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2011.06.10
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カテゴリ: 映画/時代劇

「おぬしが我らの仲間であらば・・・いや、せめて明石の家臣でなければどれほど事の成就がたやすいことか」
「言うな! やせても枯れても、この鬼頭半兵衛は侍。むざむざ主君の首を差し出すと思うてか!? 新左、行きたければわしを殺して行け」

本作は、海外での上映を意識してのことだろうか、セリフに“サムライ”という言葉が頻繁に使われている。
サムライとはどうだこうだとか、自分はサムライであるからうんぬんとか・・・、とにかく四の五の言う。
セリフも実にストレートだ。
監督の意向なのか、それとも脚本家のポリシーなのか不明だが、言葉に奥行が感じられない。
演技派が揃ったのだから、あまりセリフに頼らない方が重厚な武士道精神を垣間見せることに成功したのではなかろうか。
メガホンを取ったのは三池崇史監督で、代表作に「着信アリ」や「クローズZERO」シリーズなどがある。
20110610b

江戸時代が間もなく終えんを迎えようとしている頃、一大事が発生。
明石藩江戸家老・間宮図書が、老中・土井家門前で切腹して果てた。
間宮の行為は、狂信的な残虐性を帯びた藩主・松平斉韶の横暴を諫めるための自害であった。
当の明石藩主・松平斉韶の傍若無人と言ったらこの上もなく、その残虐さゆえ、尾張藩の木曽上松御陣屋詰の牧野の嫡男とその嫁を陵辱した上、殺害。
さらには言われなき百姓の娘の両腕両足を切断し、その舌まで切り落とすという非道を犯したのであった。
先行きを憂いた老中・土井は、信頼の置ける配下である御目付役・島田新左衛門に、ある密命を下したのだ。

本作「十三人の刺客」で目を見張ったのは、両腕両足を切断された娘の役を演じた茂手木桜子という役者さんだ。
ほんのチョイ役だが、このようなあられもない役柄を演じるのに、全身全霊を注いでいるのがひしひしと伝わって来た。
素っ裸で、ヨダレを垂らし、血の涙さえ浮かべた表情は、実に見事だった。
主人公・島田新左衛門に扮したのは、ベテラン俳優である役所広司だ。
演技そのものに問題はなく、むしろ素晴らしい演出だったと思う。

松平斉韶の首がそれほどまでに欲しいかと問われた時、間髪入れずに「欲しい!」と答えたそのセリフ。
いかがなものなのだろうか。
ある意味、モダンな時代劇と言えるかもしれない。
抽象さを排除し、明瞭にして分かり易いストーリー展開。
“新しい”というのは、実はこういう映画のことなのかもしれない。
20110610c

2010年(日)、2011年(英)公開
【監督】三池崇史
【出演】役所広司、市村正親、稲垣吾郎

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2011.06.10 08:30:54 コメントを書く
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