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かぐや姫はまだすやすや眠ってる。
可愛い寝顔を見られるのも今日が最後か。
カーテンを開けると、朝日が彼女を照らす。
眩しそうに顔をくちゃくちゃにして
伸びをしている。
子猫のようだね。
その姿が僕には太陽より眩しいよ。
君が目を開けたら、最初に見るのが僕でありたい。
初めて見たのが親だと刷り込まれるひよこのように。
月から来て、最初に僕を見たから付いてきたのかい?
でも、いろんな人に会っても心変わりしなかったよね。
僕のために降りてきたと言った君の言葉を信じているよ。
「おはよう・・・。」
まだ寝ぼけまなこで、声もあくび交じりだよな。
「おはよう。早く起きて支度しなくちゃね。」
ハッパをかけて、彼女を抱き起こす。
驚いたのか、目を見開いて僕を見つめた。
首に手を回し、抱きついて耳元でささやく。
「起き上がらせて。」
ドキッとしたが、冷静なふり。
「しょうがないなあ。」と
お姫様抱っこでベットからおろす。
最後まで甘えて惑わすんだ。
まあ、いきなりよそよそしくなっても嫌だけど。
朝食を食べたら、お弁当作り。
昨日の残りものを詰めて、
散らし寿司もおにぎりにした。
それとお菓子を持って、展望台へ出かける。
まるで小学生の遠足のようだ。
山の上というから、結構歩きそうだな。
秋と言っても、まだ暑いけど、
山に入ると結構涼しい。
木々を揺らす風が、僕達を包む。
木漏れ日が彼女の顔に当たってキラキラしている。
涼しいとはいえ、歩き続けてると汗ばんできた。
「疲れないか?」
自分のことを棚に置き、彼女に聞いてみる。
「大丈夫よ。あなたこそ、もう疲れたの?」
挑戦的な口ぶりだ。
「そんなことないよ。まだまだ歩けるさ。」
と言いながら、日頃の運動不足で少し足が重い。
彼女は軽い足取りで、さっさと前を歩いてくのだ。
まさか僕から休憩しようとは言い出しにくいしなあ。
それを察したのか、急に振り向いた。
「お弁当どこで食べる?」
山道だから、食べるところはない。
やはり頂上まで行かないと駄目かな。
そこまで行くには時間がかかりすぎるか。
迷って答えられないうちに、
「ここで食べましょうよ」
いきなり山道に座り込む彼女。
いつも突拍子もないこと言い出すんだよな。
「ここは道の真ん中だよ。」
あきれ声になってしまった。
それでも動かないから、ここで仕方ないか。
「通行の邪魔になるから端っこにしよう。」
シートを小さく折りたたんだまま、
二人で並んで座る。
行楽日和なのに、なぜか人が通らない。
安心してお弁当を食べだしたら、
熟年の夫婦らしきカップルが通った。
微笑ましいと思われたのか、
笑って会釈された。
こちらも会釈して返す。
あんな年まで一緒に連れ添えたらよかったのに。
彼女を見ると、黙々と食べている。
まるで自分が地球にいた痕跡を残さないでおこうとするかのように。
僕もそんなに食欲ないけれど、無理して食べてしまった。
彼女が作った料理だけが目の前にあるなんて耐えられないから。
処分すればいいのだろうけど、
手作りを捨てるのは忍びないよな。
うちにある彼女の服や香水はどうしよう。
僕に捨てられるのだろうか。
出来たら
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