 新聞では、東京の電力需要の3分の1は福島県で供給していたとあったが、福島県にある火力発電所も今度の地震でやられているんだね。 ところで、政府は石油の備蓄を使うことを表明したね。私:実は昨日、俺の家の車にガソリンを入れることができたよ。 地震の前に、すでにガソリンが少なかったが、孫の送り迎え程度だったので、あまり気にしないで放置していたんだよ。 ところが、じわじわと減りだしたね。 やばいと思って入れようと思ったら、行列だし、閉店のスタンドが増えてきた。 そうしたら、昨日、午前9時半頃、息子がたまたま仕事で通った道路沿いにあるガソリンスタンドの行列が短いという電話が入った。 そのガソリンスタンドは俺の家から車で数分くらいのところにあるので、すぐ行ってみたら、やはり行列ができていたが、そんなに長くない。 それでも30分くらい待って俺の順番になった。 まぁ、これでとりあえず、ガソリンの心配はなくなったね。 通常ペースだから、買いだめではないがね。A氏:今朝の新聞でも、関東圏のガソリン、灯油の出荷量は平年並みに回復しており、買いだめがなければ、平常に回復するのは早いと報じているね。私:「計画停電」のほうの経済に与える影響はどうなるのかね。 しばらく経過を見ることになるだろうね。 民主党政権にとって、災い転じて福となすことができるかね。 今、午前9時を過ぎた。 後、数分で「計画停電」が始まる。 パソコンの電気が切れる。
2011.03.22
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私:今回の東北大地震での「福島第一原発」のトラブルは「想定外」の地震が発生し、「想定外」の津波が来たことが直接の原因と言われているね。A氏:「想定内」とか「想定外」いうのは、ホリエモンのときよく使っていたね。私:「想定」という単語を広辞苑でひくと「ある一定の状況や条件を仮に想い描くこと」とあり、「事故を想定して訓練する」という例文をかかげている。 明鏡国語辞典では「ある状況・条件などを仮に考えてみること」とあり、例文は「大地震発生を想定して避難訓練を行う」とあるね。 「事故」とか「地震」とか、ニュアンスとしてあまりいいことには使われていないね。 ISO9001では、設計管理に「設計の妥当性確認」という要求があって、設計したものを「想定」された実際の使用条件でテストする要求がある。 自動車の試作車をテストコースで走らしたり、障害物にぶつけたりテストがそれだね。 原発の場合は、残念ながら本番に等しい実験は、実際の地震がこないとできないね。 しかし、「想定」はできる。A氏:そうすると、「想定外」というのは、「あらかじめ考えられなかった条件・状況」という意味となり、トラブルが起きてから使う言葉となるね。 「想定内」は事前に予測でき、「想定外」は事後に予測できないことが起きたときに使うといことになるね。私:ところで原発は設計するとき、コストとの関係で、ある「設計基準値」をきめないと具体的に設計できない。 どのくらいの震度の地震に安全か、津波はどのくらいの高さのものでも浸水しないかを数値的に「特定」でなく「決定」する。 これが「設計基準値」だね。 自然はコントロールできないから、この「基準値を超える震度の地震や高さの津波の発生は「想定」できるね。A氏:そうすると「想定外」という言葉は正確でなく「設計基準値を超えた想定内」の大きな地震であり、高い津波となるね。 津波防止の設計基準値が10メートルなら、これを超える15メートルの津波が来ることは「想定」できるね。私:やたらに安全基準を高めても、コストがかかるから、ある妥協点をさぐって、「設計基準値」を「決定」するから、「設計基準値」を超える自然事象は起きる可能性は「想定」できるね。 これは2007年の新潟県中越沖地震のときの柏崎原発のときに問題になったね。 このとき「想定外」の地震ということが言われたが、正確には「設定した設計基準値を超えた想定内」の事故だね。A氏:「設定した設計基準値を超えた想定内」とは具体的にどういう状況なのかね。私:今、起きている事故がそうだね。 それらの対応を「想定外」とすると、事故発生後のいきあたりばったりの対応になってしまうね。 原発はこわいから、「設計基準値を超えた『想定内』」の事故にもある程度機動的に対応できるようにすべきだね。 電力会社に任せるのでなく、専門家、政府、自衛隊などの対策本部の機動的な設置や、全て電気でなく、自立ロボット、電波遠隔で人間が操作するなどの機器を使用するシステムなどの対応システムの確立が必要だね。 「想定外」で逃げないで、もっと「想定内」の対応技術を高めるべきだね。A氏:「想定外」という発想は、「原発安全神話」と関係あるのではないの? 「原発は安全だから大丈夫だ」と近隣住民を納得させたのだから、「安全でない場合」を表面に出して徹底的に議論できないムードになるのではないの? 「安全と信じていたが、裏切られた」と言われたら、「いや、『想定外』の災害だから、仕方がなかった」という言い訳につながるね。私:北朝鮮の原発テロだって、「想定内」だね。 自衛隊の駐留を議論してもいいはずだね。 コストの問題はあるが、議論すべき問題だね。 「想定外」という用語は、「起きたら仕方がない」として、かえって事故対応の検討の思考停止を引き起こす可能性があるね。
2011.03.21
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私:昨日は快晴だったので、午後に1万歩のウオーキングで久しぶりに外出。A氏:風が強かったのではないの?私:強かったね。 しかし、冷たくなかったので、気にならなかったね。 相変わらず、ガソリンスタンドの行列はすごいね。 車が連続して停車していると、列の先にガソリンスタンドがあることが分かるほどだ。A氏:今朝の新聞で、石油連盟と全石連で、「緊急のお願い」として「不要不急の給油を控えるようにというお願い」が1頁大の広告で出ていたね。 石油連盟と全石連も本音は呆れた上での広告だろうね。 外国のマスコミは日本人は冷静に困難に対応していると言うが、このパニック的な幼稚な買い占め騒動を報じていないね。私:歩いて、商店街にも行ったが、商品売場では豆腐は少しあったが納豆の棚がガランとしていた。 なんで、納豆やコメまで、皆、買い占めるのかね。 電気の大手量販店に寄ったら、節電で店の蛍光灯を半分消していた。 店が暗い感じだ。 入り口に「乾電池、携帯ラジオ売り切れ、入荷予定未定」という表示があったね。 これは「計画停電」の影響だね。 夜に「計画停電」にぶつかると、携帯ラジオが必要になるし、懐中電灯も乾電池がいる。 俺のところは、電気で暖房だから、夜の「計画停電」にはホッカイロがいるんだが、これも品切れ。 ガスストーブもあるが、スイッチとファンは電気だからダメ。A氏:俺のところは灯油だが、これも品薄らしいね。 こういうのは「計画停電」の影響だね。私:一昨日、家内が中国地方の田舎の親戚に電話したら、そっちはそんなことはないという。 ガソリンスタンドも行列はないという。 その親戚から、昨日、宅配便で乾電池、ホッカイロ、納豆がドッサリ届いたね。A氏:しかし、ガソリンは宅配便で送るというわけにいかないね。私:図書館は今まで夜7時までが5時閉館。 オンライン予約も停止。A氏:なんで、予約に影響があるの?私:図書館の間の図書移動をする「図書館連絡車」のガソリン調達が困難なためだという。 このため、便数が減少しているらしい。 図書館まで歩いて行って、書棚にある本を借りるのが一番、簡単だね。A氏:今朝の朝日新聞の社説では、「停電より『計画節電』」を主張しているね。 たしかに、「計画停電」は弊害が大きいことが分かってきたね。私:こないだテレビで、「待機電力」をやめるだけで電力不足を補えると言っている人がいたね。 パソコン、TV、ステレオなどを使わないときはコンセントを外す、ウオッシュレットのトイレも電源を抜くなどいろいろあるね。 夜、暗くなってからいろいろ調べてみると不要な豆ランプがついているね。A氏:そう考えると、われわれは電力を「浪費」しているね。 身の回りを見直すべきだね。私:「ダウンシフターズ」の生活を本当に考えるときが来たみたいだね。 「浪費するアメリカ人」はリーマンショックで生活を見直すときが来た。 日本は、東北大地震で「電力浪費」を見直す時が来たのかね。
