愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2004.04.28
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2002年制作の日本映画。
監督は『ナビィの恋』に引き続き、沖縄を舞台にした映画を作った中江裕司。
主演は沖縄で大々的に行われたオーディションで選ばれた小学3年生・蔵下穂波。


ホテルを営んでいるのは、腕白でお転婆な小学3年生の少女・美恵子を始め、ビリヤード屋を営んでいる父ちゃん、夜はバーで働いて一家の家計を支えている母ちゃん、黒人とのハーフのケンジにぃにぃ、白人とのハーフのサチコねぇねぇ、そしてくわえ煙草のおばぁ。とても個性的な家族だ。
そんな賑やかなホテル・ハイビスカスで暮らす美恵子のひと夏の出来事が描かれる…。


とにかく主人公の美恵子が可愛くてうるさい。
何事にも全力投球の彼女の姿は、微笑ましいときは微笑ましいが鬱陶しい時は鬱陶しい。

映画全体の雰囲気は平和で優しいのだが、何となく物足りない。
それはやはり、物語の視点が美恵子に偏っているからだと思う。

いくら子供が主人公の映画だからと言っても、他のキャラクターの個性も味わいたい。

このホテル・ハイビスカスには、本土からの来客として能登島という若い男が訪れる。第3者としてホテル・ハイビスカスを見つめる視線が描かれるのかと思いきや、彼の存在感は意外に薄い。この賑やかな家族を見つめる違った視線を絡めるための登場人物だと思っていたので、なんだか肩透かしを食らったような気分である。どこか客観的な視線があったほうが面白かったと思うのだが。


この映画からやけに平面的な印象を受けるのは、登場人物の多様性をほとんど活かしていないからだと思われる。

美恵子を中心に描かれる物語もいくつかのエピソードを繋げた、ある意味オムニバスのような形式である。
それらは美恵子にとっては大事件でそれによって彼女は様々な経験をして成長していくのだが、美恵子のキャラクターがあまりにも直線的なので若干深みに欠ける気がする。
もちろん真っ直ぐな性格の子供が悪いわけではないのだが、美恵子の様々な表情をもっと見たかった気がする。

全体的なムードは楽しくて明るいのに、なぜかイマイチ乗り切れなかった。
登場人物が楽しそうに歌い踊っていても、その楽しさが観ている私には伝わりきらなかった。

何故かと考えたのだが、1つの理由としてこの映画が意外と「閉じた」映画であるような気がするからだ。
ホテルを舞台にしているということで、いろんなお客さんが訪れて、その様々な関係性で映画が成り立つのかと思いきや、終始家族の話で終わってしまっている。

もちろん美恵子にはいくつかの出会いがあるが、それはどこか刹那的な出会いで関係性と呼ぶには物足りない。
家族以外の出会いを絡めた「開いた」映画であったらもっと面白かったと思う。

そしてこの映画のテンションがやや平坦であるということも、乗り切れなかった1つの要因かもしれない。


というわけで期待していた割にイマイチな印象を受けてしまったこの映画。
好きな人は好きなのだろうが、私にはちょっと合わなかった。
うるさい子供が嫌いな人にはオススメできない映画である。

★★☆☆☆





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最終更新日  2004.05.09 22:39:05
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