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今年も大みそかになってしまいましたね。 私はこの時期の私の勤めとして、昨日から黒豆を煮ておりました。二日がかりで煮るんですけど、必ず一回はふきこぼすというね。でも、なんとかおいしい豆が煮えました。 さて、去りゆく2010年という年。私にとってどういう年であったか。 仕事上の飛躍を祈念してスタートした年ではありましたが、なかなか思うようには行かず、そちらの方面では大分やり残してしまいましたねえ。その反面、半年の休暇を取ったことで、色々と新しいことにチャレンジ出来た年でもありました。生まれて初めて四国の地を踏み、またアメリカ東海岸でひと月ほど過ごしたこともいい経験でした。 しかし何と言っても、今年のハイライトは八光流柔術の道場に入門したこと。これで健康面で著しい改善が見られましたし、武道を極めるという新しい目標も定まって、生活全般が変わりました。これが私の中では大きかったですなあ。 ということで、成果と宿題と、両方あった年でしたが、それでも面白い年であったことは確か。ということはいい年だった、ということでしょうね。 さて、来るべき2011年はどういう年になるか。出来れば、今年やり残した仕事を片付けて、さっぱりしたい。これが出来れば、上出来でしょう。今年の目標はその辺に置いて頑張ります。 皆さんの2010年はいかがでしたか? いい年でしたでしょうか。 2011年も本ブログにて日々の生活を綴って参る所存ですので、ひとつ、よろしくお願いいたします。 それでは、今年最後の「お休みなさーい」!
December 31, 2010
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今日は年末の私の楽しみ、新宿・京王百貨店の古本市に行って参りました。 が、その前に腹ごしらえ。ということで、新宿3丁目・伊勢丹の隣のビルの地下にあるフランス料理の「クレッソニエール」へ。 ネットで見て良さそうだったのでここを選んだのですが、なかなか良かったですよ、このお店。1,000円のワンプレート・ランチをいただいたのですが、今日の料理はラム肉の煮込み。これにバターライスとパンが添えられたものがメインで、この他にサラダ、スープ(今日はジャガイモのスープ)、それにデザートとしてパンプディングとコーヒーがついてこの値段ですから、コストパフォーマンスとしてはバッチリ。料理自体も、おいしかった。ただ人気店のようなので、昼時には並ばなくてはなりませんし、テーブル間も狭いので、落ち着ける店ではありません。人知れぬ穴場、という感じではないですね。しかし同じビルに結構色々なレストランがあるので、ここへ来れば食事はなんとかなりそうです。 さて、その後、家内は Forever 21 へ、私は新宿駅に戻って京王百貨店の古本市へ。 デパートで開催される古本市の中では、割と好きなんです、京王の奴が。特に、年末のこの時期にやるというのがよくて、「煤逃げ」と称して毎年楽しみにしておりましてね。 で、いつも言うことですが、古本市に参戦する時の極意は、とにかく最初の5分以内に何はともあれ1冊買うこと。これが古本の神様への貢物でして、これをやると運が付く。 ということで、最初の5分で池田満寿夫の『私のアメリカ』というエッセイ集を見つけてゲット。これ、実は既に持っている本ではあるのですが、私が持っているのは箱なしですからね。今回見つけたのは箱付き・初版、しかもサイン本、それで1,000円ですから、買わずにはおられんじゃないですか。 で、この貢物が奏功したのか、今日は割と収穫がありました。ジャズ系の本やら、八ヶ岳系の本やら、あれこれゲット。予想通り、楽しい年末の古本市となりました。家内の方は収穫なしだったようですが、再合流して一緒に帰って参りました。 かくして帰省一発目のお楽しみを堪能した私。明日はとうとう大晦日ですが、とりあえず年越しの買い出しなどがありますので、あわただしくも賑やかな一日となりそうです。その辺の話は、また明日、ということで。それでは皆さま、お休みなさーい。
December 30, 2010
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ひゃー、無事、実家に到着しました~。これからしばらく東京からのお気楽日記でございます。 今日は1時半ころ家を出て、途中、「ラパンシェリ」という、めちゃくちゃおいしいサンドイッチ屋さんで遅めのお昼をいただき、その後東名を疾走。途中焼津の辺りで軽い渋滞がありましたけれど、30分ほどで解消。7時頃には実家に到着~。 で、後は両親と姉の一家と合同でわいわい騒ぎながら食事をしたり、つもる話をしている間にこんな時間になってしまいました。 ということで、今日のところはこれ以上ネタがありませんので、おしまいです。明日はとりあえず一発目の冒険をやってくる予定ですから、そのお話をさせていただきましょう。 それでは皆様、お休みなさーい!
December 29, 2010
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年末も押し詰まった今日、朝も早よから緊急の講座会議があるというので、何かと思ったら英語教育関連のビッグ・プロジェクトでお金が余ってしまって、これをどうやって使うか、という議題でした。 で、どのくらいの額なのかと思ったら、日本の平均的なサラリーマンの年収くらいの額だというではありませんか。それを適当にぱあ~っと使っちまおうというのですから、私思うに、お金が余ったとかそういう問題ではなくて、倫理的にどうなんだと。世の中にはお金に困っている人がいくらもいるというのに。 要するにね、小学校英語導入の大混乱のしわ寄せで、これをテーマにプロジェクトを建てるといくらでも予算がつくんですな。しかし、ついたところで、実際にはそれほど使い道がない。しかし「余りました」と報告もできないので使い切るしかない、という構図なんですわ。文科省が馬鹿なのか、うちの英語教育系の人たちがどうかしているのか。 で、結局、連中が出してきた案というのが、既に何回か行ったシンポジウムなどでとったアンケート結果などを集計して冊子を作ろうと。そんな冊子、作ったところで誰も読み返さないだろうに、そんなのを数千部、業者に丸投げで100万とか、そんな大雑把なことをやろうとしているというね。 ま、今年度は仕方がない。しかし、来年度はこんな馬鹿なことは私が許しまへん。まあ、お金ってのはこうやって有効に使うんだってのを、私が彼らに見せてやりましょう。 それはさておき。 何はともあれ、ようやっと冬休みに入りました~。ということで、明日は東京に帰省しまーす。明日はとりあえず実家に帰り、その次の日は新宿の京王百貨店の古本市に行って、その次は大晦日だから黒豆を煮て・・・と、イベント盛りだくさん。姉の一家も同時に帰省しますから、実家は大所帯になります。賑やかでいいですわ。 ま、例年通り、今年も卒論指導は年を越してしまいそうですが、そろそろゴールも見えてきたし、とにかく年末・年始は楽しまなくちゃ。 それでは皆様、明日の道中の無事を祈っていて下さいね~。お休みなさーい!
December 28, 2010
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今日の読売新聞の朝刊に、橋本大二郎・前高知県知事のインタビュー記事が載っておりまして、それを読んだら、ふうむ、と頷くところがありました。 6月に四国をクルマで一周したんですが、その時痛感したのは、四国の道路事情の厳しさ。特に高知県は高速道路もとぎれとぎれで、道路整備が十分進んでいないことを窺わせるものでした。 でまたこれが山間部になりますと、一車線の細い道路が多く、クルマがすれ違うのも大変・・・ ・・・なんですが、そこは上手く出来ていて、一車線の道路のところどころに待避所が設けられている。で、その待避所を利用すると、割とスムーズに行き交うことができるんです。 で、その橋本・前高知県知事のインタビューによると、このあちこちに待避所のある「1.5車線道路」は、橋本さんが知事の時代に作ったものだ、というんですね。 ところが、当初、国は「安全基準を満たしていない」とかいって、なかなか国道に待避所を作らせてくれない。そこを橋本さんがゴリ押ししたところ、ようやく国も「じゃあ、地方の財源使って勝手にやれば」と丸投げしてきた。で、橋本さんはこれを受け、「もちろん勝手にやらせてもらいますとも」という感じで1.5車線道路を作ったんですと。で、これが慣例となって、高知県のみならず、四国各地の狭い道路に待避所が作られるようになった、と。 要するに、地方には地方の事情があるので、国の基準ではなく、地方の基準で自由にやれるようにするのがよろしと、橋本さんはそう主張なさっているわけ。 ふーん、四国のあの待避所付きの道路の背景には、こういう事情があったわけね・・・。実際にその1.5車線道路を自分のクルマで通り、その有効性を確認しているだけに、知事としての橋本大二郎さんの業績がなかなかのものだったということを、私は認識したのでございます。 それはさておき。 「四国つながり」というわけでもないのですが、最近我が家の近くに讃岐うどんの店が続々と出来まして。現時点で2軒あるのですが、今、別なお店が建設中。もう讃岐うどん屋さんだらけになりつつある。 ということで、今日の昼は、そんな讃岐うどんの実力を試してみようということになり、そのうちの一軒に行ってみることにしました。「釜揚げうどんの製麺大学」というお店なんですが。私も一応、大学教授ですからね。他大学の様子を伺おうというわけです。 で、このお店のシステムは、いわばキャフェテリア式でありまして、まずお盆を取り、メインの品を注文。それを受け取った後は、ズラリと並んだサイドメニュー(各種天麩羅など)を好きなだけとって、そのままお会計。その後、ネギやショウガやゴマなどが置いてあるところで適宜それらを乗っけ、空いている席に座って食べると。そういう具合でございます。 で、今日食べたのは、私が基本に忠実に「釜揚げうどん」の大(380円)に掻き揚げ(130円)プラス、家内はぶっかけうどん(280円)に竹輪天麩羅(100円)プラス、という布陣。二人で890円ですから安いものです。 で、お味の方はと言いますと、うーん、ま、こんなものかと。目玉が飛び出るほどではないですけど、普通においしかったです。家内は私より高く評価していたみたいですけどね。 だけど、ちょうど時分どきに行ったこともあって、けっこうな賑わいでした。客層は老若男女。家族連れあり、サラリーマン連れあり、おじいちゃん&おばあちゃんのカップルありといった具合。あと多かったのは、おじいちゃんの一人来店。確かに、おじいちゃん一人のお昼なんて、ぶらっとこういうところに来て、280円のうどんでも食べればOK、という感じですよね。 ということで、我ら夫婦も、簡単に昼を済まそうなんて時はここへ来て食べてもいいかな、ということを確認したのでありました。いや、今度は別な店に行って、味比べをするのもいいかも知れませんね。 でも、どうせ讃岐うどんの店を作るなら、もうひとつの香川県名物、「骨付き鶏」もサイドメニューに置いてくれないかな~!