2011.03.20
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【送料無料】抱影私:昨年の11月に朝日新聞の書評で、興味を持ち、図書館に予約。 4ヶ月待って順番が来た。 ちょうど、日中の「計画停電」で、TVを見ることができないので、この本を集中して読んだ。 引き込まれるように読み続け、「計画停電」が終わった夜半までかかって1日で読了。A氏:君の予約したときのブログによると、新聞書評の見出しは「目がくらむほどのハードボイル」とあり、評者は、「文体はよけいな説明をせず、ときには読者をまどわせるほど、簡潔を極める。それと反比例して、描かれる世界は目がくらむほど、豊かに広がる」とあったとあるね。 評者の言う通りだったかね。私:たしかに簡潔な文体で、主語の省略が多いね。 簡潔さは村上春樹の文体と逆だね。 それに非現実的な幻も出てこない。 淡々とした表現は、まさにハードボイルドタッチだね。A氏:村上春樹は、ハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーのファンでありながら、日本語の文体は、ハードボイルドタッチでないのは何故かね。私:わからないね。 しかし、こういう小説は、ブログにまとめにくいね。 図書館のホームページの要旨だけ、転記させてもらう。 ハードボイルドタッチの文体と筋はこれでは不十分だがね。 「赤レンガ倉庫。関内のバー。運河に映るハーモニカハウス。外国人娼婦たち。 港町の裏表を見つめてきた硲冬樹は、人妻、響子から死期が近いことを聞かされる。硲は、彼女の裸身に、だれも目にすることはない作品を刻みつけることを決意する」 硲冬樹というのは主人公で画家だね。 「裸身に作品を刻みつける」というのは、刺青をするのだね。 この本を読む前に、偶然「日本の刺青と英国王室」を読んでいたので刺青の予備知識があった。 だから、読みやすかったね。 最後は、主人公の死を暗示して終わる。 まさにハードボイルドタッチだね。
2011.03.19
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私:この本は「ダウンシフターズ」との関連で図書館から借りた。 ダウンシフターという言葉は、この本からのものだという。 この原書が刊行されたのは、1998年で、アメリカは好景気で、異常な消費社会になっていた。A氏:リーマンショックでその浪費が壊滅するまで、後、10年だったね。私:当時は、典型的な中流階級から上流階級の世帯はモノに溢れていた。 ガレージは車2台用だが、モノが溢れ、3台用のガレージが必要になってきた。 追加の1台分は粗大ゴミ用だ。 見て→欲しくなり→カネを借りて→買う、というサイクルだね。 この本を参考にして異常な浪費活から脱却した人は、リーマンショックによる被害は少なかったのではないかね。 著者は、浪費主義から抜け出すための9原則をあげている。 1.欲望をコントロールする。 2.新しい消費のシンボルを作り出す---高級品をカッコ悪いものにする。 3.自分自身をコントロールする---競争消費に対する自発的な抵抗 4.共同利用を学ぶ---借り手になったり貸し手になったりする。 5.商業システムを解剖する---賢い消費者になる。 6.「買い物療法」を避ける---消費は中毒である。 7.祝い事を脱商業化する。 8.時間を作る---働きすぎと浪費の悪循環になっていないか。 9.政府介入で消費の歪みを調整する。 9番目は、贅沢品には高い税をかけるなどして、消費の歪みを調整するということだね。A氏:しかし、著者の考えに反して、当時のアメリカ人の多くは浪費をリーマンショックまで続けた。 おかげで中国は儲け、日本もなんとか輸出依存で景気を維持したね。私:そして、ドカンとリーマンショックが来て、日本人は別に浪費をしたわけでないのに、一番、手痛いショックを受け、トヨタもついに赤字となるね。 日本はアメリカの浪費を支えていたのだから、その崩壊による連鎖反応を起こしたね。 今、アメリカ景気は多少、もどっているようだが、高い失業率、貯蓄の増加など、消費パターンは変わったのかね。 この本の著者の新しい著書を期待したいね。 ところで、今、俺たちは、「計画停電」で不便な生活をしているね。 ダウンシフター的になったね。 しかし、ガソリンや食料品の買いだめは、一種の浪費時代の名残の浪費パニックだね。 オイルショックのときの、トイレレットペイパー騒動の再来だね。 こないだ、ヨガの若い女性インストラクターが、買いだめは好ましくないと言って、トイレットペーパーが足りなかったら、インド人みたいに水をかければよい、と言っていたよ。
2011.03.18
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私:「計画停電」の2日目までは、東電も試行錯誤があったね。 俺たちのグループは、午後停電の予定だったが、予告した時刻が2、3分くらい過ぎたら、つけていたTVが消えたね。 「計画停電」初体験となったね。A氏:俺は家にいて、片付けを始めたよ。私:俺は、ちょうど、出かける用事もないし、天気がいいので自然公園のウオーキングをしようと思ったが、風がかなり強いんで、外に出るのはやめたよ。 電気がないとパソコンも使えないし、本当に生活が大変更だね。 電気にいかに頼っているかを実感したね。A氏:君は、読書があるのではないの。私:幸い、日中の「計画停電」だったんで、日光で読書ができたね。 一昨日、図書館から借りた北方謙三の長編小説「抱影」を読み出し、面白いので「計画停電」が終わった夜中までかかって、一挙に読了したよ。 夕方、まだ明るいうちに電気がついた。 これで日常ペースにもどった。 毎日夜、インターネットで確定した「計画停電」時刻を見て、翌日1日の計画を立てる。 当分、この状態は続くね。 今日は、夜にかかる「計画停電」がある。 懐中電灯で読書というわけにはいかない。 まだ、計画が立たない。 寝ているかね。
2011.03.17
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A氏:石原慎太郎都知事が15日に東日本大地震に関して「やっぱり天罰だと思う」などと発言したことに対して「言葉が足りなかった。撤回し、深くお詫びする」と述べて謝罪したと今朝の朝日新聞で小さく報じているね。私:宮城県の村井嘉浩知事は、この発言に不快感を示したと報じているね。 しかし、不快感では甘いね。 毎日、報じられる被害地の惨状を見て、「天罰」という日本語はどこから出てくるのかね。 しかも、すくなくとも都知事という名誉ある地位にいる人が絶対、頭にも浮かばない単語であるはずだね。A氏:この人の頭脳構造はどうなっているのかね。私:すくなくとも、若いときは芥川賞をもらった文学者だ。 現在は、芥川賞の選考委員だ。 適切な場所に適切な日本語を使えるプロのはずだ。 「言葉が足りなかった」ではすまないね。A氏:都知事選に出るのだが、影響はないのだろうか。私:都民はどうとるかね。 石原氏が落選したら、それこそ、言葉の通り「天罰」だね。
2011.03.16
