アラ還の独り言

アラ還の独り言

2020年11月27日
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カテゴリ: 文献発表
横浜市立大学は Science Repor tに論文を投稿しました。(Science Reportは査読雑誌ではありません。)
タイトルは”The impact of smoking on male lower urinary tract symptoms (LUTS)”です。
10,000人の男性にネットで喫煙状況と下部尿路症状を検討したものです。

タバコを吸ったことのない人は下部尿路症状を訴えた人は少なかったですが、喫煙中と禁煙した人手は高くなっていましたが、喫煙中の人と禁煙した人での下部尿路症状を訴えた人の割合は禁煙した人でした。

下部尿路症状は加齢に選って増える事がしられています。 ガイドライン では下部尿路障碍を治療対象として見いだすのは50歳以上の男性だけになっています。

今回のデータがある程度の真実を満たしているのならば、診断対象を50歳以上としたガイドラインは改定する必要があります。

加齢によって下部尿路症状が増えているかを見た 文献 では20歳代が全ての症状において症状が少なかったことが示されています。

信頼度が高くない雑誌に投稿された文献とはいえ、若い年代ではタバコを吸うと、下部尿路症状が増えて、しかも禁煙するとかえって下部尿路症状がふえるという結果は衝撃的なものです。



プレスリリース から引用


タバコが悪者になっている病気は多々ありますが、禁煙することによって(禁煙期間が問題になりますが)病気は改善して、ある程度寿命を取り戻せると、禁煙論者は主張しています。

今回の下部尿路症状に関しては寿命にはあまり関係ありませんが、QOLには大きく影響します。失禁があると外出はおっくうになります。頻尿も同じです。

これは、横断的コホート研究(1時点でデータを集めて判断している)ので、なにかのバイアスや試験方法のミスで間違った結論が導かれているかもしれません。

想定される原因は論文でも触れられていますが、まずは他の薬に関して調査を行っていないことです。ガイドラインにも下部尿路症状が副作用と報告されている薬が列挙されています。総合感冒薬も含まれていますが、総合感冒薬は長期間のみ可能性が少ないことから候補から外れるかもしれません。

精神用薬や抗不安剤なども上げられていますが、20代での使用率が高いとは思いません。

統計方法もMann–Whitney U test とスピアマンの相関係数を求めているだけなので、ちょっと難しい。症状を点数化しているので、背景因子を要因として解析し、喫煙あるいは禁煙が要因として有意であるかどうかを検定すべきかとも思います。ただし、年齢がふえると単調に増加するかは先ほど上げた文献ではそうなっているので、そのままにして禁煙あるいは喫煙が症状をどれぐらいふやすかを検討する方法もあると思います。

まあ、なにか若い人でバイアスが入ったのではないかと考えられます。ガイドラインではこの年代の下部尿路症状は問題にしていないぐらいですから。しかし、こういった固定観念が病気を見逃している可能性があります。

喫煙と下部尿路症状の関係を基礎的に研究すると述べられていますが、今までの若い人を何故のぞいたかの文献考察もあって良かったと思います。





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最終更新日  2020年11月27日 13時41分21秒
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