December 27, 2010
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「今年を振り返る」シリーズ第三段! 今日は「今年見た映画ベスト10」を発表しましょう。あ、ちなみに「今年見た」というのは、必ずしも「今年封切られた映画」という意味ではありませんので、あしからず。さて、まずは第10位から。第10位:『セックス・アンド・ザ・シティー』第9位:『シャーロック・ホームズ』第8位:『主人公は僕だった』第7位:『アイアンマン2』 ま、ここまではどうでもいいですね。第6位:『マイレージ、マイライフ』 ジョージ・クルーニーがさがないサラリーマンの生活を熱演。割と好きです。第5位:『第9地区』 妙にインパクトのある映像が印象に残るこの映画。南アの貧しさも背景に。第4位:『インセプション』 人の夢に入りこむという、誰でも思い付きそうな、しかし案外これまで映画化されなかった企画を実現したところを評価。第3位:『レスラー』 ミッキー・ロークが落ちぶれたレスラーを好演。ローク復活の足掛かりとなった映画。第2位:『This Is It』 これ見て、やっぱりマイケルは一廉の人物だったと実感。惜しい人を亡くしました。 そして栄えあるナンバー1は・・・第1位:『イングロリアス・バスターズ』でーす! この映画、実は昨年末に観たのですが、その前に昨年見た映画のベスト10を発表してしまったので、今年の分に組み込ませていただきました。 それにしてもこれ、助演男優のクリストフ・ヴォルツの名演が素晴らしい。演技だけであれだけ人を魅了する俳優なんて、ここ最近居たでしょうか。まだご覧になっていない方は是非! ちなみに、ワーストも発表しておきますと・・・第3位:『アバター』第2位:『サロゲート』第1位:『ソルト』 でした。特に『ソルト』の製作関係者の皆さんは、頭を丸めて反省するように。 さて、来年はどんな映画に出会えるのでしょうか。このところ洋画の話題作が乏しいようですが、来年は頑張ってもらいたいものです。
December 26, 2010
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さーて、今日は「今年を振り返るシリーズ」第二弾! 今年買った様々な商品、食品、行ったレストランなどの中で特に印象的だったものを番付形式でご紹介しましょう。まずは横綱から。横綱:Bo Concept の伸縮式テーブル これは今年買ったものの中で最高値だったもの。すごく気に入って買ったものですし、今後長く使うことになると思うので、迷うことなく横綱に推挙。北欧デザインがす・て・き!大関:SHARP の空気清浄機「プラズマクラスター7000」 カタログ見て買ったので、最初家に届いた時は、結構な大きさに「でかっ!」と思ったのですけど、その後使用するほどに、「これ、結構効いているんじゃないかな・・・」と信頼が増すばかり。花粉の季節や風邪の季節に、頼もしい相棒です。ブラック:4974019685960 ホワイト:4974019685977【期間限定!ポイント10倍!】【送料無料】[...価格:48,800円(税込、送料込)関脇:手袋 今年の冬は久しぶりに手袋を買った年として記憶されるでありましょう。通勤&おしゃれ用に家内からプレゼントされたアクアスキュータムの手袋、そして夜のウォーキング用に買ったユニクロの手袋。どちらも活躍中です!小結:ボストンはイタリア人街、モダン・ペイストリーの「カノーリ」 9月に滞在したボストンで一番はまったのが、「カノーリ」というお菓子。これがいずれ日本でもはやることを希望します。うまいよ!前頭筆頭:名古屋市名東区貴船のベーカリー、「Beck」のコルネパイ これもまたお菓子ですけど、今年はこれが気に入ってよく食べました。皮はサクサク、中のカスタードは芳醇。絶品です。お近くの方はぜひ!前頭2枚目:名古屋・覚王山のフレンチ・レストラン「La Plume」 ここは今年発掘したレストランの中では一番でしたね。特に夜のメニューがお得。ボリュームもたっぷりで満足できます。前頭3枚目:四国・愛媛のミカン「美生柑」 ミカン好きの私もビックリの美味。ミカンともグレープフルーツとも違う、何とも爽やかな甘さが魅力。四国におられる恩師から送っていただいたありがたき味でした。別名「夏ぶんたん」「河内晩柑」「サウスジューシーフルーツ」!おひろめ限定価格♪★[送料無料...価格:1,680円(税込、送料込)前頭4枚目:ユニクロ ウルトラライト・ダウンジャケット 何しろ軽い! 冬場の道場への行き来に活躍しています。前頭5枚目:カルディ・コーヒーの「チョコレート・マカダミアナッツ」 いつものコーヒーに飽きた時、変わり種コーヒーとして重宝しました。 前頭6枚目:Cafe ZARAME のドーナツ「ホワイトショコラ」 もともとは岡崎のカフェZARAME が覚王山にも出店。ここで売っているドーナツ、その中でも「ホワイトショコラ」は絶品です。前頭7枚目:エバラ「坦々ごま鍋の素」 最近食べた鍋物の中で、印象に残りました。これ、かなりイケます。 「エバラ 坦々ごま鍋の素 300ml」鶏がらだしをベースに、風味豊かなねりごまを加えて、豆板醤...価格:329円(税込、送料別)前頭8枚目:ヴァーム・ウォーター 柔術の稽古の時はいつも持参。私のダイエットに大きな貢献をしてくれました。VAAM ヴァーム ウォーターペット 500ml*24本入り 【代金引換不可】【海外発送不可】価格:3,197円(税込、送料別)前頭9枚目:しょうが茶 ダイエット作戦の一環として、このしょうが茶を紅茶にひと匙入れまして、ジンジャー・ティーとして随分いただきました。朝一発目の紅茶としても、いけますよ~。 お湯に溶かすだけ!チューハイにもOKしょうが茶(はちみつ入)価格:590円(税込、送料別)前頭10枚目:モッズヘア ヒートサロン シャンプー シャンプーを頻繁に変えるのが常のワタクシにして、連続買いさせた逸品。★激安対抗品★ モッズヘア ヒートサロン エステシャンプー ポンプ(550ml)価格:778円(税込、送料別) ・・・とまあ、こんな感じかな。ちなみにワースト・バイはオリンパスのラジオ・サーバー「PJ-10」。性能はいいのですが、電池が持たない。2時間程度連続して聞いただけで単4電池2本がパーになるのじゃあ、お金が掛かって仕方がありません。実用にはなりませんね・・・。 さて、来年はどんなすぐれもの、どんなレストランと出会えるのでしょうか。楽しみです。
December 25, 2010
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やあ、暮れも押し詰まって今日はクリスマス・イヴ。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。 我が家ではクリスマスは家で過ごすのが慣例。ディナーは私が用意しますのでね。 で、お昼を食べてから買い出しに出かけました。まずは靴屋さんに寄り、家内が欲しがっていた、今話題のシェイプアップ用の靴をゲット。ちょうど砂の上を歩くような感じになるそうで、その分、カロリー消費の効率が通常の運動靴よりも高いのですと。色もパープルでカッコいい! それから我らの行きつけのカフェ「q.e.d.」でケーキをゲット。今日はケーキ屋さんはどこも大混雑ですけど、カフェでケーキを買うという裏ワザで混雑回避。我ながら頭いい! そしてスーパー・マーケットで本日ワタクシが腕を振るう「パエリア」の材料をゲット! そして帰路、ちょっと遠回りをして、この界隈でも有名なクリスマス・イルミネーションの家を眺めたりして。 で、家に着いたら早速買ってきたケーキでクリスマスを祝い、お互いにプレゼント交換。家内は靴を、ワタクシはアクアスキュータムの黒い手袋をもらいました。これ、欲しかったんだよね~。 そして、ワタクシはパエリアの調理に取り掛かり、ローソクを灯したテーブルでワインをいただきながら食しました。おいしかった~! で、その後は年賀状書きに勤しんだと。 これが我が家のクリスマス・イヴでございます。別に何ということもないですけど、夫婦共に健康で、仲良く過ごせたのだから、これが最高でございましょう。 クリスチャンの方も、そうでない方も、今日とそれから明日は、一年でも特別な日として、心静かに、楽しく過ごしましょうね。それでは、お休みなさーい。
December 24, 2010
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今日は柔術の稽古納めでした。 で、今日は「傘後攻落とし」という技を練習したのですが、これまたすごいよ。何がすごいって、傘を持ってやるんですもん。唐傘を。唐傘をさした状態で相手に後ろから組みつかれた時の対処法なんですけど、片手は傘をさしたまま、もう一方の手で相手を投げ飛ばすっていうね。 さすがに傘をさした状態を想定した技があるなんて、八光流くらいなもんじゃないかしら。大東流合気道・合気柔術とかにもあるのかなあ? この他、今日は三段以上の先輩方は真剣を使った稽古もされていました。相手が刀を抜いてきた時、その瞬間に相手の腕をとって回転しながら組み伏せ、刀を奪って一撃する技ですが、これは合気道にもあります。 というわけで、今日の稽古は「色モノ」が出てきたこともあって楽しかったですのう。たまにこういうのも気分転換にいい。さすが皆伝師範、心得ています。 ところで、八光流も「古武術」の一つですが、日本には古武術愛好家のための月刊誌がありまして。その名も『月刊 秘伝』。すごいネーミングです。 で、そんなマニアックっぽい雑誌、よほど大きな書店でないと扱ってないだろうと思ったら、なんと家の近くの書店に数冊おいてありまして。当然のことながら、ワタクシ、思わず買ってしまいました。 で、実際読んでみると、聞きしに勝るマニアックさ。今月号は合気道の達人、多田宏さんの特集ですけど、その他、タイの武道「フォンジューン」の紹介とか、「流水拳」とか、「居合兵道入門」とか、まあ好きな人にしか分からない独特の世界が展開しておりました。もちろん、八光流も負けておりませんで、宗家が「護身体操」を紹介しておりましたけどね。 はあ~。この手の雑誌では、子供の頃、プロレス雑誌の『ゴング』をよく買いましたけど、それ以来でございます、マニアックな格闘系雑誌なんて買うの。ついにワタクシも、こういうものを買うところまで来てしまったのだなあって、妙な感慨しきり。 ということで、なんか『月刊 秘伝』を熟読しつつ、「ルビコン川を渡ってしまった・・・」的な思いを抱いている今日のワタクシなのでありました、とさ。
December 23, 2010
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ま、卒論指導はまだまだゴールが見えていませんが、授業としては一応、今日で仕事納め。ということで、今日は家内と二人でささやかな打ち上げです。 で、向かったのは例のごとく、家の近くにある焼き鳥屋さん。歩いて行ける飲み屋さんってここしかないんですけど、チェーン店ながらいい店で、気に入っているんです。笑顔のさわやかな、そして細かい気配りをしてくれる店長さんの感じがとてもいいもので。 さて、カウンター席に座ってとりあえずグレープフルーツ生搾りチューハイとか、そんな感じの飲み物を注文しましてですね、後は定番、焼き鳥だ、つくねだ、レバーだ、ハツだ、なんこつだ、うずら卵やプチトマトのベーコン巻きだ、なんて調子で頼んでいきます。そして〆は「牡蠣釜飯」、これがまたおいしかったんですわ。 ということで、二人でお腹いっぱい食べて、4千両でおつりが来るというね。そしてわずか一杯のお酒でほろ酔い加減になってしまった我ら夫婦は、冷たい風にほてった顔を晒しながら、そして帰り道に本屋さんに寄って立ち読みなんかしながら、ふらふらと家路についたのでありました、とさ。ま、庶民のちょっとした楽しみということで。
December 22, 2010