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昨日14日、図書館からメールで、予約していた本が順番が来たという連絡があったが、同時に、14日は「計画停電」で休館するとホームページに出ていた。 昨日は近所だけの外出だったが、今日15日は、午前中に予約していた総合病院に行かないといけない。 念のため、昨日、病院に電話したら、今日15日はいつもの通りに診療しているという。 大きい病院だから、自家発電で「計画停電」には関係ないのであろう。 ところが、バス停に行ったら、昨日のうちにダイヤが変わり、当分の間、休日ダイヤだという。 3割くらい、本数が減る。 電車だけでなく、ガソリン車まで関係があるのか。 早めに家を出たので、なんとか病院の予約時間には間に合った。 バスに乗って、ビックリしたのは、片道2車線の歩道側に、車が数十台列をなしてビッシリ停車している。 先頭は、ガソリンスタンドであった。 今まで、このガソリンスタンドで給油を待って、行列をなしていたことなど皆無であった。 診療が終り、帰りのバスまで、時間があったので近くのスーパーによったら、食料品売場はすごい人で、パン屋は行列をなしていた。 このパン屋は行列などできる店でなかった。 午後、図書館に本を借りに行くので、念のため、また図書館に電話した。 そうしたら、3時から「計画停電」で閉館するから、それまでに急いで来てくれという。 そこでまた、バスで行くことにする。 バスを待つ間、すぐ近くのコンビニに入ったら、電池はキレイになくなっていた。 それだけでない。 パンやスナックを置いてある棚はキレイに空になっていて、異様な状況であった。 図書館で本を借りだして、その足で、大手の量販店に行ってみたが、シャッターが降りていて「計画停電」で夕方まで閉店という貼り紙がしてあった。 普段賑やかな商店街もシャッターが降りているところが多かった。 「計画停電」で日常生活は大きく変わった。 しかし、何故か、急に、敗戦直後、子どもの時に、電力不足で一斉停電があったようなことを思い出した。
2011.03.15
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A氏:ISO9001は国際規格だから、元は英文だね。 英語はISOの世界では実質、国際共通語だね。 日本はこれを訳して、使っているので、訳による問題がないかね。 前に、このブログで英語の「training」を「訓練」でなく「教育・訓練」と訳したために、誤解を招いた例にふれていたね。私:訳が適切でないことが多いね。 誤訳を避けるために、直訳調なので、日本語としてはかえって誤解をまねくことも多いね。 訳した日本文の意味が間違って理解されることがあるね。 例えば、「5.4.1 品質目標」の日本訳だね。A氏:品質目標といえば、俺のいた会社では総務部門まで1年毎に品質目標を書いていたね。 なんか「人事情報の入力ミスの減少」とか書いていたね。 全員、個人目標まで書いていた。私:悪評高い「個人目標管理」に飛びついたね。 2000年版の「5.4.1 品質目標」では「組織内のそれぞれの部門及び階層」で品質目標を設定せよとある。A氏;「それぞれ」だから、全部門、全階層になるね。私:ところが英語は「relevant functions and levels」であって、「each function and level」ではない。 8年後の2008年版に、ISO9001が改訂になったとき、英文が同じなのに訳は「『それぞれ』」から「『しかるべき』部門及び階層」に変わった。A氏:なんだ、全部門、全階層じゃなかったのか。 日本訳に引っ張りまわされるね。 そう難しい英語ではないんだろうから、直接、英語で読んだほうが正確だね。私:翻訳というのは、訳者のビジネス経験によって変わると思うね。 英語力は多少必要だが、その問題ではないと思うね。A氏:恋愛小説を、恋愛の感情を理解出来ない少年が、いくら英語ができるからと言っても正確に訳せいないのと同じかね。私:かえって、中途半端に英語ができると、英語にこだわってしまうかもしれないね。 以前、ISO900187年版の「4.9 工程管理」で 「compliance with reference standards/codes and quality plans」 を「引用された規格・基準の遵守、及び品質計画書」という訳文があった。 これは、俺は完全な誤訳で、正しくは「引用された規格・基準の及び品質計画書の遵守」と思ったね。A氏:「compliance with」が「quality plans」にまでかかるわけか。私:この間違いは、訳者が英語に出てくるand の標準的な用法だと思い込んだことだね。 この語句の前に、いくつかの短文があるのに惑わされたと思うね。 すなわち、英語では、A, B,C,Dと並ぶ場合、A, B,C and D と書くね。 最後にandがくる。 訳者は、この英文パターンのandだと勘違いしたようだね。 「4.9 工程管理」というのは、2000年版、2008年版の「7.5.1 製造及びサービス提供の管理」と同じような内容で、現場段階だから、この段階で品質計画書は作らない。 87年版では川上の「4.2 品質システム」で作るように要求がある。 2000年版、2008年版では、「7.5.1」の川上の「7.1 製品実現の計画」で要求があり、「7.5.1」はそれを実行する段階だね。A氏:現場段階は、計画を忠実に守るだけだね。私:そういう現場管理の常識を訳者がもっていれば、最後に「品質計画書」はポツント存在せず、システムの流れの上流でできた「品質計画書」の遵守を現場に要求していることはすぐに理解できはずだがね。A氏:A, B,C and Dパターンのandではなかったのか。私:要するに、ISO9001の要求は、ビジネスでは常識的な内容が中心だから、常識に反するような訳文があったら、それは大抵、訳が正確でないんだ。 ISO9001を読むときは、英語力でなくビジネスの常識的な「知的体力」が問われるね。
2011.03.14
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テレビ、新聞で報じる惨状に言葉は空虚。 今日は休筆。
2011.03.13
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私:昨日、ちょっと用事で外出し、昼間、人気のない近所の住宅地のややゆるい坂道を下って歩いていたら、急に道路が大きく左右に何回も揺れ動いた。 最初、めまいでも起きたのかと思った。 歩いている道路の側に小さな公園がある。 体がバランスを崩して倒れそうになり、あわてて公園の道路側の手すりにつかまった。 住宅の1軒の玄関から、主婦らしい人が飛び出してきて「すごい地震ですね」と言った。 公園のブランコが2つ、無人なのに、前後に大きく揺れていて、不気味だった。 腕時計を見たら、14時50分くらいだったね。A氏:俺は家にいたが、あわてて外に跳び出したね。私:5分くらいで家に帰って、テレビを見ようと思ったら、停電だね。 携帯ラジオを引っ張り出して、聞いていたよ。A氏:俺のところも停電はなかったね。私:家に帰ってからも大きい余震があって近くの空き地に行ったよ。 でも寒くて、また、家に入ったね。 15時頃、夕刊が来るんだが、配達の若い人が、ピンポンを押す。 なんだと思ったら「地震なので、こういうときは声をかけて安全を確認しているのです」という。A氏:たいした新聞店だね。私:参ったのは停電だね。 日が明るいときは、本も読めるが、次第に暗くなると本も読めない。 うちのキッチンはIHだから、停電だと料理もできない。 もっとも、ガスも止めることはあるだろうがね。 次第に暗くなる。 お湯を保温するポットの湯もさめてくる。 夕飯は、とりあえず、軽くパンと、缶ジュースですませた。 そこにうちに出入りの電気屋さんが「懐中電灯ありますか」と挨拶に来た。A氏:気のきく電気屋さんだね。私:ガスボンベの携帯コンロを物置から持ってきて、その電気屋さんにガスボンベがないかと聞いたら、とってきてくれた。 それでなんとかお湯を沸かして、インスタントラーメンがあったのでそれを食べた。 暖房も電気に頼っているから、停電には弱い。 寒くなってきたので、ホカロンを出してきて体の足腰に貼って、毛布をかぶってソフアに横になって、ラジオを聞く。 結局、8時5分過ぎくらいに電気がきた。 TVを見て、ビックリしたね。 もう、それから、呆然としてTVに見入ったままだったね。 今更ながらに、津波のすごさに自然のエネルギーの巨大さを知ったね。
2011.03.12
