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2014.08.01
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【真夜中のサバナ】
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「もう一つだけ質問させてほしい。あの夜、本当は何が起こったんだい?」
「友よ、真実は芸術と同じだ。見る者によるんだ」

この作品を鑑賞した直後、急いでジェンダー論について書かれた新書を手に取ってみた。

だがしょせん、付き焼き刃に過ぎない勉強は、まるで身につかない。面目ない。
イーストウッド監督の手がける作品の傾向としてよく見られるのは、ジェンダーの壁についてであろう。
この地球上には人間の性別として、男と女の2種類しかないのだと、誰から教わったわけでもないが、そういうものだと思い込んでいた。
だがそれは医学上のことでしかない。
実際、男の体を持っていても、心は女であったり、またその逆もあるし、あるいは完全な男でも同じ男しか愛せないタイプも存在する。
このような特殊な傾向は、やはり差別の的となり、長きに渡って異端視されて来た。
十把一絡げに“同性愛者”と言ってしまって良いものなのか、非常に判断に悩むところだが、『真夜中のサバナ』では、男色の大富豪ジムやレディ・シャブリのような歌って踊れるニューハーフが登場する。
そういうマイノリティーの立場にある者を、色眼鏡で見ることなく、果たして世間は正当な判断を下すことが出来るのであろうか?
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ジャーナリストのジョン・ケルソーは、サバナの大富豪であるジム・ウィリアムズ主催のパーティーを取材させてもらえることになり、さっそく訪問する。
ところがその晩、屋敷に出入りしていた美青年のビリーが、ジムによって撃たれるという事件が起きる。
ジムは殺人の容疑者として逮捕されるが、正当防衛を主張。
ジョンは急遽、事件の真相を突き止めることで、その取材記事を出版したいと申し出るのだった。
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この作品を鑑賞していてつくづく感じたのは、イーストウッド監督は、ジャズを始めとする音楽に関しても造詣が深いということだ。
パーティーで披露されるピアノ楽曲や、ナイトクラブで小気味良く歌うシーンなどが度々出て来て、もうそれだけで製作者サイドの豊かな音楽性を感じさせられる。
それはともかく、この作品のテーマを探ってみると、やっぱり重ね塗りされた油彩画がポイントになっているようだ。
X線写真でも撮らなければ、キャンパスに描かれた下絵の存在には気付かないのだが、いみじくもそれについてはジムが、「知らぬが花さ」と言っている。
つまり、真相を暴くことよりも、今を生きている者にこそ目を向けることが大切だとでも言うのか。
捉え方は十人十色あるだろうが、全体を通して文学的な香りがそこかしこから漂う映画だった。

1997年(米)、1998年(日)公開

【出演】ジョン・キューザック、ケヴィン・スペイシー


※予告 ジョン・キューザック主演『 スパイコード 』は近日掲載予定です(^^)v こうご期待♪
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最終更新日  2014.08.01 06:08:48
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