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忙しい時ほど案外本が読める、というのは本当で、何となれば辛く面倒な仕事を山ほど抱えている時ほど、何か楽しいことに逃避先を求めるからでありましょう。私も、年末全般の忙しさに加え、今は卒論指導の追い込みで死ぬほど忙しいのではありますが、その割に3日に1冊くらいのペースで本を読む、読む。 で、先ほど悪魔のささやきに負けてつい読み始めてしまったのが、小谷野敦(こやの・とん)さんの『現代文学論争』(筑摩書房)。で、これがかなり面白い。 この本は標題の通り、ここ40年間ほどの間に作家や評論家の間で繰り広げられた様々な論争、それは文学論であったり、政治論であったり、私怨だったりするわけですが、そういうものの顛末を詳らかにしたものなんですな。 で、何がすごいって、これだけのものを書くにあたって、著者が閲したであろう資料の膨大さです。ほんとに、よくもまあ読みも読んだり、という感じ。しかもそこで得た知見にうまいこと筋道をつけて、論争の成り行きを手際良く描写するんですからね。 しかし、私が面白いなと思うのは、その内容と同時に、その書き方です。 なにせ扱っているのが「論争」なんですから対象自体はすごくホットなわけですが、それを扱う筆致が割と淡々としている。こういう論争があって、この人がこういうことを言って、それに対して別の人がこういう反論をして・・・というのを、ずーっと同じペースで書いているわけ。事実にものを言わせる、という感じと言いましょうか。 この書き方。これが新しいのではないかと。なんかね、この淡々とした記述法は、ちょっと聖書の記述みたいですよ。で、聖書のような記述法こそ、実は私が前から興味があった書き方でありまして。その意味で、この本の書き方にはすごく惹かれるものがある。 で、淡々としているようでいて、是々非々で批判するところはちゃんとしている。めった打ちにはしてませんが、ここぞというところでピシっとやっていることはやっている。そこも、なかなかの芸というべきですなあ。 というわけで、まだ読み始めたばかりなのですが、この本、当分楽しめそうな感じです。教授のおすすめ!と言っておきましょう。これこれ! ↓【送料無料】現代文学論争価格:1,890円(税込、送料別)
December 21, 2010
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今年の私のゼミに、AKB48の大ファンがおりまして・・・。今日のゼミでも、「昨日、AKB48のコンサートに行って、握手会にも参加してきた~!」と大はしゃぎしておりました。 で、彼女の話によると、AKB48のメンバー16人が名古屋でコンサートか何かをやったらしく、しかもその後「握手会」なるものをやったらしいのですが、この握手会に参加するには、同グループの出しているCDの初回限定版を買い、その中に入っている「握手券」というのを持って行かないとダメなのだとか。で、私のゼミ生も、朝からCDショップを数軒駆けずり回って、当該CDの初回限定版をようやく探し、それで何とか握手会にも参加して、メンバーの中でも一番人気の何とかいう人と握手してきたのだそうです。わずか数秒の握手のために、えらい苦労をしたものです。 そ・れ・に・し・て・も・・・。「握手券」ねえ・・・。 うーん。これが時代というものなのでありましょうか。 私が思うに、と言うか、私自身の経験から言いましても、歌手だの芸能人だのに憧れるというのは、小学生か中学生くらいのメンタリティーであって、高校とか、ましてや大学に進学する頃には、そういうものへの興味・関心というのは自然に薄れて行くものだと思うのですけど、最近はどうもそうではないらしいんですな。 ま、それは個人の嗜好の問題で、他人がとやかく口を出すべきものではないのかも知れません。知れませんが、しかしねえ、大学生ってのは、もう少しいい意味で「背伸び」するもんなんじゃないの? それも、英米文化学科みたいなところに所属しているんですから、イギリスとかアメリカとか、そっち方面の文化的な何か、普通の人が知らないようなことに密かに凝ってみるとか、そういう「人と違う自分」というのを目指すのが、正しい大学生のあり方なんじゃあないかと。まあ、古い世代のワタクシなんぞは、そう思うわけですよ。 なのに、お膝元のゼミ生からしてミーハーど真ん中、AKB48だからなあ・・・。 ま、ゼミ生に甘い私ですから、あまり叱りはしませんでしたけど、残り少ない学生生活の中で、彼女たちの視線を、もうちょいハイブラウな方向に向けられないものかと思っているワタクシなのであります。追伸: その後のトークの中で、今時の大学生は「右翼」とか「左翼」という言葉が何を指すか知らないということが分かりました。国立大学の学生が、ですよ! 嗚呼! 選挙権を与える年齢を下げようなどという意見がどのくらい現実を見ていないか、これでよく分かるというものではありませんか。選挙権なんて、日本の場合、30歳くらいからでちょうどいいのでは?
December 20, 2010
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今日は家内の友人たちが遊びに来たので、お昼は「クラブハウス」というサンドイッチ屋さんに食べに行くことに。このお店、サンドイッチのメニューだけで100種類くらいあるので、何を食べるか決めるのだけでも悩む、悩む。でもおいしかったです~。 で、その後、家に戻ろうとしたら、お店の前に新築の家が建っていて、よく見ると「欧倫ホーム」という住宅メーカーの展示場だというではないですか。名古屋方面では時々テレビでコマーシャルをやっている欧倫ホーム、これはひとつお手並み拝見と参りましょうか。 ということで、パッと見、とてもすぐに家を建てそうには見えない5人連れでどかどかと展示場に上がり込み、わーわー言いながら家の間取りなどを見学。 で、欧倫ホームというのは、建主の理想に従って家の設計を一から作り上げる「非・建売系」のメーカーなので、この展示場もなかなか面白い作りになっております。玄関入ると右手に1畳ほどのクローゼットみたいなのがあって、コートとか靴を収納できるスペースがあったり、道路に面した南側に窓が無い代わりに、結構大きな中庭があって、ここを通して家の中に外光を取り入れるようになっていたり。 それから一間だけある和室も、畳がオシャレなブラウン色をしていて、ちょっと見、洋室のように見えたりしますし、キッチンは一応オープン形式にはなっているけれども、冷蔵庫がちょっと奥の隠れたところに設置してあって、生活感が出ないようによく考えられている。またキッチンの奥にパントリーがあって、さらにそこにお勝手口もあり、買い物から帰ってきてお勝手口から家に入り、買ってきた食料品などをそのままパントリーに収納することが出来るようになっていたりもして、なかなか便利そうです。 ただ、一つ難を言えば、二階に複数ある個室がさほど工夫なくべたべたっと配置されているのが、ちょっとね・・・。あと、洗濯機置き場が1階の風呂場近くにあるのに、物干し場が2階の主寝室のベランダに設置されているというのは、重大な設計ミスではないでしょうか。毎日洗濯物をもって階段を上がり、ベッドのある部屋を通ってベランダへ出ないと干し物が干せないというのは、相当不便なんじゃないでしょうか。主婦の動線が考えられてないよね。 ま、そんな感じでところどころにおかしな部分が散見されるものの、全体としては普通の建売住宅なんかよりよほど面白い間取りになっていることは確かでありまして、何の気なく覗いてみた割に、結構楽しんでしまいました。本当に自由に設計させてくれるのだったら、こういうところに家の設計を頼むのもいいかも知れませんなあ。ま、かなり先の話にはなるでしょうが。 というわけで、今日は期せずして住宅展示場を覗き、大好きな「家の設計」ネタを仕入れてしまったワタクシだったのであります。今日も、いい日だ!
December 19, 2010
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さてさて、今日は「今年を総括する」シリーズ第二弾、「今年買ったジャズCDベスト10」の発表と参りましょう! 早速10位から順に発表しますと・・・第10位 デイブ・ダグラス『ジ・インフィニット』第9位 ジョン・コルトレーン『ジャイアント・ステップス』第8位 マイルス・デイヴィス『ワーキン』第7位 デューク・ピアソン『テンダー・フィーリンズ』第6位 ドナルド・バード『フュエゴ』第5位 セロニアス・モンク『アローン・イン・サンフランシスコ』第4位 ウォルター・ビショップ・ジュニア『スピーク・ロウ』第3位 ジョージ・ウォーリントン『ライブ・アット・カフェ・ボヘミア』第2位 ビル・エバンス『エブリバディ・ディグズ・ビル・エバンス』第1位 マット・デニス『プレイズ&シングス』 ・・・こんな感じかな。 とにかくね、1位のマット・デニス、これは不動。素晴らしいアルバム。全曲自作+ピアノ演奏+歌で、ジャズの楽しみを満喫させてくれること請け合い。基本的にジャズ・ボーカル嫌いのワタクシがこれを1位にするんだから間違いなし。「軽妙洒脱」という言葉が最もふさわしいアルバムと言えましょう。お見事! 2位に挙げたエバンスは、何を買っても失敗が無いのではありますが、私の好みを理解している友人のT君からの推薦で買ったこのアルバム、やはり良かった。その他、今年はセロニアス・モンク(5位)の良さがしみじみ分かるようになってきたかな、という感じがしましたね。 また3位に挙げた『ライブ・アット・カフェ・ボヘミア』に感銘を受けたことがきっかけでドナルド・バード(6位)というトランペッターの良さを知ったことも収穫。9位のコルトレーンは、今まで何となく避けて通っていたアーチストの一人なのですが、このアルバムを聴いてみたら「ああ、別に難しいわけじゃないな」という感覚を受けました。今後、また他のアルバムも聴いてみようかという気にさせられた一枚という感じです。10位に挙げたデイブ・ダグラスは、1曲目の『ポージズ』という曲がすごく気に入ったので大物たちに交じって特別入選という感じです。 一方、今年買ったワーストCDは、オーネット・コールマンの『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンVol.1』とヘレン・メリルの『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』の2枚。前者は私に「私はフリー・ジャズが嫌いだ」ということを、とことん教えてくれましたねえ。どの曲をとってもまったく良さが分かりませんでした。また後者は名曲「ユー・ウッド・ビー・ソー・ナイス・トゥー・カム・トゥー」の決定版として知られておりますが、私の耳には「青江美奈」にしか聴こえないです。どちらも世評の高いアルバムではありますが、ワタクシ個人にはまったくアピールしませんでしたね。 ちなみに、今年は大学の講義で、『ジャズ史』を担当したことがきっかけで、ブルース、ラグタイム、スウィング、ブギウギピアノなどなど、モダン・ジャズのルーツとなる各種音楽をしっかり聴き込みながら勉強するチャンスがあり、それが私自身のジャズ理解にかなり資したところがあります。やはり、人に教えるということが、自分にとっての最良の勉強法だな、と。 さて、来年はまたどんな素晴らしいジャズに出会えるでしょうか。楽しみはまだまだ続きます。
December 18, 2010