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【送料無料】日本の刺青と英国王室 私:彫千代については、日本の文献が少ないが、唯一参考にできるのは、1924年に有島生馬が「婦人公論」に連載した長編小説「彫千代」だろう。 フィクションだが貴重な情報を提供しているという。 それによると、彫千代の本名は宮崎匡で、1959年4月20日、静岡市水落町の士族宮崎愚の次男として生まれる。 宮崎匡は、1878年、19歳の時に失踪し、30歳のときに立ち戻った。 その間は彫師の修行をしたものと推定される。 彫千代は英語が流暢であったというが、静岡の士族出身であるから明治初期に英語教育を受けた数少ない日本人のひとりであったかもしれない。A氏:彫宇之も下級武士の子どもだね。 明治の混乱期には、結構、下級武士の子は自由に職を選んでいたのかね。私:彫千代は外人向けの英語の宣伝カードを作っていて、自己宣伝をしている。 そこには、英国のヴィクター王子とジョージ王子に刺青をしたのは自分であると書いてあり外国の新聞でもとりあげているという。 彫千代は、独特の刺青の技術を磨き、1885年くらいから英語を駆使して関西で外国客を獲得していたようだ。 英国の2王子や王室、外国の有名人に刺青をしたという宣伝で、名声は外国では高かったと考えられる。 1892年あたりで結婚し、横浜に新居を構える。 子どもをもうけるが、1900年、満40歳で自殺する。A氏:彫千代は本当に、1981年に来日した英国の2王子に刺青をしたのかね。私:1981年には、彫千代は22歳だね。 彫師としては若すぎるとして著者は疑っている。A氏:長崎で刺青をしたというニコライ2世はどうかね。私:実は、ニコライ2世は、長崎で刺青をした後、大津で、津田巡査に襲われている。 この時の警察の一連の調査資料から、この刺青をした彫師の名前は長崎の彫師の野村幸三郎とあるので、彫千代ではないのは明らかだね。 いずれにせよ、謎の人物だね。 ただ、日本の刺青がこの頃、その芸術性で海外では有名で、いろいろな彫師が活躍していたのは事実だね。 そういう意味で、日本の刺青は浮世絵同様、江戸で開花し、明治で開国して世界に広まっている。 明治は第一の開国で、日本がグローバル化したときだ。 そのグローバル化に彫師はうまく乗ったね。 今、問題になっているTPP参加は第三の開国だと言っているが、明治期の多くの彫師のように海外で評価され、活躍する人が増えるのだろうか。
2011.03.12
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【送料無料】日本の刺青と英国王室私:刺青は江戸末期では、火消し(鳶の者)や駕篭かきがしていたが、明治の開国になって外国人が目にした刺青は、外国人がよく利用する人力車などの車夫の刺青であったという。 ラザフォード・オールコックは、1859年から1863年の3年間、日本に滞在したときの記録の著「大君の都」で日本の車夫の刺青は、世界一であると記述されている。 1862年、英国の皇太子エドワード7世は、中東のエルサレムで腕に十字架の刺青をしたという。 1869年、英国のアルフレッド王子が来日したが、明治政府にとっては最初に日本を訪問した外国貴賓で王子は横浜で刺青をしている。A氏:日本の刺青は、イギリス王室にも流行しだすのだね。私:1881年、エドワード7世の長男と次男が来日し、東京と京都で刺青し、英国の王室、貴族階級、中産層に刺青が流行する。 1890年代になると貴族などの上流階級の間で流行していた刺青は熱狂状態までに達し、貴婦人も刺青(本の表写真参照)を入れだす。 刺青は、アメリカの上層階級にまで拡大し、1891年、アメリカの刺青師のサミュエル・オライリーがエジソンの電気式ステンシルペンのデモをヒントにて、電気式に刺青を入れる機械を発明し、特許を得る。A氏:日本海海戦の裏にときのニコライ2世が登場だね。私:ニコライ2世が刺青を入れたのは長崎で、その後、大津で津田巡査に襲われけがをする大津事件が起きるね。 ところで、当時のヨーロッパの王室の血のつながりは国際的だね。 エドワード7世のとき、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世、ロシア皇帝ニコライ2世、スペイン国王アルフォンソ12世などは甥。 ノルウエー国王ホーコン7世は義理の息子、ギリシャ国王ゲオルギオス1世とデンマーク国王フレデリック8世は義理の兄弟。 ベルギー国王アルベルト1世、ポルトガル国王マヌエル2世、ブルガリア国王フェルドジナンド、オランダの女王ウィルヘルミナなどは従兄弟。 このつながりから、刺青が広がるね。 1922年、当時、イギリスの英国皇太子エドワード王子が来日した。 日本側は、今回は違法ということで拒否したという。A氏:1881年の時は、英国側の要求を完全に拒否できなかったが、1922年には拒否できたということか。私:約40年の間に、日英間の「力関係」は大きく変わっていたんだね。 それが刺青の違法対処の姿勢に反映しているね。 明日は、海外で有名で、日本国内では無名に近かった彫千代の実像にふれよう。
2011.03.11
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【送料無料】日本の刺青と英国王室私:著者は、現在ケンブリッジ大学図書館日本部長だという。 その立場上、「刺青」という特殊な分野でもいろいろな文献を集められるのが分かる気がするね。 日本では、明治期、文明開化ということで、刺青が禁止になり、昭和23年で禁止が解かれる。A氏:しかし、今も刺青をした人は、公衆浴場や遊園地、プール、ジム、ゴルフ場等への入場を断わるという掲示をしているところが多いね。私:しかし、欧米ではそうでもないようだね。 映画によく刺青をした俳優が登場するね。 しかし、日本のプロ野球で、外国選手のカブレラが刺青で問題を起こしているね。 著者は、この本の最後で、ヤルタ会談を持ち出す。 何故かというと、この会談の主役であるルーズベルト、チャーチル、スターリンの3人も刺青をしていたという。 それから、元首相小泉純一郎の祖父で政治家の小泉又次郎氏も明治の禁止令が出てから刺青をしていたという。A氏:そういえば、明治で開国してから、日本にやってきた欧米人は、日本の車引きがフンドシだけで後の裸の露出部分に刺青をしているのを見聞した記録をしているね。私:日本では江戸末期から、「刺青」が盛んになり、多くの名人を輩出している。 これについては、谷崎潤一郎の「刺青」という短編で名人らが登場しているという。 明治期には日本刺青界が生み出した最高の名人である彫宇之が登場する。 1843年、紀伊徳川家の厩番の下級武士の子として江戸で生まれる。 小さい時から絵が上手で、厩に出入りする馬丁が刺青をしていたので興味を覚えたという。A氏:明治になると下級武士の子もただの人になるね。私:12、3歳の頃、父親の仕事の都合で姫路にいくが、グレて遊女町に出入りするようになり、結局、大阪の博徒の子分になり、彫市という彫師に弟子入りし、そのうち刺青師として評判をとり、生活も安定する。 明治5年に30歳になるが、東京に遷都したので生まれ故郷の東京に向かうが、途中の静岡でとどまる。 さきの小泉又次郎氏の刺青は、彼が静岡時代、横須賀に出張して彫ったものだという。 43歳になった明治18年、東京に舞い戻り、神田で刺青師として開業。 明治35年以降から、大正初期まで日本一の名人として活躍する。 82歳の時、警察に拘束され、商売道具を没収され、罰金も科せられている。 これで引退して、昭和2年、85歳で亡くなった。A氏:開国で来た外国人には刺青をしたのかね。私:最初、外国の公使館などに雇われている馬丁に刺青をしたところ、その馬丁などの刺青を通じて、在日外国人の間に評判となり、外国人にまで刺青をするようになる。 しかし、外国では彫千代という彫師が有名で、彫宇之は外国ではまったくの無名だったという。 明治政府は、刺青を禁止したが、来日する外国人に対する刺青は見逃されていた。 海外における日本の刺青の評判によって、横浜、神戸、長崎などの港町で日本の刺青を彫る外国人は多数にのぼったという。A氏:明治政府は、変則的な「刺青禁令」を出したものだね。私:開国当初は、外国人に弱かったんだね。 外国人に対する刺青まで禁止するようになるのは、大正になってからだという。 日露戦争の勝利などで、日本の国力がついてきたためだろうね。 明日は英国王室の刺青についてふれよう。
2011.03.10
