愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2004.06.11
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現在公開中の日本映画。
原作はお耽美系小説を書くことで有名な嶽本野ばら。
監督は「サッポロ黒ラベル」などのCMを手がけたことで有名な中島哲也。
主演は深田恭子。


彼女はお目当てのブランドで買い物をするために、2時間半かけて東京の代官山に通っているのだ。
彼女は自分の信念を強く持っているために友達が全くいない。しかし彼女自身は友達がいないことを微塵も淋しいとも思っていない様子。

ロリータファッションに身を包みたくても手持ちの金が無くなってきた桃子は、元ヤクザの父親がかつて扱っていたバッタもんブランドを個人販売しようとする。
そこに買い手として現れたのが、同い年のツッパリスケ番・白百合イチゴであった。

まったく正反対のベクトル上を生きている2人の間に、奇妙な友情が育まれていく…。


滅法面白い映画だった。
何よりもテンポがいい。そこのところは数々のコミカルなCMを手がけてきた中島監督の腕だと思う。

CGやアニメ、テロップなどといった、映画としては飛び道具的なツールを使ってはいるが、それが逆にテンポ感を増しているし、このエキセントリックな映画にマッチしていて違和感が無い。

そして深田恭子演じる桃子と土屋アンナ演じるイチゴの対比も絶妙である。
まったく相容れないと思われる人間同士が理解しあう姿に人々は感動するものであるが、ロリータとヤンキーとはなかなか思いつかない人種である。


桃子は外見こそフリフリのガーリーだが、考え方は実にクールであり、家庭環境に関してもどこか醒めた目で見つめている。
「友情」や「愛情」などに常に無関心で、ただただロリな服装に身を包んでいれば満足というキャラクターが面白い。
しかもそんな恰好で普段歩いているのは、普通に牛が歩いている田んぼの畦道というギャップも笑える。
そしてまた深田恭子のルックスがロリータファッションにピッタリである。
実に可愛い。萌えた。

イチゴはかつて内向的な少女だったが、ある日ブツンと頭の中の糸が切れてパジャマのまま夜中にチャリンコで暴走している時に、レディースの頭に声をかけられその道に染まってしまったという経歴を持つ。
時代錯誤な特攻服に身を纏い、不必要なまでに熱い彼女もかなり極端なキャラクターである。
しかし表面上は屈折していながらも、内面は人一倍弱い彼女も実に愛すべきキャラクターである。
土屋アンナ(ビョーク似)という女の子はあまり知らなかったが、実にヤンキー芝居が堂に入っている。
今後の芸能活動が心配になるほどの名演技であった。

この2人が出会って徐々に友情を築いていく姿に笑ったりジーンとしたり、映画としての楽しみが凝縮された1本である。



桃子の父親で元ヤクザの男を演じるのは宮迫博之。
落とし前として小指を詰められそうになったときに発した「小指がなくなったら、ピアノ弾かれんようになる~」が名言。彼のお笑いのセンスが存分に活かされている。

桃子の母親で自由奔放な女を演じるのは篠原涼子。
京唄子ばりのファッションがまず笑える。
男なしでは生きていけないという性格で桃子と夫を捨ててしまうのだが、その吹っ切れたキャラは憎たらしいというよりも潔い。


「桃子ちゃん、200円ちょうだーい」と甘える仕草が愛らしい。ババアだけど。

他にも岡田義徳・小池栄子・矢沢心・生瀬勝久・阿部サダヲなどが脇を固める。
どのキャラクターもデフォルメされまくっていて、中途半端さがなく徹底的にコミカルである。
そんな潔さもこの映画の面白さである。
レディースを演じた小池栄子と矢沢心のキレっぷりが妙に印象的。ハマリすぎだっつーの。

かなり細かく笑えるモチーフを散りばめつつも、最後にはキチンと映画としてのカタルシスが感じられるエンターテイメント作品に仕上がっている。
テーマは「友情」であるが、それも押し付けがましい描写でないところも心地よい。

これはぜひ若い人に観てもらいたい。
そして大いに笑って、何かを感じ取ってもらいたい。

★★★★★





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最終更新日  2004.06.13 02:00:42
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