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同僚の先生が白井恭弘さんという人の書いた『外国語学習の科学』(岩波新書)という本を読んだというので、私もちょっと興味があって、借りて読んでみました。この著者には別に『外国語学習に成功する人、しない人』という評判作があるそうで、本書はその第二弾なんだそうですが。 で、読んでみますとね、人間が母語以外の第二言語を習得する時に起こる様々な現象について、今までに随分色々なことが研究されてきたんだなあ、ということがよく分かります。 例えば、英語を母語とする人にとって、どんな外国語が習得し難いのか、なんてことを調べてみると、日本語は彼らにとってすごく難しい言語であることが分かるんだそうで。ということは、逆も真なりで、日本人にとって英語を学習するのは、非常に難しい、ということでもある。要するに、外国語を学習する時には、必ず母語の影響があるので、母語と当該の外国語が縁遠い言語であればあるほど、習得が難しいと。 その一方、母語の影響がない赤ん坊ってのは語学の天才で、日本人の赤ん坊であっても、例えば日本人が苦手な「l」と「r」の発音上の違いとか、完璧に聞きとることができるんですって。そういうのが実験ではっきり証明されている。なかなか面白いですね。 その他、子供と大人だと、外国語の習得のプロセスに違いはあるのか、とか、何歳くらいまでに外国語を勉強し始めると、ネイティヴなみにその言語がしゃべれるようになるのか、とか、外国語を習得するのが得意な人と不得意な人では何が違うのか、とか、まあ話題は尽きません。 それから言語習得には動機づけというのが重要なんですが、「貿易関係の仕事の都合上、英語が話せないとまずい」という動機と、「アメリカって国の文化全般が好きで、いつの日か、アメリカで暮らしたい」などという動機では、動機の種類が違うわけですね。じゃ、どっちが英語学習に益するかというと、長い目で見れば後者の動機が勝つ、みたいなことも書いてある。「必要性」よりも「憧れ」の方が最終的にはパワフルな動機である、というのも、なかなか興味深いところですな。 で、じゃあ、実際問題として、外国語を学習する一番いい方法というのは、何なのか? これも既に得られた知見によると、「文法重視の訳読法」というのが、あまり効果的でない、ということは実証されているそうで、やっぱりいわゆる「コミュニカティヴ・アプローチ」でやるのが一番ということのようではあるんですね。 具体的には、内容が8割くらいは分かるような英語を耳で聞く(あるいは読む)という「インプット」をまずしっかりやりつつ、同時にそこで学んだことを自分からも発信する「アウトプット」を心がけ(実際に発話しなくとも、頭の中でリハーサルするだけでも効果があるらしい)、この両者をバランスよくやっていくのが一番、ということなんですな。ちなみに、「英語でテレビを聴き流す」という方法は、「対人」ではない分、アウトプットへの意識が薄れるようで、インプットの効果としては薄いんですって。やっぱり、「人の言うことを聴き、それに答える」、あるいは「人に答えるつもりで、人からのメッセージを受け取る」というのが、外国語習得のカギなんだと。 うーん。 しかし、そう言われてしまうと、結局、参考になるようでならないですね。例えばネイティヴの外国人の先生が一対一でついて学習を指導してくれるとか、外国人の友達としょっちゅう一緒に居る、というような環境ならともかく、そうでない普通の日本人の環境で、上のようなことをやれと言われても辛いですよね。第一、漠然とインプットしろと言われても、何をやればいいかさっぱり分からない。 また実際に教壇に立つ身としては、自分自身がネイティヴのようには英語がしゃべれない以上、学生を指導する資格がそもそもない、と言われているようなものでありまして、一層肩身が狭くなるばかりです。 というわけで、この本、面白くはあったのですが、どうやって英語を勉強すればいいのか、どう教えればいいのか、という点に関しては、単に理想を言われているだけなので、「お説、ごもっともですが、私には全然参考になりませんでしたぁ~」って感じです。方法論になっているようで、実は何にもなっていませんものね。 その点、私も唱導している「ベーシック・イングリッシュ」の方法論の方が、具体的に「まずこの850語を覚えなさい」と指示した上で、英文の作成法に関してもちゃんと明確に支持を出している分、はるかに優れた方法論と言えましょう。 ただ、言語習得には科学的に裏付けられた難易度順というのがあって、「三単現のS」のような難しい文法事項を、中学校の最初のうちに学ばせるのはばかげている、という本書の指摘は私も激しく同意。こういう実のある提言を文科省も学習指導要領の中に採り入れて、中学校レベルでは「He don't」「She don't」でいいんだ、という風にしてくれればいいのですがね・・・。 というわけで、本書が外国語習得に関し、実際の役に立つか、という観点から見ると、私は批判的ですが、言語習得のメカニズムがどんな風に研究され、どこまで分かって来たか、ということを知るという意味では面白い本ではあります。そういう意味で、『外国語学習の科学』なるこの本、興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
December 17, 2010
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この間、永谷園が出しているインスタント味噌汁を家内が買ってきてくれたので、これを大学に持って行ってお昼を食べる時に飲んでいるのですけど、これがね、案外馬鹿にならないおいしさです。これこれ! ↓永谷園 1杯でしじみ70個分のちからみそ汁 3食×10袋価格:1,180円(税込、送料別) 折からの私的健康ブームで、しじみ由来の「オルニチン」を沢山摂ってやろうという魂胆からではあるのですけど、飲んでみると、あのシジミのお味噌汁特有のコクというか、味わいがしっかりありまして、実に風味豊か。お昼が一層楽しみになりました。値段的にも一食40円くらいですから、リーズナブルですしね。 というわけで、肝臓を労わりたい人も、単なる食いしん坊さんも、永谷園の「1杯でしじみ70個分のちからみそ汁」、教授のおすすめ!です。
December 16, 2010
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今年もだいぶ押し詰まって参りました。 さて、本ブログでは毎年この時期になると、一年を総括する各種企画をやるのですが、例年に従って第1弾は「釈迦楽カー・オブ・ザ・イヤー」です。カー・ガイであるワタクシ・釈迦楽が独断と偏見でこの一年に登場した新車の中からベストを選ぶという企画。さて、今年はどんな車がその栄光に輝くのか?! が、その前に各メーカーごとの2010年の総括と参りましょう。<国産車編>トヨタ: 相変わらずプリウスが絶好調という他、あまり目立った新車はなかったような。ラクティスが新型にチェンジ、と言っても、もともとどうでもいいニッチ車種だし。ま、アメリカでの欠陥プリウス事件のほとぼりを冷ます一年だった、とまとめておきましょうか。ただ、アメリカで人気の「FJクルーザー」の日本導入はグッド・ニュース! あれはカッコイイ。日産: 対して今年の日産は、割と話題が豊富だったのではないかと。完全なEVである「リーフ」の実用化とか。ま、これはあまりにも格好が悪くて私の眼中には入ってきませんが。後、「マーチ」の新型化が大きいと思いますが、これも新型になってまあ目立たないというか、ちょっと前の軽自動車を膨らませたような、つまらない格好になりましたなあ。 一方、「ジューク」みたいなインパクトのある車も登場しましたっけ。あれは・・・全体としてみるとそれなりにまとまっているところもあって、デザインとして評価できなくもないけれど、しかしあの面妖な御面相はどうなのか・・・。でも、ジュークに乗っている人を見ると、思わず「お、ジューク買いましたね。どうですか?」と尋ねたくなることは事実。問題作、と言っておきますか。 そしてもう一つ、技術面で言うと「フーガ・ハイブリッド」がすごい(らしい)。現時点で時速100キロでモーター走行できるハイブリッドはこれだけ。さすが技術の日産。これで、フーガのスタイルがもうちょっと魅力的だとねえ・・・。スタイルにコストがかけられるはずの価格帯の車なんだから、イアン・カラムがデザインした「ジャガーXF」とか、あるいは「マセラティ・クワトロポルテ」みたいなスタイルにすればいいのに。いずれにせよ、現時点でどうしてもハイブリッドを買えと迫られたら、私は多分、これを選ぶでしょう。ホンダ: 「CR-Z」が今年のホンダのハイライトですかね。もっとも売れ行きの点では、「フィット・ハイブリッド」頼みの状況。結局、ここもハイブリッド一本ということになりました。その割に、大昔から使っているIMAシステムの使い回しというのは技術的にどうなのか。ひところのような、車好きをびっくりさせ、わくわくさせてくれるような会社ではなくなってきましたね。マツダ: ここも「プレマシー」の新型化以外、あまり動きがありませんでしたが、同社が間もなく実車に投入する「スカイアクティヴ」エンジンは、ガソリン、ディーゼルともすごいらしい。この会社にとって、勝負の年は来年でしょう。スバル: 「インプレッサ」のセダン版を出したのは今年でしたっけ? ま、その程度の認識。ただ、モーター・ショーとかに出品している車のデザインを見ると、なかなかのものがあり、今後に期待。三菱: 「パジェロ」と「RVR」の新型化が目玉。・・・それにしてもパジェロ? この時代に? って感じです。ひょっとして『私をスキーに連れてって』時代の夢からまだ覚めてないとか? この会社の時代錯誤ぶりにはいつも驚かされますが、それにしてもねえ・・・。そもそも、三菱が自動車を作って売る意味が分からない。どうせ大して売れてないんでしょうし、もう撤退したら?スズキ: 「スウィフト」新型化。新型になっても、走りに関して、このクラスのベストの一つ。インド進出の先見の明もあり、軽もやたら売れまくっているし、ま、よろしいのではないでしょうか。ダイハツ: 何かニュースがあったのか、よく分からないけど、「コペン」は相変わらず私の食指が動く数少ない国産車の一つです。<外国車編>ベンツ&BMW&アウディ: 今のところこのクラスのドイツ車に全く興味がないので、よく分かりません。ただ「アウディA1」とか、最近のアウディ車に共通する「鷹の爪団」みたいなヘッドライト周りのデザイン、めちゃくちゃカッコ悪いと思うので何とかしてほしい・・・。フォルクスワーゲン 「ポロ」が良いらしいですけど、あまり興味がありません。ルノー: ルーテシア・ベースのホットハッチとか、トゥウィンゴ・ベースのホットハッチとか、そういうのをやたらに出したようですが、スタイルが悪過ぎてどうにもならない。斬新なスタイルがカッコよかったメガーヌII もモデル・チェンジしてカッコ悪くなるようだし、先細りは必至ですな。シトロエン: 「C3」新型になりましたっけ? でも前の方が可愛かった・・・。「C4」も変になるようだし、ここもデザイン的に改悪方向へまっしぐら。ただ現行「C5」は、ちょっと買ってみてもいいかなと思う出来ですな。プジョー: まさか、まさかの「RCZ」実車版登場。インパクトのある格好ですが、惚れこむほどではなし。他の車種も悪しきプジョー流ばかり。かつての愛車・306あたりまでの、あの美しいピニンファリーナ系デザインは、一体どうなったのでしょうか。フィアット: 「500」系にアバルト&カブリオ登場。だけど、500は素の奴がいい。アルファロメオ: 「ジュリエッタ」登場。しかし、スタイル悪過ぎて興味なし。「ミト」も全然売れてないようだし、大丈夫でしょうか。アルファなんてスタイル命なんだから、もっとまともなデザイナー投入しないと先行き危ないでしょう。レンジローバー: 今度出る「イヴォーク」、めちゃくちゃカッコイイ!! 素晴らしいデザイン。文句なし。ロータス: これも小市民に手が出る車ではないけれど、「エリート」とか、すっきりしたデザインで好感触。例えば日産の「GT-R」とか、せめてこのくらいのデザインで出してくれればいいのに。 ま、こんな感じ? 例年に比べ、外国車へのまなざしがそっけないですが、実際、あまり魅力的な外国車も出ませんでしたからね。 ということで、お待ちかね、2010年の「釈迦楽カー・オブ・ザ・イヤー」の発表です。今年の栄冠の行方はと言いますと・・・ トヨタ「FJクルーザー」でーす! がーん! おめでとうございます。 いやー、トヨタ車嫌いの私がトヨタ車にカー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を手渡すとは・・・って感じですけど、FJクルーザーは正直、カッコイイ。アメリカではとっくの昔に導入されていて、彼の地で見かけるたびに、こんな素敵な車があるのに、なんでこれを日本市場に送り込まないのか、馬鹿だねえ・・・と思っていましたが、それがようやく実現しました。 昔ながらの四駆車で、エコっぽいところもなく、技術的にはさほど見るべきところはないのですが、とにかくデザインがステキ過ぎるので、後はすべて目をつぶろう! 今年、私が買ってもいいなと思った、否、買えるものなら買いたいと思ったほとんど唯一の車。 ということで、トヨタFJクルーザー、教授の熱烈おすすめ!です。おめでとう!これこれ! ↓トヨタFJクルーザー