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【送料無料】銃・病原菌・鉄(上巻)私:文明の発達に背景として大きく関係しているのが、ユーラシア大陸、南北アメリカ大陸、アフリカ大陸の3大大陸の形状だね。 ユーラシア大陸だけが、東西に広がっている。 南北アメリカ大陸とアフリカ大陸は南北に広がっている。 これは文明の伝播の速さと関係するね。 同じ緯度だと、気候も自然の野生種もほぼ同一だから、大陸のある一箇所で生まれた利用技術が伝播しやすい。A氏:逆に南北の拡大は自然条件が大きく異なるので、伝播が遅いというわけか。 その点、ユーラシア大陸は有利だね。私:そして、野生種だが、家畜化や栽培などに適性のある野生種がユーラシア大陸に多かったということだね。 馬の利用はこの野生種を家畜化した流れで生まれているね。 家畜は、その他に牛、豚など食用のものもある。 野生植物も多くの栽培に適した野生種が多いと、栽培化も比較的に速い。A氏:先史上の人間は、おそらく野生種を食べて、その種を捨てた後、芽がでることを次第に学んだんだろうね。私:動物、植物が食料として生産できるようになると、生産性があがり、狩猟による食料に比較して、大量の余剰食料、食料の貯蓄ができる。 それより、定住化が進み、人口も増加する。 食料に余裕があると、組織の分業化が始まる。 専門技術が進む。 階層化された大規模社会が発展する。A氏:それに鉄など、鉱物資源が得やすいと、専門技術の発達と共に、剣や銃などの開発に進むね。私:船もそうだね。 造船技術も進むね。 スペイン時代はまだ帆船だが、全世界を走りまわるね。 動物の野生種の家畜化がすすむと、当然、家畜からの病気が人にも伝染する。 したがって、家畜化が進んだヨーロッパ人は、疫病にかかりやすいが、逆に免疫を持ちやすい。A氏:そして文字だね。 これと社会の分業で、政治機構ができるね。私:スペインが新大陸に侵攻するためにカネや人の供給を政治がバックアップできる体制ができる。A氏:なるほど、スタート時は、皆、狩猟社会で同じだったのが、長い間に自然条件の違いが文明の相違を生み出したということか。私:著者がくりかえして言っていることは、現在のヨーロパ文明の優位性は、自然条件の優位性でもあったことだね。 決して、各大陸にたまたま住んだ人種の生物的な優位性ではないんだね。 それにしてもスケールの大きな世界史だね。 それは著者が歴史だけでなく、分子生理学、進化生物学、生物地理学を学び、多くの土地で研究調査をした結果だろうね。
2011.03.09
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【送料無料】銃・病原菌・鉄(上巻)A氏:この本の下巻は先に読んでいて、このブログにあるね。 上下逆に読んで違和感はなかったかね?私:特になかったね。 逆に下巻の各論を読んでから、上巻の一般論を読むので、全体像が開けた感じだね。 ただ、下巻の「文字」についての一般論の重要性が、上巻を読んで知ったのは問題だったね。 歴史学者アーノルド・トインビーの有名な大著「歴史の研究」があるが、トインビーは23の先進文明に興味をもったが、先史時代にさかのぼり、文明への違いへの追及はないという。 人類史について書かれたその他の本も過去5000年間のユーラシア大陸の先進文明に焦点を当てたものが多く、コロンブスのアメリカ大陸発見以前に存在していた先住民文明にはほとんどふれられていないという。 著者は、日本語版への序文で、世界的に著名なアメリカ人の歴史学者が、著者の本を評して「逆転の人類史」と言ったとしているね。A氏:何が逆転したのかね?私:欧米の歴史家が人類史について本にするときは、ヨーロッパの歴史とヨーロッパからの移住者によって建国されたアメリカ合衆国の歴史に焦点をあてるのが普通だ。 その他は中国については簡単にふれるが、その他の地域の歴史については、過去500年におけるヨーロッパの植民地主義とのかかわり以外はほとんどふれていない。 ところが、この本は東アジア及び太平洋地域も多くとりあげている。 その意味で「ヨーロッパ中心の人類史からの逆転」だね。 著者は、太平洋地域及び東アジアで36年間にわたって研究調査活動を行ってきたという。 それがこの「逆転」の背景にあるね。A氏:なんで、1万3千年前にさかのぼるの?私:人類がアフリカで誕生してから、世界の主な大陸や島々に広がるのが1万3千年前だという。 その頃、各地の人類は等しく狩猟生活をしていた。 すなわち、同じスタートラインにいた。 それが、何故、その後、何年もたって文明の差が出たのかというのが、この本の主題だね。 特にヨーロッパ文明の優位性はなんでできたのかだね。 これは下巻で答えが出ていたがね。A氏:ヨーロッパの優位性とは何だったかね?私:その代表的な例として、スペインとインカ帝国の衝突をあげているね。 1532年11月16日、スペインの征服者ピサロとインカ皇帝アタワルパがペルー北方の高地カハマルカで衝突した。 スペイン兵約2百名はインディオ約1万人と戦うが、棍棒くらいの武器しか持たないインディオに対して、銃、剣という武器と騎兵60人による騎馬が凶器になる。A氏:この300年前に蒙古のチンギス・カンが騎馬でヨーロッパに侵略してモンゴル帝国を作っているね。 馬は自動車がない時代の戦車であり、軍用輸送の動力だね。私:インカ帝国には馬はなかった。 それにヨーロッパ人は疫病に免疫になっていて、逆にインディオはヨーロッパ人が持ち込んだ疫病に弱かった。 インディオはピサロがくる前にパナマ地方に移住してきたスペイン人の天然痘に感染してそれにより多くの人が死んでいる。 それは、ヨーロッパ人が戦争などで殺した人より多いという。 そして、インディオが何故、逆にスペインに侵略しなったといえば、彼らは外洋船も航海技術もなかった。 そして、インディオには文字がなかったので、相手についての情報量にも大きな差があった。A氏:なるほど、当時から1万年以上前には、同じ狩猟民族のスタートだったのが、なんでヨーロッパだけ、馬、銃、剣、外洋船、文字、免疫をもつようになったのかだね。私:著者はそれは人種的な問題でなく、自然条件の違いが、長い間、積み重なって、文明の大きな違いに発展してきたことを詳細に追及していくね。 これが本当にある意味での世界史だね。 明日は、その文明の力の相違が何故できたのかという話題に移ろう。
2011.03.08
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A氏:昨年の5月にこのブログで「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」をとりあげていたね。 ところが、この本はいつしか売れに売れ、約150万部に達しようとするベストセラーとなるね。 そして映画にもなるそうだ。 しかも、これに刺激され、経営学の大御所ピーター・ドラッカーの本まで売れ出したという。 私:俺が図書館から借りたときは、それほどブームでなく、すぐに借りられたけれど、 今は、図書館の待ち数は2156だね。 図書館では数十分部くらいあるのだが、1年以上待つようになるだろう。 図書館予約数ベスト50の第2位で、第1位が村上春樹の「1Q84」の2363だから、僅差だ。A氏:しかし、俺はどうも、まだ、マネジメントの意味がピンと来ないね。私:マネジメントはそのまま、カタカナ英語で使っているせいかね。 英語では当然、「マネジする」は日常用語だがね。 英語の「マネジする:manage」を英和辞典でひくと「原義」は「馬を手で扱う」とあり、転じて「人をたくみに扱う」とあるね。 俺の知人で、それについて、うまい比喩を使った人がいる。 それは鵜飼いだね。 鵜匠が、鵜に紐をつけて、うまく扱って魚をとらせる。A氏:そうすると、鵜匠がマネジする人かね。 鵜はマネジされるほうだね。私:馬の場合は、馬上の騎手は、馬をマネジすることになるね。A氏:すると、鵜匠も騎手もマネージャーだね。 いずれも、「マネジする相手」が別に独立して存在するわけだね。 鵜匠が自ら、水に飛び込んで、魚をとるわけではないし、騎手が、自分の足で走り出すわけではないしね。私:その知人は、「うちの部長は川に飛び込んでいるばかりいる」と冗談で皮肉って言っていたがね。 しかし、通常、「マネジする相手」は人だね。 アメリカのプロ野球では、監督が英語でマネージャーだね。 「マネジする相手」は選手やコーチ。 原則として、自分ではプレイしない。 昔、阪神タイガースにザトペック投法の村上実投手がいたが、昭和45年に監督を兼任していた。 