アラ還の独り言

アラ還の独り言

2021年01月08日
XML
カテゴリ: 哲学
高血圧は血圧を下げると心血管障害で死ぬ可能性が低くなることが、大規模なコホート研究でで確かめられています。

ただし、血圧を下げるために用いられた薬剤は利尿剤とカルシウム拮抗剤です。

また、未治療のコホートから血圧がどれぐらい上昇すると心血管障害で死ぬ可能性が高くなるかも計算上出ています。

データで見ると血圧が低いほど心血管障害で死ぬ可能性は低くなっています。しかし、心血管障害で死んだ人の数は110mmHgの層で一番多くなっています。これは母数がこのあたりの血圧を持っている人が最も多いからです。言い換えると可能性は低くなりますが、心血管障害で死ぬ可能性は0にはならないからです。

日本では心血管障害で死ぬ人の総数は減っています。日本は世界で有数の平均寿命が長い事で知られています。高血圧は4000万人ぐらいいて、そのうち1000万人ぐらいは診察も治療も受けていない。この人たちに治療を施すことで、心血管障害で死ぬひとが減らせると言っている専門家が多いですが、これは製薬会社に利益を与えるだけとしか見えません。

細かく見ていけば、 高血圧治療により心血管障害が減るかもしれませんが、(実際には減らないと考えています。)平均寿命から考えるとそろそろ女性では伸び悩んでいることから、そんなレベルの話では無いと思います。

表題と違うと声がとんできそうです。前書きで高血圧は下がると減るという話で実はにしようと思ったのですが、高血圧の話をすると止まらなくなりました。

もうひとつだけ付け加えると、高血圧の薬は某武田製薬工業を除くと国内メーカーでは利益を上げる分野ではなくなっています。だから、「利益を与えるだけ」というのは「利益を与えて、見返りを期待している」ということです。見返りを渡すことを考えるような製薬会社はいません。(ここは言い切ります)

で、糖尿病の話です。

糖尿病が心血管病のリスクファクターである事はだれも疑いません。データもあります。

しかし、 血糖値を下げても心血管病の可能性は低くなりません。これも試験を行ってデータで確認されています。

じゃあ、糖尿病の一次予防(病気にならないように生活習慣を改める)と言うことになるのですが、そう考えない人もいます。それが、今回紹介しようと思った文献です。
A cardiovascular disease-linked gut microbial metabolite acts via adrenergic receptors
Nemet I et al. Cell 2020;180:862-77.
です。
この人たちは、糖尿病は代謝異常と考えて、糖以外の代謝物に目をつけて研究を行っています。
その結果心血管病に関連する糖尿病で特有の代謝物を発見したということです。

この物質はフェニルアセチルグルタミン(PAGln)です。この血中濃度が高い人は明らかに心血管イベントが高いことをコホート研究(観察期間3年)で明らかにしています。

この物質は腸内細菌叢で作られる化合物であることは、抗生物質を投与した人でのフェニルアセチルグルタミン(PAGln)が低下することから裏付けられています。

この著者の結論では 糖尿病→原因不明→フェニルアセチルグルタミン(PAGln)を作る腸内細菌の増加→循環血液中のPAGln増加→血小板の交感神経を活性化し、血栓形成→心血管障害
との仮説を提出しています。

普通の腸内細菌ではフェニルアラニンをフェニル酢酸にする細菌が優性でフェニル酢酸は門脈に取り込まれず、糞便中に排泄されます。

血小板の交感神経を活性化することが問題である事から、βブロッカーが効果があるのではと提言しています。

βブロッカーはかつては高血圧によく使われていましたが、最近はあまり使われていません。
糖尿病が腸内細菌叢に影響するのか、腸内細菌叢が糖尿病を引き起こし、さらに心血管障害を引き起こすのかに関しては今のところ誰も確かめていません。

薬剤費を減らして食品で一次予防を行うためにこの文献はとっかかりになるのではないでしょうか。


高血圧に関しては以下にまとめて書きました。
保険財政改善への提言。高血圧症治療の降圧剤は保険適用対象を絞るべき





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021年01月08日 14時25分23秒
コメント(0) | コメントを書く
[哲学] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: