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2012.07.05
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20120705


「それはね、あなたが生まれた日に“ある物”が届いたの。小さな箱よ。中身は何だと思う? ・・・“責任”というものよ。世の中には何よりも“責任”を恐れる人たちがいるの」
「じゃ、パパは箱の中身が怖くて逃げ出したの? ・・・バカみたい」
「ママもそう思うわ」

イーストウッド監督の作品が優れていることには業界でも定評のようだが、この『チェンジリング』は申し分なく見事な作品だ。
また一段と冴え渡る演出で、涙なくしては見られない出来映えだ。
もともとイーストウッド作品には、生涯に渡るテーマを感じさせるものが多い。
そこには、誰にも譲れないメッセージのようなものが込められていて、気付いた人だけが心を熱くさせるのだ。
とりわけ強く感じるのが、権力の横暴に対する抵抗、あるいは人間が男女問わず与えられるはずの人権・誇りを死守する勇気。

この『チェンジリング』にしても、クリスティン・コリンズというシングル・マザーの女性が、警察という国家権力に屈することなくひた向きに闘い続ける意志の強さと勇気を表現している。
だが作中では、それが露骨にならないように、息子を探し出したいがゆえの、母親の情愛として心地良く仕上げられている。
こういう上品な演出は、なかなかどうして難しい。
さすがはイーストウッド監督ではある。

1928年のロサンゼルスが舞台。
クリスティン・コリンズは、9歳の息子ウォルターを育てながら電話交換局で働く女性。

ある日、休日出勤することになり、ウォルターを自宅に一人残し出掛けることになってしまった。
予想外に帰宅が遅くなると、家にはウォルターの姿はなく、慌てて警察に通報する。
だがウォルターの消息はつかめず、そのまま5ヶ月が過ぎる。
その後、ウォルターが発見されたという連絡を受け、すぐさまクリスティンは駅まで迎えに行くものの、なんとその少年は別人であった。
クリスティンは「この子はウォルターではない」と否定するが、警察はマスコミや世論に対する面子を気にして、クリスティンの意見に全く耳を貸さなかった。


“目は口ほどにものを言う”とは昔からの諺だが、正にこれをアンジェリーナ・ジョリーが演じている。
哀しみ、怒り、希望など、そういう感情をセリフではなく、目力によって表現している。すごい。
さらに、脇役だが重要な牧師の役で、ジョン・マルコヴィッチが好演。
実は物凄い存在感とインパクトのある役者さんなのに、この作品ではかなり抑えられていて、それがまた輝きのある演技として光っていた。
脚本といい、演技といい、何一つ文句のつけようがない、完成度の高い作品だった。


【監督】クリント・イーストウッド
【出演】アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2012.07.05 06:06:54
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