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童話「ベラのペンダント」17です。
良かったら、最初から読んでみてくださいね。
童話「ベラのペンダント」1・2
です。
テレサは、スコッチ家に使いを出し、ベラに母ライザの存在を伝えた。
ベラは驚きながらも、喜んでマリア教会に飛んできた。
「お母さん、殺されたと聞いてたけど、生きててくれたのね。うれしいです。」
「ベラ、今まで会いに来れなくてごめんなさい。」
「記憶喪失だったんでしょ。今も思い出せないの?」
「なんとなく娘が居たというおぼろげな記憶ならあるのだけど。」
「それだけでもいいわ。今から思い出を作りましょうよ。」と明るく振る舞うベラ。
「そうね。でも、王妃に見つからないか心配なの。
あなたまで命を狙われないかと。」とライザは暗い目になる。
「本当にそれが心配よね。早くいい隠れ家を見つけないと。」とテレサも言う。
「王妃になんか負けないわ。今は王様もロザリーも私も味方ですもの。」と強気なベラ。
「そうは言っても、王妃がその気になったら、誰も止められないわ。
私の時だって、王様は知ってたら止めようとしてくれたはずだけど。」と言いながらライザは遠くを見つめた。
「王様は本当に知らなかったみたいよ。私が言ったらびっくりしてたもの。
王妃はまだ私がお母さんの娘だとは知らないと思うけど、
会うと凄い目つきで睨まれるの。もしかしたら、知ってるのかも。」
「やはり心配ね。もう王宮に上がるのは止めにしたら?」
「それはできないわ。ロザリーは可愛いし、王様にも会いたいの。」
「私も王様にお会いしたいけど、叶わないわよね。」と淋しげなライザ。
「大丈夫よ。私に任せておいて。」とベラは俄然張り切りだした。
やっと会えた母の為、自分にできることが見つかったのだ。
「無理しないで。王様には会いたいけど、あなたを危険な目に遭わせたくないの。」
「平気。お母さんの為だけでなく、王様いえお父様のためにも会って欲しいのよ。」
「ありがとう。そこまで言ってくれるのなら、会わせて貰おうかしら。
でも、決して危ない真似はしないでね。それだけが心配だわ。」
「私ももう子どもじゃないのよ。信じてね。」とにっこり笑うベラ。
お互いを思い合う母子をテレサは微笑ましく眺めていたが、やはり一抹の不安はぬぐい切れなかった。
「ライザが王宮に行くのは危険だわ。王様にお忍びで来てもらうと言うのはどう?」とテレサが提案した。
「テレサ、それはいい考えね。でも、どこに来てもらおうかしら。
ここは王妃に目を付けられてるしね。王宮の裏に使われてない庭園があったはず。
なんて、だんだん思い出してきたわ。」
と不思議そうに頭を抱えるライザ。
「私のことも思い出してほしいな」とベラが切実に言う。
「ぼんやりとだけど思い出してきたみたい。
赤と青のおくるみにつつまれた赤ちゃんが見える。
それがベラ、あなたなのかしら。」とベラを見つめるライザ。
「そうよ。そのおくるみはまだ持ってるもの。思い出してくれたのね。」と抱きつくベラ。
「謝らないで。はっきり思い出せなくても、あなたが私のお母さんということだけははっきりしたのだから。」
「そうね。それだけでも思いだせて良かったかしら。
ともかく王様と逢う場所を決めないとね。
その使われてない庭園が今はどうなってるか調べてくれる?」
「わかったわ。ロザリーや王様に訊いてみる。」
「くれぐれも王妃には気を付けてね。」
「安心して、お母さん。こう見えて私はうまく立ち回れるのよ。」
「ならいいけど。私は不器用だから、誰に似たのかしらね。」
「きっと王様ね。」と二人で笑い合った。
テレサも思わず一緒に笑ってしまったが、
心から笑える日は来るのだろうかとも思ってしまった。
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