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「泣くも笑うも結局は自分次第。誰も止めることはできない」
「どう思う? こいつは使えそうか?」
「そっくりだ、昔のあんたにな。一人で世界を救う気でいる」
本作「トレーニング・デイ」において注目すべきは、連続殺人犯などを追っかけるFBIや殺人課の刑事に焦点を当てたものではなく、汚職に手を染める刑事、しかもそれが麻薬取締捜査官という点である。
下っ端の売人を泳がせておいて、最終的には大きな麻薬組織を一網打尽にするのかと思いきや、組織と手を組み賄賂をせしめるなど、腐敗しきった警察の内部事情を浮き彫りにしている。
この正義を凌駕した営利目的の犯行は、資本主義体制の歪みを表現しているとしか思えない。
また、汚職刑事役を黒人が演じ、正義に燃える新人刑事を白人が演じているのも象徴的だ。
しかも本作に学ぶことができるのは、ここでの汚職刑事に見られる素行の悪さや混乱は、黒人のこれまでの環境に原因があると遠回しに描写している点である。
それは例えば、ロサンゼルスのダウンタウンであったり、ストリートギャングの圧倒的な黒人の多さなどである。
こうした社会の腐敗を発信するメッセージ性の強い映画は、視聴者としても心して鑑賞しなければならない。
新人熱血警官ジェイクは、持ち前の正義感で街にはびこる犯罪と闘うべく、ベテラン刑事アロンゾのもとで訓練を受ける。
ロサンゼルス市警麻薬取締担当のアロンゾは、ジェイクがそれまで所属していた交通課とはまるで犯罪の度合いが違うのだと教える。
さらには犯罪摘発のためには簡単に法を犯すアロンゾに、ジェイクは戸惑いを隠せない。
アロンゾの倫理観、道徳観さえ疑い出したジェイクは、徐々に警察組織にはびこる汚職を目の当たりにするのだった。
ジェイク役のイーサン・ホーク、アロンゾ役のデンゼル・ワシントン。
2人の息がピタリと合って、実に重厚なセリフの掛け合いに舌を巻く。効果音や間の取り方にも、申し分なくすばらしい作品であった。
この映画にどのようなことが暗示されているのか、自分なりに細かく分析してみるのも一興かもしれない。
2001年公開 【監督】
アントワーン・フークァ
【出演】デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク
また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
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