だから、彼がマウンドに立つときは、ベンチのヘッドコーチが監督の役割を代行したね。 日本の高校野球でも、監督がマネージャーにあたり、マネージャーというカタカナ英語は女子などが担当し、内容は世話役、雑用係だ。 本来のマネージャーとは役割がまったく違う。A氏:マネジメントには「マネジする相手」があるとすると、ISO9001の「マネジする相手」は何かね。私:実は、ここの一番、基本的な点が明快でないね。 野球の監督は、選手をうまく扱って、勝利する。 サッカーの監督も同様だね。 野球の監督、サッカーの監督は、「人を扱うマネジメント」として共通点がある。 だから、名監督は、これも同じく人を扱う企業に呼ばれ、マネジメントの講演を依頼される。 しかし、「マネジする相手」は野球の選手、サッカーの選手というようにまったく異なる。 同様に ISO9001は品質に関するマネジメントシステム規格だから、マネージャー用の規格で、「マネジする相手」の業種や規模に無関係だね。A氏:要するに、ISO9001はマネジメントの共通性に着眼して、マネジメントシステム規格を作り、「マネジする相手」を切り離したわけか。 それだから、ISO9001は「マネジする相手」から自由になり、業種、規模などを問わず使えるようになったということか。 では、その「マネジする相手」は一般的にISO9001では何と呼ぶのかね?私:「まず、ISO70問の克服から」では「コアシ活動・コアステム」と呼んでいるね。 現実に存在するシステムは、野球選手、サッカー選手、企業に働く人々など個別多様な「コアシステム」と、それをマネジする共通な監督、企業マネージャーの「マネジメントシステム」に2分化するという考えだね。 これが、マネジメントシステムを理解するときの原点だね。 だから、ISO9001には「コアシステム」の規格要求すなわち、個別の技術的要求事項は存在しない。A氏:それなら、「もし高校野球の女子マネージャーがISO9001を読んだら」も存在できるね。私:いろいろ解釈を付け加えれば可能だね。 本にすれば、ベストセラーになるかもね。 映画化もビジネス映画としても書類の山で苦しんでいる姿など面白いだろうね。
2011.03.07
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私:昨日土曜の朝日新聞のbe紙に、ポルトガルの民衆音楽のファドの話が載っていた。 ファドの「女王」アマリア・ロドリゲスの話が載っていた。 1999年、79歳で死去した際、ポルトガルは2日間、国葬に服したという。A氏:日本の女性初の国民栄誉賞をもらった美空ひばり以上だね。私:アマリアは、大阪万博を皮切りに6度も来日しているという。 「暗いはしけ」というヒット曲は、ちあきなおみ、岸洋子、香川有美が歌っている。A氏:ファドというのはどういう意味だね。私:ポルトガル語で「運命」「宿命」のような言葉で、その音楽の中心的感情は、かって存在していたのに、今は喪失してしまった何かを憂う気持ちだという。 もの悲しげな旋律や、豊かな感情表現から、ファドは「別れ」「涙」など切なさに結びつけられがちだという。A氏:日本の演歌みたいなものかね。私:しかし、リスボンの下町の居酒屋から深夜聞こえてくるファドは、もっと違うものがあるという。 居酒屋には多くの素人のファド好きが来て自由に歌う。 日本の安いカラオケ・スナックの「素人のど自慢大会」といった風景だという。A氏:このブログでとりあげた「天国は水割りの味がする」を思い出すね。 それに続く君の「スナック談義」の8編シリーズはは必ず「演歌カラオケ談義」だね。私:リスボンの居酒屋で歌われる歌は、「悲しみの歌」だけではないというが、日本のスナックで歌われる演歌でも、必ずしも、「悲しみの歌」だけではないね。 北島三郎みたいに結構、元気な演歌もあるね。 しかし、ポルトガルにもカラオケがあるとはね。 もっとも楽器演奏は生らしいね。 一度、行ってみたいが、もう、年だね。 話だけ、ここに記録しておこう。 それにしても、素人の多くの人が今夜も、日本ではスナックで、ポルトガルでは居酒屋で、恥ずかしげもなく、声をはりあげているとはね。
2011.03.06
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私:昨日、午前10時半頃、用事から帰って、なんとくテレビを見ていたら、参議院の質疑をNHK がTV中継していて、自民党の山本一太議員が質問していた。A氏:俺は、午後から出かけるので軽い昼飯をしながら見ていたよ。私:何か、岡田幹事長がどこかで「子ども手当」に所得制限をするという発言をしたとかで、それを菅首相はどう思うのかという質問をしていた。A氏:菅首相は、政府としては、閣議決定して国会に提出したものが政府案であり、所得制限はないという答弁だね。私:それに対して岡田幹事長は民主党の幹部であるし、菅首相は民主党党首であるから、党と内閣の方針は違うのか、と山本議員は、また、しつこく聞くね。 菅首相は、幹事長だから、他の政党との話のすり合わせで、いろいろ意見が出ることもあるだろうと言う。A氏:岡田幹事長が言った、言わないで、貴重な国会審議の時間を10分くらいかけていたね。 それも山本一太議員は、答弁が気に入らないとして、座っている時間が多かった。 その間、議長のデスクに与野党理事が集まり、ガチャガチャやっていて時間は無駄に過ぎていく。私:次に与謝野馨大臣が、自民党の比例区で当選しながら、議員をやめないで、菅内閣の閣僚になったことをいろいろ追及していたが、これはたしか衆議院の予算委員会でも質問があったのとダブっているね。A氏:与謝野大臣が、自民党時代に選挙で民主党を罵ったこ文言を取り上げ、今も、そう思っているのかと、追及していたが、個人の信念だから追及はもともと無意味だね。 選挙の時は、反対政党だった民主党をいろいろ口汚く罵るのは当然だしね。 その過去の細かい発言を洗い出して攻撃するのは子どもだね。私:TPP参加問題は6月に結論をだすというのは、結論が不参加もあるのかという山本議員の質問に、菅首相は、それもあり得るという答弁だ。A氏:山本議員は、外国の会議で菅首相が「第三の開国」と息巻いてきたのに、不参加という結論になったら、外国から嘲笑されるだけではないかと首相の外交下手を批判していたが、山本議員自身は、参加に賛成か、どうかは言っていなかったね。 たしかに、菅首相の答弁はトーンダウンしてきたね。私:それから、竹島問題だね。 韓国の実効支配は「不法占拠」か、イエスかノーかで答えてと山本議員が質問する。A氏:これにはまず、前原外務大臣が出て「法的根拠のない状態で支配されている状態」だと答弁。 おっかけて、菅首相が「外務大臣の言う通り」と答弁し、「不法占拠」かどうかは言わない。 山本議員は、返事にならないとしてまた、質疑中断。 議長が仕方ないので再度、山本議員に質問するように言う。私:そこで山本議員はまた、「不法占拠」かどうかと再質問する。 また、前原大臣と菅首相が同じ答弁を繰り返す。 これを5回くらい繰り返す。 すれ違いで終始する。A氏:国会での質疑応答でなく、TVのバラエティ番組でトリオ漫才もやっているような状態だね。 しかも、この問題は衆議院でも自民党から同じ質問があり、同じ答弁がすでに行なわれているんだね。私:最後に、枝野官房長官が出てきて、国会ではそのような質問に対しては「法的根拠のない状態で支配されている状態」と答弁するように前政権から引き継いでいると答弁。A氏:山本議員は、前政権が自民党政権なら、自民党政権は「不法占拠」と言っているし、外務省のホームページも「不法占拠」となっていると反論。 ところが、山本議員の質問はそれで終りだね。私:菅政権が絶対「不法占拠」と言わないのは、衆議院の討議で分かっているのに、ごねていて、こういう理由で「不法占拠」と言えないのではないかと切り込んだ質問がなかったね。 国会では、外交問題はデリケートな問題なので、山本議員は深入りを避けたのかね。 結局、昼で国会中継が終わる間際まで、俺が見た1時間ちょっとで、実のある議論はゼロだったね。 これが与野党とも日本の政治家のレベルだろうね。 そのせいか、今朝の朝日新聞には山本議員の質疑内容なまったく無視されているね。
2011.03.05