December 15, 2010
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ジャズ史の授業も段々と進んで参りまして、明後日は1959年以降の「フリー・ジャズ」をテーマに講義する予定。 しかし、ここに一つ、大きな問題がありまして・・・。 なにせ音楽の話ですから、実際に音を聴いてみないことには話にならないので、この講義では毎回、テーマに沿った音源を聴かせているんですが、そうなりますと、今週はフリー・ジャズを聴かせなければならないことになります・・・よね? ということで、今日は予習としてあれこれフリー・ジャズの代表的な作品、例えばオーネット・コールマンだとか、エリック・ドルフィだとかを聴いているんですけど、これが辛い。 何となれば、私はフリー・ジャズという奴がうーんと嫌いだからでーす! オーネット・コールマンの作品の中でも、『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン』なんて作品は比較的聴き易いとされているんですけど、ワタクシ、ダメだこれ。全然ダメ。聴いていると、身の毛がよだつ。もう、のたうちまわりたくなるほど嫌い。 これは私の持論なんですが、個人的な嗜好として、どうしても受け入れがたい音楽ってありますね。私の場合、フリー・ジャズがまさにそれ。理屈抜きで、吐き気がするほど嫌い。 だから、「これはフリー・ジャズのアルバムだ」と分かっていて、そのCDを買う気にもならないわけ。ですから、自宅にあるフリー・ジャズのアルバムなんて2、3枚しかない。これじゃ、講義するったって、内容の浅い講義にしかなりませんな。本当は、せめてセシル・テイラーのアルバムくらい、持っていた方がいいのでしょうが。 ま、こればかりは生理的な反応なので、仕方ありまへん。一応はフリー・ジャズの歴史的意義だけは説明して、僕はフリー・ジャズの理解者ではないけど、こんな感じよ~、とさらっと聴かせて、あとはお茶を濁そうっと。 でも、ま、学生たちの中には「音楽なら何でも好き」みたいなことを平気で言う奴も居ますから、「ほう。じゃ、これも好きになれるのかよ、え? どうだ? このヘンテコなののどこがいいんだ? おい、どうなんだ??」みたいに詰め寄るのも一興、かもね。 とにかく、私は自分の感性に正直に、腹の底から「いい」と思えるものだけ、「いい」と紹介することといたしましょう。それ以上のことは、期待しないで~!
December 14, 2010
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横山郁代さんの書いた『三島由紀夫の来た夏』(扶桑社)を読んでいたら、三島由紀夫が英語を話しているビデオクリップがネット上にある、というようなことがチラッと書いてあったので、ちょっと調べてみたら、確かにありますね。あるどころか、沢山ある。 で、それをちょっと見て(聴いて)みて、もうびっくりですわ。三島由紀夫の英語の達者さたるや、私が想像していたものよりもはるかに上でした。 三島由紀夫に関する伝記的な本を読むのが割と好きな私は、これまでにも三島の英語力のことはあちこちで読んでいたのですが、それによると、かつて英語が苦手だった彼が、ある時一念発起して英語を習い始め、ほどなくして不自由なくしゃべれるようになった、と。でまた、別の本(これは外国人が書いた本ですが)によると、彼の話す英語には文法的な誤りはあるけれども、とても魅力的な英語を話す、とあった。 で、これらの言説を読んだ私は、それを過小評価して、要するにそれほど大したことはないのだろうと多寡をくくっていたわけ。ま、彼のことですから堂々とはしていたのでしょうが、実際のところは、たどたどしいものだったのではないかと、まあ、そう思っていたわけ。 ところがね、実際に三島が英語を話しているところをネット上のサイトで見てみると、とんでもない。ものすごい英語力ですよ。でまた、発音が素晴らしい! ちょっと聞くと、ネイティヴがしゃべっているのかと思うくらい。 三島由紀夫の英語力って、こんなにすごかったんだ・・・。正直、びっくり。 で、ネット上には、たとえば大江健三郎氏が英語のインタビューの受け答えをしているのとかも見られるのですけど、大江氏の方は発音が日本人っぽくて、少なくともしゃべる方にかけては三島の方が数段、英語力は上でしょう。もちろん、読む方は大江氏もすごいのでしょうけどね。 ま、とにかく、興味のある方は、三島の英語を聞いてみて下さいな!これこれ! ↓三島由紀夫の英語スピーチ ね! すごくないですか? もちろん三島由紀夫の頭脳の明晰さを考えれば、これくらい当然なのかもしれませんが、それにしても三島の時代なんて、語学教材だって限られていたでしょうし、第一、売れっ子作家として超多忙な日々を過ごしていたはずなのに、どうしてこれほどの英語力を短期間に身につけられたのか・・・。 ま、とりあえず脱帽、というところですね。
December 13, 2010
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今日も今日とて卒論添削指導で一日が終わってしまいました。 しかし、今年は特に強く感じるのですが、学生の論文作成能力が落ちていますなあ。 もっとも彼女たちもそれなりに勉強熱心ではあるんですよね。だから書く材料は十分揃っているのだけれど、実際に書かせると、箇条書きになってしまうわけ。「この件について、メリットは次の3点である。即ちA、B、Cである。それに対しデメリットは次の2点である。即ちD、Eである。以上、論述を終わる」みたいなのを書いてきて、平気で提出してくる。 つまり、断片的な事実だけは分かっているのだけれど、それを使って一つの物語を構築することが出来ないわけ。しかし、論文ってのは、まさに物語を紡ぐことなのよ。 同じ材料を使って別な物語を紡ぐことは出来ます。コップに酒が半分あれば、「もう半分しか残ってない」という悲観的な物語もかけるし、「まだまだ半分もある」という物語も書ける。でしょ? だからね、事実がどうか、ということよりも、その事実をどう見るか、その事実からどういうストーリーを考え出すかが重要。そして、一番「真実」に近いストーリーを考え出した奴が勝ちなの。そういうゲームなのよ、論文を書くってことは。 そこがね、まだまだ分かってないんだなあ。ま、添削をしながら、実際にワタクシ自身がちらっとストーリーを書いてみることで、ワタクシの言わんとしていることを実践的に示すと、その辺のことも段々と分かってくるものなんですけどね。 さて、そんな苦労の中、夕方ごろに家のチャイムがピンポーンと鳴りまして。何かと思ったらお届け物だと。 ん? 何かネットで注文でもしていたっけ? と思ったら、なーんと、友人からのプレゼントで山口県の名物、「フグづくしセット」じゃあーりませんか。いや、あの辺ではフグのことを「福」にあやかって「ふく」と呼ぶのでしたっけ。だから「福づくし」ですわ。 で、開けてみたら、これがまた豪華なもので、でかいお皿いっぱいの刺身と、これまたすごい量の皮の盛り合わせ、ふくちり用の鍋セット一式。これにひれ酒用のひれも付いているのですから、これは目玉が飛び出るほど高い奴じゃないの?? というわけで、今日の夕食は予定を変更して豪華ふく料理に決定! で、食べてみたのですけど、そりゃあもう期待に違わぬ抜群のうまさ。こんな贅沢にふくを食べたことなんて初めてですよ。家内も大喜び。 いやはや、持つべきものは物くるる友。T君、感謝、感謝でございます。 今日は卒論指導で燃え尽きましたけれど、最後に「福」を一杯に浴びたワタクシだったのでありました、とさ。わっはっは!
December 12, 2010
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今日は名古屋学芸大学というところが開催した公開講座に参加してきました。 名古屋学芸大学というのは、メディア系とかデザイン・ファッション系に強い大学なんですけど、今回公開講座を担当されたのは同学メディア造形学部映像メディア学科教授の渡部眞先生。長年映画の撮影監督をやってこられたご経験を踏まえ、「映画のウソを愉しむ」というテーマのご講演です。 で、今回は渡部先生が撮影監督を務められた『ありがとう』『西の魔女が死んだ』という2本の映画を素材にし、映画撮影がどうやって行われるか、リアルな映像を実現するために、どういうウソ(=トリック)を使っているか、ということを具体的に示されたのですが、やっぱり実際の現場の話ですから、すごく面白かった。 例えば『ありがとう』という映画は、神戸の大震災を背景にしているのですが、映画の中では神戸の街並みが破壊される生々しい映像が見られる。ところが、これが実際に撮影されたのは富士山のふもとの原っぱで、商店街はすべてセットだったんですな。 しかし、映画の中の商店街は震災被害にあうわけですから、元の商店街、崩れた商店街、燃えた商店街など、幾つものパターンを作らなくてはならないわけ。それをどうやって作り上げ、それを観客に「神戸の映像」として認識させるためにどういう苦労をしたか。その辺の苦労話も実に面白い。 また『西の魔女が死んだ』では、魔女役のおばあさんが住む家をゼロから建てるのですが、そのぴかぴかの家を、何十年も住み続けているような古びた家に見せかけるためにどのくらい苦労したか。また主人公の少女が海を泳ぐシーンは、実際にはプールで撮影したそうなのですが、プールで撮影した映像を、観客に海のシーンとして認識させるためにどういうことをしたか。なんてことも伺いました。 とりわけ、夜間に昼の場面を撮影する必要に迫られた時、渡部さんがどういう奥の手を使ったか、なんて話は、さすが映像のプロ、職人だなあ、と思わされましたね。 ま、要するにあの手この手でリアルな映像を作り上げる職人の話です。リアルな映像は、必ずしもリアルなシチュエーションから生み出されているわけではなく、あちこちで色々なウソをつくことで、より一層のリアリティを追及する、というのが映像監督の腕の見せ所なんですな。その辺のことを、分かり易く、実際の映像をまじえながら説明して下さったので、公開講座に参加した誰もが納得したのではないかと思います。ワタクシも含め、ね。 ちなみに、公開講座には地元の人200人くらいが参加したでしょうか。相当な盛況だったと言っていいのではないでしょうか。参加者のほとんどは60代くらいのお年寄りのご夫婦、みたいな感じでしたけど、皆さん、好奇心旺盛で素晴らしいですな。 それにしても、名古屋学芸大学、キャンパスも建物も最新型で、実務型クリエイター養成、あるいは養護系の仕事の従事者養成に特化するなど、大学としての特殊性も打ち出しているし、今回のように地元の住民に対するサービスも積極的に行うなど、なかなか上手な運営をしているようですなあ。何かにつけて迷走ばかりしているうちの大学とは大違いだ。本当は、うちの大学の学長・理事など、執行部がこぞってこういうのに参加すべきじゃないかなあ、なんて思ったりして。 とにかく、今日は実際に映画を撮られている方から撮影の現場の話を伺うことが出来て、とても有意義な週末となったのでした。今日も、いい日だ!
