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2014.07.15
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【あるいは裏切りという名の犬】
20121228

「なぜ“面会に来るな”と言ったの?」
「怖かったんだ」
「何が?」
「お前の帰っていく後ろ姿を見るのが・・・」


フランス映画というのは、昔から主人公の破滅や、退廃的で暗い作品を得意とする傾向がある。
そこには登場人物の支配欲であったり、裏切りが絡み合って、どことなく陰気な雰囲気を隠せない。
例えばそういう傾向の強い、日本の代表格で言うと、北野武監督があげられる。
仁侠映画とは違い、バイオレンスと欲得が複雑にリンクして、どうしようもない結末が用意されていることが多いのが特徴だ。
他にはヒッチコックの一部の作品として、「めまい」などがあげられる。
本作「あるいは裏切りという名の犬」は、正にフランス映画の面目躍如とも言える、犯罪映画かもしれない。

舞台はフランス。
オルフェーヴル河岸36番地のパリ警視庁では、BRIとBRBという二つのグループから組織されていた。
そのため、ことあるごとに、BRIとBRBは事件の指揮権のことで対立していたのだ。

1年半で7件、9人が殺され、200万ユーロが奪われるという大事件になった。
犯人逮捕のため、長官はBRIの警視であるレオ・ヴリンクスに指揮を命じる。
そして、BRBの警視ドニ・クランは、ヴリンクスの指令の下、その補佐として務めるよう命じられる。
だがクランは、ライバルでもあるヴリンクスの下で仕事することに納得がいかなかった。

この作品に登場する主役二人、ダニエル・オートゥイユもジェラール・ドパルデューも、フランスを代表する名俳優である。
特に、この作品では悪役を演じたジェラール・ドパルデューは、「シラノ・ド・ベルジュラック」でも世界的に有名になった、一流俳優なのだ。
そんな演技派が夢の共演を果たしているのだから、否が応でも絶賛され、フランスでは名誉ある賞を受賞している。
ただ日本においてはどうだろう。
日本人にとっては、少し感傷的に思える節もあるし、「権力のためならそこまでやるの!?」と、驚く場面も多々ある。
勧善懲悪とは趣が違い、現実の世界をシニカルに捉え、フランス流の退廃的で憂鬱なムードを程好く中和させたような、犯罪映画であった。

2004年(仏)、2006年(日)公開

【出演】ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー


20130124aisatsu





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最終更新日  2014.07.15 05:54:20
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