愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2004.04.24
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2003年制作の日本映画。
監督は『トリック』『恋愛寫眞』などの堤幸彦。
基本的に2人芝居のこの映画で、女同士のバトルを繰り広げるのは野波麻帆と小池栄子。

この映画は「対決」をテーマとして、北村龍平監督作品『荒神』と同時上映され、どちらの作品が良かったかを競うという趣向の元に制作された。
『荒神』が大沢たかおと加藤雅也による「男同士の対決」なのに対して、この『2LDK』は「女同士の対決」がテーマとなっている。


同じオーディションを受けて最終選考の結果待ちの夜、ふとしたきっかけで2人の嫉妬心とライバル心が爆発し、壮絶な殺し合いが始まる…。


上映時間1時間強、2人が殺しあう場所は2LDKのマンション内という限られたシチュエーションで展開するブラックコメディー。
そんな小さなスケールで展開する話ではあるが、野波麻帆と小池栄子の大暴れっぷりが凄まじくて迫力がある。

物語の序盤は会話と心の声を並行させた2人の上辺だけの関係が描かれており、ここで徐々に2人の対決へのテンションが上がり、殺し合いの布石となっている。

「今日のオーディション、私たちのどちらかで決まりそうだって」(あたしだ)

といったように。

この序盤で2人の性格の対比がしっかり描かれているので、その後のバトルへの流れがすんなり受け止められる。

物語が進むにつれて2人のイライラの要素が募り募っていく。そして戦いの火蓋が切って落とされるのはほんの些細なきっかけから。

バトルに使われる武器はトロフィー・チェーンソー・手裏剣・日本刀・十手・消火器・カビキラー(劇中ではカビキライ)・トイレのタンクの蓋・ドライヤー(風呂桶に突っ込んで感電地獄)など、部屋にあるものばかり。
女2人暮らしの部屋になぜチェーンソーや日本刀があるのか不思議といえば不思議だが、そこを疑問に思わせないのが堤幸彦の演出だ。

とにかく主演2人の壊れっぷりが凄い。
野波麻帆は『シャイニング』のジャック・ニコルソンばりにチェーンソーでドアを破壊するし、小池栄子は『リング』の貞子ばりに床を這いつくばる。

「普通だったら死ぬだろ!?」というような攻撃を食らっても、ゾンビのように何度も何度も起き上がる2人の姿はさながらホラー映画。最初は笑って観ていたが、徐々に2人のテンションに巻き込まれ真剣に見入ってしまった。

聞けば撮影時、主演の2人はインフルエンザにかかっており39度以上の熱を出していたそうだ。
つまり自然とトランス状態に陥っていたそうだ。
それが功を奏しているのか、妙な気炎が感じられる。


暴力の果てに行き着いた先に一体何が生まれたのか。
暴力というものがいかに不毛なものであるかを感じさせられる、オチとしては実に的確なラストである。

これだけ激しいバトルの応酬が描かれているのだから、音楽などを多用してもう少しテンポを上げても良かったのかもしれない。
間に一時和解状態などを挟み込んで、また更なるバトルの前哨戦としているのは見事だが。

ところどころに挟み込まれている、堤監督特有のユーモアも見逃せない。


★★★★☆





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最終更新日  2004.05.01 12:46:57
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