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それにしたって、まさかコイユールがアレッチェに療法を施している姿を見ることになろうとは。
アンドレスは、どうにも拭い去れぬ重苦しい思いを胃の辺りに覚えながら、心の内で独りごちた。
(やると決めた以上、コイユールも従軍医も、本気で取り組むだろう。
それに、トゥパク・アマル様のことだから、ただコイユールたちに任せっぱなしということはないはずだ。
トゥパク・アマル様ご自身も、アレッチェの回復を促すために、さらなる方策を何か考えているかもしれない。
そんな皆の力が結集して、もしアレッチェが本当に一命を取り留めたとしたら――。
だとしても、こんな酷い火傷や怪我を負ってしまっては、重大な後遺症が残ることは避けられまい。
アレッチェのこの包帯の下は、一体、どうなっているのだろうか…)
アレッチェの体に巻かれた厚い包帯に手を添えて、懸命に意識を集中し続けているコイユールの真剣な横顔を見守りながら、アンドレスは固唾を呑んだ。
(もともとアレッチェは、表情こそ残忍できつかったが、精悍とも見える西洋人らしい整った顔立ちをしていたし、遠目からも人目を引く立派な体躯の持ち主でもあった。
戦場での動きを見る限り、運動神経もかなり優れていた。
それらが失われたら、たとえ生き残ったとしても、かえって荒(すさ)んだ状態になりはしないだろうか。
プライドの異常に高いアレッチェに、そのような自分自身が受け入れられるのだろうか……)
◇◆◇◆◇ ご 挨 拶 ◇◆◇◆◇
いつもご来訪くださり、また、温かい応援やコメントなど、本当にありがとうございます。
先週はパソコンの不調により予告なくお休みさせて頂き、申し訳ございませんでした。
現在は修理中のため、予備のパソコンを使用中なのですが、簡易版のPCなので色々と制約があり、早く通常のパソコンが復旧してほしいです@@。
いよいよ新年度となり、新緑や花々が美しい季節となりました。
全ての皆さまにとりまして、清々しい素敵な日々でありますようお祈りいたします。
【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆
≪トゥパク・アマル≫(インカ軍)
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。
≪アンドレス≫(インカ軍)
トゥパク・アマルの甥で、インカ皇族の青年。
剣術の達人であり、若くしてインカ軍を統率する立場にある。
スペイン人神父の父とインカ皇族の母との間に生まれた。混血の美青年(史実どおり)。
ラ・プラタ副王領への遠征から帰還し、現在は、英国艦隊及びスペイン軍との決戦において、沿岸に布陣するトゥパク・アマルのインカ軍主力部隊にて副指揮官を務める。
≪コイユール≫(インカ軍)
インカ族の貧しくも清らかな農民の少女。義勇兵として参戦。
代々一族に伝わる神秘的な自然療法を行い、その療法をきっかけにアンドレスと知り合う。
アンドレスとは幼馴染みのような間柄だったが、やがて身分や立場を超えて愛し合うようになる。
『コイユール』とは、インカのケチュア語で『星』の意味。
≪ホセ・アントニオ・アレッチェ≫(スペイン軍)
植民地ペルーの行政を監督するためにスペインから派遣されたエリート高官(全権植民地巡察官)で、植民地支配における多大な権力を有する。
ペルー副王領の反乱軍討伐隊(スペイン王党軍)総指揮官として、反乱鎮圧の総責任者をつとめる。
有能だが、プライドが高く、偏見の強い冷酷無比な人物。
名実共に、トゥパク・アマルの宿敵である。
◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆
目次
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コンドルの系譜 第九話(1122) 碧海の… 2016.10.25
コンドルの系譜 第九話(1121) 碧海の… 2016.10.17
コンドルの系譜 第九話(1120) 碧海の… 2016.10.10