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【送料無料】移行期的混乱 私:日本のGDPが伸び悩んでいることに対して、経団連などの財界は「政府に成長戦略がないのが問題」といい、自民党は「民主党には成長戦略がない」といい、民主党は「わが党の成長戦略」という。 著者は、これに対して「問題なのは成長戦略がないことではない。 成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題である」 と言っている。 日本は経済成長の結果、消費文明、民主主義の発展、都市の膨張、家族形態の変容あるいは崩壊、女性の地位の比較向上、婚姻の選択肢の拡大、出生率の低下となり、日本は有史以来の総人口の減少という成熟した社会の局面を迎えている。A氏:それなのに、経済を拡大するという努力を日本はしているね。私:ひとびとが選んだ民主主義(最大多数の最大幸福)の進展は、それ自体が弱肉強食に向かい、人間が人間らしくという理念はどこかで、自然淘汰が支配する動物の世界に近づいていくと著者は指摘する。 経済成長戦略があれば、経済成長が可能になり、税収が上がり、社会が安定するというのは希望であって、正しい認識ではないという。A氏:希望も語ることも重要だが、同時に人口減少社会に突入した、現在の日本の状況というものをもう一度、冷静に見つめ直してみる必要があるということか。私:著者は、当分の間は、経済成長待望論者による試行錯誤、それによる労働倫理の破壊、格差の拡大などによる「移行期的な混乱」が続くだろうとみているね。 著者は、移行期の混乱の1つに日本人の自殺者の多いことをあげている。 しかも、自殺者は、2000年以降は30歳台に多い。 例えば、2010年に36歳ということは、1974年生まれだ。 青春時代を第2段階の期に迎えている。 自由が拡大していく時代だった。 それが17、8歳になる頃、この第2段階が崩壊する。 第3段階の低成長時代に入る。 そして仕事で脂の乗り切った人生の絶頂で35歳を迎えた年に、リーマンショックが起こり、日本の経済成長は低迷する。A氏:経済も会社も、自分も自然に成長していくという期待感が、裏切られたということかね。私:水野和夫氏も「成長神話の終り」で似たような「時代に裏切れた死をもっての反抗」をあげていたね。 1998年に自殺が急に3万人台になり、以後、同じ状態であることの理由にあげていたね。 俺たちは、子どもの頃は、戦仲、戦後に食うのに精一杯の時代だった。 しかし、濃い互助関係があり、明日の希望があった。 しかし、高度成長時代が終焉したとき30代になった世代は、子どもの頃が、一番、希望に満ちて豊かな生活であったと回想するだろうね。 そして、経済成長の低下とともに、互助的な人間関係でなく、競争関係となり、仕事に追い立てられるような殺伐とした風景が続いていると、30代の人々は感じたのかもしれない。A氏:今後はどうすべきかね。私:著者は、答は今ないという。 それは、これから考えるしかない、という。 日本歴史始まって以来、初めて直面する人口減少の問題だから。 ただ、言えるのは人口増大局面で役立った過去の成功事例は人口減少局面であまり役に立たないということだという。 それを、きちんと認識することが解決への第1歩だという。A氏:「ダウンシフターズ」の高坂勝氏の生き方を連想するね。 1970年生まれの高坂氏も高度経済成長時代に育った自殺の多い世代だね。 経済成長で、皆、豊かになるというように育てられたが、いざ、成長して仕事をするようになると、「下り坂経済」で裏切られ、長時間労働で、自分の時間さえ持てなくなる。 しかし、高坂氏は低成長時代に合わせて、価値観を逆に切替え、30歳で会社をやめ、生き方を変えたね。 個人的には移行期の混乱を乗り切ったことになるね。私:著者は、最後に 「成長の夢から覚めてみれば、今日と同じような進歩も退化もない平凡な明日が続くことは、悲劇でもなんでもない。 それが、新しい時代の幕開けであり、それこそ、わたしたちが望んでいた社会への転換点であったと気が付く時がくるだろう」 とまとめている。
2011.03.04
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【送料無料】移行期的混乱私:この本は「下り坂社会知的街道」の1つとして、図書館から借りた。A氏:この知的街道は「成長神話の崩壊」、「下り坂社会を生きる」、「デフレの正体」、「経済成長という病・退化に生きる、我ら」、「超マクロ展望・世界経済の真実」、「減速して生きる・ダウンシフターズ」、昨日の「日はまた昇るか」と続いたね。私:著者の平川克美氏は「経済成長という病・退化に生きる、我ら」で、すでに日本が下り坂に入っていることを強調しているね。 この本は、その続編だね。 戦後日本の経済成長率は、戦後経済復興期が本格的にはじまる1956年から2008年まで約20年の間隔で大きく3段階に分かれる。 第1段階が56年から73年度までで、この間の平均経済成長率が9.1%。 第2段階が74年から90年度までで、この間の平均経済成長率が3.8%。 第3段階が91年から08年度までで、この間の平均経済成長率が1.1%。A氏:見事に階段状に経済成長率が下って行くね。 「下り坂」というより、下り階段だね。私:そして、その背後にあるのが少子化だね。 これをもっと長いスパンで見ると、日本の人口は、1700年から1850年まで3000万人程度で横ばいだった。 それが、明治維新から急激に人口が増加しだし、2006年にピークに達して、そして、減少に転化したことだね。 これは日本歴史上、今まで経験をしたことがない事態だ。 リーマンショックによる経済停滞は百年に1度だと言っていたが、現在起きていることは、千年以上に1度だ。 新しい問題にぶつかったから、過去のやり方は通用しないと著者は言う。 過去に戻ろうとしても問題が解決する可能性は低い。A氏:「みんなの党」は第2段階の経済成長率3.8%の実績から、4%の経済成長をすれば、消費税アップも不要だと言っているね。 過去の夢にもどろうとしているね。 昨日のブログの「日はまた昇るか」では、ゴードン教授はノスタルジーにひたってはいけないというのと同じだね。私:第1段階時代を見てみよう。 55年当時の勤労者世帯の実収入はおよそ2万900円、消費支出は2万3000円、エンゲル係数44.5%。 それが、20年後の75年には勤労者世帯の実収入は23万6000円と10倍だね。 この間、日本の人口も年平均1千万人の増加だね。 この頃は「労動は苦役」と考えていなかったと思うね。 俺が入社した当時、残業月百時間やる現場リーダーは英雄視された。 機械で指を落としている人はベテランとして尊敬された。A氏:それが、70年代から「消費の時代」となるんだね。私:人々の関心が「いかにして働くか」から「いかにして消費するか」にシフトしていく。 著者は、70年代のコンビニの急成長は、いつでも時間をカネと自由に交換できるとう観念、労働をカネと交換することができるという観念がひとびとの価値観のなかに浸潤していくことになったという。A氏:そして、1980年代には「週休2日制」が始まるね。私:これは「生きることは働くことでなく、遊ぶことだ」ということになり、生産が主題だった時代が終り、消費が主題の時代となるね。 これが、第2段階での一億総中流への変化だね。 そして、安定した十数年後、第3段階のグローバル化時代に突入する。 ところで水野和夫氏は日本を含み先進国の労働者の収入は1997、8年以降、一貫して下降しているという。 これは回復しないという。 基本原因は、グローバル化の影響による原油の値上がりなどによる変動費の増大だ。 価格は上昇していないので、今まで固定費だった人件費を変動費化させ利益を出す。 変動費化した人件費は、生産調整の手段として用いられたのが、2004年の製造業へ労働者派遣の禁止解除だね。 5年後に「年越し派遣村」が起きる背景だね。 そして、金銭に還元されないと思われた親切、もてなし、義務の遂行、贈与なども金銭で測られ、教育、医療、介護といったことまでが商品・サービスとして流通していく時代となる。 明日は、本題の「経済成長という病」に入ろう。
2011.03.03