December 11, 2010
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「今年を表わす漢字」というのが決まりました。今年は「暑」だそうで、ま、納得ですね。確かに今年の夏は暑かった。それに、サッカー・ワールドカップで「あつく」燃えましたしね。 ちなみに、自分自身にとって、この一年を漢字一字で表わすなら、もうこれは「挑」で決まり。今年は色々なことにチャレンジしました。その中には、一度のチャレンジで終わってしまったものも多いですが、それでもその一度の経験からですら学ぶことは多かった。そして今年最大の収穫である「八光流柔術」への入門も、武道だけに「挑」という漢字がふさわしいような気がしますし。さてさて、皆さんにとっての今年は、どんなでしたか? ところで今日のワタクシは、当面の仕事にはなーんにも関係のない本を読んで暮らしました。村上建夫という人の書いた『君たちには分からない』(新潮社)という本なんですが、これ、三島由紀夫についての回想記で、著者の村上さんは三島が私的に作った民兵団体「楯の會」の元会員です。 私は、特に三島の作品のファンというわけでもないし、思想的に(あるいは性的嗜好の上で)三島に同調するということもないのですが、どういうわけか三島由紀夫その人にはとても興味があるんです。澁澤龍彦をはじめ、生前三島と親しかった人たちの話を読むにつけ、三島という人は友人として持つとしたらこの上なくいい人なのではないか、友達甲斐のある人なのではないか、という気がするんですね。少なくとも彼の友人たちの証言を聞く限り、三島というのはすごく魅力のある人だったようで。 というわけで、三島の生前のエピソードが書いてある本というと、ついつい読んでしまうわけ。しかもこの本は楯の會の元会員の証言ですから、余計興味津々。 ところが、読んでみますとね、ちょっとガッカリします。というのは、著者の村上氏の文章の書きぶりが鼻について仕方がないんです。この人は、何かまとまった文章を書いた後、最後にオチとして何か冗談めいた一言を必ず書くのですが、その一言がものすごくレベルが低いわけ。本人としては大得意なんでしょうけど、それが続くと本当に鼻につく。要するに、文章に品がない。ですから地の文だけ読むのだったらものの数ページで放り出してしまいそうなんですけど、それでも三島の言動を描写している部分については面白くはあるので、最後まで読み通すことができた、というところ。つまり、三島にまつわるエピソード集として読めば、何とか読めるんです。 例えば、楯の會のメンバーと共に自衛隊に体験入隊した際、食事に山芋のとろろが出て、メンバーの中でとろろが何であるかを知らない者が三島に「先生、これは何ですか?」と尋ねた、というのですな。すると三島は、「これはとろろといって山芋をすったものなんだ。自衛隊は麦飯だろう。ちょうどいいんだよ。とろろは麦飯に合うんだ。麦とろと言う言葉もあるんだよ。このマグロの刺身も一緒に、そらこんな風に温かい麦飯にかけて、お箸でかき混ぜるんだ。こんなおつな物が自衛隊ででるんだなあ。おいしいよ、君も早く食べなさい」と言った、というんです。つまり、村上氏も回想しているように、三島という人は、上記のような無知な人間に対しても「なんだ、とろろも知らないのか」とか、「お前の家では何を食っているんだ」というような、馬鹿にしたようなことを絶対に言わないんですな。この他、三島が世間知らずの若造を相手にする時も決していばらず、対等の物言いをした、という証言は本書の随所に出てきます。 また、三島は何につけ好みを尋ねられると必ず間髪いれずに即答した、という村上氏の証言も、私には非常に興味深かった。例えば「先生は漫画なんか読みますか」と問われると、「漫画だって読むよ。『ゲゲゲの鬼太郎』が良いな。水木しげるが描いている。あれは面白いよ」と即答したとか。この他、好きな歌手を問われれば「中村晃子」と答え、好きな俳優と言われれば「高倉健」、好きな女優という問いには「藤純子」と即答したそうですが、要するに三島には万事好悪に順位があって、この分野だったら何が一番好きかを明確に意識していたんですな。これは私自身とよく似た性癖でありまして、余計親近感が湧きます。 それから、三島の話は、たとえ短いものであっても必ず起承転結があって、エピソードとしてまとまっていた、という村上氏の証言も非常に興味深い。 例えば、歌舞伎の世界のある一面についての三島の観察: 「歌舞伎座といえば、あの世界は面白いところだよ。(中略)役者の楽屋見舞に行くだろう。ああいうところは役者の下働きをする男がいるんだよ。(中略)それにチップをやったら、お愛想笑いをしてもみ手でぺこぺこするんだ。帰りには履き物をきちっと揃えてあって、頭を九十度下げてお見送りだ。それは念の入った丁寧なものだ。(中略)ところがしばらくして、又同じ楽屋に行ったんだ。同じ男がいて、飛んできた。声はかけたが、今度はいいかと心付けをやらなかった。役者と話が済んで、帰ろうとすると、靴がね、あっちとこっちに転がっていてね。きっちりと裏返っていたよ。あれは蹴飛ばして踏んづけたに違いない。もちろん、顔も出さないよ。(中略)はっきりしているよ、人間が。そういう所なんだな、あそこは」そして例の高笑い。 なるほど、確かに短いながらも起承転結、揃っています。その他、本書には三島が語ったこの種のエピソードが幾つか書かれていますが、皆、こういう調子。三島の中では、ちょっとした出来事もすべて一つのドラマとして完結して見えたのでしょう。 本書には他にも三島の人となりを示す興味深いエピソードが色々書かれていますが、その中でも重要なのは、三島がある意味心血を注いで結成した楯の會の面々と三島自身の間に、かなり大きな思想的隔たりがあったということを窺わせるエピソードが紹介されていることでしょう。もっとも思想的隔たりというのは少しオーバーで、もっとはっきり言えば、楯の會に入るような未熟な学生なんかに、三島の思想はとうてい理解出来るものではなかった、ということなんでしょうが。 例えば、三島がある時、人間を4つのカテゴリーに分類した、という話がありまして、それによると人間はまず「体制側」「反体制側」に二分され、その中にそれぞれ「行動派」と「消極派」がある、と、まあ三島はそのように分類していたというのですな。で、その話を聞いた村上氏は、当然楯の會(および三島)は「体制側の行動派」に分類されるだろうと思った。ところが三島は自らを分析して、「反体制の行動派」と言下に言いきったと言うのです。つまり三島にとって当時の「体制側」とは社会主義(もしくは共産主義)の信奉者たち(当時、東京都知事は美濃部氏だった)であって、それらに対するアンチ、という意味では、正統マルキシストや反共産主義の左翼の連中と三島自身は同じカテゴリーに属し、「ただ右か左かの違い」だけだ、と言ったというのです。つまり、もうこの時点で、三島と彼の組織した民兵たちは思想的傾向が全く異なるわけです。同時に、三島が後に東大の全共闘学生たちと討論した際、「君らが一言、『天皇陛下万歳』と言ってくれるのなら、君らの中に入って行ってもいい」という趣旨の発言をした意味が、これでよく分かります。 そして極めつけ。楯の會のメンバーが、ある時三島に「行動は若い者に任せて、先生はその頭を使って民間防衛の理論専門でやって下さい」と言った際、三島が激怒して、 「それは駄目だ。そんなことは多くの人がしているではないか。羽仁五郎がそうだろう。学生をアジテートして、自分は安全な書斎に隠れているだけだ。僕はあんな無責任は煽動家ではないよ。(中略)言葉だけで人を動かすことは出来ない、理論を持った者が自ら行動することによって初めて人を動かせると僕は思っている。それで、この楯の會をやっているのじゃあないか。会に注ぎ込んでいる僕のエネルギーを考えてくれよ。その会員からそんな言葉を聞くとはなあ。君たちですら、僕のやってきたことを分かってくれないのか」 そう言って三島は立ちあがり、数歩後ずさって楯の會のメンバーに背を向けたのだそうです。ぎゅっと両のこぶしを握り締めて。 結局、三島は、子飼いの連中からすら、理解されてはいなかった。そういう三島の孤独を端的に表わしたエピソードと言えるでしょうな。そしてこれと同じことが、後に彼が割腹自殺を覚悟で自衛隊の若者たちに決起を促した際にも起こったということなのでしょう。 ということで、この本、決して感心はしませんでしたけど、それでも三島由紀夫という人を理解するのに資する情報を幾つかは含んでいるという意味で、私には面白いところもありました。 しかし、それにしても三島という人は、興味の尽きない人ですなあ。色々な意味で、魅力のある人だったんだろうと思います。私にとって「実際に会ってみたい(みたかった)人」の一人であることは間違いありません。
December 10, 2010
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先週受診した人間ドックの結果が来ました~! で、期待に胸を膨らませながら数値をチェックすると・・・ ひゃっほ~っ! スゴイ改善ぶり! 特に肝臓系の数値の劇的な改善ぶりはどうよ! ほとんどの項目で正常値になったじゃないの。 でまた、さらに驚いたのは心電図の結果で、この二十年くらいの中で初めて「異常なし」って出たよ。不整脈すら出なかったらしい。 いやあ・・・。感動。頑張った甲斐がありました。ずっと八光流護身体操やったもんな・・・。このところ不健康なのが常態になっていたけれど、その気になって心がければ健康状態って改善するんですね。そのことが分かっただけでも良かった~。 ま、強いて言えば、悪玉コレステロールの値がちょっと正常値を超えていたところ。あと、血糖値もほんのわずかだけど正常値の上限を超えている。 と、ここまで来ると、俄然やる気になったワタクシ。さっそくネットで調べて、これらの改善方法をチェック! そしてそれをもとにした生活改善の方策を策定! まずですね、茶カテキンがいいらしいので、これからは夕食時に必ず緑茶を添えることにしました。また大豆系の食物もいいということですので、つまらない清涼飲料水を飲むくらいだったら豆乳系の飲み物を飲むと。 あと、青魚がいいようですが、これは毎日食べるというわけにもいかないので、DHAとかEPAなんかのサプリで補填。 また定期的な有酸素運動が勧められていたので、今後とも、柔術の稽古に加えて、夜のウォーキングを続けちゃおうかな。 というわけで、健康改善への次の目標も定まったし、めでたし、めでたし。 かくして人間ドックの結果をためつすがめつしながら、ニヤニヤしているワタクシなのでした。今日は、特別にいい日だ~!