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私:今朝の朝日新聞の耕論欄で、日本の今後について2人の米国の日本専門家が意見を述べている。 ハーバート大学教授のアンドルー・ゴードン氏は「『戦後の後』のモデル追求を」と題して意見を述べているね。 もう一人はポートランド大教授のケネス・ルオフ氏で「『日本人とは』再定義が必要」と題して意見をのべている。 格差問題も、米国や中国に比較するとすくなくて、日本の格差は上下の差が大きくない社会の中の変化だという。A氏:米国と違い、新自由主義への警戒の声や慎重論があるとしているね。私:両氏とも、日本が「下り坂社会」なっていることを指摘しているね。 ゴードン氏は、高度成長を支えた条件が崩れた後、限界ある状況下でどう生きるかということが、日本が直面する課題だという。 その課題は、先進国共通の課題であり、新興国もやがては直面する問題だという。A氏:少子高齢社会への突入問題だね。 日本は他の国に先んじて挑戦するだけだと言っているね。私:昔はよかったとノスタルジーにひたり、後ろ向きになってはいけないとしている。 日本は、新しい役割を追求すべきだと言っているね。 解決出来れば、他者に知恵を与える位置にいるという。A氏:民主党の菅首相が「元気のある日本にもどろう」というのはおかしいね。 ノスタルジーだね。 「みんなの党」の高度成長期の経済成長率4%維持というのもノスタルジーだね。 まったく新しい課題に直面して解決しようという姿勢がないね。私:ルオフ氏は、相対的にいえば、日本は経済的にも、政治的にも今より小さい国になあるだろうという。 米国や欧州も同様で、中国やインドの台頭が世界のあり方を変え、多くの国を小さくするという。A氏:ルオフ氏は、少子高齢化で労働力が減少する日本が考えなければならないのは、移民問題だという。 日本の国籍は、日本人という人種に基づいている。 これを開かないと移民が日本に定住しないという。 移民にあまり積極でない人も「日本人とは何か」という定義の問題に直面せざるを得ないだろうね。私:両氏とも、「下り坂社会」の日本は、今後こうあるべきだというモデルはしめしていない。 それは日本が課題に挑戦して解決しながら、作るものだとしているね。 問題は、中央の政治がそれに挑戦していないで、ノスタルジーにひたっていることだね。 これを両氏に指摘してもらいたかったね。A氏:ノスタルジーどころか、政局の狭いコップの中の争いに一生懸命なだけだね。私:何か、混沌としてきて、時代の大きな転換期にさしかかっていることを感じるね。 これがある意味、政権交代の効果かね。
2011.03.02
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【送料無料】策謀家チェイニー私:ブッシュ大統領の影にいるが、実は、大統領を操っている人として、新保守主義のチェイニー副大統領がいたというのは、なんとなく知っていた。 写真の風貌から、何か怖さを感じたね。 この本の題名は「策謀家チェイニー」となっているが、原書は「Angler」で「釣り人」という意味で、シークレット・サービスがつけたチェイニーのコードネーム。 チェイニーが、釣が好きなことからつけられたという。 この本では、そのチェイニー副大統領の活動を詳細に追っているね。 500ページを超える大著で、その上、日本人が翻訳書を読むのに苦労するカタカナ人名がメチャクチャに登場する。A氏:やはり、黒幕的な存在だったのかね。私:大体、アメリカの副大統領というのは、明確な仕事があるわけではないようだね。 大統領が健在なときは、暇な存在かもしれないね。 ところが、チェイニーは歴代の副大統領とは、まったく違い、大統領にいろいろな情報が行く前に、必ず、通過するように流れを作った。 決定権は、大統領だが、その影響力は大きいね。 大統領と2人だけで決めることが多かったようだね。 しかし、いろいろな会合に出ても、押し付けはあまりなく、よく意見を聞くほうだったという。 官僚の仕組みも良く知っていて、上層部でなく、下の実務者に直接、情報をとることもあったという。A氏:まさに政治主導だね。私:しかし、現実主義者であるとともに、新保守主義という理念が一貫しているね。 成功者は努力したのだから報われるべきであるという考えだね。 地球温暖化よりも経済成長だね。 「小さい政府」論者だね。 ブッシュ政権での富裕者の減税はそれを示しているね。 その保守主義はアメリカには根強く、オバマ政権でも、これをいまだに廃止できないね。私:9.11のテロのとき、チェイニー副大統領は、ホワイトハウスにいて、4機目がワシントンの方向に向かっていたとき、地下壕に移動した。 当時、大統領はフロリダの小学校にいた。 そのとき、4機目を撃墜せよとか、指揮をとったのはチェイニー副大統領だった。 憲法ではその権限はないのだという。 そして、現代民主国家アメリカにおける権力の仕組みを知り尽くし、その知識を私利私欲でなく「国を守る」という強い信念のために、場合によっては世論や民意から「ダース・ウェイダー」と呼ばれながらも、一貫して行動しているね。A氏:イラク戦争開戦も関係しているのかね。私:イラクが大量破壊兵器を開発し、アルカイダと関係しているという情報を信じていたようだね。 テロから「国を守る」という観点からは、疑わしいことは徹底的に抑えるべきだという発想かね。 彼の側近は、テロ防止のため「国内盗聴」を可能にするため、夜中の病院に押しかけ、病床にあって意識朦朧としている司法長官の署名をもとめて、手にペンを押しつけんばかりにする。A氏:グアンタナモ収容所の問題をチェイニーがからんでいるのかね。私:「テロリストは戦争捕虜の扱いを受ける権利がない」とチェイニーは言っていたという。 ジュネーブ条約は「古くさい」と一蹴される。 そして、「国を守る」には、捕虜からテロ情報を引き出すことだ。 それには被告の権利を認めるアメリカの法が問題になる。 ところが、グアンタナモは、アメリカがキューバから永久租借したと言っているが、キューバは認めていない。 つまり、グアンタナモにはキューバ法もアメリカ法も国際法も適用されない、というわけだね。 「拷問」も正当化されるように動く。A氏:それで捕まったテロリストは何故、グアンタナモに収容されているのか分かったよ。私:しかし、ブッシュ大統領の2期目でイラク戦争が泥沼化すると、人気が次第に落ちるね。 チェイニーも同様だね。 捕虜の扱いも、イラク戦争で裸にされたイラク兵の捕虜の写真ですっぱ抜かれてから、たちまち国際的な問題となるね。A氏:オバマ政権に対して、チェイニーはどう思っているだろうね。私:この本はオバマ政権になる前のものだが、訳者は「オバマのやり方はアメリカをテロ攻撃の危険にさらすものだ」とチェイニーは警告しているという。 しかし、「自由の国アメリカ」を守るためにチェイニーが推し進めた盗聴や拷問容認を、アメリカのリベラルは「国を守るためと言いながら、アメリカを『自由の国』たらしめている国の理念、この国の道義を損なった」と批判し続けているという。A氏:オバマ大統領は就任当時「グアンタナモは閉鎖する」と宣言していたが、まだ、閉鎖されていないね。私:訳者は、あとがきで、「国民の安全と世界の平和を守るためにはアメリカは強くなくてはならない」というチェイニーの政治思想は、右と左とを問わず、多くのアメリカ国民が共有する考えだとしているね。 いずれにせよ、この本を読むとアメリカの政治家は層が厚い。 そうしてチェイニーのような「策謀家」が多くいる。 それと比較すると、日本の政治家はまさに鳩山由紀夫元首相に代表されるような「お坊ちゃん」政治家が多いね。 こういう人が、沖縄基地県外移転などという交渉をアメリカの政治家相手にするのは相当ハンディがあるね。 アメリカにとっては赤子の手をひねるようなものだね。 鳩山氏の「抑止力は方便だった」というのは正直な敗戦の弁だろうね。 つくづくそう感じたね。 「日本海海戦」を読んだ後だが、明治の政治家と最近の政治家はレベルが違うように感ずるね。 これから、この力の差から日米関係はどうなるのかね。
2011.03.01
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