December 8, 2010
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オリコンが「男がなりたい顔」のランキングを発表したそうで。 それによりますと、今、男がなりたい顔のベスト1は福山雅治、それも二年連続だそうで。年代別に見ても、10代、20代、30代、40代、すべてのランキングで1位ですから、完全制覇というところでしょう。 ふうむ、分からぬでもない。 で、総合の二位以下を見ていくと、2位 木村拓哉3位 水嶋ヒロ4位 佐藤健5位 向井理6位 小栗旬7位 山下智久8位 妻夫木聡9位 玉木宏10位 岡田准一 ・・・とのこと。おっと、このリストの中で顔の思い浮かばない奴が2人くらいいる。わしも時代遅れになりつつあるな、と実感。 ま、それはさておき、やっぱりこの顔触れを見ると、若い人向けな感じがするわけでありまして、さらばワタクシならばどうか、ということを考えてみたわけ。 で、結論から言うと、ワタクシがなりたい顔の1番は・・・ピーター・フォンダかな。 あら? ピーター・フォンダご存じない? そりゃまた、残念。映画『ダーティー・メリー、クレイジー・ラリー』でラリー役を演じた俳優さんよ・・・、なーんて、わざと分かりにくい説明をしたりして。 で、洋モノはルール違反ということですと、うーん、悩むな・・・。 若い頃の井上順之かな。 あら? 井上順之、ご存じない? えー、ほら、「六本木野獣会」のさあ、・・・ってわざと分かりにくい説明をしたりして。でも、まじ、若い時の井上順ってものすごい美男よ。今も、もちろん黙っていれば美男だけど。 あるいはね、斎木昭隆とか。これはわかるでしょ。外務省のアジア大洋州局長ですよ。めちゃくちゃ「切れ者」って感じの顔をしている人。 要するに、今の自分と対極の顔に憧れているってことかな、結局。 しかし、ま、現世では親からもらったこの顔でどこまでも行くしかないんで、せいぜい修行を積んで、温顔に磨きをかけていくしか、ないかな~っと!
December 8, 2010
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NHKの衛星放送でヒッチコックの『裏窓』をやっていたので、観てしまいました。実はこの名作、観てなかったんですよね、お恥ずかしい話ですが。 映画の内容としては(以下ネタばれ注意!)、左足を骨折してアパートから動けない写真家(ジミー・スチュアート)が、退屈しのぎに向いのアパートを覗き見ていたところ、その一室に住む男が不仲の妻を殺害し、死体をバラバラにして遺棄したらしいという疑惑が生じてきたと。で、こりゃ一大事ってんで彼の恋人や看護師まで巻き込んでその男の犯罪を暴こうとするうちに、相手の男にこちらの動きを察知され、逆に襲って来られるという話。さて、車椅子生活で逃げる術のない彼の運命は?! みたいなストーリーなんです・・・ ・・・が。うーん、イマイチ分からなかったっす。この映画の面白さが。 ま、覗き見をしているうちに犯罪(らしきもの)を見てしまうという面白さや、足を骨折していて動けないところに、殺人者(と思しき者)がやってくるというサスペンスなど、もちろん見所は沢山あるのですが、全体としてすごく面白いかというと、はっきり言って、そうでもないんですよね・・・。大体、あの男が本当に奥さんを殺したのかということすら、はっきり分からないですし。そういうところからして、なんか曖昧で、納得できないという・・・。 で、ヒッチコック・ファンの私としては、「ヒッチコックの映画が面白くないはずはない。何か見落としているんだろう」と思い、映画を見た直後にググってみたり、ウィキってみたりしたのですが、この映画を傑作とみなしている人たちの意見を読んでも、あまり説得されませんでしたなあ。 ネット上のこの映画に関する書き込みの中には私と同じく、「この作品のどこが面白いの?」ということを尋ねる書き込みもあるのですが、そういう素朴な疑問に対する回答というか、コメントのほとんどは「ヒッチコックの映画技法の面白さを見なきゃ、この映画の面白さなんて分からないよ」とか、「そんなことより、グレース・ケリーの美しさを見よ」とか、ほとんど答えになっていないものばかり。 ちなみに、私自身、大学で映画論をやるくらいですから、ヒッチコックの技法について、一通りの、というか人並み以上の知識はあります。ありますが、それをもってしても、だから『裏窓』は面白い、という認識には至らないんだなあ。大体、映画自体が面白くないのに、技法がすごい、などと言ったところで、仕方ないじゃありませんか。 ということで、ヒッチコックの『裏窓』のどこがどう面白いのか、どなたか私を説得して見て下さいな。よろしくお願いします。
December 6, 2010
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今日から年賀状を書き始めました! 今年も、そんな時期になったんですねぇ・・・。 ところで、普通の人はどのくらいから書き始めるのでしょうか。今日からスタートって、もう遅いんですかね? それともむしろ早いくらい? ま、人のことはどうであれ、私の場合、宛名こそパソコン頼りになりましたけれど、内容に関してはすべて手書きなので、今日辺りから毎日こつこつ書き始めないと、とても年内に間に合わないんですよね。 ところで、年賀状を書き始める前に、今年もらった年賀状を一通り読み直しました。 年賀状って、一時にどっと来るので、「ああ、今年もこの人から便りが届いたな」ということの確認だけで終わってしまって、案外、内容を読み落としてしまっていることがあるんですよね。だから、今改めて読み返すと、ええっ! そうだったの?! と思うことが多々ある。 例えば、卒業生からの年賀状にしても、「仕事の部署が変わりました」とか「住所が変わりました」とか「家族でハワイに行ってきました」とか、そういう近況報告が書いてあることが多く、そういうのをざっと読んで「おお、そうかそうか。頑張っておるなあ」などと思いながら、もう目は次の年賀状を読み始めてしまったりするのですけど、今になって改めて読み返してみると、文面の一番最後に「今年の3月に結婚することになりました」なんてスゴイ重要な報告がぼそっと書いてあったりする。 それを読み落としたまま、「そろそろいい人でも見つけなさい」なんて今年の年賀状に書いたら、まずいですもんね! だから、今年いただいた年賀状に書いてある近況報告を踏まえた内容のことを、今書いている年賀状の内容に反映させるべく、読み直しは絶対に必要なんです~。 というわけで、もう今年も最終コーナーを回ったあたりだというのに、今更ながら年賀状に読みふけるというね、面白いことをやっているわけですよ。 だけど、改めて読み直すと、やっぱ楽しいもんですね。確かに長年「年賀状だけの付き合い」になっている人も多いですけど、だけど、それでも年賀状によって「まだちゃんと繋がっている」という感じはありますからね。人の縁というのは、そう簡単に反故になるもんじゃないですから。 だから私も、忙しい忙しいと言いながら、まだ当分は手書きの年賀状を書き続けようと思っているのであります。あー、忙しい、忙しい! 今日のノルマはあと5枚だ!
December 5, 2010
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現在進行中のジャズ史の授業の最後の方で、「日本におけるジャズの受容」ということを論じようと思っていたので、その参考になるかなと、マイク・モラスキーの『戦後日本のジャズ文化』(青土社)という本を読んでみました。これ、2005年に出版されてサントリー学芸賞を取ったんですけどね。 で、この本、副題に「映画・文学・アングラ」とあるように、戦後の日本において「ジャズ」にまつわる言説がどのようになされたかを、映画や文学に描かれたジャズ表象やジャズ喫茶の存在などの中に求めたもので、特に日本映画や日本文学の中でジャズがどのように扱われていたかを改めて検証した点で、斬新な研究書なのではないかと(ジャズ批評を専門に勉強しているわけではないので、管見によれば、という意味ですが)。 しかも、それが外国人によってなされたというところがスゴイ。もっとも、外国人だから出来た、ということも可能かもしれません。日本人には当たり前過ぎることが、外国人の目から見ると異常に見える、ということは多々ありますからね。モラスキーさんは、外国人であるがゆえに、日本のジャズ表象は面白いな~と思ったのでありましょう。 で、モラスキーさんが述べていること全てについて解説するわけにはいきませんが、要するにね、戦後の日本人(の一部、それも文化人の一部)がジャズを愛した、という現象の背景には、日本人側の一方的な思い入れがあった、ということを指摘されているのではないかと。 例えば「(フリー)ジャズには『自由』がある」的な思い込みとか。 ジャズはもともと、白人の、あるいはヨーロッパの音楽であるクラシック音楽のアンチテーゼみたいなところがあるわけですが、しかしそれでもジャズにはジャズのルールがある。しかし、そのルールをも破壊しようとして生まれてきたフリージャズとなると、これはもうあらゆる束縛を打ち破り、自由を希求することの象徴になるのは、ある意味当然です。 で、しかもそれに加えて、ジャズはアメリカの中で虐げられてきた黒人たちの生み出したもの、という側面がある。 そこで、そういうもろもろの背景をもった(フリー)ジャズは、1960年代から1970年代初頭の日本の文化人から見て、ものすごく魅力的なものに映ったわけですね。安保だ、学生運動だ、なんだかんだ、という閉塞的な社会状況の中で、既存の価値を吹っ飛ばしてくれるようなものを求めていた彼らに、フリージャズは、「これこそ我々が求めていた音楽だ!」的なインスピレーションを与えてしまったらしいんですな。 そこで、当時の多くの文化人たちがジャズを称揚し、また当時はそうした文化人たちの発言が若者に強い影響を与えた時代でもありましたから、若者もまたジャズにかぶれ、ある意味、ジャズが日本の若者にとって通過儀礼的な位置を占めるということにもなった。 で、この状況の中から文学・映画・アングラ文化の中にジャズについての言説が生まれていき、ジャズ喫茶がそうした文化・言説の勉強の場となっていったと。 ま、そんな調子で、日本では、おそらくアメリカのジャズメンたちも想像もしなかったであろうほど激しい思い入れをもってジャズが受容されていくわけですが、さて、これがジャズにとって幸福なことだったのか、どうなのか。 というのも、強い思い入れに基づくジャズへの熱愛は、その思い入れが終わった時、途端にすっかり冷めてしまうからです。別な言葉で言えば、今日、ジャズという音楽が単なるBGMに成り下がった背景には、日本人がジャズそのものを愛したというよりは、ジャズに色々なものを勝手に託してしまったことに起因するのではないかと。 ま、最後の部分はモラスキーさんが直接言っていることではなく、私が勝手に彼がいわんとしていることを演繹して言っているのですが。 で、全体的な読後感ですが、まず、とりあえず私がジャズ史の講義のために仕入れようと思っていたことはちゃんと仕入れられましたので、その意味ではとても役に立つ本でした。また私があまりよく知らないジャンル、例えば若松孝二監督のピンク映画といった方面の知識も得ることが出来て、勉強になりました。 だ・け・ど。 まあ、期待していたほどには面白くなかった、というところはありますね。ふんふん、そうか、と思って読んでいるうちに終わってしまったという感じ。ある程度予想できる路線で論じて行って、そのまま予想できる結論を言うものだから、納得はできるけど驚きがない、というところがある。また、これを外国人に向かって言うのは酷かもしれないけれど、イマイチ、日本語の文章にユーモアが感じられない。 その点、やはり菊池成孔・大谷能生ペアの『東京大学のアルバート・アイラー』の面白さには遠く及ばないです。私だったら、こっちにサントリー学芸賞をあげるな。 というわけで、残念ながら絶賛というところまで行きませんが、でも、ま、『戦後日本のジャズ文化』も悪い本じゃありませんので、一応、この方面に興味のある方にはおすすめ、と言っておきましょうか。これこれ! ↓戦後日本のジャズ文化価格:2,520円(税込、送料別)
December 4, 2010
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昨夜は八光流の道場の日だったのですが、また一人、入門希望者が見学に来ていました。30代半ばくらいの女性でしたが。 で、私が4月に入門して以来、結構な頻度で入門者があるんですよね。しかもバリバリの若者は少なくて、私よりもさらにお歳を召した方も結構入門してくる。私も将来的には師範の資格をとって道場を開くつもりですけれども、案外、月謝だけで生活していけそうだなあ、なんて。 ま、それはともかく、昨夜は師範に頼まれて、その見学者に見せるために技の実験台を務めました。つまり、見学者の前で私が師範に技をかけられ、苦悶するわけですね。 だけどそればかりではなく、初歩的な技を二、三、その見学者と稽古することも任されたわけ。 で、とりあえず初段技の最初の二つ、三つを教えて上げたのですが、やっぱりこちらは4月からやってますから、素人相手だと面白いように決まるんです。そうすると、もちろん相手の見学者にとっても勉強になるのでしょうが、私自身にとってもすごく自信になるわけ。 まあ、多分、師範は、そのことも承知の上で私に素人の相手をさせたのではないかと。 何事でもそうですけど、自分より上手な人と稽古をするのは上達の早道ではあると思うんです。しかし、逆に自分より下手な人と稽古をすることで、自信をつけたり、技のキレを確認したりする、ということも重要な気がする。英語の勉強なんかでも、自分より上手い人たちの中に混ざると委縮してしまいますが、グループの中で自分が一番英語が上手いという状況だと、堂々としゃべれて勉強になる、ということはありますからね。 で、私の師範の指導ぶりを見ていると、その辺のこともうまく塩梅して、稽古のペアを決めるんですよね。実力が上の人と組ませたり、逆に下の人と組ませたり。その辺の指導法についても、勉強させられます。 で、昨夜も、その見学者としばらく稽古をした後、今度は黒帯の方と組んで稽古をしたのですが、もちろんそこではしたたかに投げ飛ばされまして、その時に受け身を取り損ねて打ったのか、今日は肩から首のあたりが痛みで動きません。ひょっとして鎖骨にヒビでも入ったかな・・・。 ま、護身術とは言っても、結局、格闘技ですからね。鎖骨を折るのは勲章みたいなものでして。 というわけで、今日はシップのお世話になっているワタクシなのでありました、とさ。
December 3, 2010
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またまた唐突ですが、「タジン鍋」って、どうなんすかね・・・? 情報通のワタクシ、タジン鍋の存在には随分前から気付いておりまして、興味はあったのですが、最近ではどこでも売ってますよね。ということは、それだけこれを使うご家庭が増えたのだろうと思うのですが、その割に身近なところからは「いいよ~!」という声が聞こえてこないもので、どうなのかな、と。 あれは結局、無水鍋的に使って、野菜やなんかから出る水分で野菜や肉を蒸し上げちゃおう、みたいな感じのものなんでしょう? とすると、なかなかヘルシーで良さそうな感じがしますが。 それに、最近では書店でも、タジン鍋を使ったレシピ集が結構並んでいたりして。 ただ、家内に言わせると、あの「富士山形」は仕舞い難いのではないかと。確かに上の部分がかなりでかいですし、重ね置きもし難そうなので、場所ふさぎにはなりそうです。頻繁に使うのならよし、結局あまり使わなかったということになると、邪魔になるだけですしね・・・。 ということで、タジン鍋、既に愛用しているよ! という方、いらっしゃいましたら、悩める我らの背中を押して下さい。よろしくお願いいたします。これこれ! ↓【決算セール】ランキング6位獲得!エミール・アンリ (Emile Henry) フラムシリーズ タジン...価格:6,800円(税込、送料別)
December 2, 2010
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突然ですが、ワードを使っていて、何かの拍子に変なところを押してしまい、「上書きモード」になってしまうことってありません? だけど、自分がうっかりどこをを押したのか分からないので、どうやって「挿入モード」に直せばいいのか分からないという・・・。今日も仕事中にそれやっちゃって、10分くらいあれこれ悩んだ挙句、結局ネットで検索して、ようやく「Insert」というボタンを押せばいいことが分かりました。あー、腹の立つ! ワードって、これだから嫌いだよ・・・。 まあ、それはさておき。 昨日の深夜、何となくテレビを見ていたらNHKで『プロフェッショナル』とかいう番組をやっていて(多分再放送)、グラフィック・デザイナーの佐藤卓さんという人を特集していたので、つい見てしまいました。グラフィック・デザイン全般に興味があるものでね。 グラフィック・デザイナーで「佐藤」といえば、今をときめく「佐藤可士和」さんの方を思い出す人が多いと思いますが、どうしてどうして、「卓」さんの方もすごいよ~。 佐藤卓さんは1955年の生まれ。私よりひと世代上です。で、もともとはハイアートを目指して東京藝大に入り、卒業後は広告代理店で仕事をしつつ、その仕事には今一つ満足できず、密かに色々なコンクールに作品を送ったりしていたんですって。 ところが何度コンクールに応募しても落選するんですね。ひっかかりもしない。その一方、藝大時代の後輩たち、たとえば日比野克彦氏なんかが、若いのにコンクールのグランプリかなんか受賞して華々しくデビューしたりする。佐藤さんとしては当然、ガックリくるわけですね。ガックリするというか、焦るというか。何しろ自分はまだ無名で、企業の歯車になっているというのに、才能豊かな後輩たちは好きなことやって活躍しているというのですから。で、その頃の佐藤さんは、鬱々とした日々を過ごしていたと。 ところが、そんな雌伏の時代を過ごしていた時、佐藤さんはひょんなことがきっかけでニッカ・ウイスキーを売るためのプロジェクトを任されることになり、ウイスキーのボトルをデザインすることになるんですね。で、佐藤卓さんは、ニッカ・ウイスキーのピュアモルト・ウイスキーの旨さを何とかボトルの形やラベルのデザインで表現したいと熟考を重ね、独創的なボトルを作り上げるんですな。そして結果的にはそれが大成功。ニッカ・ウイスキーの売れ行きは劇的にアップしたんですな。つまり佐藤さんのデザイン力が、世間に一つの商品を認知させ、その魅力をアピールすることに成功したわけ。そしてこれを機に佐藤さんは商業デザイナーの仕事の面白さに開眼、以後、一途にこの道を突き進んで来られたと。 で、番組をここまで見た段階で、私はアッと思ったんですね。というのは、実は私自身、ちょっと前にニッカのピュアモルト・ウイスキーを買った覚えがあるからです。その時、私は酒屋さんで色々なウイスキーを物色しながら、ボトルの形が何とも魅力的だったことからニッカの製品を選んだんですね。その時、「ああ、このボトルの形、いいな」と思ったことを今でもはっきり覚えているくらい。私はそれが佐藤卓のデザインであるとは知らずに、そのデザインの魅力にやられていたわけですね。これこれ! ↓ニッカ ピュアモルト ブラック 43/500 [15117]価格:1,580円(税込、送料別) で、その後、佐藤さんは、たとえばロッテの「クール・ガム」や「キシリトール・ガム」のパッケージ・デザインなどを始め、膨大な数の商品デザインを担当、この世界のビッグ・ネームになっていったと。今や、佐藤さんの事務所は10人の若手デザイナーを擁し、常時100件程度の仕事を請け負っているというのですから、すごいものです。 しかし、今やそんな大御所になった佐藤さんですが、そのポリシーはあくまで「クライエント(=依頼者)中心主義」。商業デザインというのは、商品が売れればいいので、デザインは縁の下の力持ちでいい、という考え方なんですね。デザインが目立つようなのは、商業デザインとしてはダメなんだ、と。そんな佐藤さんですから、仕事の中で常に念頭に置いているのは、自分がやりたいデザインをするのではなく、クライエントが満足するデザインを追求するということなんですな。 実際、佐藤さんの仕事は、お客さんである依頼主とじっくり話をするところから始まります。その依頼者がどんな商品を売りたいと思っているのか。その商品が他の商品と違うのはどこか。依頼者はその商品に対し、どんな強い思いを持っているのか。そういうことを汲みあげることが、佐藤さんのすべての仕事の出発点なんですね。 で、番組の中では、実際にあるクライエントからの依頼を受けてから、デザインが完成するまでの一連の作業をドキュメンタリーとして描いていたのですが、直接担当することになった若手デザイナーと何度も話し合いを重ねながら、パッケージ案を育てていくその作業の面白いこと! パッケージデザインというのはこうやって作られているのか、というのがよく分かる。佐藤さんの発想法も面白いし、それを若手デザイナーの目の前で提示することで、若手を育てる、ということもやっているわけですね。 そしていよいよクライエントの前で完成したいくつかのパッケージ案をプレゼンすることになるのですが、残念なことに佐藤さんたちが一番思いを込めて作り上げた案ではなく、別な案をクライエントは選ぶんです。もちろん、佐藤さんたちとしては「あらまあ」というところでしょう。 しかし、そこはクライエント中心主義の佐藤さんですから、別な案を選んだクライエントの思いを大切にし、自分のイチオシの案はあっさり引っ込めて、そこから先はクライエントが選んだ案をさらに良いものにして市場に出すことに情熱を燃やすんですな。そして、佐藤さんに言わせれば、「それがプロの仕事」だと。 うーん、たまたま見たテレビ番組でしたけど、佐藤卓さんという素晴らしいグラフィック・デザイナーのこと、そして彼の仕事の過程を見ることができて実に面白かったです。一度は挫折しながら、あるきっかけから自分の天職を見つけ出す、というドラマも良かったですし。「挫折」というのは、結局、ある非常に限られた視野から自分に多大な期待をしてしまうことから生じるものなので、もっと広い視野で見たら、自分の才能はまったく別なところにあったというような発見は、きっと誰にでもあると思うんですよね。そういうことも、佐藤卓さんの半生を見ることで、改めて認識しましたわ。 ということで、佐藤卓さんという日本を代表するグラフィック・デザイナーのことを、私はこれからも注目していこうと思うのでありまーす。佐藤卓、教授のおすすめ!です。
December 1, 2010
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